20/08/31 16:42:24.77 o86d3Fhu.net
>>54
つづき
背景
代数多様体は、局所的には多項式の共通なゼロ点として定義され、複素数上の多項式は正則函数でもあるので、C 上の代数多様体は解析空間と解釈することもできる。同様に、多様体間の正規写像は解析空間の間の正則写像と解釈することができる。少し驚くべきことであるが、しばしば、解析的対象を代数的な方法で解釈することも可能である。
例えば、リーマン球面からリーマン球面自身への解析函数は、有理函数か、もしくは恒等的に無限大の函数であることが容易に証明できる(リウヴィルの定理の拡張として)。もしそのような函数 f が定数ではないとすると、f(z) が無限遠点となるような z の集合は孤立していて、リーマン球面はコンパクトであるから、高々有限個の z しか f(z) の値が無限大にならない。そのような z のあらゆる点でのローラン展開を考え、特異点を取り除くと、C 上に値を持つリーマン球面上の函数は、リウヴィルの定理により、定数函数しか残らない。このようにして f は有理函数となる。この事実は、代数多様体として、複素射影直線とリーマン球面との間には本質的な差異は存在しないことを示している。
重要な結果
代数幾何学と解析幾何学の間の比較の結果は、長い歴史を持っている。19世紀に始まり現在まで続いている。より重要な結果をここに時系列で記載する。
リーマンの存在定理
レフシェッツの原理
周の定理
GAGA
GAGAの公式ステートメント
少し一般性は低くなるが、GAGAの定理は、複素多様体 X の上の代数的連接層の圏と対応する解析空間 Xan の上の解析的連接層の圏が、圏同値であることを言っている。解析空間 Xan は、大まかには、座標変換(the coordinate charts)を通して Cn から決まる複素構造を X へ引き戻すことによって得られる。実際、この方法で定理を言い換えることはセールの論文の精神に近く、上記の公式のステートメントを使うことでその重要さが分かるスキーム論は、GAGAの出版された当時はまだ理解されてはいなかった。
(引用終り)
以上