23/04/28 12:59:29.71 ttlBhqNj.net
そのためには S に
適当な演算規則を入れておき、多面体の分割が D によってその規則と「両立する」
ようにします。その要点をかいつまんで述べてみましょう。
集合 S は二つの「加法群」の「テンソル積」として作ります。まず加法群につい
て、これは前回アーベル拡大のところで述べたアーベル群のことですが、文脈や記
号が違うので念のため復習しておきます。これは一つの集合Gに、結合律と交換律
を満たす二項演算「G×G (a, b) → a+b ∈ G」が、単位元0 (すべてのa ∈ Gに対
し a+ 0 = a) と逆元 -a (a+ (-a) = 0) の存在をこめて与えられたものを言います。
加法群Gの部分集合G′ が部分群であるとは、「a, b ∈ G′ ⇒ a-b(:= a+(-b)) ∈ G′」
が成立することを言います。このとき
G/G′ = {{g + g′; g′ ∈ G′}; g ∈ G}
とおきますと、G/G′ は自然に加法群の構造を持っています。これを G の G′ によ
る商群 (または剰余群) と呼びます。この構成は環のイデアルによる剰余環の構成
と同様です。G/G′ の元 {g +g′; g′ ∈ G′} を g +G′ で表します。整数全体の集合 Z や
実数全体の集合は、通常の加法に関して加法群の例になっています。
二つの加法群 G, H に対し、G × H を一旦は単なる集合としての直積とみなし、
その要素の Z 係数の形式的な線形結合全体のなす集合
G ×_Z H ={?k_iu_i
; u_i ∈ G × H, k_i ∈ Z}
に加法を自然に拡張して 0 (すべての係数が0であるものを同一視して0で表す)を
単位元とする加法群と考えます。G ×_Z H の部分集合
K_1 = {(g, h) + (g′, h)-(g +g′, h) ; g, g′ ∈ G, h ∈ H} および
K_2 = {(g, h) + (g, h′)-(g, h + h′) ; g ∈ G, h, h′ ∈ H} で