22/11/29 23:09:58.90 0njE1WcS.net
>>242
つづき
この一節自体、倫理学の名言としてはこれを引いておけばまず間違いはないというくらいによく知られており、高校生の倫理の教科書などでもひんぱんに引用されているものです……が、率直に言って、現代を生きている私たちが、この一節を理解するにあたって小さからぬ困難を覚えることは否定できません。というのも、私たち現代人は、カントが生きていた、敬虔主義的な雰囲気が濃厚に漂う十八世紀ドイツの社会よりも、道徳的に見て少しばかり奔放な社会を生きていると言わざるをえないからです。
少しばかり、というのはきわめて控えめな言い方であって、実際には、彼らから見たらほとんど無法状態にも近い自由を謳歌してしまっている、と言うべきかもしれません。現代の大人たちは、確かに純愛ものの連続ドラマに涙を流すことも時にはありますが、基本的には、不倫と殺人を題材にしたフィクションの世界にどっぷりと浸かっています。若者たちは、連日連夜の合同コンパにひたすら明け暮れなが