18/10/13 13:16:01.54 ExHYIDJM.net
>>579
理研の津田宏治チームリーダーらの技術は既存の有機化合物の分子構造のデータをもとに新材料を探す。炭素や水素といった原子がどう結合するのかをAIが学ぶだけで、材料の性質などの詳しいデータは不要だ。
有機ELなどの電子材料に使う新たな有機化合物を探し、10日間で候補となりそうな物質を86種類見つけた。
試しに合成した6種類のうち5種類が狙った性能を発揮していた。津田チームリーダーは「AIは人間の常道とは違う発想で材料を設計していた」と話す。
AIが見つけた新材料は合成法が確立していないものも多い。統計数理研究所の吉田亮教授は新たな合成法を考えるAIを開発した。新材料の分子構造から、複数の合成法を組み合わせて作製できるか探す。
100万種類の物質についてデータを用意し、このうち6割のデータで学習した。残りの4割で試すと、精度は8割を超えた。
大量のデータを活用した材料開発は世界各国で進む。米国は11年に「マテリアルゲノム計画」を始めた。
開発期間の半減を目標に掲げ、これまでに2億5000万ドル以上を投じてきた。欧州や日本、中国、韓国でも、同様の国家プロジェクトが15年に動き始め、競争が激しくなっている。
日本の研究者は実験を繰り返して生み出す材料開発を得意にしており、リチウムイオン電池や青色発光ダイオード(LED)などの実用化で世界に先がけた。
しかしデータ解析競争に軸足が移ると、これまでの優位性を失う。日本はAIの積極的な導入で挽回を狙う。(遠藤智之)
■マテリアルズ・インフォマティクス 情報科学を材料開発に応用する手法。物質についての膨大なデータを集めてAIなどで分析し、新しい材料を効率よく見つけ出す。研究者の勘や経験に頼っていた従来の手法に比べて、開発期間が大幅に短縮できると期待を集めている。
コンピューターの計算速度が向上し、膨大な物質のデータを高速に処理できるようになった。AIの学習に使うデータが精度を大きく左右するため、研究機関や企業が協力してデータの蓄積を進めている。AIと材料開発の知識を併せ持つ人材の不足が深刻で、獲得競争が激しい。