23/02/26 17:52:42.29 WynaOdwW.net
>>「整係数アーベル方程式が円分方程式によって尽くされるのと同様に、
>> 有理数の平方根を係数に含むアーベル方程式が特異母数を持つ
>>楕円函数の変換方程式で尽くされる」
>>クロネッカーがそういったのは知ってるが、
>>なんでそんなことを思いついたのか知らん
ならちょっと説明してみたい。(コピペじゃないよ)
「整係数アーベル方程式」は、解によるQの拡大体がアーベル拡大になるものを言い、「円分方程式で尽くされる」は次の主張を言う。
クロネッカー・ウェーバーの定理: Qの任意のアーベル拡大体Kに対し、ある自然数Nが存在してKはQ(ζN)の部分体となる。ただしζNは1の原始N乗根を表す。
「特異母数を持つ楕円函数の変換方程式」はひとまず円分方程式をやや一般化したものと思っておこう。
さて、これに続けてクロネッカーが上で予想しているのは、2次体についても上と同様にアーベル拡大を考えたとき、それらが円分体の一般化にあたる特殊な方程式による拡大体に含まれるかということである。別の言い方をすれば、円分体は指数関数の有理点における値をQに添加して得られることから、2次体の場合にはそれに応じた関数があって、その特殊値を付け加えることによって円分体に相当する「任意のアーベル拡大の入れ物」が作れるだろうということ。(クロネッカーはこの関数として楕円関数を想定しているので、2次体は虚2次体でなければならない。)
ここで特に注目すべきことは、特殊なアーベル拡大の具体的な構成を問題にすることにより、複素関数論のテーマである楕円関数が、代数的な体の拡大の理論に指数関数と同じ仕方で関わりだしたことである。ヒルベルトは1900年のICMでやや一般化して提出したが、そこでもこの視点が強調されている。
ヒルベルトの第12問題:クロネッカーの定理を、有理数体または虚2次体の代わりに、任意の代数体を取った場合に拡張すること。私はこの問題を、数および関数の、すべての理論の中で最も深く最も重要なものの一つと考える。この問題は、多くの側面から近づき得るように見える。
ヒルベルト 「数学の諸問題」より