19/05/16 12:14:51.43 MO+toz8o.net
>>635 メモ
これ、ちょっと古いけど貼る(^^;
これ、20年前か
URLリンク(kanielabo.org)
蟹江幸博+岡本和夫『数学教育TF--高校数学と大学数学の接点』三重大学教育学部紀要、第49巻、教育科学(1998), 97-113
蟹江幸博(三重大学教育学部数学教室)
岡本和夫(東京大学大学院数理科学研究科)
(抜粋)
3-2.数学は役に立つ
3-4.大学教養数学教育の位置
基礎体力があってこそ数学を楽しむことができる。 上述の可制御性と可観測性の双対性は,線形代数学という基礎体力があって,初めて理解でき,楽しいと思うことができるのである。 数学は思わぬところで使われる。
それもすぐにではなくて何年も経ってから役に立つことが少なくない。 1998年度の京都賞を受賞された伊藤清氏が第二次大戦中に発見した確率論的な微分方程式は,今では伊藤方程式と呼ばれている。
専門家には周知のものであったが,その後30年以上経ってから,世界的に確率論の専門家以外にも注目されるようになった。 この伊藤方程式は現在,数理ファイナンスの基礎方程式となっていて,確率論専攻の学生及び大学院生が銀行や証券会社をはじめとする諸企業から尊重されるという事態も生じている。
確率論専攻でなくても,数学科卒業生さらに修士課程修了者ならば数理ファイナンス関連の論文を理解することができる(はず)ということで,彼らの求人状況は良い。
この分野の博士課程修了者つまり博士号を得た人に対する求人すら,最近ではないわけではない。 「卒業して銀行に就職したいから数学は最低限でよいのです」では済まなくなっているのである。 新しい分野に進むためには,新しい基礎体力が必要なのである。
工学部に所属する同僚と教養数学教育について議論する場を繰り返してきたが,以前は学生の学力低下を教養教育で何とかカバーする工夫を求められることが多かった。
ところが最近では工学部や理学部などの専門学部でも高等学校までの数学教育についての認識が高くなったようであり,中等教育での数学教育に関する危機感が表明されることが少なくない。
そこで節を改めて,中等教育とくに高等学校での数学教育と大学での数学教育の一貫性について論じる。