19/03/16 14:38:01.41 IJke8Cdm.net
定理3.2:
Ω、Ω' を C 内の開集合とする。 f を Ω から Ω' への全単射であり、かつ正則であるとする。
f'(z) ≠ 0 (z ∈ Ω)ならば f は双正則写像である。
証明:
z = x + i*y, f = u + i*v とすれば、 f は (x, y) に (u(x, y), v(x, y)) を対応させる Ω ⊂ R^2 から Ω' ⊂ R^2 への写像と
みなすことができる。この写像のヤコビアンは、コーシー・リーマンの関係式から
u_x * v_y - u_y * v_x = u_x^2 + u_y^2 = |f'(z)|^2 ≠ 0。
したがって微分積分で学んだ逆写像定理より、 f^{-1} が C^1 級であることがわかる。
また、 w, w_0 ∈ Ω' に対して、 z = f^{-1}(w), z_0 = f^{-1}(w_0) とおくと、 f 及び f^{-1} が連続であることから、
w → w_0 と z → z_0 は同値であり、
lim_{w → w_0} [f^{-1}(w) - f^{-1}(w_0)] / [w - w_0] = lim_{z → z_0} [z - z_0] / [f(z) - f(z_0)]
= lim_{z → z_0} 1 / [(f(z) - f(z_0)) / z - z_0] = 1 / f'(z_0)。
ゆえに f^{-1} は Ω' の各点 w_0 で複素微分可能である。よって Ω' で正則である。
注意3.3:
f が全射で、 f'(z) ≠ 0 (z ∈ Ω) でも単射とは限らない。たとえば、 Ω = Ω' = D(0, 1) - {0} とし、 f(z) = z^2 を考えよ。
なお、正則な全単射は双正則であることが知られている。