楕円関数・テータ関数・モジュラー関数at MATH
楕円関数・テータ関数・モジュラー関数 - 暇つぶし2ch48:132人目の素数さん
20/11/10 20:21:43.19 neBqQ1Mo.net
>>42
本日届いた
付録の「代数曲線とヤコビ多様体」を読んでみようと思う

49:132人目の素数さん
20/11/11 00:22:19.91 Rh2zJrrm.net
読んだら感想ヨロ

50:132人目の素数さん
20/11/13 15:20:43.48 ppGaUUO3.net
梅村本の誤植に気づいた奴はいねえだろうな
まあ本質とは全然関係ないところだが

51:132人目の素数さん
20/11/13 16:26:48.33 NI5QsYsE.net
梅村本の誤植は昔の初版の時にあったのを刷り直した時に直しているが
まだいくつか残ってるんだろうな

52:132人目の素数さん
20/11/13 20:28:33.47 33PXHoNr.net
増補新装版にも残ってるの?

53:132人目の素数さん
20/11/14 07:05:45.88 D68Dfh0K.net
>>47
結局、梅村「楕円関数論」を読むことにした
>>48
このスレッドでまとめを書いてみることにする

54:132人目の素数さん
20/11/14 07:07:37.96 D68Dfh0K.net
■定義1.1 (周期の定義)
f(u)をC上定義された有理型関数とする
複素数ωに対して
f(u+ω)=f(u)
が成り立つとき、
ωは関数f(u)の周期であるという

55:132人目の素数さん
20/11/14 07:08:19.46 D68Dfh0K.net
●命題1.1
C上定義された有理型関数f(u)の
周期全体のなす集合Ωは
Cの加法群の部分群になる

56:132人目の素数さん
20/11/14 07:09:40.55 D68Dfh0K.net
●命題1.1
C上定義された有理型関数f(u)の
周期全体のなす集合Ωは
Cの加法群の部分群になる

57:132人目の素数さん
20/11/14 07:10:19.02 D68Dfh0K.net
●命題1.2
有理型関数f(u)が定数でなければ、
加群Ωは高々二つの元で生成される

58:132人目の素数さん
20/11/14 07:10:35.68 D68Dfh0K.net
■定義1.2 (楕円関数の定義)
C上定義された有理型関数f(u)が、
R上1次独立な複素数ω1,ω2を周期とするとき、
f(u)は2重周期ω1,ω2を持つ楕円関数であるという

59:132人目の素数さん
20/11/14 07:12:10.45 D68Dfh0K.net
□複素トーラス その1
ω1,ω2をR上1次独立な複素数とする
ω1,ω2から生成されるCの加法部分群をΩで表す
加法群Cの部分群Ωに関する剰余群C/Ωを考える

60:132人目の素数さん
20/11/14 07:12:28.88 D68Dfh0K.net
■定義1.3 (周期平行四辺形の定義)
[u0]={u=u0+rω1+sω2∈C|0<=r,s<=1}とおく
[u0]を周期平行四辺形と呼ぶ

61:132人目の素数さん
20/11/14 07:13:03.92 D68Dfh0K.net
●命題1.3
任意の複素数uが与えられたとき、
u≣u' mod Ω
となる[u0]が唯一つ存在する

62:132人目の素数さん
20/11/14 07:14:53.64 D68Dfh0K.net
□複素トーラス 2
U0を周期平行四辺形の内点の集合
~U0をU0の閉包とする
位相空間C/Ωは平行四辺形~U0の縁を
同一視することにより得られる

63:132人目の素数さん
20/11/14 07:15:57.31 D68Dfh0K.net
□複素トーラス 3
位相空間C/Ωは常に🍩(円環面)と同相であるが
これは位相空間であるばかりでなく
複素1次元あるいは実2次元の多様体でもある
複素1次元の複素多様体をRiemann面という
C/Ωはコンパクトである
コンパクトRiemann面の穴の数は種数と呼ばれ
その重要な位相不変量である
🍩には穴がちょうど1個あるので、C/Ωの種数は1である
すなわちC/Ωは種数1のコンパクトRiemann面である
逆に種数1のコンパクトRiemann面は
すべてC/Ωの形に書けることが示せる

64:132人目の素数さん
20/11/14 07:16:56.81 D68Dfh0K.net
□複素トーラス 4
種数1のコンパクトRiemann面は楕円曲線と呼ばれる
楕円関数論は種数1のRiemann面の理論である
Ωを周期とする楕円関数は
複素多様体C/Ωの有理型関数に他ならない
1次元複素多様体としてC/Ωを考えるとき
複素トーラスC/Ω
コンパクトRiemann面C/Ω
複素多様体C/Ω
などと書くことにする

65:132人目の素数さん
20/11/14 07:18:48.86 D68Dfh0K.net
□楕円関数体
ω1,ω2をR上1次独立な複素数とする
ω1,ω2を固定して考える
Ω=(ω1,ω2)を周期に持つ楕円関数全体をKと書くことにする
Kには以下の性質がある
1)定数関数はKに属する
2)f(u),g(u)∈Kならば、f(u)±g(u)∈K
3)f(u),g(u)∈Kならば、f(u)g(u)∈K
4)f(u),g(u)∈Kで、g(u)≠0ならば、f(u)/g(u)∈K
2)~4)により、Kが体であることが示される
また1)により体Kは体Cの拡大である
KをΩを周期とする楕円関数体という
5)f(u)∈Kならば、導関数f'(u)∈Kである
5)より、楕円関数体Kは微分に関して閉じている

66:132人目の素数さん
20/11/14 07:19:11.36 D68Dfh0K.net
★定理1.1
{ω1,ω2},{ω'1,ω'2}を各々R上1次独立な複素数の組とし
Ω={ω1,ω2},Ω={ω'1,ω'2}とおく
次の集合の元の間に1対1対応が存在する
1){f:C/Ω→C/Ω'|fは複素多様体の全射正則写像}
2){φ:K(Ω')→K(Ω)|φは体のC-準同型写像}

67:132人目の素数さん
20/11/14 07:19:31.68 D68Dfh0K.net
☆系1.1
次の条件は同値である
1)コンパクトRiemann面C/ΩとC/Ω'は同型である
2)体K(Ω)とK(Ω')は同型である

68:132人目の素数さん
20/11/14 07:19:58.28 D68Dfh0K.net
つまり両者は同値である
1)幾何学的対象である種数1のコンパクトRiemann面C/Ωを考えること
2)代数的対象である楕円関数体K(Ω)を考えること

69:132人目の素数さん
20/11/14 07:21:49.67 D68Dfh0K.net
●命題1.4
楕円関数は周期平行四辺形[u0]上で有限個の極を持つ

70:132人目の素数さん
20/11/14 07:22:07.51 D68Dfh0K.net
●命題1.5
複素平面C上で正則である楕円関数f(u)は定数に限る

71:132人目の素数さん
20/11/14 07:22:43.82 D68Dfh0K.net
a_1,…,a_nを楕円関数f(u)の
周期平行四辺形[u0]上の極全体とする
a_iにおける極の位数をm_iとする
Σ(i=1~n)m_i
を楕円関数f(u)の位数と呼ぶ
●命題1.6
楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]上の
すべての極にわたる留数の総和は0である
〇系1.2
位数1の楕円関数は存在しない

72:132人目の素数さん
20/11/14 07:23:24.35 D68Dfh0K.net
●命題1.7
f(u)を位数rの楕円関数とする
任意の複素数に対して
楕円関数f(u)-cは周期平行四辺形上で
ちょうどr個の零点を持つ

73:132人目の素数さん
20/11/14 07:24:55.24 D68Dfh0K.net
★定理1.2(Abel)
位数rの楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]の
極を  a_1,…,a_r
零点を b_1,…,b_r
とすると、合同式
a_1+…+a_r≣b_1+…+b_r mod Ω
が成立する
●命題1.8
位数rの楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]の
極を  a_1,…,a_r とする
任意の複素数©に対して、
楕円関数f(u)-cの周期平行四辺形[u0]の
零点を b_1,…,b_r とすると、合同式
a_1+…+a_r≣b_1+…+b_r mod Ω
が成立する

74:132人目の素数さん
20/11/14 07:28:06.36 D68Dfh0K.net
感想
第1章は基礎なので、だいたいのことは知っていたが
Abelの定理1.2(>>72)は、今回初めて知った
今日以降 第2章を読む

75:132人目の素数さん
20/11/15 06:13:31.70 BuA8Fzkj.net
☆補題2.1
無限級数
S=Σ' 1/|ω|^n
はn>2なら収束し、n<=2ならば発散する
(Σ'はωが集合Ω\{0}を動くときの総和)
(\はバックスラッシュ)
☆補題2.2
n>=3ならば、級数
f_n(u)=Σ(ω∈Ω) 1/(u-ω)^n
は絶対収束し、2重周期関数を表す
★定理2.1
P(u)=1/u^2+Σ'(1/(u-ω)^2-1/ω^2)
は絶対収束し、2重周期関数を表す
P(u)の定義より
P'(u)
=-2Σ(ω∈Ω) 1/(u-ω)^3
=-2f_3(u)
2重周期関数P(u)をWeierstrassのP関数と呼ぶ

76:132人目の素数さん
20/11/15 06:15:06.07 BuA8Fzkj.net
●命題2.1
複素数cが与えられたとき、
P(u)-c=0
の解は基本周期平行四辺形上に2つ存在する
それらをb1,b2とすると
b1+b2 ≣ 0 mod Ω
が成り立つ
●命題2.2
複素数a,bについての次の条件は同値である
1) P(a)=P(b)
2) a≣b または a≣-b が成立する
ただし、a,bが共に極であるときもP(a)≣P(b)と解釈する
P(u)-cの周期平行四辺形の2つの解
v1,v2が一致すれば
v2≣-v1であるので、v1≣-v1
したがって2v1≣0
v1(※)は
ω1/2,(ω1+ω2)/2,ω2/2
のいずれかに合同である
(※箇所は本書ではv)

77:132人目の素数さん
20/11/15 06:16:38.69 BuA8Fzkj.net
>>75
命題2.2より
P(ω1/2)=e1,P((ω1+ω2)/2)=e2,P(ω2/2)=e3
とおくと、cが各々e1,e2,e3のとき
方程式P(u)-c=0は2重解
u=ω1/2,(ω1+ω2)/2,ω2/2
を持つ
したがってこの3つのuに対して
P'(u)=d/du(P(u)-c)=0
である
P'(u)は3位の楕円関数であるので
周期平行四辺形[0]上に3個の零点をもつ
したがって
ω1/2,(ω1+ω2)/2,ω2/2∈[0]
はP'(u)の1位の零点である
Q(u)=(P'(u)^2)/(P(u)-e1)(P(u)-e2)(P(u)-e3)
は周期平行四辺形[0]上正則な2重周期関数である
したがって、Q(u)は全平面で正則な2重周期関数となり、
命題1.5により定数である
(計算により)Q(u)=4であり、以下の定理が証明される
★定理2.2
WeierstrassのP関数は微分方程式
P'(u)^2=4(P(u)-e1)(P(u)-e2)(P(u)-e3)
を満たす

78:132人目の素数さん
20/11/15 06:22:08.74 BuA8Fzkj.net
感想
WeierstrassのP関数と、それが満たす微分方程式が出てきた
>>75の命題2.1を導くのに、さっそくAbelの定理1.2>>72を使った

79:132人目の素数さん
20/11/15 09:26:36.64 aTqarMtk.net
竹内本は、昔誰かがtex打ちしたものがまだネットに転がっている模様。

80:132人目の素数さん
20/11/15 17:08:29.60 BuA8Fzkj.net
g2=60Σ'1/ω^4, g3=140Σ'1/ω^6
と置く
(Σ'はωが集合Ω\{0}を動くときの総和)
★定理2.3
WeierstrassのP関数は微分方程式
P'(u)=4P^3-g2P-g3
を満たす
定理2.2及び定理2.3より
4P^3-g2P-g3=4(P(u)-e1)(P(u)-e2)(P(u)-e3)
であり、e1,e2,e3は相異なるので
判別式
Δ=g2^3-27g3^2
は0でない
e1+e2+e3=0
e1e2+e2e3+e3e1=-g2/4
e1e2e3=g3/4

81:132人目の素数さん
20/11/15 17:09:03.74 BuA8Fzkj.net
>>79
★定理2.4
WeierstrassのP関数のu=0におけるLaurent展開の係数cnは、
正の有理数を係数に持つg2,g3の多項式で書ける
☆系2.1
G_2n=Σ'1/ω^2n
は、正の有理数を係数に持つG_4,G_6の多項式で書ける

82:132人目の素数さん
20/11/15 17:12:15.97 BuA8Fzkj.net
解析写像
f~:u∈C\Ω→(P(u),P'(u))∈C^2
から、射影化により、以下の写像
f~*:C→P2
が定義できる
f~*(u)=(1,P(u),P'(u)) u∈C\Ω
f~*(u)=(0,0,1) u∈Ω
したがって、f~*から解析写像
f:C/Ω→C*⊂P2
(C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3)
が定義でき、
1.fは全単射
2.任意の点P∈C/Ωについて、
 接ベクトル空間の間の線形写像df_Pは同型である
したがって以下の定理が成り立つ
★定理2.5
複素トーラスC/Ωと複素射影平面P2上の3次曲線
C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3
は複素多様体として同型である
(g2=60Σ'1/ω^4, g3=140Σ'1/ω^6)

83:132人目の素数さん
20/11/15 17:21:22.63 BuA8Fzkj.net
感想
WeierstrassのP関数およびその導関数を使って
複素トーラスを射影平面内に埋め込みました
>>78
そうすか
このスレは読書日記ってことで、読んだ定理のステートメントと
個人的に重要と思った説明を書くことにします
あ、でもあくまで骨だけなので肉は書きません あしからず

84:132人目の素数さん
20/11/18 19:16:56.24 Z62/0mic.net
>>79
誤りがあったので訂正
★定理2.3
WeierstrassのP関数は微分方程式
P'^2=4P^3-g2P-g3
を満たす

85:132人目の素数さん
20/11/18 19:41:44.06 Z62/0mic.net
★定理2.6(加法公式)
u1,u2,u3∈C,
u1+u2+u3=0のとき、
等式
|P(u1) P'(u1) 1|
|P(u2) P'(u2) 1|
|P(u3) P'(u3) 1|
=0
が成り立つ
★定理2.7
u1+u2+u3=0のとき、
3次曲線
C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3
上の3点
[1,P(u1),P'(u1)]
[1,P(u2),P'(u2)]
[1,P(u3),P'(u3)]
は同一直線上にある。

