15/12/26 19:27:31.80 02nKI8Hx.net
>>375
Inter-universal geometry と ABC予想にあった情報関連の受け売りだが、メモとして収録しておきます
URLリンク(www2.kobe-u.ac.jp)
第52 回 代数学シンポジウム報告集 2007
Recent developments in the log minimal model program II 対数的極小モデル理論の最近の発展についてII 名古屋大学大学院多元数理科学研究科 藤野修
5 特殊停止定理の思い出
最後に特殊停止定理(special termination) についての思い出話を書いて
おきたい。そもそも特殊停止定理はShokurov 氏が3 次元対数的フリップ
の構成のときに導入した概念である([S1] 参照)。pl フリップの存在と特殊
停止定理から一般の対数的フリップの存在が示せるというのがShokurov
氏の偉大な洞察のひとつであった。3 次元の時の完全な証明は[FA] の7 章
にある。[S2] の2 章では、n ?? 1 次元の極小モデル理論を認めればn 次元
の特殊停止定理が成立すると主張している。Shokurov 氏の主張はかなり
豪快である。メチャクチャ一般的な主張をしている。ところが、実際の証
明では様々な付加的な条件を付けている。応用上は全く問題ないのであ
るが、証明出来ていない無意味に一般的な主張を定理と断言しているの
は悩ましい限りである。さらに証明を読み進んでいくと、結局4 次元の非
常に特別な場合しか論じていないのである。その証明もいまいちよく分
からない。最後は当時入手不可能だったProkhorov 氏との共著プレプリ
ントに問題を押し付けて終了という感じであった。ハッキリ言って理解
不能であった。全くもって理解不能だったので、ケンブリッジのニュート
ン研究所に滞在していた私は問題を定式化しなおし、既存のテクニック
で完全な証明を得た。ただ、その当時は自分のやったことの価値がよく
分からなかった。その後少し遅れてケンブリッジにやって来たProkhorov
氏に私のノートを「たぶん知っていることしか書いていないと思うけど」
と言って手渡した。するとProkhorov 氏は「あ~、良かった。Shokurov
氏に早く証明しろ!と言われていたけど証明出来なくて困っていたんだ
よ!よかった、よかった!」というようなことを言ったのである。