20/09/11 07:50:17.05 dt7uB+gp.net
>>325
つづき
P21
1.1.2.10 テンソルの座標変換による定義~テンソルの古典的定義
テンソルを成分の座標変換規則をもって定義することができる。こ
れがテンソルの古典的な定義である。
ベクトルは、1階のテンソルという言い方もできる。0階のテンソルをスカラーと呼ぶ。スカラーは、座標変換に対して変化しない。
[注意] 行列で書けるものは、何でもテンソルというわけではない。たとえば、上の座標変換の
行列 (Rij ) は、定義からしてテンソルではない。同様に、数であれば何でもスカラーとい
うわけではない。スカラーは座標変換に対して変化しない量を指すのだから、たとえば、
ベクトル v の第1成分の v1 のような量はスカラーではない。座標変換の際に変化してし
まうからである。
しかし、このベクトルやテンソルの定義は、数学屋さん的には少し気持ち悪い。というのは、
この定義で用いられている「成分」は、1.1.1.2 節でベクトルを説明するときに解説したように、
「見かけの量」だからである。言い換えると、定義に現れている数(成分)が座標系に依存して
いる。だから、数学的には成分を使わないで(座標系に依存しない形で)定義したい。それに、
上の「注意」で述べたような単なる行列とテンソルの区別も、成分で書くと同じように見える
ので紛らわしい。そこで、先のように線形写像で定義しておくのがスマートである。
とはいえ、上のように成分を用いた定義が良い点もある*注)10。ひとつは、スカラーやベクトル
がテンソルの一種ととらえられることがはっきり分かる点であり、もうひとつは、座標変換が
直接出ているので実用的である点である。
本当のことを言えば、ベクトルが矢印で表されるように、テンソルも図を使って表される何
かであると言いたい。でも、なかなか図では描け