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ヒルベルトの第 3 問題とデーン不変量
二つの多面体が等積でありさえすれば分割合同になるとは考えにくいので、そ
うならないことの証明が試みられました。1896 年、ブリカール12は等積な立方体
と正四面体が分割合同でないことを主張する論文 [Br] を発表しましたが、証明は
不完全でした。そこで当時の指導的な数学者であったヒルベルトもこれに関心を
示し、1900 年の ICM で
等高等底面積の二つの四面体で、互いに分割合同でないものがあるか
という問題を提出しました13。ところがこれはヒルベルトの指導で学位を取った
ばかりのデーン14によって即座に解決されました。それはヒルベルトが報告集の
ための原稿を提出する前でした。15。デーンはブリカールによる上の主張に完全な
証明を与えたのでしたが、一口で言うなら、多面体全体がなす集合から実数を拡
げて作ったある集合 S への写像 D を、互いに分割合同な P,Q に対してはつねに
D(P) = D(Q) が成り立つように、しかも P, Q としてそれぞれ等積な立方体と正
四面体をとったとき D(P) 6= D(Q) となるように作ったのです。