22/12/16 21:29:22.45 5lN5KQGq.net
>>794
つづき
一般に1の原始n乗根(primitive nth root of unity)の1つをζnで記述することにします。そして帰納法の仮定として,問題としている素数pに対し,m≦(p-1)の1の原始m乗根はすべてベキ根で解けると仮定します。
また,ζp は1の原始p乗根の1つですからp-1次の円分方程式を満足し,この円分方程式はpが素数なのでQを有理数体としてQで既約ですから,Qにζpを添加した拡大体Q(ζp)については,次数は[Q(ζp):Q]=p-1です。そしてこの円分方程式のガロア群(Galois group)Gal(Q(ζp)/Q)は(Z/pZ)×に同型なので,アーベル群(Abel group)であり,それゆえ可解群(solvable group)です。
略
それゆえ,ガロアの偉大な定理によってQ'(ζp)/Q'もベキ根による拡大になります。したがってQ'(ζp)の元ζpはQ'の上でベキ根で解けるはずですが,Q'=Q(ζp-1)におけるζp-1自身も帰納法の仮定によってQの上でベキ根で表わせるのですから,結局のところζpはQの上でベキ根で解けることが示されたことになります。
ガロア理論を理解するために1のベキ乗根をベキ根で表わせることを証明したいと思って,ガウスの証明を参照したかったのですが,肝心のところに関する参考文献が,当面のところ不明だったので,結局ガロア理論を用いてしまったわけで我ながらいささか本末転倒の感があります。
参考文献:原田耕一郎 著「群の発見」(岩波書店),足立恒雄 著「ガロア理論講義」(日本評論社)
(引用終り)
以上