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激しい光の記憶と共に深く海の底に沈んでいく狂った夜を経て。
フランソワーズ・サガン「夏に抱かれて」第五章 p.104
その晩、彼女は鏡の前でめずらしく満足気に、青く輝く豊かな黒髪に覆われた顔--もはや小麦色に焼け、まだ赤みを帯びている
--の映像をながめていた。彼女は目の前の女の健康そうな顔と、その溌剌(はつらつ)とした表情、茶目っ気のあるまなざしを事細かに
観察していた。この女に明らかに欲情を抱き、これ見よがしに崇拝を示しているのがあの伊達男シャルル・サンブラだった。あの単純で、
感受性に富み、ロべたでやさしいシャルル。昨日までは彼について何も知らなかったのに、今日は彼が《すみすみまで》わかってしまった
--この幼稚な表現こそまさに彼にぴったりだ、と彼女は思った。
レビュー・小説 『夏に抱かれて』 フランソワズ・サガン
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