21/05/19 16:36:22.92 F1LMOWa6.net
>>183
つづき
つまり,整列すべき集合 A が与えられたら,適当に元をとって次々に並べていく. それをずっと繰り返して,集合 A の元が尽きれば,それでよいが.ちょっと前にみた 偶数が尽きた後,奇数を並べた整列集合を思い起こしてほしい.例えば,自然数の 集合を整列しようとして,元を取っていくとき,偶数だけをとっていってしまうと このプロセスだけで自然数をすべて尽くすことはできない.こうやって無限に 並べていったあと,尽きなければ いままで繰り返したその上に1つ元を置き,そこからまた次々に上に元を置いて いくというプロセスが必要である.これを繰り返すことで,集合 A の上に整列順序を構築する.
ここではすごく直観的に集合 A を整列集合にする方法を述べたが,これは 実は Zorn の補題の状況にすごく似ている.
つまり,A の任意の部分集合 C が A と等しくないときは集合 A - C は空でないので 選択公理から,C に対して A - C の元を一つ選ぶ関数 f が存在する.この f が すでに作ったチェイン C の上の元を A から選ぶ,次の図の人の行為に該当する.
URLリンク(www.cs-study.com)
この C は元を選んだ順に順番付ければ整列集合になる.こうして作成した 整列集合は皆包含関係があるから,次の図のように全部の交わりを取ることにより, それらのどの整列集合以上の整列集合を作ることができる.
URLリンク(www.cs-study.com)
これは Zorn の補題の条件,すなわち,今考えている順序集合の「任意のチェインに 上限があれば」という条件に対応する.Zorn の補題の帰結部では,「その順序集合には 極大元がある」となっている.我々の例では,「こうやって決めたAの部分集合を整列 したものには集合の包含関係 ⊆ について極大元がある」ということになる. 実はこれが A になる.
今,ここで直観的に話した内容を一応次の節「Zorn の補題を使った証明」で きちんと証明の形にしておこう.
Zorn の補題を使った証明
略
(引用終り)
以上