20/04/27 21:25:30 C+LmQa7Q.net
>>497
つづき
冒頭で体の標数の話を出しましたが、代数幾何や数論幾何で図形を考えるとき(=多項式を考えるとき)、その多項式の係数がどの標数の体のものかというのが重要になってきます。
つまり、標数0の体係数の多項式を考えているのか? それとも標数pの体係数の多項式を考えているのか? ということが大事になるということです。
ところがこれがパーフェクトイド空間の場合では標数0だろうと標数pだろうと関係ない(と言うと乱暴ですが、、、)という性質が発見されています。
もう少し言うと、パーフェクトイド空間の世界では標数0の体と標数pの体を同じものとして扱うことができると言うことがScholzeによって証明されています(これはTilting対応と呼ばれています)。
このTilting対応を使うことで今までよりもずっと簡単に、広くコホモロジーを調べることが可能になりました。
パーフェクトイド空間の理論は非常に有用で、Scholzeはパーフェクトイド空間を導入した論文(博士学位論文)で、長年未解決だったウェイト・モノドロミー予想を(部分的に)解決しています。
また、数論幾何の主要な研究対象で、種々のコホモロジーの比較を研究する(整)p進Hodge理論と呼ばれるの分野でも目覚ましい応用が見出されています。
当ブログのこちらの記事でも紹介したコホモロジーの統一(モチーフの理論)においても、パーフェクトイド空間の理論を発展させたプリズム理論(Prismatic cohomology)が生まれるなど、現代数学の最先端を担う理論として注目を浴びています。
(引用終り)
以上