23/04/28 14:53:21.24 ttlBhqNj.net
3次元トポロジーへのデーンの貢献は偉大ですが
デーン不変量を使ってなされたものは知りません。
デーン不変量の話のオチは一応次のようにつけました。
デーンのこの解答は見事と言うしかありませんが、
ここには「等積なP,Qに対しD(P)=D(Q)ならPとQは分割合同であろうか」
という新たな問題が潜んでいました。これは難問で、
デーンの存命中には解決されず、やっと1965年になって答えが
肯定的であることが判明しました。それは高次元空間の研究で有名な
ホップ(H. Hopf, 1894-1971. スイスの数学者)が興味を持ち、
1943年、弟子のシドラー(J.-P. Sydler, 1921-88. スイスの数学者)に
この研究を勧めたことがきっかけでした。学位を取得後、
シドラーは大学の図書館司書として勤めながら余暇を利用して
研究を進め、見事にホップ教授の期待に応えたました。
ちなみにシドラーはこの業績によりデンマーク王立協会賞を
受賞しています。
そのポイントは基本的にはデーンの場合と同様で、
やはり多面体の集合から形式和を経て一つの加法群を構成する
ところですが、残念ながら詳しくは述べられません。ただ、
シドラーの証明の簡易化を経て書かれたデュポン氏の論説には
「ホモロジー消滅定理H_2(SO(3),\mathbb{R}^3)=0から
シドラーの定理が従う」と書かれており、それに関連する式
\wedge\circ AW(v_0[v_1|\dots|v_k])=
\sum_{p=0}^k{v_0[v_1|\dots|v_p]
\wedge(v_0+\dots+v_p)[v_{p+1}|\dots|v_k]}
が三角錐の体積の公式を示すためにユークリッドが
用いた分割の図に対応していることだけは
注意しておきたいと思います。