16/12/31 12:06:10.91 VK/jj9Lp.net
>>78 つづき
リュービル理論も共形ブロックも、二次元の場の理論の話題で、それまで四次元の場の理論一辺
倒だった僕にはちんぷんかんぷんで、彼が何のことを言っているのかさっぱりでした。しばらく
は、修士の頃に書いたマセマティカのプログラムに手を入れて、ダヴィデが計算してくれと言うイ
ンスタントン分配関数を、闇雲に計算すると、ダヴィデが別に計算した共形ブロックと答えが一致
する、というのの繰り返しです。これは魔法にかけられたような経験でした。彼はその度「ほらそ
うだろう」と言うのですが、僕は何故これらが一致しないといけないのか、そもそも何故彼がこの
パラメタでインスタントン分配関数を計算してくれといったのか、全く判らなかった記憶があり
ます。
そんなこんなのうちに、6 月になり、ダヴィデがローマの研究会でこの話を発表するので、それま
でに論文にまとめようとなって、フェルナンドと三人でなんとか書き上げたのが、今回のEncounter
with Mathematics の題目になっている対応のはじまりの論文です2 が、以上のエピソードからわ
かるように、僕は何も判らず論文を書いたので、自分ではこの対応の例の名前を使うのには非常に
抵抗があります。
実際、僕がダヴィデの当時の発想を理解できるようになるには数年の時間が必要でした。その間
に、フェルナンドもダヴィデもこの対応の研究を直接することからは離れてしまって、僕ばかりが
この対応を調べているという、不思議なことになっています。
注
1 その内容はようやく4 月になってarXiv:0904.2715 として出た。ダヴィデは雑誌に投稿するのを忘れていたらしく、
出版されたのは2012 年。
2 arXiv:0906.3219、2010 年に出版。
(引用終り)