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2018年5月7日
中国、対日微笑外交の裏─中国は早くから北の「中国外し」を知っていた
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
URLリンク(www.newsweekjapan.jp)
ここで重要なのは、北朝鮮の最高人民会議常務委員会が新義州特区設立の政令を発布したのが2002年9月12日で、
小泉元首相が平壌(ピョンヤン)を訪問して金正日元総書記に会ったのが2002年9月17日であるという事実だ。
つまり、北朝鮮が「中国外し」をするときは、日本に対しては門戸を開こうとするのである。
楊斌が拘束されたのは2002年10月4日で、11月27日には逮捕投獄された。
小泉元首相が訪朝した9月17日には、楊斌が逮捕されるとはまだ思っていなかった金正日は、経済特区を開発するに当たり、
「中国外し」をしておいて、対日融和策に出たということになる。
それを知っている中国は、今回もまた北朝鮮が対日融和策を取る可能性があることを見越して、北朝鮮に先手を打たれまいとして
「対日融和策」に出ようとしている。
5月8日に来日する李克強首相(国務院総理)の訪日が決まったのは、米中関係の悪化による。
アメリカは昨年末から国防などの安全保障面でも対中強硬策に転じていたが、
さらに貿易不均衡によって貿易戦争に至ろうとさえしている。5月4日にも、米中の通称協議は平行戦に終わり、
この後も難航を極める模様だ。
本来なら習近平への母校である清華大学管理学院顧問委員会にいる数十名のアメリカ大財閥のトップたちが間を取って
折衷案を模索するはずだが、なにせ顧問委員会メンバーは親中派の巨頭キッシンジャー・アソシエイツの息が
かかったメンバーが多い。メンバーもまた圧倒的な親中派だ。昨年末以来ランディ・シュライバーなど、
筋金入りの対中強硬派で身辺を固め始めたトランプ政権を説得するのに手を焼いている。
だから中国は勢い、日本に秋波を送るようになったのである。