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福島)子どもの甲状腺がん、増殖止まる時期も:朝日新聞デジタル
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原発事故後の県の県民健康調査で見つかった小児甲状腺がんは、ある一定期間、悪化が止まっている例が
多いとする研究結果を、緑川早苗・県立医大准教授(内分泌内科)らのグループが発表した。
時間の経過にともない一様に大きくなるのではないとの見解を示したもので、グループは、腫瘍(しゅよう)に転移などがな
いとみられる場合は、過剰な治療を避けるために「即座に診断をせずに経過観察することが必要だ」と結論づけている。
グループは、事故当時おおむね18歳以下が対象になる県民健康調査の甲状腺がん検査1巡目で、
がんかがんとみられる腫瘍などが見つかった116人(うち女性77人、平均年齢16・9歳)のデータを分析。
1次検査から2次検査まで観察期間中の、腫瘍の大きさの変化を調べた。
甲状腺がんは、大人では長期間にわたり増殖が停滞する時期を持つ傾向があり、
最終的に患者の生死に影響がないことが多いため、治療を避け、経過観察されることがある。
一方、子どもや若者のがんについてはデータが少なく、どのようなスピードで増殖するか、専門家にも意見の相違がある。
それが治療の必要性を巡る議論にもつながっている。
グループが実施した観察期間の平均は約半年間だったが、直径が増減10%未満で変わらなかったとみなせる人が81人、
10%以上大きくなった人が28人、10%以上小さくなった人が7人だった。
全員のデータを元に検査で見つける最小のがんである5ミリで発見されたと仮定し将来の経過をシミュレーションしたところ、
発見後8年ごろから腫瘍の成長が止まり、がんが増殖しない時期を持つ傾向があると分かった。
論文は、米専門誌の電子版に昨年11月掲載された。