20/09/07 09:29:40.85 bE/6WhUJ.net
しかし、通常はこのような一般的すぎる積の代わりに
何らかの対称性を課した対称微分形式や交代微分形式がもちいられる。
いずれも、座標のとりかたによらない幾何学的な量を表すものであるが、
区別するためにも、このテンソル積の記号はあまり用いられない。
対称微分形式は、リーマン計量などを表現するときによく使われ、
テンソル積の記号は省略して書かれる。
dx2 といった形で指数にして表してしまうこともある。
リーマン計量は多様体上の各点での接ベクトルの大きさを定めるものであり、
局所的に線素の「長さ」を定めていることになる。
ガウスが曲面論で示したように、このような局所的な情報から、
多様体全体の形や大きさをかなりの程度知ることができる。
交代微分形式の方は、テンソル積の代わりに外積代数の積としての記号 ∧ を用い書かれる。
交代微分形式は、向きの与えられた幾何学的な量を表している。
dxi∧dxj=-dxj∧dxi
という関係式を満たし {dxk} の並ぶ順序の入れ替えに応じて符号が変わる
(対称微分形式では符号は変わらない)。
こういった符号の反転を内包させることによって
積分する変数の「向き」を捉えられることになる。
したがって微分形式の積分として得られる面積や体積などの量にも符号が導入され、
負の面積や負の体積といったものも現れるが、
そうすることによって重積分における座標変換の公式などが、
非常に簡明に計算できるようになる。
さらに交代微分形式の微分からド・ラーム・コホモロジーが得られ、
解析的な計算によって多様体全体の形を調べることができる。
特に何の指定も無い場合、(高次元の)微分形式というと、交代微分形式の方を指すことが多い。