20/09/06 12:33:22 rCjTzdM1.net
概要
X を成分が実数である2次の正方行列
(a b)
(c d)
とするとき、これは平面上の線型変換
x → ax + by
y → cx + dy
を定めている。
一方で平面における二つのベクトル u = (u0, u1), v = (v0, v1) について、
これらが張る平行四辺形の「向きも込めた」面積は
A(u,v)=u_0v_1-u_1v_0
によって指定される数だと考えることができる。
このとき A(X.u, X.v) = (ad - bc)A(u, v) が成り立っているが、
これは X の定める線型変換によって
平面内の図形の面積が (ad - bc)-倍される、と解釈できる。
したがって各2次正方行列 X に対し(上の記号の下で)
det X := ad - bc
を対応させると、
det(XY) = (det X)(det Y)
であることや、det X > 0 であるとき
X の定める変換は図形の向きを保ち、
反対に det X < 0 であるとき
図形の向きは反転させられることがわかる。
det の乗法性から X が可逆ならば
det X は逆数を持つ数であることが従うが、
反対に X が退化した行列(つまり X の定める変換の像が一次元の部分空間)
になる場合にはすべての図形の変換後の面積が 0 になることから
det X = 0 となることがいえる。
こうして行列 X が正則になることと X の行列式が可逆になることが
同値であるということがわかる。
同様にして一般の次数の正方行列 X に対し、
X の定める線型変換が図形の体積を何倍にしているかという量を
X の行列式として定義することができる。
これは行列の成分を変数とする多項式の形でかけ、二次の場合と同様に
これは正則性など正方行列の重要な性質に対する指標を与えている。
一次方程式系が与えられるとき、方程式の係数行列に対して
その行列式の値を調べることにより、方程式系の根の状態を
ある程度知ることができる。
特にクラメルの公式により、
根が一組である線型方程式系の根の公式が
行列式を用いて表示される。