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>>197
つづき
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雪江明彦
代数の教科書について
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教科書の 用語について (2012/7/7更新)
代数の教科書を書いたとき,用語については大変迷った. 自分なりの結論をここで
書いておく.
1. 「単元群」か「単数群」か「乗法群」か
A が環のとき,乗法に関して逆元をもつ元の集合を A× と書くが,これを何と呼
ぼう? 論理的な結論はもちろん「単元群」である. しかしこれは都合が悪いことがあ
る. それは整数論でいずれ「ディリクレの単数定理」が出てくるから. これを「ディ
リクレの単元定理」と呼ぶ選択肢はない. これがあるので,A が代数体の整数環のと
きには A× のことを「単数群」と呼びたくなる. ではなぜ「単数群」で統一しないの
か? それは A が多項式環のとき A× の元を「単数」と呼ぶのに抵抗があるからであ
る. 森田の代数概論では「単数群」で統一しているが,やはり多項式のことを考える
と「単数群」と呼ぶ気にはなれなかった. そこで「乗法群」とした.
2. 「可除環」か「斜体」か
最初に代数の教科書を書いたとき,3 巻全部書いて出版社に送ったのだが,最初の
2 巻が出た後,3 巻目を出すときになって,これだけの量を書いて「ヴェーダーバーン
の定理」について書いてないのはおかしいと思って書き足した. それまでは可換体し
か扱うつもりがなかったので,「体」,「可換体」で, しかし可換体のことを「体」と呼
ぶことにしたが,3 巻で「必ずしも可換でない体」の呼び方が必要になったので,1,
2 巻を増刷したときにここで用語を変えなかったらもう変えられないと思って初版第
1 刷を買われた方には申し訳ないと思ったが用語を変えることにした.
つづく