16/10/22 20:43:46.32 mm/AfMxq.net
>>517 つづき
●「蒔いた種」のその後
「収穫と蒔いた種と」によると,数学を去ってからもGrothendieckは∞カテゴリー理論などには挑戦していたようだ.Quillenのホモトピー代数やBousfieldの理論などにも興味を示していたように見える.
が,現在確認できる限りは彼自身は完成版といえる理論を作り切れなかったようだ.しかし,高次圏の理論が不遇だった時代も,モデル圏やsimplicial setの理論はQuillenやKanやJoyalといった位相幾何学側の数学者の手によって,着々と整備されていた.
そして,21世紀に入り,ついに∞カテゴリー理論はJacob Lurieの手によって急速な発展を見せる事となった.
「LurieはGrothendieckの再来だ」と一部の人は言っているらしい.あくまで個人的な主張だが,彼は「Grothendieckの正統後継者」と言ってもいいと思う.
というのも,Lurieの仕事は∞カテゴリーのみならず,∞-topos理論の発展,非可換コホモロジー理論の構築,三角圏の弱点を克服した安定∞カテゴリー理論の構築,導来スキーム,スタックといった,Grothendieckが残した仕事を完遂させるものばかりだからだ.
そしてそれらは,Grothendieckが夢見た「代数幾何学と位相幾何学の統合」を実現しているように思われる.実際,最近それらの理論をフルに用いて,位相幾何学に端を発したアイデアを用い,Gaitsgoryとの共同研究で関数体のWeilの玉河数予想を証明したという話もある.
(引用終り)