86:132人目の素数さん
20/11/18 19:42:07.36 Z62/0mic.net
★定理2.8
u1+u2+u3=0のとき、
次の公式が成り立つ
1)P(u1)+P(u2)+P(u3)=a^2/4
2)(P(u1)+P(u2)+P(u3))(4P(u1)P(u2)P(u3)-g3)=(P(u1)P(u2)+P(u2)P(u3)+P(u3)P(u1)+g2/4)^2
ただし
a=(P'(u1)-P'(u2))/(P(u1)-P(u2))
定理2.6より
P'(u1)(P(u3)-P(u2))+P'(u2)(P(u1)-P(u3))+P'(u3)(P(u2)-P(u1))=0
したがって
P'(u3)=(P'(u1)(P(u3)-P(u2))+P'(u2)(P(u1)-P(u3)))/(P(u1)-P(u2))
定理2.8の1)から導かれる式
P(u3)=-P(u1)-P(u2)+a^2/4
をつかってP(u3)を消去すれば、以下の定理を得る
★定理2.9
P(u1+u2)=-P(u1)-P(u2)+a^2/4
P'(u1+u2)=(1/(P(u2)-P(u1)))
[P'(u1){(-P(u1)-2P(u2))+(a^2/4)}
+P'(u2){(2P(u1)+ P(u2))-(a^2/4)}]

87:132人目の素数さん
20/11/18 19:43:22.46 Z62/0mic.net
☆補題2.3
f(u)をΩを周期とする2重周期関数とする
f(u)が偶関数であれば、f(u)はP(u)の有理式で書ける
★定理2.10
f(u)をΩを周期とする2重周期関数とする。
このときP(u)の有理式F(P(u)),G(P(u))が存在して
f(u)=F(P(u))+G(P(u))P'(u)
と書ける
Ωを周期とする楕円関数全体K(Ω)は楕円関数体を構成する
定理2.10は、体K(Ω)がP(u),P'(u)により、C上生成されることを示す
K(Ω)=C(P(u),P'(u))
一方微分方程式
P'^2=4P^3-g2P-g3
は体C(P(u),P'(u))がC(P(u))の二次拡大であることを示している
つまり抽象体として、下記は同型である
C(P(u),P'(u))≣C[x,y]/(y^2-4x^3+g2x+x)
したがって楕円関数体の構造は
g2=60Σ'1/ω^4, g3=140Σ'1/ω^6
によって完全に決まる

88:132人目の素数さん
20/11/18 19:47:58.35 Z62/0mic.net
★定理2.11(Chow)
W⊂Pnを複素閉部分多様体とする
このとき斉次多項式f1,…,frが存在して
Wは、f1,…,frの共通零点の集合となる
★定理2.12
V⊂Pnを非特異射影多様体とする
このとき代数多様体V上の有理関数体C(V)は
複素多様体V上の有理型関数全体のなす体と一致する
定理2.10は、定理2.12を3次曲線
C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3
に適用した特別の場合となる
この型の定理をGAGA型の定理という
(GAGAとはSerreの論文
"Geometrie Algebrique et Geometrie Analytique"
に由来する)

89:132人目の素数さん
20/11/18 19:55:04.14 Z62/0mic.net
感想
P関数の加法公式 及び
楕円関数体がPおよびP'によって生成されること
を示しました
この後、Weierstrassのζ関数およびσ関数の話になります

90:132人目の素数さん
20/11/20 02:43:08.09 LfEw/wic.net
URLリンク(news.yahoo.co.jp)
南京慰安婦国技殺人ニホンザルをこの世から殺し尽くせ

91:132人目の素数さん
20/11/20 07:05:46.63 ABWRhkT+.net
昭和女のエレジー 終戦間際の狂気、全裸羞恥に咽び泣く女達
URLリンク(www.dmm.co.jp)

92:132人目の素数さん
20/11/21 05:37:36.63 1h1BAbXo.net
□Weierstrassのζ関数
ζ(u)=1/u+Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2)
と定義する
(Σ'はωが集合Ω\{0}を動くときの総和)
ζ'(u)=-1/u^2+Σ'(-1/(u-ω)^2+1/ω^2)
   =-P(u)
ζ(-u)=-ζ(u) (※)
ω∈Ωとすると
ζ(u+ω)-ζ(u)は定数である
ζ(u+ω1)-ζ(u)=η1
ζ(u+ω2)-ζ(u)=η2
とすると、(※)より
2η(ω1/2)=η1
2η(ω2/2)=η2
一般に整数m,nに対して
ζ(u+mω1+nω2)=ζ(u)+mω1+nω2
ζはΩのみで極を持ち、その位数は1、そこでの留数は1
したがって、周期平行四辺形[u0]の辺Γ上、反時計回りに積分すれば
2πi=∫Γ ζ(u)du
=∫[u0 u0+ω2] (ζ(u+ω1)-ζ(u))du-∫[u0 u0+ω1] (ζ(u+ω2)-ζ(u))du
=η1ω2-η2ω1
(Legendreの関係式)

93:132人目の素数さん
20/11/21 05:39:53.44 1h1BAbXo.net
●命題2.3
φ(u)を楕円関数とし、その極はすべて1位であるとする
周期平行四辺形上でのφ(u)の極を
a1,…,ar
そこでの留数を
c1,…,cn
とする
このとき、複素数c0が存在して、以下が成立する
φ(u)=c0+Σ(i=1~r) ciζ(u-ai)
---
なぜなら、命題1.6により、周期平行四辺形上の
留数の総和Σ(i=1~r) ci=0であるので
ψ(u)=Σ(i=1~r) ciζ(u-ai)
は楕円関数であり、またφ(u)-ψ(u)は全平面上正則であるから
命題1.5により定数 その値をc0とすればいい

94:132人目の素数さん
20/11/21 05:42:35.70 1h1BAbXo.net
さて
ζ(u)-1/u=Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2)
∫[0 u] (ζ(u)-1/u)du
=∫[0 u] Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2)du
=Σ'(1/(u-ω)+1/ω+u/ω^2)
=Σ'(log(1-u/ω)+u/ω+u^2/2ω^2)
exp(Σ'(log(1-u/ω)+u/ω+u^2/2ω^2))
=Π'(1-u/ω)exp(u/ω+u^2/2ω^2)

95:132人目の素数さん
20/11/21 05:43:50.65 1h1BAbXo.net
>>93
□Weierstrassのσ関数
σ(u)
=u exp(∫[0 u] (ζ(u)-1/u)du)
=uΠ'(1-u/ω)exp(u/ω+u^2/2ω^2)
と定義する
exp(∫[0 u] (ζ(u)-1/u)du)
=σ(u)/u
両辺のlog微分をとると
ζ(u)-1/u=σ'(u)/σ(u)-1/u
したがって
ζ(u)=σ'(u)/σ(u)
P(u)=-ζ'(u)=d^2logσ(u)/du^2=(σ'(u)^2-σ(u)σ''(u))/σ^2(u)
★命題2.4
σ(u)=u+a5u^5+a7u^7+…
a_2n+1(n>=2)はg2,g3の有理数を係数とする多項式
★命題2.5
整数m,nに対して,等式
σ(u+mω1+nω2)
=(-1)^(n+n+mn) exp((mη1+nη2)(u+(mω1+nω2)/2))σ(u)

96:132人目の素数さん
20/11/21 05:46:11.70 1h1BAbXo.net
f(u)=σ(u-b)/σ(u-a)
ω=mω1+nω2
η=mη1+nη2
とすれば
f(u+ω)=exp(η(a-b))f(u)
したがって以下の定理がいえる
★定理2.6
g(u)を位数rの楕円関数、
その零点の完全代表系を
b1,…,br
極の代表系を
a1,…,ar
とする
このとき、定理1.2(Abel)より
Σ(i=1~r)ai=Σ(i=1~r)bi+ω
となり、代表系の交換により
Σ(i=1~r)ai=Σ(i=1~r)bi
とできるので
0でない定数cが存在して
g(u)=c(σ(u-b1)…σ(u-br))/(σ(u-a1)…σ(u-ar))
と書ける

97:132人目の素数さん
20/11/21 15:58:04.95 1h1BAbXo.net
☆補題2.4
ωを定数とし、任意の複素数uについて、
P(u+ω)=P(u)
が成り立てば、ω∈Ωである
●命題2.7
ω1,ω2およびω1',ω2'をR上1次独立な複素数の二つの組とする
次の条件は同値である
1)uの関数として
 P(u;ω1,ω2)=P(u;ω1',ω2')
 が成り立つ
2)(ω1,ω2)=(ω1',ω2')
3)行列
 (a b)
 (c d)
 ∈GL2(Z)が存在して、
 (ω1)
 (ω2)
=
 (a b)(ω1')
 (c d)(ω2')
 GL2(Z)={
 (a b)
 (c d)
 |a,b,c,d∈Z,ad-bc=±1}

98:132人目の素数さん
20/11/21 15:58:39.99 1h1BAbXo.net
>>96
●命題2.8
 命題2.7の1)~3)と以下の条件は同値である
4)uの関数として
 ζ(u;ω1,�


99:ヨ2)=ζ(u;ω1',ω2')  が成り立つ 5)uの関数として  σ(u;ω1,ω2)=σ(u;ω1',ω2')  が成り立つ ●命題2.9  命題2.7,2.8のの1)~5)と以下の条件は同値である 6)g2(ω1,ω2)=g2(ω1',ω2')かつ g3(ω1,ω2)=g3(ω1',ω2')が成立する



100:132人目の素数さん
20/11/21 16:07:44.56 1h1BAbXo.net
問題2.1
 g2^3-27g3^2≠0となる複素数g2,g3が与えられたとき、
 3次曲線
 C*:x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3
 を考える、
 このとき、R上1次独立な複素数ω1,ω2が存在して、写像
 C/Ω→P2:u→[1,P(u;ω1,ω2),P'(u;ω1,ω2)]
 によってC/Ωと3次曲線C*は同型になるか?
問題2.2
 g2^3-27g3^2≠0となる複素数g2,g3が与えられたとき、
 g2(ω1,ω2)=g2、g3(ω1,ω2)=g3
 となるR上1次独立な複素数ω1,ω2は存在するか?
答えは肯定的である

101:132人目の素数さん
20/11/21 16:08:34.86 1h1BAbXo.net
>>98
☆補題2.5
 g2(e^(2πi/3),1)=0
☆補題2.6
 g3(i,1)=0
★定理2.13
 任意の複素数aに対して
 J(ω1,ω2) = 1728g2^3(ω1,ω2)/(g2^3(ω1,ω2)-27g3^2(ω1,ω2)) = a
 となるようなR上1次独立な複素数ω1,ω2が存在する

102:132人目の素数さん
20/11/21 16:18:55.00 1h1BAbXo.net
感想
 >>91-95
 ・Weierstrassのζ関数、σ関数を定義した
 (注:両方とも楕円関数ではない)
 ・さらにζ関数、σ関数による楕円関数の表示が
  可能であることを示した
 (ここで、楕円関数f(u)の周期平行四辺形[u0]上の
  すべての極にわたる留数の総和は0であること、および
  Abelの定理を使う)
 >>96-97
 ・異なるω1,ω2が、同じ格子を持つとき、そのときに限り
  同じP関数、ζ関数、σ関数をもたらすことを示した
 >>98-99
 ・3次曲線が非特異であれば、対応する格子が存在することを示した
次回から、いよいよテータ関数に入る
刮目して待て!

103:132人目の素数さん
20/11/22 21:14:21.97 zDKQhRQs.net
テータ関数って楕円関数の一種なの?

104:132人目の素数さん
20/11/23 20:11:34.41 Wox3ASNB.net
違う
テータ関数は擬二重周期
楕円関数はテータ関数の積の比で表される

105:132人目の素数さん
20/11/24 19:36:46.31 m9UFgqkA.net
○(x)=exp(2πix)
とおく
(注:原文ではe(x)としているが、
  e^xと紛らわしいので
  あえて○(x)と書き直す)
Hを上半平面とする
●命題3.1
 (z,τ)∈C×Hに対して、級数
 θ(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+nz)
 を考える
 θ(z,τ)はC×H上広義一様に絶対収束し、
 θ(z,τ)はC×H上の正則関数となる
テータ関数の定義式は
 θ(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ)○(nz)
と書ける
 ○(n(z+1))=○(nz)であるので
 θ(z+1,τ)=θ(z,τ)が成り立つ
さらに、以下が成り立つ
 θ(z+τ,τ)
=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+τ))
=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1)^2τ-1/2*τ+nz)
=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1)^2τ-1/2*τ+(n+1)z-z)
=○(-1/2*τ-z)Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1)^2τ+(n+1)z)
n+1=mとおけば
=○(-1/2*τ-z)Σ(m∈Z) ○(1/2*m^2τ+mz)
=○(-1/2*τ-z)θ(z,τ)
つまり、以下が成り立つ
 θ(z+τ,τ)


106:=○(-1/2*τ-z)θ(z,τ) 一般にm,nを整数とすれば  θ(z+mτ+n,τ)=○(-1/2*m^2τ-mz)θ(z,τ)



107:132人目の素数さん
20/11/24 20:02:36.82 m9UFgqkA.net
さて、a,b∈Rに対して
 θa,b(z,τ)=○(1/2*a^2τ+a(z+b))θ(z+aτ+b,τ)
とおく
θa,b(z,τ)を指標a,bのテータ関数と呼ぶ
具体的に級数で書けば
 θa,b(z,τ)
=○(1/2*a^2τ+a(z+b))Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+aτ+b))
=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+a)^2τ+(n+a)(z+b))
上記より、以下の公式が成り立つ
θ0,0(z,τ)=θ(z,τ)
θa,b(z+b',τ)=θa,b+b'(z,τ)
○(1/2*a'^2τ+a'z)θa,b(z+a'τ,τ)=○(-a'b)θa+a',b(z,τ)
θa+p,b+q(z,τ)=○(aq)θa,b(z,τ)
ここで、a,a',b,b'∈R、p,q∈Z である

108:132人目の素数さん
20/11/24 21:57:25.30 lb2pt8bI.net
 
テータ関数ってのは何のためにあるのかな
楕円関数をテータ関数の比で表すということだけ?

