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公安が震えた「よど号」の深層工作
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一九七〇年三月、日本赤軍の兵士九人が日航機「よど号」をハイジャックし、北朝鮮に亡命した。
この事件から二十年後、ひとりの日本人ジャーナリストがピョンヤンに入って「よど号」の田宮高磨
らと接触を始めるところからこのドラマは始まる。
著者は「よど号」と日本国内の支援組織を結ぶかぼそい線上に立っていたのだろう。それ故に田宮
ら亡命者の内面に深く潜入し、亡命という名の河を遡上していった。その果てに著者が見てしまった
のは凍りつくような陰惨な風景だった。彼の地の政治指導員は自ら「領導芸術」と呼ぶ方法で世界
同時革命を呼号する「よど号」グループを改宗させた。続いて秘密結婚を言葉巧みに促し、花嫁は
日本から拉致したり、おびき寄せたりして調達したのである。こうして海外工作の陣容が整うと、政治
指導員はスパイ・マスターに変身し、「よど号」グループは、ザグレブ、コペンハーゲン、ウィーン、そ
してマドリッドに送り込まれていった。そこで繰り広げられた非合法活動の詳細はここでは触れない。
彼らは欧州に出没しただけではない。大胆にも祖国日本への潜入も敢行したのである。「よど号」の
妻のひとりは、基地の街横須賀にスナック『夢見波』を店開きして地下工作の拠点にした。在日米海
軍基地と自衛艦隊司令部が標的だった。彼らにまつわる断片的な情報は日本の防諜当局にも通報
されていた。だが、自らの貧相な想像力を超える出来事は、当局にとって存在しないことの同義語だ
った。歪んだパシフィズムは権力をも蝕んでいた。