現代数学の系譜11 ガロア理論を読む14at MATH
現代数学の系譜11 ガロア理論を読む14 - 暇つぶし2ch415:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む
15/07/26 12:19:49.20 yHhmJJ+L.net
>>350 つづき

(性質1)は素因数分解が一通りしかないから、xyが素数pの倍数ならxかyはpの倍数であることからわかる。(性質2)は、素数pの約数が±1か±pしかないことから、Iを包含するJはpを何かの倍数として含んでいるはずなので、(p)か(1)(=Z)しかないことからわかる。

(性質1)を持つイデアルは、「素イデアル」と呼ばれる。他方、(性質2)を持つイデアルは「極大イデアル」と呼ばれる。

整数の集合においてイデアルを考える場合は、素イデアルも極大イデアルも違いがない((0)という特別な素イデアルを除くなら、どちらも素数の倍数の集合)。
しかし、イデアルは、「足し算、引き算、掛け算という演算を持つ一般的な集合」、これは「環」と呼ばれるのだけれど、環一般で定義できるもので、他の環でイデアルを考えると「素イデアル」と「極大イデアル」には違いが出てくることになるのだ(後述)。

 クンマーがイデアルを導入したのは、整数を複素数に拡張してフェルマー方程式(xのn乗+yのn乗=zのn乗)を通常よりも細かく因数分解したい、という動機からだった。

例えば、ガウスは(整数)+(整数)i(iは虚数単位√(-1)のこと) というタイプの数を「虚数世界の整数」と定義した(ガウス整数と呼ばれる)。
このようなガウス整数の世界では、整数と同じように約数倍数が定義でき、素数も定義できる。しかも、素因数分解が一通り、ということまで成り立ってしまうのだ。
うまいことにこのとき、4次のフェルマー方程式(xの4乗+yの4乗=zの4乗)は、(xの4乗)=(z-y)(z+y)(z-yi)(z+yi)とこなごなに因数分解され、これはガウス整数での掛け算の分解を意味している。
だから、ガウス整数における素因数分解の一意性を使うとxかyかは0でなければいけないことがそれほど大変じゃなく証明でき、フェルマーの最終定理の指数4の場合があっさり解決してしまうのであった。

つづく


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