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>>12
つづき
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第 1 回横幹連合コンファレンス
2005 年 11 月 25 日,26 日 JA 長野県ビル
不確実性の新しい定式化
竹村彰通 (東京大学)
1 測度論的確率論の役割
不確実性を扱うための主な数学的枠組は確率論であ
ると思われる.
確率論は 1930 年代のコルモゴロフによる測度論的確
率論の定式化により,その数学的基礎が明らかにされ,
その上で一つの確立した数学分野として大きく発展し
て来た.測度論的確率論の定式化以前には,フォン・
ミーゼスの「コレクチーフ」の概念など,頻度論的な確
率論の基礎づけが様々な形で試みられていたが,いず
れもあまり成功せず,測度論的確率論の定式化ととも
にそれらはほとんど忘れ去られることとなった.コル
モゴロフによる測度論的確率論では,確率自体は「点」
や「線」のように公理的に与えられ,その意味を問わ
ないことが特徴となっている.確率を公理として与え,
確率論を確率の操作の体系とすることによって,数学
としての確率論が定式化されたと理解できる.伊藤清
の『確率論の基礎』初版 (1944)1) への序文にある
“確率とは,ルベーグ測度である.”
この言葉ほど確率の数学的本質を突いたもの
はない.
という言明が,このような事情を的確に表していると
思われる.確率の実質的意味を問わない,とする態度
によって,確率論自身が大きく発展することになり,確
率論は操作的体系として実際に多くの分野で用いられ
ているわけである.
つづく