109:132人目の素数さん
20/11/25 11:19:48.79 a0a1Fcre.net
そうか、テータ関数はモジュラー形式の一種なんだね

110:132人目の素数さん
20/11/25 19:34:13.75 G4noa87A.net
τ∈H、整数l>=0を固定して
V_l:={f(z)|f(z)は整関数、∀m,n∈Z.f(z+lmτ+ln)=○(-1/2*l^2m^2τ-lmz)f(z)}
とおく
V_lはC-ベクトル空間である
その基底をテータ関数を使って与えることができる
☆補題3.1
整関数f(z)に関する次の条件は同値である
1)f(z)∈V_l
2)f(z+lmτ)=○(-1/2*l^2m^2τ-lmz)f(z)およびf(z+ln)=f(z)が
 任意の整数m,nについて成り立つ
3)f(z+lτ)=○(-1/2*l^2τ-lz)f(z),f(z+l)=f(z)が成り立つ
☆補題3.2
整関数f(z)に関する次の条件は同値である
1)f(z)∈V_l
2)f(z)=Σ(n∈(1/l)Z) c_n○(1/2n^2τ+nZ)と展開できて
 さらにm-n∈lZとなるににのm,n∈(1/l)Zに対してc_m=c_nが成り立つ
ベクトル空間V_lの元f(z)は
f(z)=Σ(n∈(1/l)Z) c_n○(1/2n^2τ+nZ)
と書け、補題3.2より係数c_iは
0<=i<=l-1/l (i∈(1/l)Z)
に対して自由に選べるので
以下の命題が証明できる
●命題3.2
C-ベクトル空間V_lの次元はl^2である

111:132人目の素数さん
20/11/25 19:45:16.14 G4noa87A.net
>>107
テータ関数を使ってベクトル空間V_lの基底を書くことができる
●命題3.3
a_i∈(1/l)Z (i=0,…,l-1)
b_j∈(1/l)Z (j=0,…,l-1)
を2組の((1/l)Z)/Zの完全代表系とすると
θa_i,b_j(z,τ)
はC-ベクトル空間V_lの基底となる

112:132人目の素数さん
20/11/26 19:12:20.78 uWYfcuV9.net
Vを整関数全体のなすC-ベクトル空間とする
ベクトル空間Vの自己同型全体のなす群をGL(V)で表す
τ∈Hを固定しておく
a,b∈Rに対して、線形写像S_b,T_aを
f(z)∈Vに対して
S_b f(z)=f(z+b)
T_a f(z)=○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ)
により定義すると,S_b,T_a∈GL(V)である
任意のb1,b2,a1,a2∈Rについて
S_b1・S_b2=S_b1+b2
T_a1・T_a2=T_a1+a2
である
S_bとT_aは可換に近いが実は異なる
S_b・T_a f(z)
=S_b(○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ))
=○(1/2*a^2τ+a(z+b))f(z+b+aτ)
T_a・S_b f(z)
=○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ+b)
つまり
S_b・T_a f(z)
=○(ab)T_a・S_b f(z)

113:132人目の素数さん
20/11/26 19:14:10.05 uWYfcuV9.net
>>109
C1~*={c∈C||c|=1}と置く
写像
ρ:C1~*×R×R→GL(V) (c,a,b)→cT_a・S_b
を考えると、ρは単射で、像ImρはGL(V)の部分群
(c1T_a1・S_b1)・(c2T_a2・S_b2)
=c1c2○(a,b)T_a1+a2・S_b1+b2
(cT_a・S_b)^-1=c^-1○(a,b)T_a・S_b
つまり
(c1,a1,b1)・(c2,a2,b2)=(c1c2○(a1,b2),a1+a2,b1+b2)
(c,a,b)^-1=(c^-1○(ab),-a,-b)
C1~*×R×Rの上記の群構造をGと書く
GをHeisenberg群と呼ぶ
●命題3.4
1)群Gの中心はC1~*(=C1~*×{0}×{0})である
2)群Gの交換子群[G,G]はC1~*である
C1~*はGの中心であるので正規部分群であり
商群G/C1~*は2次元ベクトルの加法群R×Rである
つまり以下は完全列である
1→C1~*→G→R×R→0
量子力学における有名な定理
★定理3.1(von Neumann-Stone)
Gの既約ユニタリ表現 ρ:G→GL(W) で、
任意のc∈C1~*について ρ(c)=cId_W となるものが、
同型を除いて唯一つ存在する
(Id_WはWの恒等写像)

114:132人目の素数さん
20/11/26 19:41:41.93


115:uWYfcuV9.net



116:132人目の素数さん
20/11/26 19:57:02.22 uWYfcuV9.net
>>109-111
Mumfordのテータ関数論で大切なのは
Heisenberg群の有限版である
mを正整数とし
μm={ζ∈C1~*|ζ^m=1}
とおく
さて
G(l)={(c,a,b)∈G|c∈μl^2, a,b∈(1/l)Z}
とおくと、G(l)はGの部分群で、lΓ⊂{G(l)の中心}である
Gl=G(l)/lΓ=μl^2×((1/l)Z/lZ)×((1/l)Z/lZ)
(c1,a1,b1)・(c2,a2,b2)=(c1c2○(a1,b2),a1+a2,b1+b2)
[Gl,Gl]=μl^2
Glは、Heisenberg群の有限版であり、
定理3.1の類似が成り立つ
★定理3.2
Glの有限次元既約表現 ρ:Gl→GL(W)で、
任意のc∈μl^2について ρ(c)=cId_W となるものが、
同型を除いて唯一つ存在する
(Id_WはWの恒等写像)
この既約表現が実はV_lである (>>107)

117:132人目の素数さん
20/11/27 00:00:10.08 khxS5vKK.net
 
テータ関数が熱方程式の解であることには
何か深い意味でもあったりするの?

118:132人目の素数さん
20/11/27 01:08:26.67 7wK1iFl7.net
>>113
「ユビキタス熱核」読んでスペクトル幾何調べて太鼓で形を聞き分ける絡みのネタ熱心に追ってた時期がボクにもありますた。

119:132人目の素数さん
20/11/27 14:31:54.84 khxS5vKK.net
 
テータ関数の本質というか正体っていったい何なんですか?
教科書を見ると変換公式やら互いの関係式やらは書いてあり
ますが、それだけでは何が何やらさっぱりわかりません・・

120:132人目の素数さん
20/11/27 20:06:33.49 xHFtMtk4.net
V_l (>>107) に属するテータ関数を用いて
複素トーラスC/(1,τ)の
射影空間P l^2-1への埋め込みを与える

121:132人目の素数さん
20/11/27 20:07:14.10 xHFtMtk4.net
>>116
Ω(τ)=(1,τ)とおく
☆補題3.3
0≠f(z)∈V_lとすると
f(z)はlΩ(τ)=(l,lτ)の基本周期四辺形の中に
ちょうどl^2個の零点を持つ
ただし零点は重複度を込めて数える
☆補題3.4
zの関数としてθ1/2,1/2(z,τ)は奇関数である つまり
θ1/2,1/2(-z,τ)=-θ1/2,1/2(z,τ)
したがって
θ1/2,1/2(0,τ)=0
●命題3.7
θ(z,τ)の零点全体のなす集合は
{(p+1/2)τ+(q+1/2)|p,q∈Z}
(ai,bi)∈((1/l)Z)×((1/l)Z) (0<=i<=l^2-1)
を((1/l)Z)×((1/l)Z)の完全代表系とする
θi(z,τ)=θai,bi(z,τ)とおく
●命題3.8
θi(z,τ)の零点全体のなす集合は
{(-ai+p+1/2)τ+(-bi+q+1/2)|p,q∈Z}
i≠jならば
θi(z,τ)とθj(z,τ)には
共通零点が存在しない

122:132人目の素数さん
20/11/27 20:09:18.94 xHFtMtk4.net
命題3.8 (>>117) より、
l>=2とすると、任意のz∈Cに対して
(θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ))
は零ベクトルになることはないので、
射影空間P l^2-1の点
[θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)]
が定まる つまり、解析写像
Φl:C→P l^2-1
z → [θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)]
が定まる
V_l(>>107)の定義より
 (θ0(l(z+1),τ),…,θl^2-1(l(z+1)、τ))
=(θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ))
 (θ0(l(z+τ),τ),…,θl^2-1(l(z+τ)、τ))
=○(-1/2l^2τ-lz)(θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ))
であるので
 [θ0(l(z+1),τ),…,θl^2-1(l(z+1)、τ)]
=[θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)]
 [θ0(l(z+τ),τ),…,θl^2-1(l(z+τ)、τ)]
=[θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)]
したがって、解析写像
φl:C/Ω(τ)→P l^2-1
z → [θ0(lz,τ),…,θl^2-1(lz、τ)]
が定まる
E_τ=C/Ω(τ)とおく
★定理3.3
l>=2ならば、解析写像
φl:E_τ→P l^2-1
は、複素トーラスE_τ=C/(1,τ)の射影空間P l^2-1への埋め込みである

123:132人目の素数さん
20/11/28 09:43:20.28 XyNDA0Mg.net
V_l(>>107)はG_l(>>112)加群であるので 準同型写像
ρ:G_l→GL(V_l)
が存在する
(1,a,b)∈μl^2×((1/l)Z/lZ)×((1/l)Z/lZ)に対して
ρ(1,a,b)(θi)=Σ(j=0~j^2-1) ci


124:jθj であるとする ☆補題3.5  φl(z+(aτ+b)/l,τ) =[Σ(j=0~j^2-1) c0jθj,…,Σ(j=0~j^2-1) cl^2-1jθj]



125:132人目の素数さん
20/11/28 09:52:51.67 XyNDA0Mg.net
●命題3.9
射影平面P l^2-1において、超平面Hと像φl(E_τ)の共通部分は
重複度も込めて丁度l^2個の点からなる
一般に射影空間Pn内のd次元射影多様体Vが与えられたとき
Pnの一般の位置にあるn-d次元超平面H^(n-d)とVは
有限個の点で交わることが知られている
さらに交点の数|V∩H|はHのとり方によらない
この数を射影多様体V⊂Pnの次数という
命題3.9はφl(E_τ)⊂P l^2-1がl^2次曲線であることを述べている

126:132人目の素数さん
20/11/28 19:12:39.36 XyNDA0Mg.net
l=2(>>107)の場合
伝統的テータ関数記号(Mumford,Tata lectures on Theta)の定義
θ00(z,τ)=θ0,0(z,τ)
θ01(z,τ)=θ0,1/2(z,τ)
θ10(z,τ)=θ1/2,0(z,τ)
θ11(z,τ)=θ1/2,1/2(z,τ)
指標付きテータ関数の定義(>>104)より
θ00(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+nz)
θ01(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+1/2))
θ10(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1/2)^2τ+(n+1/2)z)
θ10(z,τ)=Σ(n∈Z) ○(1/2*(n+1/2)^2τ+(n+1/2)(z+1/2))
一方、以下が成立している
θ00(z,τ)=θ(z,τ)
θ01(z,τ)=θ(z+1/2,τ)
θ10(z,τ)=○(1/8τ+1/2z)θ(z+1/2τ,τ)
θ11(z,τ)=○(1/8τ+1/2(z+1/2))θ(z+1/2τ+1/2,τ)
関数の零点(>>117) (p,q∈Z)
θ00(z,τ) z=(p+1/2)τ+(q+1/2)
θ01(z,τ) z=(p+1/2)τ+q
θ10(z,τ) z=pτ+(q+1/2)
θ11(z,τ) z=pτ+q
θ00(-z,τ)=θ00(z,τ) 偶関数
θ01(-z,τ)=θ01(z,τ) 偶関数
θ10(-z,τ)=θ10(z,τ) 偶関数
θ11(-z,τ)=-θ11(z,τ) 奇関数
>>118で、l=2とした場合
Φ2:C→P3 z→[θ00(2z,τ),θ01(2z,τ),θ10(2z,τ),θ11(2z,τ)]

127:132人目の素数さん
20/12/01 19:55:45.85 gRCeSSmI.net
☆補題3.6
A=
(1 1 1 1)
(1 1 -1 -1)
(1 -1 1 -1)
(1 -1 -1 1)
とおくと、等式
tAA=AtA=4I4
が成立する
ここでI4は4次の対称行列を表す
つまり(1/2)Aは直交行列である
☆系3.1
u1,u2,u3,u4,v1,v2,v3,v4を変数とする
u をu1 ~u4 による縦ベクトル
u'をu1'~u4'による縦ベクトル
v をv1 ~v4 による縦ベクトル
v'をv1'~v4'による縦ベクトル
とする
u'=(1/2)Au v'=(1/2)Av
とおく
このとき等式
Σ(i=1~4)ui'vi'=Σ(i=1~4)uivi
が成立する

128:132人目の素数さん
20/12/01 20:14:09.50 gRCeSSmI.net
テータ関数の定義より
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
=Σ(m1~m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1~4)mi^2)τ+Σ(i=1~4)mixi)
θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
=Σ(m1~m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1~4)mi)+(1/2)(Σ(i=1~4)mi^2)τ+Σ(i=1~4)mixi)
θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
=Σ(m1~m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1~4)(mi+1/2)^2)τ+Σ(i=1~4)(mi+1/2)xi)
θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=Σ(m1~m4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1~4)mi)+(1/2)(Σ(i=1~4)(mi+1/2)^2)τ+Σ(i=1~4)(mi+1/2)xi)
 上記四個の等式を加えると
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
+θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
+θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
+θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=2Σ'(m1~m4∈(1/2)Z) ○((1/2)(Σ(i=1~4)mi^2τ)+Σ(i=1~4)mixi)
ここでΣ'は条件1)または2)を満たす,すべてのm1~m4にわたる和を表す
1)i=1~4について、miは整数であって、Σ(i=1~4) mi∈2Z
2)i=1~4について、mi∈Z+1/2であって、Σ(i=1~4) mi∈2Z

129:132人目の素数さん
20/12/01 20:29:08.75 gRCeSSmI.net
さて
n=n1~n4による縦ベクトル
m=m1~m4による縦ベクトル
x=x1~x4による縦ベクトル
y=y1~y4による縦ベクトル
として
n=(1/2)Am y=(1/2)Ay
とおくと、以下の補題が成り立つ
☆補題3.7
m1~m4に関する次の条件は同値である
i) m1~m4はΣ'に関する>>123の条件1)または2)を満たす
ii)上に定義したn1~n4は整数である
系3.1(>>122)を、ui=vi=miとして適用して
Σ(i=1~4) mi^2=Σ(i=1~4) ni^2
を得る さらにui=mi,vi=xiに適用すれば
Σ(i=1~4) mixi=Σ(i=1~4) niyi
したがって
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
+θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
+θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
+θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=2Σ'(n1~n4∈Z) ○((1/2)(Σ(i=1~4)ni^2τ)+Σ(i=1~4)niyi)
よってRiemannのテータ公式を得る
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
+θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
+θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
+θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=2θ00(y1,τ)θ00(y2,τ)θ00(y3,τ)θ00(y4,τ)

130:132人目の素数さん
20/12/01 20:56:15.51 gRCeSSmI.net
☆補題3.8
次の公式が成り立つ
θ00(z+1,τ)=θ00(z,τ)
θ01(z+1,τ)=θ01(z,τ)
θ10(z+1,τ)=-θ10(z,τ)
θ11(z+1,τ)=-θ11(z,τ)
>>124の公式で、x1にx1+1を代入して補題3.8を使うと以下の公式を得る
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
+θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
-θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
-θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=2θ01(y1,τ)θ01(y2,τ)θ01(y3,τ)θ01(y4,τ)

131:132人目の素数さん
20/12/01 20:56:40.47 gRCeSSmI.net
☆補題3.9
次の公式が成り立つ
○(τ/2+z)θ00(z+τ,τ)=θ00(z,τ)
○(τ/2+z)θ01(z+τ,τ)=-θ01(z,τ)
○(τ/2+z)θ10(z+τ,τ)=θ10(z,τ)
○(τ/2+z)θ11(z+τ,τ)=-θ11(z,τ)
>>124の公式で、x1にx1+τを代入して両辺に○(τ/2+x1)を掛けると
補題3.9により以下の公式を得る
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
-θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
+θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
-θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=2θ10(y1,τ)θ10(y2,τ)θ10(y3,τ)θ10(y4,τ)

