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>>192 追加
京都賞 柏原 正樹先生
URLリンク(www.kyotoprize.org)
京都賞
柏原 正樹 (Masaki Kashiwara) 日本 / 1947年1月30日 数学者 京都大学 数理解析研究所 特任教授
記念講演要旨
代数解析と50年
私は1965年に東京大学に入学し、2年後数学科に進学しましたが、当時はまだ数学者になろうとは考えていませんでした。1968年に佐藤幹夫先生と出会ったのが、数学への方向を決める決定的な要因となったのです。
そのころ、小松彦三郎先生(当時は30代)がアメリカ滞在から帰られて、佐藤先生と小松先生による代数解析セミナーが毎週開かれるようになりました。
私は1年先輩の河合隆裕さんに強く勧められてこのセミナーに参加し、そこで佐藤先生に出会いました。そしてそのことが、私が数学の研究、特に代数解析の研究を始めるきっかけとなったのです。
佐藤先生は、代数解析の創始者です。数学では変化する量を関数と呼び、それを研究するのが解析学です。数とその演算(和・積)を通常の数以外のものにまで拡張して研究するのが代数学です。代数解析は、解析学の奥に潜む本質を、代数学を使って解明します。
佐藤先生は、1969年、私がセミナーに参加し始めたころ、変化が滑らかでない関数を、代数的に扱うことを可能にする超局所解析というアイデアを提出されました。
この考え方は、その後、解析学のみならず数学の他の分野にもいろいろな形で波及していきました。その中で特に、幾何学と代数学を、解析学を用いて結びつけるという手法を確立したのが私の中心的な仕事です。
私は1971年に修士課程を修了し、佐藤先生と河合さんが移られていた京都大学数理解析研究所の助手になり、それから数年、お二人とともに、超局所解析の建設に熱中したのでした。
この時期に、お二人と一緒に数学ができたことが、私の数学人生における大きな一歩でした。お二人からは数学研究の楽しさを教わりました。
その後、リーマン-ヒルベルト問題の解決、結晶基底の発見など、多くの仕事をしてきましたが、お二人との出会いが私の数学研究の礎となったのでした。
(引用終わり)