23/05/04 22:17:13.41 e7ETSJ2G.net
>>742
つづき
するとその地獄の底に、※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多かんだたと云う男が一人、ほかの罪人と一しょに蠢うごめいている姿が、御眼に止まりました。この※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多と云う男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ、善い事を致した覚えがございます。と申しますのは、ある時この男が深い林の中を通りますと、小さな蜘蛛くもが一匹、路ばたを這はって行くのが見えました。そこで※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多は早速足を挙げて、踏み殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命のあるものに違いない。その命を無暗むやみにとると云う事は、いくら何でも可哀そうだ。」と、こう急に思い返して、とうとうその蜘蛛を殺さずに助けてやったからでございます。
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蜘蛛の糸
材源
この話の材源は、ポール・ケーラスによる『カルマ』の