132:132人目の素数さん
20/12/01 20:57:12.08 gRCeSSmI.net
☆補題3.10
次の公式が成り立つ
○(τ/2+z)θ00(z+τ+1,τ)=θ00(z,τ)
○(τ/2+z)θ01(z+τ+1,τ)=-θ01(z,τ)
○(τ/2+z)θ10(z+τ+1,τ)=-θ10(z,τ)
○(τ/2+z)θ11(z+τ+1,τ)=θ11(z,τ)
>>124の公式で、x1にx1+τ+1を代入して両辺に○(τ/2+x1)を掛けると
補題3.10より以下の公式を得る
θ00(x1,τ)θ00(x2,τ)θ00(x3,τ)θ00(x4,τ)
-θ01(x1,τ)θ01(x2,τ)θ01(x3,τ)θ01(x4,τ)
-θ10(x1,τ)θ10(x2,τ)θ10(x3,τ)θ10(x4,τ)
+θ11(x1,τ)θ11(x2,τ)θ11(x3,τ)θ11(x4,τ)
=2θ11(y1,τ)θ11(y2,τ)θ11(y3,τ)θ11(y4,τ)

133:132人目の素数さん
20/12/01 21:30:45.64 gRCeSSmI.net
x1,x2,x3,x4にx1+l1,x2+l2,x3+l3,x4+l4を代入することにより
20個の公式を得る
l1~l4∈(1/2,τ/2) かつ l1+l2+l3+l4∈(1,τ) である
θab(x1,τ)θcd(x2,τ)θef(x3,τ)θgh(x4,τ) を
[ab,cd,ef,gh] と表し
θab(y1,τ)θcd(y2,τ)θef(y3,τ)θgh(y4,τ) を
[ab,cd,ef,gh]' と表す
上記の記号により20個のRiemannテータを記載する
1) [00,00,00,00]+[01,01,01,01]+[10,10,10,10]+[11,11,11,11] = 2[00,00,00,00]'
2) [00,00,00,00]+[01,01,01,01]-[10,10,10,10]-[11,11,11,11] = 2[01,01,01,01]'
3) [00,00,00,00]-[01,01,01,01]+[10,10,10,10]-[11,11,11,11] = 2[10,10,10,10]'
4) [00,00,00,00]-[01,01,01,01]-[10,10,10,10]+[11,11,11,11] = 2[11,11,11,11]'
5) [00,00,01,01]+[01,01,00,00]+[10,10,11,11]+[11,11,10,10] = 2[01,01,00,00]'
6) [00,00,01,01]+[01,01,00,00]-[10,10,11,11]-[11,11,10,10] = 2[00,00,01,01]'
7) [00,00,01,01]-[01,01,00,00]+[10,10,11,11]-[11,11,10,10] =-2[11,11,10,10]'
8) [00,00,01,01]-[01,01,00,00]-[10,10,11,11]+[11,11,10,10] =-2[10,10,11,11]'
9) [00,00,10,10]+[01,01,11,11]+[10,10,00,00]+[11,11,01,01] = 2[00,00,10,10]'
10) [00,00,10,10]+[01,01,11,11]-[10,10,00,00]-[11,11,01,01] = 2[01,01,11,11]'
11) [00,00,10,10]-[01,01,11,11]+[10,10,00,00]-[11,11,01,01] = 2[10,10,00,00]'
12) [00,00,10,10]-[01,01,11,11]-[10,10,00,00]+[11,11,01,01] = 2[11,11,01,01]'
13) [00,00,11,11]+[01,01,10,10]+[10,10,01,01]+[11,11,00,00] = 2[01,01,10,10]'
14) [00,00,11,11]+[01,01,10,10]-[10,10,01,01]-[11,11,00,00] = 2[00,00,11,11]'
15) [00,00,11,11]-[01,01,10,10]+[10,10,01,01]-[11,11,00,00] =-2[11,11,00,00]'
16) [00,00,11,11]-[01,01,10,10]-[10,10,01,01]+[11,11,00,00] =-2[10,10,01,01]'
17) [00,01,10,11]+[01,00,11,10]+[10,11,00,01]+[11,10,01,00] = 2[11,10,01,00]'
18) [00,01,10,11]+[01,00,11,10]-[10,11,00,01]-[11,10,01,00] =-2[10,11,00,01]'
19) [00,01,10,11]-[01,00,11,10]+[10,11,00,01]-[11,10,01,00] =-2[01,00,11,10]'
20) [00,01,10,11]-[01,00,11,10]-[10,11,00,01]+[11,10,01,00] = 2[00,01,10,11]'

134:132人目の素数さん
20/12/02 20:18:47.16 pV8MmGTK.net
Riemannのテータ関係式において
x1=x2、x3=x4と特殊化すると
テータ関数の加法公式が得られる
例えば
θ00(x1+x3)θ00(x1-x3)θ00(0)^2
=θ00(x1)^2θ00(x3)^2+θ11(x1)^2θ11(x3)^2
=θ01(x1)^2θ01(x3)^2+θ10(x1)^2θ10(x3)^2
θ11(x1+x3)θ11(x1-x3)θ00(0)^2
=θ11(x1)^2θ00(x3)^2-θ00(x1)^2θ11(x3)^2
=θ01(x1)^2θ10(x3)^2-θ10(x1)^2θ01(x3)^2
ここでさらにx3=0とすると
θ00(x1)^2θ00(0)^2
=θ01(x1)^2θ01(0)^2+θ10(x1)^2θ10(0)^2
θ11(x1)^2θ00(0)^2
=θ01(x1)^2θ10(0)^2-θ10(x1)^2θ01(0)^2

135:132人目の素数さん
20/12/02 20:19:59.61 pV8MmGTK.net
φ2:Eτ=C/(1,τ)→P3
φ2(z)=[θ00(2z,τ),θ01(2z,τ),θ10(2z,τ),θ11(2z,τ)]
が成り立つ
さらに
θ00(x1)^2θ00(0)^2-θ01(x1)^2θ01(0)^2-θ10(x1)^2θ10(0)^2=0
θ11(x1)^2θ00(0)^2-θ01(x1)^2θ10(0)^2+θ10(x1)^2θ01(0)^2=0
が成り立つ
このことは、射影空間の点
[a0,a1,a2,a3]=[θ00(2z,τ),θ01(2z,τ),θ10(2z,τ),θ11(2z,τ)]
が、二つの関係式
f1=θ00(0)^2 a0^2-θ01(0)^2 a1^2-θ10(0)^2 a2^2=0
f2=θ00(0)^2 a3^2-θ10(0)^2 a1^2+θ01(0)^2 a2^2=0
を満たしていることを示している
つまり[a0,a1,a2,a3]∈V(f1,f2)⊂P3
φ2(Eτ)⊂V(f1,f2) であるが実は
φ2(Eτ)⊃V(f1,f2) でもあるので
φ2(Eτ)=V(f1,f2)である
V(f1,f2)は二つの二次曲面の交わりとして定義されているので
射影空間内の4次曲線である(Bezoutの定理)
つまり2次式f1,f2は、4次曲線φ2(Eτ)の定義方程式を与える

136:132人目の素数さん
20/12/03 19:10:25.50 p8E7HDxN.net
★定理3.4
∂θ11(z,τ)/∂τ|z=0 = -πθ00(0,τ)θ01(0,τ)θ10(0,τ)
☆補題3.11
∂^2θij(z,τ)/∂z^2=4π√(-1)θθij(z,τ)/∂τ

137:132人目の素数さん
20/12/04 20:45:49.18 BhD6Y/CZ.net
★定理3.5
i)無限級数Σ(n=1~∞) |un|が収束するとき,
無限積Π(n=1~∞) (1+un)は収束する
この時Π(n=1~∞) (1+un)は絶対収束するという。
ii)絶対収束するとき、上記の無限積は
積の順序に関係なく一定の値に収束する。
さらに分配法則にしたがって無限積を
形式的に無限級数に展開してもよい。

138:132人目の素数さん
20/12/04 20:46:17.31 BhD6Y/CZ.net
★定理3.6
有界閉集合K⊂Cが存在して
un(z)は、任意のnについてK上正則とする。
さらに級数Σ(n=1~∞) |un(z)|が
K上で一様収束すると仮定する このとき
無限積Π(n=1~∞) (1+un)はK上で一様収束し、
したがって正則である

139:132人目の素数さん
20/12/04 20:47:10.46 BhD6Y/CZ.net
☆補題3.12
z∈C,整数mに関する次の条件は同値である
i) ○((m+1/2)τ-z)=-1
ii) 整数nが存在し、2πi(z-(m+1/2)τ)=(2π+1)πiと書ける
iii)整数nが存在して、z=(m+1/2)τ+(n+1/2)と書ける

140:132人目の素数さん
20/12/04 20:47:32.76 BhD6Y/CZ.net
★定理3.7
テータ関数θ(z,τ)は以下のように無限積に展開�


141:ウれる θ(z,τ)=Π(m=1~∞) (1-○(mτ)) Π(m=0~∞) {[1+○((m+1/2)τ-z)][1+○((m+1/2)τ+z)]}



142:132人目の素数さん
20/12/04 20:48:05.57 BhD6Y/CZ.net
☆補題3.13
p(z,τ)=Π(m=0~∞) {[1+○((m+1/2)τ-z)][1+○((m+1/2)τ+z)]}とおくと
i) p(z+1,τ)=p(z,τ)
ii)p(z+τ,τ)=○(-(1/2)τ-z)p(z,τ)

143:132人目の素数さん
20/12/05 16:21:43.17 IssG98Nd.net
>>135
定理3.7の公式は
q=○((1/2)τ),w=○((1/2)z)
とおくと、以下のように書ける
Σ(m=-∞~∞) q^(m^2)w^(2m)
=Π(m=1~∞) (1-q^2m)(1+q^(2m-1)w^2)(1-q^(2m-1)w^(-2))
上記の公式はJacobiの三重積公式と呼ばれている

144:132人目の素数さん
20/12/05 16:22:45.61 IssG98Nd.net
>>137
Jacobiの三重積公式の公式で
w=iq^(1/4) q=q^3/2
を代入すると、Eulerの5角数公式を得る
Σ(m=-∞~∞)(-1)^m*q^(m(3m+1)/2)
=Π(m=1~∞) (1-q^m)

145:132人目の素数さん
20/12/05 16:24:09.38 IssG98Nd.net
>>138
Eulerの5角数公式の右辺を展開すると
Π(m=1~∞) (1-q^m)
=1+Σ(n=1~∞)q^n[E(n)-U(n)]
ここで
E(m)は整数mを偶数個の相異なる正整数の和に表す書き方の数
U(m)は整数mを奇数個の相異なる正整数の和に表す書き方の数
★定理3.8
正の整数mが与えられたとき、
正の整数nが存在して
m=(1/2)n(3n+1) または m=(1/2)n(3n-1)
と書けるならば
E(m)-U(m)=(-1)^n
上記の整数nが存在しなければ
E(m)-U(m)=0

146:132人目の素数さん
20/12/06 18:25:52.36 DTMWYA77.net
☆補題3.14
整数a,b,c,dがad-bc=1を満たすとき
(1,τ)=(aτ+b,cτ+d)
が成立する
☆補題3.15
τを上半平面H上の点とし、
整数a,b,c,dはad-bc=1を満たすと仮定する
このとき次が成立する
i) (aτ+b)/(cτ+d)∈H
ii)Cの各元を(cτ+d)^(-1)倍する写像C→Cは
  複素トーラスの同型
  C/(1,τ)≣C/(1、(aτ+b)/(cτ+d))
  を引き起こす

147:132人目の素数さん
20/12/06 18:26:18.73 DTMWYA77.net
★定理3.9(Jacobiの変換公式)
 θ00(z/τ,-1/τ)=○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ00(z,τ)
☆系3.2
 θ10(z/τ,-1/τ)=○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ01(z,τ)
 θ01(z/τ,-1/τ)=○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ10(z,τ)
 θ11(z/τ,-1/τ)=-i*○(-1/8)τ^(1/2)○(z^2/(2τ))θ11(z,τ)

148:132人目の素数さん
20/12/06 18:26:37.97 DTMWYA77.net
★定理3.10
 θ11(z,τ+1)=○(1/8)θ11(z,τ)
☆系3.3
 θ00(z,τ+1)=θ01(z,τ)
 θ01(z,τ+1)=θ00(z,τ)
 θ10(z,τ+1)=○(1/8)θ10(z,τ)

149:132人目の素数さん
20/12/06 18:27:12.55 DTMWYA77.net
★定理3.11
a,b,c,d∈Z,ad-bc=1,c>=0とする
θ00(z/(cτ+d),(aτ+b)/(cτ+d))
=○(-1/8)(cτ+d)^(1/2)○(cz^2/(2(cτ+d))θ00(z,τ)

150:132人目の素数さん
20/12/07 19:47:18.75 ifA6lMeJ.net
★定理3.12
θ01(2z,2τ)/θ00(z,τ)θ01(z,τ)=θ01(0,2τ)/θ00(0,τ)θ01(0,τ)
θ11(2z,2τ)/θ10(z,τ)θ11(z,τ)=θ01(0,2τ)/θ00(0,τ)θ01(0,τ)
☆補題3.16~3.17
定数aが存在して
θ00(2z,2τ)=a(θ00(z,τ)^2+θ01(z,τ)^2)
★定理3.13
2θ00(0,2τ)θ00(2z,2τ)=θ00(z,τ)^2+θ01(z,τ)^2
2θ00(0,2τ)θ10(2z,2τ)=θ10(z,τ)^2-θ11(z,τ)^2
●命題3.10
θ00(0,2τ)^2=(θ00(z,τ)^2+θ01(z,τ)^2)/2
θ01(0,2τ)^2=θ00(z,τ)θ01(z,τ)^2
つまり
θ00(0,2τ)^2はθ00(z,τ)^2とθ01(z,τ)^2の算術平均
θ01(0,2τ)^2はθ00(z,τ)^2とθ01(z,τ)^2の幾何平均

151:132人目の素数さん
20/12/11 07:10:03.81 ydrdP7Wd.net
Weierstrassのσ関数とテータ関数の関係
σ(z)=exp((1/2)ω1η1z^2)(ω1/θ’11(0,τ))θ11(z,τ)

152:132人目の素数さん
20/12/11 07:11:58.69 ydrdP7Wd.net
これでテータ関数は終わり
次から「Jacobiの楕円関数」について
刮目して待て!

