20/05/22 23:39:30 5PnvjTcG.net
「当時, Harvard大学では広中平祐教授を中心に代数幾何学関係のセミナーが,
同教授の心配りの下自由潤達な雰囲気の中で週1回定期的に開かれていた.
世界の拠点の 1 つとしてのHarvard 大学に相応しく, 同セミナーにも海外から
数多くの訪問者や滞在者が参加していた.
前回 Berkeley で開催された国際数学者会議で Mordell 予想解決により,
Fields 賞を授与された G. Faltings 氏(Princeton 高等研究所)も我々と同様滞在者の1人であり,
同氏と知り合いになれたのもこのセミナーを通じてであった.
1978 年の年の瀬も押し迫ったある夜半,Hart shorne 予想を解決できたので論文を見て欲しいと
森氏から電話連絡があった.
拝見した論文の最初の部分に, A.Grothendieck, Fondement de la geometrie algebrique,
の中のある内容をこの予想に必要な形に表現した部分多様体の変形に関する定理が示されてあった.
これを最初見た時, その必要性があまり良く分らなかったが,この定理を利用しての有理曲線の存在,
そして Hartshorne予想解決に向けて, 射影空間の直線に対応する有理曲線の見事な処理が示されていた.
彼の論文を一読したM. Artin 教授(M.I.T.)が水晶の如く明晰と称えたと言われる証明であった.」
すばらしい