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[ワールドビュー]中国先行のAI 曲がり角…編集委員 石黒 穣 読売 2020/09/20
昆虫は、ピンの先ほどの小さな脳で多彩な行動をコントロールしている。
空や地面を動き回ってエサを探し、危険を察知すれば巧みに身をかわす。メスのフェロモンを頼りに隣町から飛来するオスもいる。
「何億年もの進化の過程で、多様な環境を生き抜く問題解決能力を手に入れたのが昆虫だ。AI(人工知能)でも難しいことをたやすくやってのける」
東大先端科学技術研究センター所長の神崎亮平教授は、敬意を込めて言う。
とりわけ昆虫が優れているのは、自然の様々な状況に対応するノウハウを誰からも教わらずに備えている点という。
対照的に、AIでは人間が答えを与えないと始まらない。正解データを大量に入力してAIを鍛える手法は、今日のAIブームを支える中核技術の深層学習(ディープラーニング)の特徴でもある。
たとえば自動運転では、カメラに映る画像から歩行者や信号、対向車を識別するのに深層学習が使われる。まず何千枚、何万枚もの画像を用意し、映っているのが人なら人、車なら車、バイクならバイクと印をつけて、AIに学習させていく。1枚ごとに向きや姿勢、服装がまちまちの人が映る画像を大量に学習させれば、どんな向きや姿勢でも人を人と識別できるようになる。
AIに教え込むこの工程は、実は単純な手作業だ。パソコンをずらりと並べて人海戦術で行われることが多い。データ工場と呼ばれ、中国の地方都市などで続々と誕生している。
この深層学習が先導してきたAI開発が曲がり角を迎えているといわれる。
国立情報学研究所の山田誠二教授は「AIの大きな弱点は常識を学べないことだ。深層学習では克服できない」と語る。
常識とはしていいこと、いけないことを見極める能力だ。たとえば木の枝に腰掛けているとき、幹の近くをノコギリで切れば自分も一緒に落っこちる。人にとっては当たり前でも、機械に理解させるのは至難という。そんなレベルでは暴走が心配だ。先頭を行く中国は暴走を防ぐ手立てを用意しているだろうか。
世界では、深層学習の限界を踏まえた次の新技術を探る動きが盛んだ。日本が巻き返すチャンスもありそうだ。ちっぽけなサイズでAIにも劣らない昆虫の脳もヒントになる。