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>>292 つづき
第二に、「雄弁は銀、沈黙は金」に似た内容のフランスのことわざは、ほかにもあります。ラ・フォンテーヌ『寓話』第8巻第10話に出てくる次のことわざが有名です。
Il est bon de parler, et meilleur de se taire.
(話すのは良いことだが、黙ることはもっと良い)
また、「沈黙は金」の部分は、多弁に対する戒めと解釈されることがありますが、そうした「舌禍(ぜっか)」に関する言葉は他のフランスのことわざにもいくつか存在します。たとえば、
Trop gratter cuit, trop parler nuit.
(掻きすぎるとひりひりする、しゃべりすぎるとわざわいを招く)
Il faut tourner sept fois sa langue dans sa bouche avant de parler.
(話す前に口の中で七回舌を回す必要がある)
さらに言えば、こうした考えは旧約聖書の昔から存在します(「話す前に口の中で七回舌を回す必要がある」の解説を参照)。
【由来(フランス語)】 フランス語での形は、カーライルの数十年後には確認されます。
【日本への移入】 日本では明治になってからこの諺が日本語に訳されており、明治22年(1889)の『英和対訳泰西俚諺集』で「多言は銀なり沈黙は金なり」と訳されたのが最初のようです(小学館『故事・俗信ことわざ大辞典 第二版』による)。
【映画】 第二次大戦後まもない1947年、フランス映画の巨匠と呼ばれたルネ・クレールは、諺の後半だけを使った Le silence est d'or と題する映画を製作し、興行的に大成功を収め、日本でも『沈黙は金』として公開されました。