20/06/27 13:04:25 jEjJjPRO.net
>>419
つづき
たとえば,関数 f : R → R の連続性は,各点ごとの近傍
において点列の収束やら ε-δ やらを使い定義されていた.
すなわち,ユークリッド空間における連続性とは局所的な概念であり,局所的な定義で事足りたのである.
開集合などという(どこか大域的なテイストをもつ)言葉は一切必要なかった.
数学者が上のような定義に到達した背景はよくわからないが,次のように順を追って考えると納得できるかもしれない.
3.5.1 距離空間における連続写像
1 次元関数の連続性. まず,もっとも素朴な 1 次元関数 f : R → R について連続性をおさ
らいしておこう.一般的なのは,つぎの ε-δ を用いる定義である:
関数 f : R → R が点 p ∈ R で連続であるとは,任意に小さい ε > 0 にたいしある δ > 0
が存在して,|x - p| < δ のとき |f(x) - f(p)| < ε が成り立つときをいう.
任意の p ∈ R において f が連続であるとき,単に f は連続であるという.
まず局所的に(各点において)連続性を定義して,それから全体の連続性を定義している
ことに注意しよう.
距離空間における連続性. これを踏まえて,連続性の定義を距離空間に拡張してみよう.
(S, d) および (S′, d′) を距離空間とする.また,(S, d) における p ∈ S 中心半径 r の開球を
B(p, r) で表し,(S′, d′) における q ∈ S
′ 中心半径 s の開球を B′(q, s) で表すことにする.
この記号の元で,
定義1(連続写像):写像 f : (S, d) → (S′, d′) が点 p ∈ S で連続であるとは,任意に小さ
い ε > 0 にたいしある δ > 0 が存在して,f(B(p, δ)) ⊂ B′
(f(p), ε) が成り立つときをいう.
また,任意の p ∈ S において f が連続であるとき,単に f は連続であるという.
R の距離を d(x, y) = d′
(x, y) = |x - y| と定め距離空間とみなせば,定義1は ε-δ 式の連続性の定義そのものである.
つづく