153:132人目の素数さん
20/12/12 16:56:11.46 l8Uc2rWI.net
定義
u:=zπθ00^2(0)
sn u:=(-θ00(0)/θ10(0))(θ11(z)/θ01(z))
cn u:=( θ01(0)/θ10(0))(θ10(z)/θ01(z))
dn u:=( θ01(0)/θ00(0))(θ00(z)/θ01(z))
κ :=θ10^2(0)/θ00^2(0)
κ':=θ01^2(0)/θ00^2(0)
sn 0=0
cn 0=1
dn 0=1

154:132人目の素数さん
20/12/12 16:56:56.98 l8Uc2rWI.net
>>147
κ^2+κ'^2=(θ10^4+θ01^4)/θ00^4=1
θ10^2(0,-1/τ)/θ00^2(0,-1/τ)
=θ01^2(0,-1/τ)/θ00^2(0,-1/τ)
=κ'
sn^2 u+cn^2 u
=(θ00^2(0)θ11^2(z)+θ01^2(0)θ10^2(z))/(θ10^2(0)θ01^2(z))
=1
dn^2 u+κ^2sn^2 u
=(θ01^2(0)θ00^2(z)+θ10^2(0)θ11^2(z))/(θ00^2(0)θ01^2(z))
=1

155:132人目の素数さん
20/12/12 16:57:53.55 l8Uc2rWI.net
>>147-148
θ00(0),θ01(0),θ10(0)をθ00,θ01,θ10と書く
d(θ11(z)/θ01(z))/dz
=-πθ01^2(θ00(z)/θ01(z))(θ10(z)/θ01(z))
d(sn u)/du
=(dz/du)(d((-θ00/θ10)(θ11(z)/θ01(z)))/dz)
=(-1/πθ00^2)(θ00/θ10)(d(θ11(z)/θ01(z))/dz)
=(θ01^2/θ00θ10)(θ00(z)/θ01(z))(θ10(z)/θ01(z))
= cn u dn u
d(sn^2 u+cn^2 u)/du
=2sn u d(sn u)/du+2cn u d(cn u)/du
=2sn u cn u dn u+2cn u d(cn u)/du
=0
ゆえに
d(cn u)/du=-dn u sn u
d(dn^2 u+κ^2 sn^2 u)/du
=2dn u d(dn u)/du+2κ^2 sn u d(sn u)/du
=2dn u d(dn u)/du+2κ^2 sn u cn u dn u
=0
ゆえに
d(dn u)/du=-κ^2sn u cn u

156:132人目の素数さん
20/12/12 16:59:01.09 l8Uc2rWI.net
>>147-149
(d(sn u)/du)^2
=(1-sn^2 u)(1-κ^2sn u)
(d(cn u)/du)^2
=(1-cn^2 u)(1-κ^2sn u)
=(1-cn^2 u)(κ'^2-κ^2cn u)
(d(dn u)/du)^2
=κ^4(1-sn^2 u)(1-cn^2 u)
=-(1-dn^2 u)(κ'^2-dn^2 u)

157:132人目の素数さん
20/12/13 07:50:17.89 hbHQHgSE.net
u:=∫[0,v] (1/√(1-x^2)(1-κ^2x^2))dx
とおく
sn 0=0,sn' 0=1であるので
sが0の近傍にあるとき
x=sn s
と変数変換できる
dx=d sn s=√(1-x^2)(1-κ^2x^2)ds
したがって
u
=∫[0,v] (1/√(1-x^2)(1-κ^2x^2))dx
=∫[0,sn^(-1) v] ds
=sn^(-1) v
つまり
v(s)=sn u

158:132人目の素数さん
20/12/13 07:50:47.00 hbHQHgSE.net
ω :=(π/2)θ00^2
ω':=(π/2)θ00^2τ
とする
周期
sn u:4ω, 2ω'
cn u:4ω, 2ω+2ω'
dn u:2ω, 4ω'
零点(基本平行四辺形上)
sn u: 0,2ω
cn u:ω,3ω
dn u:ω+ω',ω+3ω'
極(基本平行四辺形上)
sn u:ω',2ω+ω'
cn u:2ω+ω’,4ω+ω'
dn u:ω',3ω'

159:132人目の素数さん
20/12/13 07:51:18.41 hbHQHgSE.net
アフィン4次曲線
C:y^2=(1-x^2)(1-κ^2x^2)
を考える
Cのコンパクト化C~を
2枚のアフィン平面WとW'の貼り合わせで実現する
(x,y)∈Wと(x',y')∈W'を次の条件を満たすとき同一視する
1)xx'=1
2)y=y'/x'^2
C ={(x ,y )∈W |y^2=(1-x^2)(1-κ^2x^2)}
C'={(x',y')∈W'|y'^2=(x'^2-1)(x'^2-κ^2)}
CとC'はW∩W'上で一致し代数曲線C~を得る
cn^2 u dn^2 u=(1-sn^2 u)(1-κ^2 sn^2 u)
sn' u=cn u dn u
上記より
C→C: u→(sn u,cn u dn u)=(sn u,sn' u)
は正則写像
φ:C→C~=C∪C'
を定義する
したがってφは同型写像
φ~:C/(4ω,2ω')→C~
を与える

160:132人目の素数さん
20/12/15 19:44:06.90 CEX8aew8.net
★定理4.1(Jacobiの公式)
∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ^2x^2)))dx
=(π/2)θ00^2
(κ=θ10^2/θ00^2)
☆補題4.1
∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ'^2x^2)))dx
=∫[1,1/κ] (1/√((s^2-1)(1-κ^2s^2)))ds
(κ'= θ01^2/θ00^2 κ^2+κ'^2=1)
ここで、右辺の平方根はs=0でiをとるRiemann面R上の枝
また、Riemann面R上の積分路は、1と1/τを結ぶ線分上の縁μ+にとる
★定理4.2
∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ'^2x^2)))dx
=-i(π/2)θ00^2τ

161:132人目の素数さん
20/12/18 06:08:29.95 wcP2xck3.net
a,b,c∈Cとして、2階線型微分方程式
u(1-u)d^2f/du^2+(c-(a+b+1)u)df/du-abf=0
を超幾何微分方程式と呼ぶ
無限級数
F(a,b,c;u)
=1+(ab/1*c)u+(a(a+1)b(b+1)/1*2*c(c+1))u^2
+(a(a+1)(a+2)b(b+1)(b+2)/(1*2*3c(c+1)(c+2))u^3+…
を超幾何級数という
●命題4.1
超幾何級数F(a,b,c;u)は超幾何微分方程式を満たす

162:132人目の素数さん
20/12/18 06:09:11.85 wcP2xck3.net
F(u)=∫[0,1] (1/√(1-x^2)(1-ux^2))dx
G(u)=∫[0,1] (1/√(s^2-1)(1-us^2))ds
とおく
★定理4.3
楕円曲線y^2=(1-x^2)(1-ux^2)の周期
∫Γ (1/y)dx=4F(u)
∫Γ’(1/y)dx=2G(u)
は、uの関数とみなすと、a=b=1/2、c=1とした超幾何微分方程式
u(1-u)d^2f/du^2+(1-2u)df/du-(1/4)f=0
の解である

163:132人目の素数さん
20/12/18 06:11:03.02 wcP2xck3.net
★定理4.4
Re(c-a-b)>0のとき、等式
F(a,b,c;1)=(Γ(c)Γ(c-a-b))/(Γ(c-a)Γ(c-b))
が成り立つ

164:数学指導要綱
20/12/18 23:13:26.56 6CwZJbqi.net
{ 「試験で,なぜなのかを問うてはいけない.答えられないから.もしそのような問題を出すな
ら,あらかじめその問題について,答を教えておく必要がある」
{ 時間内に答えるのは無理な沢山の問題を出すこと「学生は解き方を覚えてきた問題し�


165:ゥ手をつ けない.覚えてきた問題を試験に出さなくて悪い成績をつけたら,意地悪な先生と思われる」 { 理解が困難な内容を教えていること「志村先生も,理解を求めるより,分からなくてもどんどん 進めるのが効果的と書いている.易しくすれば,それに応じて学生が怠けるだけである」



166:132人目の素数さん
20/12/19 06:00:54.72 4b7NgT9S.net
第1種積分を
K(κ)= ∫[0,1] (1/√((1-x^2)(1-κ^2x^2)))dx
と書く
また、κ^2+κ'^2=1とする
★定理4.5
K(κ),K(κ’)は線型微分方程式
κ^3-κd^2y/dκ^2+(3κ^2-1)dy/dκ-κy=0
の解である

167:132人目の素数さん
20/12/19 06:01:45.48 4b7NgT9S.net
第2種積分を
E(κ)= ∫[0,1] (√(1-κ^2x^2)/√(1-x^2))dx
と書く
★定理4.6
E(κ),K(κ)は次の微分方程式系を満たす
dE/dκ=(E-K)/κ
dK/dκ=(E-κ'^2K)/(κκ'^2)

168:132人目の素数さん
20/12/19 06:02:09.05 4b7NgT9S.net
K'(κ)=K(κ’)
E'(κ)=E(κ’)
とおく
★定理4.7(Legendreの関係式)
0<κ<1のとき、等式
E(κ)K'(κ)+E'(κ)K(κ)-K(κ)K'(κ)=π/2
が成り立つ

169:132人目の素数さん
20/12/19 17:22:12.08 4b7NgT9S.net
テータ関数の加法公式より、
sn u,cn u,dn uの加法公式を
導くことができる
★定理4.8
次の加法定理が成り立つ
sn(u+v)=(sn u cn v dn v + sn v cn u dn u)/(1-κ^2 sn^2 u sn^2 v)
cn(u+v)=(cn u cn v - sn u dn u sn v dn v)/(1-κ^2 sn^2 u sn^2 v)
dn(u+v)=(dn u dn v - κ^2 sn u cn u sn v cn v)/(1-κ^2 sn^2 u sn^2 v)

170:132人目の素数さん
20/12/20 15:54:36.00 8kDxKeWQ.net
これでJacobiの楕円関数は終わり
明日から「楕円曲線のモジュライ」について
刮目して待て!

171:132人目の素数さん
20/12/21 07:09:31.78 vtqOdlUh.net
ω1,ω2をR上1次独立な複素数
Ωをω1,ω2の生成する加法群Cの部分群とする
Ω=(ω1,ω2)
複素トーラスC/Ωは射影平面P2上の3次曲線
x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3
に埋め込まれる
ここで
g2=60Σ'(1/ω^4) g3=140Σ'(1/ω^6)
さらに判別式
Δ=g2^3-27g3^2≠0
※問題5.1
逆にΔ≠0となるP2上の3次曲線
x0x2^2=4x1^3-g2x0^2x1-g3x0^3
が与えられたとする
このときP関数による埋め込みが、
与えられた3次曲線となるような
複素トーラスC/Ωが存在するであろうか
つまりΔ=g2^3-27g3^2≠0となる
複素数g2,g3が与えられたとき、
g2=60Σ'(1/ω^4) g3=140Σ'(1/ω^6)
とする部分群Ω=(ω1,ω2)⊂Cは存在するか?
(ω1,ω2をR上1次独立な複素数とする)
※問題5.2
二つの複素トーラスC/Ω,C/Ω'はいつ同型になるか

172:132人目の素数さん
20/12/21 07:10:41.14 vtqOdlUh.net
>>164
●命題5.1
複素トーラスの複素多様体としての同型写像
f:E=C/Ω→E'=C/Ω'
が与えられたとする。
このとき、複素数a,bが存在して、図式
f~:C→C
π:C→E
π':C→E'
は可換となる。
(つまりf・π=π’・f~)
ここで、
f~は正則写像 u → au+b を表し
π、π’はx∈Cにその同値類を対応させる自然な写像である
●命題5.2
複素多様体Xが与えられたとき、
Xの普遍被覆多様体p:X~→Xが、同型を除いて唯一つ存在する

173:132人目の素数さん
20/12/21 07:12:36.12 vtqOdlUh.net
>>164の問題2の解は定理5.1で与えられる
★定理5.1
E=C/Ω,E'=C/Ω'を二つの複素トーラスとする。
このとき、次の条件は同値である
1) EとE'は複素多様体として同型である。
2) EとE'は複素リー群として同型である
 つまり、複素多様体の同型写像f:E→E'であって、
 次の条件を満たすものが存在する。
 任意のx,y∈Eに対して、f(x+y)=f(x)+f(y)が成り立つ
3) 0でない複素数aが存在して、aΩ=Ω'が成り立つ
☆系5.1
E,E'を複素トーラスとする
g:E→E'を複素多様体の同型写像とする
gがEの単位元0を、E'の単位元0に写すならば,
gは複素Lie群の同型写像である。すなわち、
 g(x+y)=g(x)+g(y)
が、任意のx,y∈Eについて成り立つ

174:132人目の素数さん
20/12/21 07:13:57.02 vtqOdlUh.net
複素トーラス全体のなす集合Tを考える
E,E'∈Tとする。
EとE'が複素多様体として同型のとき、E≣E'と定義すると
≣は集合Tの元の間の同値関係となる。
※問題5.3
集合Tの同値関係≣による商集合T/≣は、どのようなものであろうか?
●命題5.3
Eを複素トーラスとする。
Imτ≠0である複素数τが存在して、


175: E≣C/(1,τ)が成立する。 ●命題5.4 Eを複素トーラスとする。 Imτ>0である複素数τが存在して、 E≣C/(1,τ)が成立する。 T'をC/(1,τ),Imτ>0の形の複素トーラス全体のなす集合とする。 ☆系5.2 商集合T/≣の元と商集合T'/≣の元の間に 自然な1対1対応が存在する。



176:132人目の素数さん
20/12/22 21:03:16.54 8IPH7YoJ.net
GL2(Z)=
{(a,b)
(c,d)|a,b,c,d∈Z,ad-bc=±1}
SL2(Z)=
{(a,b)
(c,d)|a,b,c,d∈Z,ad-bc=1}
とおくと、行列の積を考えることにより
GL2(Z)は群になる。
SL2(Z)はGL2(Z)の部分群である。

177:132人目の素数さん
20/12/22 21:03:52.53 8IPH7YoJ.net
H={τ∈C|Imτ>0}
τ,τ’∈Hとして
複素トーラス
E =C/(1,τ) と
E'=C/(1,τ')が
いつ同型になるかを見る。
定理5.1よりE≣E'となる条件は
0と異なる複素数αが存在して
α(1,τ)=(1,τ')
が成立することである
命題2.7により
上記は以下の条件と同値である
(a b)
(c d)∈GL2(Z)が存在して
ατ=aτ’+b
α=cτ’+d
が成り立つ
このとき以下が成り立つ
☆補題5.1
(a,b)
(c,d)∈SL2(Z)である

178:132人目の素数さん
20/12/22 21:04:20.67 8IPH7YoJ.net
●命題5.5
τ,τ’∈Hとし、複素トーラス
E =C/(1,τ) 、E'=C/(1,τ')
を考える
次の条件は同値である
1) EとE'は複素多様体として同型である。
2) EとE'は複素リー群として同型である
3)
(a,b)
(c,d)∈SL2(Z)が存在して
τ=(aτ’+b)/(cτ’+d)
が成り立つ

