20/11/22 12:50:55.09 3CuAwK52.net
(続き)
ただ、詩人・作家で著名な中野重治が翻訳した原作の岩波文庫版にも問題があるという。
「たとえば、コンラッドは主人公の死に際に『地獄、地獄だ!』(中野訳)とつぶやかせたのに、なぜコッポラは”The Horror,The Horror"(スーパーは『恐怖だ、地獄の恐怖だ』)とつぶやかせたのだろうかなどと考え込む人がいる。しかし実は、コンラッドのカーツもまた、いまわのことばは”The Horror,The Horror"だったのである」
「この映画のスーパーには、何カ所も『地獄』が出てくるが、現実はそれにあたる英語は一カ所も出てこない」
ろくに原文にさえ当たろうとしない怠惰な評論家の頓珍漢な疑問を読むと、あまりに低レベルの議論に立花が苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべるのが目に浮かぶが、中野もろくでもない訳語を当てはめたものだ。(最近の光文社文庫版・黒原敏行訳は「恐ろしい! 恐ろしい!」)
ちなみに映画評論の差について言えば、米国の映画レビューTV番組は、ケビン・コスナーの「ウオーター・ワールド」が公開された直後、「この映画はクズだ!」と罵倒していた。日本にこんなレビューをするメディアはない。彼我の評論差は映画の質の差に通じているんだろう。