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メモ
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Vol.20 (2012)
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極小モデル理論、連接層の導来圏、ミラー対称性 Kavli IPMU 准教授 戸田 幸伸 2012
(抜粋)
連接層の導来圏
代数多様体の連接層の導来圏とは1960年代にA.
Grothendieckによって導入された概念です。連接層
の導来圏について説明するために、まずは連接層につ
いて大雑把に解説します。連接層とは、代数多様体上
の関数の概念を抽象化した概念です。例えば代数多様
体上で局所的に多項式の形で書ける関数全体を考える
と、それは構造層という一つの連接層を与えます。し
かし連接層はこれだけではなく、例えば代数多様体の
部分代数多様体上の構造層も一つの連接層を与えま
す。代数多様体上には多くの連接層が存在するのです
が、一つ一つの連接層を「対象」とし、更に二つの連
接層を関係づける「射」を考えることで、連接層全体
に一つの数学的体系を与えることができます。イメー
ジとしては、連接層全体とそれらの間の射を、点の集
合とそれらの間の矢印として捉えると良いでしょう。
連接層の圏は上の様に定義することができますが、
この圏はこれだけではあまり良い性質をもたないことが
分かります。例えば二つの代数多様体の間に写像が存
在した時に、一方の代数多様体上の連接層から他方の
代数多様体上に連接層を与えることを考えましょう。
この時、単純にその様な操作を行うと情報が失われて
しまうことがあるのです。そこで Grothendieck が考
案したのは、連接層ではなく連接層の複体を考えると
いうことです。連接層の複体を前述の点と矢印の例に
例えて説明します。まずは幾つかの有限個の点に1,2,
3・・・と番号を振り、それぞれの番号の点からそれ
より1つ大きい番号の点に向けて矢印を引きます。番
号付けした点に連接層を対応させ、矢印に連接層の間
の射を対応させます。このような図式である