179:132人目の素数さん
20/12/23 19:42:32.09 fACOGH5o.net
■定義5.1
τ,τ’∈Hとする
(a b)
(c d)∈SL2(Z)が存在して
τ’∈(aτ+b)/(cτ+d)が成立するとき
τ≣τ'と書くことにする
☆補題5.2
定義5.1の≣は同値関係である

180:132人目の素数さん
20/12/23 19:42:55.84 fACOGH5o.net
■定義5.2
g=
(a b)
(c d)∈SL2(Z),τ∈Hに対して
gτ:=(aτ+b)/(cτ+d)∈Hとおく
☆補題5.3
τ,τ'∈Hとする 次の条件は同値である
1)τ≣τ’
2)g∈SL2(Z)が存在して、τ'=gτが存在する
☆補題5.4
τ∈H、g,g'∈SL2(Z)とすると、
I2τ=τ、(gg')τ=g(g'τ)が成立する
(I2は2次の単位行列)

181:132人目の素数さん
20/12/23 19:54:40.15 fACOGH5o.net
■定義5.3
Gを群、Xを集合とする。
次の条件1)、2)を満たす写像
μ:G×X→Xが与えられたとき、
群Gは集合Xに(左から)作用するという
g∈G、x∈Xに対して、μ(g,x)=g.xと書くことにする。
1)1.xが任意のx∈Xについて成り立つ
ここで1はGの単位元である
2)g.(g'x)=(gg').xが、任意のg,g'∈G、および任意のx∈Xについて成り立つ
補題5.4は写像
SL2(Z)×H→H、(g,τ)=gτ
が、群SL2(Z)の集合Hへの作用を定めることを示している
☆補題5.5
群Gが集合Xに作用しているとする
Xの元x,yに対して、Gの元gが作用して、y=g.xとなるとき
x≣yと書くことにする。
このとき、≣はXにおける同値関係となる

182:132人目の素数さん
20/12/23 20:12:07.62 fACOGH5o.net
xをXの元とする
G.x={g.x|g∈G}をxのG-軌道という
☆補題5.6
群Gが集合Xに作用していると仮定する
補題5.5の同値関係≣、およびXの二つの元x,yに関する
次の条件は同値である
1)x≣y
2)y∈G.x
3)G.x=G.y
☆系5.3
G.x={y∈X|x≣y}が成り立つ
☆系5.4
商集合X/≣=G-軌道全体のなす集合
商集合X/≣を、G\Xと書くことが多い
(\は正しくはバックスラッシュ)
★定理5.2
次の自然な全単射写像が存在する
T/≣ ≣ SL2(Z)\H

183:132人目の素数さん
20/12/24 19:55:07.06 wIEHnPw9.net
■定義5.4 
Hの連結開集合Fが次の条件を満たすとき、
FはSL2(Z)に関する基本領域であるという
1)Hの任意の点は、閉包F~の点と同値である
2)Fの任意の相異なる2点は同値ではない
★定理5.3
領域F={τ∈H||τ|>1,-1/2<Reτ<1/2}は、(SL2(Z),H)の基本領域である。

184:132人目の素数さん
20/12/25 06:56:39.64 KU8IyEtR.net
■定義5.4 
Hの連結開集合Fが次の条件を満たすとき、
FはSL2(Z)に関する基本領域であるという
1)Hの任意の点は、閉包F~の点と同値である
2)Fの任意の相異なる2点は同値ではない
★定理5.3
領域F={τ∈H||τ|>1,-1/2<Reτ<1/2}は、(SL2(Z),H)の基本領域である。

185:132人目の素数さん
20/12/25 06:57:16.54 KU8IyEtR.net
☆補題5.7
τ∈Hに対して、τを固定するSL2(Z)の元全体のなす集合を
Gτと書くことにする つまり
Gτ={g∈SL2(Z)|g.τ=τ}
1)GτはGの部分群であり、Gτ⊃{±I2}が成り立つ
2)さらにτ∈F~,Gτ⊋{±I2}とすると、
 次の3つの場合のいずれかが成立する
a)τ=iであり、
Gτ=
<(0 -1)>
<(1 0)>
b)τ=e^(2πi/6)であり、
Gτ=
<(0 -1)>
<(1 -1)>
c)τ=e^(2πi/3)であり、
Gτ=
<(-1 -1)>
<(1 0)>

186:132人目の素数さん
20/12/25 06:57:36.88 KU8IyEtR.net
☆補題5.8
U={τ∈H|Imτ>1


187:}とする。 Uの2点τ,τ’に関する次の条件は同値である 1)τ≣τ' 2)τーτ'∈Z 3)整数nが存在して (1 n) (0 1).τ=τ' となる



188:132人目の素数さん
20/12/25 06:57:58.19 KU8IyEtR.net
★定理5.4
次の全単射写像が存在する
T/~(≣SL2(Z)\H)≣C

189:132人目の素数さん
20/12/25 06:58:21.97 KU8IyEtR.net
S=
(1 1)
(0 1)
T=
(0 -1)
(1 0)
とする
●命題5.6
群SL2(Z)は二つの元S,Tから生成される

190:132人目の素数さん
20/12/27 16:42:44.77 zL5BD4YR.net
補題2.1にて n≧2に対して
G_2n(ω1,ω2)=Σ(ω∈Ω,ω≠0) 1/(ω^2n)
は絶対収束する
(ω1,ω2)=(ω1',ω2')ならばG_2nの定義より
G_2n(ω1,ω2)=G_2n(ω1',ω2')
したがって
G_2n(aτ+b,cτ+d)=G_2n(τ,1)
λを0と異なる複素数とすれば
λ^2n G_2n(λω1,λω2)=G_2n(ω1,ω2)
したがって
(cτ+d)^2n G_2n(τ,1)
=(cτ+d)^2n G_2n(aτ+b,cτ+d)
=G_2n((aτ+b)/(cτ+d),1)
τ∈Hのとき
G_2n(τ,1)=G*_2n(τ)
とおく
G*_2nはH上の正則関数である
上記より、以下の補題が成り立つ
☆補題5.9
τ∈H,
(a b)
(c d)∈SL2(Z)
とする このとき
G*_2n((aτ+b)/(cτ+d))=(cτ+d)^2n G*_2n(τ)

191:132人目の素数さん
20/12/27 16:44:35.39 zL5BD4YR.net
>>181
補題5.9において
(a b)
(c d)
=
(1 b)
(0 1) (b∈Z)
とすれば
G*_2n(τ+b)=G*_2n(τ)
したがってG*_2n(τ)はq=e^2πiτのLaurent級数に展開できる
(Fourier展開)
☆補題5.10
τ∈H,k≧2とする 次の等式が成立する
(-1)^k (k-1)! Σ(m=-∞~∞)(τ+m)^-k=(2πi)^kΣ(n=1~∞) (n^(k-1) q^n)
☆補題5.11
G*_2k(τ)は以下のFourier展開を持つ
G*_2k(τ)=2s_2k + 2(2πi)^2k/(2k-1)!Σ(n=1~∞) (σ_(2k-1)(n) q^n)
ここで
q=e^2πiτ
s_2k=Σ(n=1~∞) (1/n^2k)
σ_r(n)=Σ(d|n,d>0) d^r
☆補題5.12
s_4=(1/90)π^4、s_6=(1/945)

192:132人目の素数さん
20/12/27 16:45:26.87 zL5BD4YR.net
>>182
g*_2(τ)=60G*_4(τ)
g*_3(τ)=140G*_6(τ)
Δ*(τ)=g*_2(τ)^3-27g*_3(τ)^2
J(τ)=(12^3)g*_2(τ)^3/Δ*(τ)
☆補題5.13
(2π)^(-12)Δ*(τ)=q+Σ(n=2~∞)(b_n q^n)
ここで、b_nはすべて整数
☆補題5.14
J(τ)は上半平面上の正則関数である
任意の
(a b)
(c d)∈SL2(Z)について
以下の等式が成り立つ
J((aτ+b)/(cτ+d))=J(τ)

193:132人目の素数さん
20/12/27 16:46:03.96 zL5BD4YR.net
>>183
★定理5.5
次の主張が成立する
1) J(τ)は商空間SL2(Z)\Hのコンパクト化
  (SL2(Z)\H)∪{i∞~}上の有理型関数とみなせる。
2) J(τ)はSL2(Z)\H上正則であり、i∞~で1位の極を持つ
3) J(τ)はRiemann面の同型写像SL2(Z)\H≣Cを与える
 特に複素数a∈Cを与えたとき、J(τ)=aとなるτが、同値を除いて一意的に定まる
12^3g*_2(τ)^3=(2π)^12(1+Σ(n=1~∞)(c_n q^n))
Δ*(τ)=(2π)^(12)(q+Σ(n=2~∞)(b_n q^n))
したがって
J(τ)=(12^3)g*_2(τ)^3/Δ*(τ)=1/q+qΣ(n=0~∞)(d_n q^n)
と書け、J(τ)がi∞~において、1位の極を持つ有理型関数であることを示す
☆補題5.15
ΣをRiemann球 PをΣ上の点とする
f(z)をΣ上の有理型関数で、Σ\P上正則、P上で1位の極を持つとする
このとき有理型関数f(z)は、Riemann球Σのf(P)=∞となる自己同型写像
f:Σ→Σを与える

194:132人目の素数さん
20/12/27 20:06:07.70 zL5BD4YR.net
■定義5.5
上半平面H上の正則関数f(τ)が次の条件を満たすとき、
f(τ)はSL2(Z)に関する重さkのモジュラー形式(modular form)
であるという
1)任意の
g=
(a b)
(c d)∈SL2(Z)
に対して
f((aτ+b)/(cτ+d))=(cτ+d)^k f(τ)
が成立する
2)f(τ)のq=e^2πiτに関するLaurent級数展開(=Fourier展開)は
qのベキ級数になる
f(τ)=Σ(n=0~∞)c_n q^n (c_n∈C)
SL2(Z)に関する重さkのモジュラー形式全体のなす集合M_kは
C-ベクトル空間を成す
G*_2n(τ)をEisenstein級数という
補題5.9及び補題5.11は、Eisenstein級数G*_2n(τ)が
SL2(Z)に関する重さ2nのモジュラー形式であることを示す
ベクトル空間M_kは有限次元であると証明できる さらに
M_0=C、M_2=0、M_4=Cg*_2(τ)、M_6=Cg*_3(τ)、
M_8=Cg*_2(τ)^2、M_10=Cg*_2(τ)g*_3(τ)
であると示せる
一般にC-ベクトル空間M_2nはg*_2(τ)^a g*_3(τ)^bから生成される
(2n=4a+6b)

195:132人目の素数さん
20/12/27 20:06:44.71 zL5BD4YR.net
>>185
■定義5.6
f(τ)をSL2(Z)に関するモジュラー形式とする
f(τ)のFourier展開が
f(τ)=Σ(n=1~∞)c_n q^n (c_n∈C)
となるとき、f(τ)は尖点形式(cusp form)であるという
SL2(Z)に関する重さkの尖点形式全体のなす集合S_kは
M_kの部分集合になる
g*_2(τ)、g*_3(τ)は各々、重さが4、6のモジュラー形式であるので
g*_2(τ)^3、g*_3(τ)^2は重さ12のモジュラー形式である
したがって、
Δ*(τ)=g*_2(τ)^3 - 27 g*_3(τ)^2
は重さ12のモジュラー形式であり、
補題5.13より尖点形式であると示される

196:132人目の素数さん
20/12/27 20:07:19.39 zL5BD4YR.net
>>185
■定義5.7
f(τ)をHの有理型関数とする
f(τ)が次の条件を満たすとき
f(τ)は群SL2(Z)に関するモジュラー関数であるという
1)任意の
g=
(a b)
(c d)∈SL2(Z)
に対して
f((aτ+b)/(cτ+d))=f(τ)
が成立する
2)f(τ)のFourier展開は
qの負ベキの項を有限個しか含まない
つまり、ある整数mが存在して
f(τ)=Σ(n=m~∞)c_n q^n (c_n∈C)
J(τ)は群SL2(Z)に関するモジュラー関数である
条件1)を満たすことは補題5.14で
条件2)を満たすことは定理5.5で示される
モジュラー関数をつくるには、
重さの等しい二つの0でないモジュラー形式の比
をとればよい

197:132人目の素数さん
20/12/27 20:07:57.96 zL5BD4YR.net
★定理5.6
テータ関数θ00(0,τ)^2、θ01(0,τ)^2、θ10(0,τ)^2は
Γ4に関する重さ1のモジュラー形式である
ここで
Γ4={g∈SL2(Z)|a≣d≣1,b≣c≣0 mod 4}
g=
(a b)
(c d)

198:132人目の素数さん
21/01/02 07:36:26.39 s/vqANgV.net
新年あけましておめでとう
さて、正月は、楕円関数を使った5次方程式の解法について書きますか

199:132人目の素数さん
21/01/02 07:36:50.31 s/vqANgV.net
5次方程式
x^5+a1x^4+a2x^4+a3x^2+a4x+a5=0
を考える
上記の方程式に対して、
Tschirnhausen変換
y=α0+α1x+α2x^2+α3x^3+α4x^4
をほどこし、
y^5+b1y^4+b2y^3+b3y^2+b4y+b5=0
なる方程式をつくる
ここでbi(1≦i≦5)はα0,α1,α2,α3,α4のi次斉次式である
☆補題6.1
nを3以上の整数とする
B(x0,x1,x2,…,xn)を体K上に係数を持つ2次斉次式とする
このとき、次の条件を満たす体Kの拡大K⊂L⊂M、及び
Pn上の点[u0,u1,u2,…,un]、[v0,v1,v2,…,vn]が存在する
1)L/K,M/Lは高々2次拡大である
2)(u0,u1,u2,…,un)、(v0,v1,v2,…,vn)∈M^(n+1)
3)[u0,u1,u2,…,un]≠[v0,v1,v2,…,vn]
4)任意の複素数λ,μに対して
 B(λu0+μv0,λu1+μv1,…,λun+μvn)=0
●命題6.5
補題6.1の条件1)を満たすKの拡大体Mの3次拡大Nが存在して
bi(α0,α1,α2,α3,α4)=0 (1≦i≦3)
となる(α0,α1,α2,α3,α4)≠0をM^5の中に見つけることができる
★定理6.2
体Kに係数を持つ5次方程式
x^5+a1x^4+a2x^4+a3x^2+a4x+a5=0
が与えられたとする
2乗根、3次方程式、4乗根を解くことにより、
α0,α1,α2,α3,α4を決めて
Tschirnhausen変換
y=α0+α1x+α2x^2+α3x^3+α4x^4
により、与えられた5次方程式を
y^5+y+b=0
に変換することができる

