19/12/12 11:17:21.24 iZa2yRQu.net
>>383
つづき
5. 幾何化予想の証明のあらすじ
定理 36 (グラフ多様体定理,塩谷・山口 [SY], cf. Perelman [Pe2, 7.4]) 以下を満
たす小さな正の数 v0 > 0 が存在する:向き付け可能な3次元閉リーマン多様体 (M, g)
の断面曲率が ?1 以上で体積 Vol(M, g) が v0 未満ならば,M の基本群 π1(M) は有限
であるか,M はグラフ多様体である.
Perelman による定理 36 の証明は未だ発表されていないが,塩谷・山口が同時期に
独立に証明した.
また,Perelman の3本目のプレプリント [Pe3] では,任意の正規化された単連結 3
次元閉リーマン多様体を初期値とする手術付きリッチフローは有限時間で必ず消滅す
ることが証明されている.これにより,手術付きリッチフローの長時間挙動の考察を
必要としないポアンカレ予想の比較的短い別証明が得られる.
以上が Perelman による幾何化予想とポアンカレ予想の証明のあらすじである.
6. おわりに
最後に,ポアンカレ予想に関連した現時点での未解決問題を挙げる.
問題 37 (4次元可微分ポアンカレ予想) 4次元球面 S
4 に同相な4次元可微分閉多様体
は S
4 に微分同相か?
一般に,2つの可微分多様体が同相でも微分同相とは限らない.実際,J. Milnor (1956)
が構成した異種球面 (exotic sphere) と呼ばれる 7 次元球面 S
7 に同相だが微分同相で
ない7次元多様体の例が知られている.
4 次元ポアンカレ予想,つまり「4 次元球面にホモトピー同値な 4 次元閉多様体は 4
次元球面に同相である」ことは M. Freedman (1982) により証明されているため,問
題 37 は「4 次元球面にホモトピー同値な 4 次元可微分閉多様体は 4 次元球面に微分同
相であるか?」と言い換えられる.この問題 ([石田]も参照) にリッチフローは有効で
あろうか?
(引用終り)
以上