22/11/25 21:37:15.82 sR5HNY48.net
>>176
つづき
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星裕一郎
宇宙際 Teichmuller 理論入門 PDF (2019) (Indexあり)
P16
(実際には, 後に見るとおり, “単一の整数N” に対する上記の議論を実現するのではなく,
“(j^2/2l)j=1,...,(l-1)/2 という有理数の組”
に対する上記の議論を実現するということを, ここで注意しておきましょう - §12 の
“宇宙際 Teichm¨uller 理論の主定理の大雑把版” を参照ください.)
何らかの意味で,
qE = q^NE
なる等式が実現できれば, 次数に関する所望の等式が得られるかもしれないということに
なります.
一方, ほとんどの “E/F” に対して, 実際には “qE = q^NE ” とはなりません. (簡単にわ
かることですが, qE = q^NE となることと E がすべての素点で良還元を持つことは同値で
す.) 特に, そのほとんどの “E/F” に対して, 少なくとも “単一の世界” で等式 “qE = q^NE ”
を仮定すると, たちまち矛盾が起こります.
そこで, 現在考察を行っている数学的設定 - つまり, 数体 F やその上の楕円曲線
E などが属するある数学的設定 (この “数学的設定” をきちんと定式化した概念こそが,
§26 で定義される Hodge 劇場です)
このように考えれば, 少なくとも “たちまち
の矛盾” は発生しません. つまり, 例えば, “単一の集合” であるところの Q の中での
“7 = 49” という等式は - 7 6= 49 という当たり前の事実により - 直ちに矛盾を引
き起こします. しかしながら, Q の 2 つの同型物 †Q,‡Q を用意して,†49 ∈†Q を ‡7 ∈‡Q
に移す全単射 †Q?→ ‡Q を考察することには, 何の問題もありません. また, 当たり前です
が, そのような全単射は実際に存在します.
さきほど †49 ∈†Q を ‡7 ∈‡Q に移す全単射 †Q?→ ‡Q を例として登場
させましたが, そのような全単射の存在から, 実際に “7 という値 = 49 という値” という
等式が得られるわけではないことと同様です.
†49 ∈†Q を ‡7 ∈‡Q に移す全単射の存在
は, 実際の “値” に対する等式 “7 という値 = 49 という値” を導くわけではないのです.
(引用終り)
以上