200:132人目の素数さん
21/01/02 16:43:25.90 s/vqANgV.net
F(x,y)=x^6-y^6+5x^2y^2(x^2-y^2)-4xy(x^4y^4-1)=0
とおく
このとき
F(-(κ(5τ)^(1/4)),κ(τ)^(1/4))=0
が成り立つ(レベル5のモジュラー方程式)
そして
F(x,κ(τ)^(1/4))=(x+κ(5τ)^(1/4))Π(i=0~4) (x-κ((τ+16i)/5)^(1/4))
も成り立つ
体KをQ(κ(τ)^(1/4))とおくと
以下の1)、2)が成り立つ
1)多項式
 F(x,κ(τ)^(1/4))∈Q(κ(τ)^(1/4))[x]=K[x]
 はK上既約である
2)K係数の6次代数方程式
 F(x,κ(τ)^(1/4))=0
 の解は
 α_∞(τ)=-(κ(5τ)^(1/4)) α_i=κ((τ+16i)/5)^(1/4) (i=0~4)
したがって、体の拡大
 K(α_∞,α_1,α_2,α_3,α_4)/K
はGalois拡大で、そのGalois群は5次交代群A5である
A5には指数5の部分群Hが存在する
したがってHに対応する中間体Mをとれば
[M:K]=5である
一方K=Q(κ(τ)^(1/4))は一変数有理関数体Q(y)と同型であるので
拡大体M/Kは5次拡大の(あるいは5次方程式の)
1個のパラメータを含む族を与えている
5次方程式は1つのパラメータを含むBring_Jerrardの標準系
z^5+z+b=0
に帰着できるので、5次方程式の族M/Kを使って、
Bring_Jerrardの標準系が解けることが期待できる�


201:B



202:132人目の素数さん
21/01/03 06:01:20.88 5zDR5Xx2.net
体K(α_∞,α_1,α_2,α_3,α_4)の元r_i(0≦i≦4)を
次の式により導入する
r_0(τ)=(α_∞-α_0)(α_1-α_4)(α_2-α_3)κ(5τ)^(1/4)
r_1(τ)=(α_∞-α_1)(α_2-α_0)(α_3-α_4)κ(5τ)^(1/4)
r_2(τ)=(α_∞-α_2)(α_1-α_3)(α_0-α_4)κ(5τ)^(1/4)
r_3(τ)=(α_∞-α_3)(α_2-α_4)(α_1-α_0)κ(5τ)^(1/4)
r_4(τ)=(α_∞-α_4)(α_0-α_3)(α_1-α_2)κ(5τ)^(1/4)
r_iはK(√5)上5次方程式
x^5-2^4・5^3・κ^2(1-κ^2)^2x-2^6・5^(5/2)・κ^2(1-κ^2)^2(1+κ^2)=0
の解である
変換
x=(-2^4・5^3・κ^2(1-κ^2)^2)^(1/4)z
により上記の5次方程式は
z^5+z-(2・5(-5/4)・(1+κ^2(τ)))√(-1)/√(κ(τ))(1-κ^2(τ))
に変換される

203:132人目の素数さん
21/01/03 16:10:15.49 5zDR5Xx2.net
>>192 
r_i(0≦i≦4)の定義式中の
κ(5τ)^(1/4)を
κ(τ)^(1/4)に
に訂正の上 再掲
---
体K(α_∞,α_1,α_2,α_3,α_4)の元r_i(0≦i≦4)を
次の式により導入する
r_0(τ)=(α_∞-α_0)(α_1-α_4)(α_2-α_3)κ(τ)^(1/4)
r_1(τ)=(α_∞-α_1)(α_2-α_0)(α_3-α_4)κ(τ)^(1/4)
r_2(τ)=(α_∞-α_2)(α_1-α_3)(α_0-α_4)κ(τ)^(1/4)
r_3(τ)=(α_∞-α_3)(α_2-α_4)(α_1-α_0)κ(τ)^(1/4)
r_4(τ)=(α_∞-α_4)(α_0-α_3)(α_1-α_2)κ(τ)^(1/4)
r_iはK(√5)上5次方程式
x^5-2^4・5^3・κ^2(1-κ^2)^2x-2^6・5^(5/2)・κ^2(1-κ^2)^2(1+κ^2)=0
の解である
変換
x=(-2^4・5^3・κ^2(1-κ^2)^2)^(1/4)z
により上記の5次方程式は
z^5+z-(2・5(-5/4)・(1+κ^2(τ)))√(-1)/√(κ(τ))(1-κ^2(τ))
に変換される

204:132人目の素数さん
21/01/03 16:11:23.28 5zDR5Xx2.net
一般の5次方程式はBring_Jerrardの標準型
z^5+z+b=0
に帰着できる
標準型の方程式は以下の方法で解ける
1)b=-(2・5(-5/4)・(1+κ~^2))√(-1)/√κ~(1-κ~^2)
となるκ~を求める
上記は4次方程式を解くことで実行できる
2)楕円曲線
 C:y^2=(1-x^2)(1-κ~^2x^2)
 C上の第一種積分
 ξ=dx/y=dx/√(1-x^2)(1-κ~^2x^2)
 の周期
 K =∫[0,1] dx/√(1-x^2)(1-κ~^2x^2)
 K'=∫[1,κ~] dx/√(1-x^2)(1-κ~'^2x^2)
 を求める
 (κ~'^2=1-κ~^2である)
 
 τ~=√(-1)K'/K
 (κ~=θ10^2(0,τ~)/θ00^2(0,τ~))
 である
したがって
α_∞=-(κ(5τ~)^(1/4)) 
α_i =κ((τ~+16i)/5)^(1/4) (i=0~4)
β =κ(τ~)^(1/4)
として
r_0(τ~)=(α_∞-α_0)(α_1-α_4)(α_2-α_3)β
r_1(τ~)=(α_∞-α_1)(α_2-α_0)(α_3-α_4)β
r_2(τ~)=(α_∞-α_2)(α_1-α_3)(α_0-α_4)β
r_3(τ~)=(α_∞-α_3)(α_2-α_4)(α_1-α_0)β
r_4(τ~)=(α_∞-α_4)(α_0-α_3)(α_1-α_2)β
は、標準型の5次方程式の解である

205:132人目の素数さん
21/01/03 16:17:59.10 xDjQDL3i.net
楕円関数ってどこまでが楕円関数って見なされるの?
sn,cn,dnが楕円関数なのは分かるけど。
amとかテータ関数も楕円関数?

206:132人目の素数さん
21/01/03 16:29:50.13 5zDR5Xx2.net
参考
超冪根
URLリンク(ja.wikipedia.org)
1858年に、シャルル・エルミートは楕円超越函数を用いた最初の一般五次方程式の解法を発表した
(同時期にフランチェスコ・ブリオッシとレオポルト・クロネッカーもまた同値な解法を得ている)。
エルミートは、既によく知られていた三次方程式に対する
三角函数を用いた解法を一般化する形でこの解法に到達し、
ブリング–ジェラード標準形
x^5-x+a=0
に対する解を求めた
(一般の五次方程式は、チルンハウス変換でこの標準形に帰着できる)。
エルミートは三次方程式における三角函数の役割を、
ブリング–ジェラード標準形の方程式において果たすのが
楕円函数であることを観察したのである。
このような取り扱いは、冪根を一般化する過程とみることもできる。
冪根が
(n)√x=exp((1/n)ln x)
あるいはもっと明確に
(n)√x=exp((1/n)(∫[1,x] dt/t))
と表せることに注意すると、エルミート–クロネッカー–ブリオッシの方法は、
本質的にはこの式に現れる指数函数 exp を楕円モジュラー函数で、
同じく積分 ∫[1,x] dt/t を楕円積分で、それぞれ置き換えるものである。
クロネッカーはこの一般化すら
任意の高次方程式に適用できる一般定理の
特別の場合に過ぎないものと考えていた。
そのような一般定理はトマエの公式と呼ばれ、完全な記述は1984年に梅村浩によって与えられた。
それは、上記の式の exp(あるいは楕円モジュラー函数)のところをジーゲル・モジュラー形式で、
積分のところを超楕円積分で、それぞれ置き換えるものになっている。

207:132人目の素数さん
21/01/03 16:32:49.93 5zDR5Xx2.net
>>196
トマエの公式



208:Thomae's formula https://en.wikipedia.org/wiki/Thomae%27s_formula



209:132人目の素数さん
21/01/03 16:39:12.91 5zDR5Xx2.net
>>195
楕円関数とは二重周期関数です
テータ関数は二重周期関数ではないので、楕円関数ではありません
しかしながら、>>147で定義したように
楕円関数は2つのテータ関数の比として表すことができます

210:132人目の素数さん
21/01/03 16:43:25.69 5zDR5Xx2.net
>>195
なお、振幅関数amも二重周期性を持たないので楕円関数ではないそうです
(二重の擬周期性は有するとのこと)
URLリンク(math-functions-1.watson.jp)

211:132人目の素数さん
21/01/03 17:31:20.02 xDjQDL3i.net
ありがとうございます。
ヤコビとワイエルシュトラス以外にも楕円関数はあるんですね。
ガウスの楕円関数とかディクソンの楕円関数とかはじめて知りました。

212:132人目の素数さん
21/01/07 09:03:51.95 pUVJB/om.net
偏極アーベル多様体の例が分からない

213:132人目の素数さん
21/01/07 18:35:35.88 o0OybuXM.net
曲線のヤコビアン

214:132人目の素数さん
21/01/19 11:36:53.36 X0mC3/pQ.net
(  ̄ー ̄)/C□☆□D\( ̄ー ̄ ) ヤコビヤーン

215:132人目の素数さん
21/01/31 13:09:57.17 k9whl64h.net
>>146
ご苦労さん
だがね
それは、例のスレにもっと早く書くべきことだろうよ( スレリンク(math板:52番)
ほとんど無価値な、本からの定理のみの写経じゃなくてさ

216:132人目の素数さん
21/01/31 13:12:06.83 k9whl64h.net
>>204
誤爆スマン

217:132人目の素数さん
21/02/01 06:23:20.11 ZFsykc4D.net
今月からMumford「代数曲線とヤコビ多様体」の中の
「ヤコビ多様体とテータ関数の起源」を読む

218:132人目の素数さん
21/02/01 06:27:42.10 ZFsykc4D.net
ヤコビ多様体の発端はアーベルとヤコービによる、xの多価代数関数fの積分
 I=∫f(x)dx
の研究にある 
上記のfは
 g(x,f(x))≣0 gは2変数多項式
の解である
したがってIは
 I=∫[γ]ydx
と書くことができる。
ここでγは平面曲線g(x,y)=0上の積分路である

219:132人目の素数さん
21/02/01 06:40:57.75 ZFsykc4D.net
主結果は、>>207の積分が常に加法定理をみたすことである
すなわち、ある整数gが存在してa_0を起点とし
a_1,…,a_(g+1)を、平面曲線Cの任意の点とすると、
{a_k}から有理的な方法でb_1,…,b_g∈Cが順番を除いて定まり
 ∫[a_0,a_1]ω+…+∫[a_0,a_(g+1)]ω≣∫[a_0,b_1]ω+…+∫[a_0,b_g]ω mod{∫ωの周期}
となる
たとえば、C=P^1、ω=dx/xのときは、g=1となり
 ∫[1,a_1]dx/x+∫[1,a_2]dx/x=∫[1,a_1*a_2]dx/x
が成り立つ
繰り返すことにより、すべての
a_1,…,a_g,b_1,…,b_g∈Cに対して
有理的な方法で、順番を除いて定まる
c_1,…,c_g∈Cが存在して
 Σ[i=1~g]∫[a_0,a_i]ω + Σ[i=1~g]∫[a_0,b_i]ω = Σ[i=1~g]∫[a_0,c_i]ω (mod 周期)
が成り立つ
上記は諸定理の中でも最も古典的な結果であり
ほんのわずかな補強だけで非常に現代的な形で再定式化できる

220:132人目の素数さん
21/02/01 07:16:47.72 ZFsykc4D.net
代数群Gの定義
Gが代数多様体であり、かつ、
群の積m:G×G→G と
逆元i:G→G が
代数多様体の間の射になるようなもの
上記のGは自動的に複素解析的なLie群になる
したがってそのLie環 Lie(G) と
指数写像exp:Lie(G)→Gがある

221:132人目の素数さん
21/02/01 07:26:43.09 ZFsykc4D.net
アーベルの定理の言いかえ
Cvを代数曲線とし、
ωをCv上の有理微分とするとき
多価の関数
a→∫[a_0,a] ω
が以下の三


222:つの関数に分解する φ:Cv-(ωの極) → J exp:Lie J → J l:Lie J → C ただし 1)Jは可換代数群 2)lはLie J からCへの線型写像 3)φは代数多様体の間の射であって、実際にg=dim J のときは  φをJの加法により拡張して  φ(g):[(C-ωの極)×…×(C-ωの極)/順序の置換S_g]→J  とすると、φ(g)が双有理射、すなわちあるザリスキ開集合間の同型射になる



223:132人目の素数さん
21/02/01 07:33:52.57 ZFsykc4D.net
>>210
Cv=P^1,ω=dx/xのとき、J=P1-(0,ω)となる
またφは恒等射である
要点はJが2つのg組(a_1,…,a_g)と(b_1,…,b_g)を「足して」
第3の組(c_1,…,c_g)を作ることを実現する対象物であり、
そのとき積分Σ[i=1~g] I(x_i)がJからGへの準同型になることである

224:132人目の素数さん
21/02/01 07:43:45.30 ZFsykc4D.net
ωのうちで最も重要なのは第1種微分、すなわち極をもたないものである
これらを一斉に積分すると最も重要なJ、つまりヤコビ多様体を得る
これをJacと書く
Jacは>>210の性質3)よりコンパクトな可換代数群、
つまり複素トーラスでなければならないことがわかる。
これは φ:Cv→Jac から引き起こされる
4) φ*:E→R_1(Cv) 
 (EはJac上の平行移動不変な1形式μの集合、
  R_1(Cv)はCv上の極を持たない有理微分ωの集合)
が双射になるように設定する
こうして
 dim Jac=dim R_1(Cv)=Cの種数g
となる

225:132人目の素数さん
21/02/01 16:38:37.92 ZFsykc4D.net
ヤコビ多様体を真に有効なものにしているのはテータ関数である
Jac上の関数論を展開する理由が3つある
a)Jac上の射影空間への埋め込みを与え、
 したがって代数構造やモジュライ構造などの理解が深まる
b)Jacの群構造が関数論に面白い仕方で反映しているかもしれない
c)Jac上の関数をS"g(=Cv×…×Cv/S_g)に引き戻し、
 さらにCv上に引き戻した関数の興味深い展開式が得られ
 例えばリーマン・ロッホの定理の証明に使える

226:132人目の素数さん
21/02/01 16:39:52.61 ZFsykc4D.net
ヤコビ多様体を真に有効なものにしているのはテータ関数である
Jac上の関数論を展開する理由が3つある
a)Jac上の射影空間への埋め込みを与え、
 したがって代数構造やモジュライ構造などの理解が深まる
b)Jacの群構造が関数論に面白い仕方で反映しているかもしれない
c)Jac上の関数をS~g(=Cv×…×Cv/S_g)に引き戻し、
 さらにCv上に引き戻した関数の興味深い展開式が得られ
 例えばリーマン・ロッホの定理の証明に使える

