15/06/28 18:44:10.08 pEaR/2gu.net
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3日目 「トポスとは何か:圏論的視点での強制法」:佐藤桂
アブストラクト
全事象Aのうち、性質Sを満たすもの、命題Sが「真」となるもの、とは集合論的にはただ単に集合Aの部分集合Sを規定することになります。
この部分集合たちは通常の“∩”・“∪”によって古典束(ブール代数)を成しますが、実はこの代数構造が2点集合Ω={真、偽}という非常に単純なものによって統制されているのです。
そこで、(月並みな言い方をすれば)このΩをそれとは似て非なるものにしようとしたものが直観論理、ひいては直観束(ヘイティング代数)になるわけです。
直観論理にも、“かつ”や“または”が存在し、分配則などを満たす点で古典論理と似ていますが、二重否定が元に戻らないという点が非なるところです。
そして古典論理と集合論との対応に相当するものが、直観論理とトポス理論になるわけです(ちなみに直観は特別な場合として古典、トポスは特別な場合として集合論を含みます)。
例えば、ある圏Cから集合の圏Setへの(反変)関手圏C^は(関数環が値域の構造を反映するのと同じく)集合の圏の構造(これは古典論理)を反映しつつも似て非なるトポス(これ直観論理)となります。
ところで、この圏を位相空間Xの開集合系のなす圏O(X)とすれば、この関手圏はその位相空間X上の前層の圏O(X)^になりますが、幾何学ではこの圏を“絞り込んだ”圏である層の圏Sh(X)を使います。
ちょっと不思議なのは、この絞り込んだ圏Sh(X)にもトポスの構造が入るところです。
「じゃあ、一般の圏にも位相入れたら、層の圏Sh(C)的なの作れて、トポスになんじゃね?」
というわけで圏Cにグロタンディーク位相なるものを入れて作ったトポスがグロタンディーク・トポスです!!
こんなアナロジーがとれてしまうのは驚きですが、これが何の役に立つんでしょうか。
つづく