16/12/30 18:20:07.77 zFouRTR2.net
極限からみで、こんなのがヒットしたので貼っておく
URLリンク(www.kurims.kyoto-u.ac.jp)
論法の形成過程の考察 : 解析学の基礎の転換の要因 成城大学立教大学 中根美知代 数理解析研究所講究録 1195 巻2001 年
(抜粋)
1. はじめに
今日多くの微分積分学の教科書は, この論法は, フランスの数学者
Augustin-Louis Cauchy (1789-1857) によりとられたものとしている.
ところがε - δ 論法が登場したといわれているCauchy の代表的な教科書『解析学教程』
はそのようには書かれていない. そこではε - δ 論法で回避したはずの「限りなく近づく」
という表現を全面的に打ち出して様々な概念が定義されているのみならず, 無限小も概念
を定義したうえで活用して, 微積分の理論を展開している. その後にCauchy が書いた教
科書『微分積分学要論』(1823 年),『微分学講義』(1829 年) においてもこの状況はほと
んど変わっていない. 私達が期待したようなことをCauchy はやっていないのである.
教科書の歴史的記述は, 原典や数学史の専門的な文献にあたったうえでなされたとは限
らないので, むやみに信頼しないほうがいい場合もある. ところが数学史の専門的研究も
また, Cauchy をε - δ 論法の創始者・厳密な解析学を構築した人と位置づけているのであ
る.
Cauchy が敷いた路線をweierstrass が継承し, 今日見るような解析学が完成したとす
るのが先行研究の見解であるが, この道のりは, 「解析学の厳密化」の?言で片づけられ,
十分に論じられていないのが現状_{で}ある}.2)$ 本報告では, この過程もあらためて注目し, 解
析学の基礎づけの転換の要因を探っていきたい.