24/06/22 22:52:51.78 uJg1jJtF.net
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【試し読み】『移民は世界をどう変えてきたか―文化移植の経済学』
https:
//note.com/keioup/n/n0858a6fdfe46
第1章 同化という神話
制度の異なる場所へ移民が動くと、次第に彼らの文化的価値観はいやおうなしに変化していくが、皆無ではないとしても二世代以内に変化することはめったにない。
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貧しい国から豊かな国へやって来る移民は仲良く暮らすためにその国へ迎合していくだろう、と考える人もいるかもしれない―この豊かな国を改革しようと、政治的・経済的変化を要求するようなことはしないだろう、と。この国の経済がうまくいっていれば、結局のところ、新しく入ってきた人たちはその体制をそのままの形で運営させておくべきなのだ。ほとんどの国はもっと酷い状態なのだから。
ところがそうではない。移民、または少なくとも政治的に組織化された大規模な移民の一部は、母国の思想、母国で支持されていなかった思想を持ち込む。社会主義、無政府主義、強力な労働組合、マルクス主義のいろいろな要素―彼らはこうした、そもそも地図にも載っていないような思想やその他のものを新天地に持ち込む。移民は新しい経済イデオロギーを輸入するのだ。
最終的には、融合主義の指導者が権力を握る。そして、左派の本質と右派の虚飾の一部を融合させるのだ。この指導者はエリートへの高額課税を推し進め、経済に対する政府の規制を強化し、より高額な政府支出を推進する。彼の妻は自分の力で名を馳せ、慈善組織を設立し、福祉国家への道を切り
開く。 ...
こうした指導者らは穏健な社会主義を提供し、中流階級から十分な支持を得て、合理的で公
正な多くの選挙で勝利する。そしてこの国は、世界で最も豊かな国の一つから、インドネシアやパラグアイやエジプトよりも少し裕福というだけの、世界の中堅国の一つにすぎない国へと変化し、再び目立つ存在になることはなく、再び他の国が見習おうとするような模範となることもなく、また、世
界中の移民を引きつける磁石のような存在になることもない。魔法が解けると移民の波も消えていった。 ...