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>>610 追加
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J-STAGE home/Kagaku tetsugaku/Volume 9 (1976)
様相 パラドックス 内井 惣七
(抜粋)
1 様相 と自己言及
7 算術 と必然的自己言及
(iii)言語の階層の区別を設ける.
ウソつきパラドックスおよび一般に意味論的パラドックスを解決する場合と
同様,述語アプローチを維持するためには,おそらくこれが最も妥当な解決策
であろう.
ただしこの場合には,様相概念を厳密に扱うためには,かなり強力
な論理の枠組(一種の高階述語算)を前提するわけであるから,様相論理の他
のアプローチと較べて論理的および哲学的により好ましいかどうかは,はなは
だ疑問である.
第二の方向に沿う解決策については,多くを述べる必要はあるまい.現代の
様相論理の体系はすべてこの方策にしたがっているからである.そしてクリプ
キが様相子としての必然性に,ペアノ算術における証明可能性などの解釈を与
えて意味論を展開したことも周知のことである.このアプローチでパラド
ックスが生じない理由は簡単である.すなわち,一つの論理結合子(日常言語
では副詞)としての必然性は,文に述語づけられない.したがって自分自身
の必然性や非必然性を主張する文は,様相子に加えて意味論的述語(例えば25
「真」)を援用しないかぎり構成できないのである.つまり様相子だけでは言
語の階層の区別を破る文は構成できない.それがこのアプローチでパラドック
スを回避できる理由である.
(引用終り)
以上