227:132人目の素数さん
21/02/01 16:47:01.28 ZFsykc4D.net
Jac=C^g/L と書き
C^g上のL周期的な有理型関数を構成する代わりに、
L保型な整関数fを求める すなわち
 f(x+α)=e_α(x)f(x) α∈L x∈C^g
 {e_α}={保形因子}
 (保形因子とはC^g上の整関数であって
  e_(α+β)(x)=e_α(x+β)e_β(x)
  を満たし、いたるところで零でないもの)

228:132人目の素数さん
21/02/01 16:50:51.87 ZFsykc4D.net
同じことであるが、保型関数fはJac上の直線束L{e_α}の正則切断のことであり、
このような二つのfの商は常にL周期的になることは明らかである
最も単純な{e_α}としては
 e_α(x)=e^(B(x,α)+c(α)) Bは双線型
がある

229:132人目の素数さん
21/02/01 16:55:17.88 ZFsykc4D.net
g>=2のときは、大部分の複素トーラスC^g/Lは、
その上に定数以外の有理形関数が全く存在せず、代数多様体にすらならない
しかも{e_α}は自明なものしかない
ところが曲線Cvの場合、何か特別なことが起こる
Bの候補になる双線型写像を見つけよう

230:132人目の素数さん
21/02/01 17:02:18.04 ZFsykc4D.net
Cv上の極を持たない有理微分の全体R_1(Cv)には
以下の正定値エルミート形式が存在する
 (ω1,ω2)=∫[Cv] ω1∧ω2~
したがって 、その双対空間であるJacの普遍被覆空間C^g上にも
エルミート形式が存在する これをHと書く

231:132人目の素数さん
21/02/01 17:05:35.49 ZFsykc4D.net
ところでH_1(Cv,Z)には、交点形式から引き起こされる
以下の整数値の歪対称形式がある
 E:H_1(Cv,Z)×H_1(Cv,Z)→Z
同型H_1(Cv,Z)≣Lがあるから、
Lにも上記のEがある

232:132人目の素数さん
21/02/01 17:11:24.93 ZFsykc4D.net
>>218-219
HとEの関係
 ∀x1,x2∈L.E(x1,x2)=Im H(x1,x2)
上記が成り立つ場合は(ほぼ標準的な){e_α}の選び方がある
すなわち
 e_α(x)=±e^(π[H(x,α)+(1/2)H(α,α)])

233:132人目の素数さん
21/02/01 17:15:32.47 ZFsykc4D.net
定理
C^g上に正定値エルミート形式Hが存在し、
L上でE=Im Hを満たす整数値歪対対形式Eが存在することは、
複素トーラスC^g/L上にg個の代数的独立な有理形関数が存在するための
必要十分条件である
上記の関数があるとき、C^g/Lはある射影空間P^nに埋め込める
したがって射影代数多様体になる

234:132人目の素数さん
21/02/01 17:32:00.82 ZFsykc4D.net
今日はここまで

235:132人目の素数さん
21/02/01 18:39:11.01 jAbburBz.net
tata lectures on theta1, 2

236:132人目の素数さん
21/02/02 19:20:09.14 rITzWOgb.net
複素トーラスは簡単にはP^nに埋め込めない
埋め込みの存在は>>220の関係式
 ∀x1,x2∈L.E(x1,x2)=Im H(x1,x2)
の成立が前提である
そこで位数nのテータ関数を定義する
それはC^g上の整関数fであって
f(x+α)=(±e^π[H(x,α)+(1/2)H(α,α)])^n*f(x)
を満たすものである
上記のf全体のなす空間をS_nとする
このときS=ΣS_nは次数環で
dim S_n=n^g (n>=1)
が導かれる
特に1位のテータ関数が定数倍を除いて丁度1つある
この重要な関数をθと書き、リーマンのテータ関数と呼ぶ

237:132人目の素数さん
21/02/02 19:24:07.90 rITzWOgb.net
>>224
n>=3のとき、S_nの基底をψ_1,…,ψ_(n^g)とすると
以下の定理が得られる
レフシェッツの埋め込み定理
C^g/Lは
 x→(ψ_1,…,ψ_(n^g))=Ψ_n(x)
によりP^((n^g)-1)に埋め込まれる

238:132人目の素数さん
21/02/02 19:34:29.06 rITzWOgb.net
全てのβ∈C^gに対して
 (T_β f)(x)=f(x+β)
と定義し、いたるところ零ではない正則関数eに対して
 (U_e f)(x)=e(x)f(x)
と定義する
以下の補題が成立する
1)任意のβ∈C^gに対して、
 U_e T_β S_n=S_nとなるようなeが存在するための必要十分条件は、
 β∈(1/n)Lである。
2)各β∈(1/n)Lに対して上で定まるe(β)を選ぶとき、
 β→U_e(β)・T_βは、(1/n)L/LのS_nへの射影表現を定義する
 この表現は既約である

239:132人目の素数さん
21/02/02 19:39:50.88 rITzWOgb.net
C^g/Lはアーベル群であるにも関わらず
関数論的には次元が1より大きな既約表現が
沢山あることは注目に値する
実は、これらは有限2階ベキ零群G_nの通常表現である
 1→Z/nZ→G_n→(1/n)/n→1
これらはベキ零リー群
 1→R→G→V+V^→1 (V=実ベクトル空間)
に類似の性質を持つ
このリー環はハイゼンベルクの交換関係の代数である

240:132人目の素数さん
21/02/02 19:47:56.95 rITzWOgb.net
>>226の補題から多くの結果を得ることができる

1)埋め込み写像Ψ_nにおいて、βによるC^g/Lの平行移動が
線型変換P^((n^g)-1)→P^((n^g)→1)に延長できるための
必要十分条件は、β∈(1/n)L/Lとなることである
2)対応する有限群G_nの生成元の選び方の不定性を除けば
S_nの特別な基底が定数倍を除いて定まる
したがって、射影変換により
 Ψ_n:C^g/L→P^((n^g)-1)
を正規化することができる
この正規化において、β∈(1/n)L/による平行移動の
Ψ_n(C^g/L)への作用は具体的なn^g×n^g行列の
集まりによって与えられる

241:132人目の素数さん
21/02/02 20:00:38.04 rITzWOgb.net
基底をより具体的に表すため、θ∈S_1から始めよう
 E(φ(n,m),φ(n',m'))=<n,m'>-<m,n'>
になるようなφ:Z^g×Z^g→Lを決め、φをQ^g×Q^g→L○×Qに延長する
このときn=m^2ならば、S_(m^2)の典型的な特別基底は次の形になる
θ[α β](x)=[e]・θ(mx+φ(α,β))
但し、α,βは(1/m)Z^gのmod Z^gの代表系を動くものとする
したがって
 x→(…,θ[α β](x),…)
が、C^g/Lの正規化された射影埋め込みである

242:132人目の素数さん
21/02/02 20:05:14.49 rITzWOgb.net
要約
 共に素朴な等質空間である複素多様体C^g/LとP^nをとり
 Ψ_nを仲人として結婚させると、できた子供は
 非常に非対称的で複雑な関数θ[α β](n^g=m^2g個)になるのである

243:132人目の素数さん
21/02/02 20:09:25.58 rITzWOgb.net
>>224-230でg=1とすると
>>107-118となる

244:132人目の素数さん
21/02/02 20:16:18.19 rITzWOgb.net
今日はここまで

245:132人目の素数さん
21/02/02 23:25:15.51 qWkN2Tvo.net
Torelliの定理を示せば、曲線がそのJacobi多様体で決定することが分かる
よって、複素トーラスのモジュライ(Siegel upper half-spaceをシンプレクティック群で割ったもの)から、非特異射影曲線が完全に分類される
あ、g = 0のときは射影直線な

246:132人目の素数さん
21/02/03 11:22:33.47 XFPBjgpf.net
>>233
そこはその次の
「トレリの定理とショットキー問題」
で出てくるので もうちょっと待ってくれ

247:132人目の素数さん
21/02/03 11:23:08.62 XFPBjgpf.net
C^g/Lが曲線Cvのヤコビ多様体のとき、
C^g/L上の関数をCvに引き戻すと



248:何が得られるか見る 次の基本関数を考察する  E_e(x,y)=θ(∫[x,y]ω→-e→) e→∈C^g ω→はR_1(Cv)の基底{ωi}を並べたもの yとe→を固定すると上記の関数はCv上の多価関数となり、 一周する経路に沿って解析接続したとき  e^(∫[x,y]ω+定数) の倍数だけ変わる



249:132人目の素数さん
21/02/03 11:23:59.23 XFPBjgpf.net
>>235
E_eを用いて、Cv上の有理関数fの以下のような一意分解性が示せる
 a_i=fの零点
 b_i=fの極
とすると(あるω∈R1(Cv)により)以下が成り立つ
 f(x)=e^(∫* ω)(Π(i) E_e(x,ai))/(Π(i) E_e(x,bi))
上記の分解式はP^1の有理関数の分解式
 f(x)=C・(Π(i) (x-ai))/(Π(i) (x-bi))
の種数が高い場合の類似である

250:132人目の素数さん
21/02/03 11:26:11.59 XFPBjgpf.net
>>236
このE_eを用いるとCv上の微分(形式)で種々の極をもつものを記述できる
例えば
 (∂/∂x) log(E_e(x,a)/E_b(x,b)) dx
は、a,bのみで位数1の極をもち、留数がそれぞれ1,-1となる、Cv上の有理1形式であり、
 ((∂^2/∂x∂y) log(E_e(x,y)))|(y=a) dx
はx=aのみで位数が2の極をもち、他には極をもたない、Cv上の有理1形式である

251:132人目の素数さん
21/02/03 11:45:21.54 U8q+JTkX.net
コンパクト複素多様体の場合、その上に異なる複素構造がどのくらい入るかは分かって、複素構造の同型類は
H^1(X, TX)
の元に1対1に対応する(TXはXのholomorphic tangent bundleの切断の層)。たとえば一次元なら、Riemann-RochとSerre双対性を使って、このベクトル空間の次元は簡単に計算できる。すなわち
H^1(X, TX)
~ H^0(X, ω⊗TX*) (ωは標準層、TX*はTXの双対)
~ H^0(X, ω^⊗2)
~ H^0(X, OX(2K)) (Kは標準因子)
gをXの種数として
deg(K) = 2g - 2
χ(D) = 1 - g + deg(D)
なので、
dim(H^0(X, OX(2K))) = 1 - g + (4g - 4) + dim(H^1(X, OX(2K)))
H^1(X, OX(2K)) ~ H^0(X, OX(K - 2K))
deg(-K) < 0だから、これは0。
∴ dim(H^1(X, TX)) = 3g - 3。

252:132人目の素数さん
21/02/03 12:04:52.77 U8q+JTkX.net
一番簡単なのは、代数幾何でいうアファイン多様体、複素幾何でいうStein多様体の場合
この場合はもちろんH^1 = 0だから、複素構造の同型類は1つしかない

射影空間も変形できない
H^1(P^n, T)
~ H^(n-1)(P^n, ω^⊗2)
~ H^(n-1)(P^n, O(-2(n+1)H)) (Hは超平面)
~ 0

253:132人目の素数さん
21/02/03 12:49:03.82 XFPBjgpf.net
>>238
>コンパクト複素多様体の場合、
>その上に異なる複素構造がどのくらい入るかは分かって、
>複素構造の同型類は
>H^1(X, TX)
>の元に1対1に対応する
>(TXはXのholomorphic tangent bundleの切断の層)
H^1(X, TX)って線型空間ですよね?違う?

254:132人目の素数さん
21/02/03 13:34:08.73 w3rkWE4x.net
>>240
違わない

255:132人目の素数さん
21/02/03 15:26:36.83 XFPBjgpf.net
>>241
つまり、コンパクト複素多様体の複素構造のモジュライ空間は線型空間になる、と言ってる?

256:132人目の素数さん
21/02/03 15:55:26.79 YLHw9PTJ.net
>>242
違うけど

257:132人目の素数さん
21/02/03 16:12:02.37 ByqtypZk.net
聞いてる方が明らかに答え知ってるやん
すなおに違うんですか?って聞けばいいのに

258:132人目の素数さん
21/02/03 16:16:36.92 XFPBjgpf.net
>>243
あれ?
「複素構造の同型類はH^1(X, TX)の元に『1対1』に対応する」
んですよね?

259:132人目の素数さん
21/02/03 16:20:01.61 XFPBjgpf.net
>>244
もし、>>238の文章が
「複素構造の同型類の空間の次元はH^1(X, TX)の次元と等しい」
だったら、何も言わなかったんですけどね

260:132人目の素数さん
21/02/03 16:33:56.68 RvrMcGZb.net
可算集合は常にQとの間に1対1対応があるわけだが、それを以って任意の可算集合が体であると主張する人を俺は知らない

261:132人目の素数さん
21/02/03 16:59:04.88 XFPBjgpf.net
そもそも


262:複素構造の同型類からH^1(X, TX)への自然な1対1対応って作れるの?



263:132人目の素数さん
21/02/03 17:15:59.87 RvrMcGZb.net
小平"複素多様体論"の4章
小平"複素多様体と複素構造の変形1"(URLリンク(www.ms.u-tokyo.ac.jp)
やってることは局所座標の貼り合わせ写像にパラメータをつけて微分したら、チェインルールで出てきた係数がTXのČech 1-cocycleになるので、あとは同じコホモロジー類に属する条件を計算するだけ。
Sernisi "Deformations of Algebraic Schemes"の1章
こっちはそれのスキーム版。

264:132人目の素数さん
21/02/03 17:21:15.20 XFPBjgpf.net
>>249
完全な1対1対応は作れるの?

265:132人目の素数さん
21/02/03 17:22:38.96 RvrMcGZb.net
完全な1対1対応って何?

266:132人目の素数さん
21/02/03 17:25:58.01 XFPBjgpf.net
>>238の「複素構造の同型類はH^1(X, TX)の元に1対1に対応する」は
全く何の嘘偽りもなく実現できるの?

267:132人目の素数さん
21/02/03 17:30:56.69 XFPBjgpf.net
例えば
局所的にn次元のユークリッド空間と同相だからといって
大域的にもn次元のユークリッド空間と同相、とはいえないよね?

268:132人目の素数さん
21/02/03 17:31:15.80 RvrMcGZb.net
自分で確かめたらいいんじゃないかな

269:132人目の素数さん
21/02/03 17:31:46.56 RvrMcGZb.net
ここでいう同型類って無限小変形のことでしょ?

270:132人目の素数さん
21/02/03 17:33:20.89 XFPBjgpf.net
>>254
あなたは確かめた上で
「複素構造の同型類はH^1(X, TX)の元に1対1に対応する」 つまり
「H^1(X, TX)は複素構造の同型類のモジュライ空間だ」 と言い切ってる?

271:132人目の素数さん
21/02/03 17:35:12.98 XFPBjgpf.net
>>255
>ここでいう同型類って無限小変形のことでしょ?
じゃ、はじめにそういわなきゃ


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