23/04/27 18:10:41.15 VqRCmNfz.net
複素関数論ではある種の公式が著しく簡単な方法で証明できる
ことがある。その理由は、コンパクトな Riemann 面
(閉 Riemann 面) 上の有理型関数は零点と極の位置を重複度もこめて
与えさえすれば定数倍を除いて一意的に定まるからである。
このことは最大値原理の重要な帰結である。
ここから関数をその零点と極を用いて書き下すという問題が浮上した。
例えば C^ 上の有理型関数
は有理関数に他ならず、多項式分の多項式という形で書けるわけだが、
一般の閉 Riemann 面上の
有理型関数に対してもテータ関数を用いて似た形の因数分解式が書ける (Riemann の分解定理)。
C 上の有理型関数については Weierstrass が得た例だとガンマ関数が
が有名だが、楕円関数の分母として彼が好んだのはこれに似た展開式を
持つシグマ関数σ(z) であった。これと ℘(z) との関係は
℘(z) = -d^2log σ(z)/dz^2
なので、σ(z)^2 が ℘(z) の分母になる。℘(z) は Weierstrass の
ぺー関数と呼ばれる。ちなみに、これは一つの推測だが、
Weierstrass は Abel をつづめた al を筆記体で書いた文字の上下を
逆にした意味で、℘ の文字を用いたのではなかろうか。