日本軍ノ活躍ノ話ヲシマショウat SENJI
日本軍ノ活躍ノ話ヲシマショウ - 暇つぶし2ch153:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/02 01:52:24.75 OIbK1/waP
 アゝ隼戦闘隊  飛行第六十四戦隊 
 通称/略称 加藤隼戦闘隊 陸軍大尉 黒江保彦 著(陸軍撃墜王)
昭和十七年五月二十一日 加藤部隊長ハ隼五機デ、インドベンガル湾ニノゾム
 アキャブニ進出シテイッタ。シタガウ者ハ、大谷大尉、清水准尉
 近藤曹長、安田曹長ラノ四人デアッタ。
 ソノコロ、アキャブハ友軍ガスデニ占領シテイタガ、英・豪ノ
 連合空軍ハ、ハリケーン戦闘機ヤ ブレニム中型爆撃機ヲクリダシテ、
 アキャブ一帯ノ日本軍地上部隊ヲ攻撃シテイタ。
 前線カラノ要請ハ、コノ敵ノ空軍ノ動キヲ封ジテクレト言ウコトデアッタ。
 加藤部隊長ハ、戦場上空ヲパトロールシタノチ、ズット北ヨリノ
 敵ノ拠点、チッタゴン マデ近寄リ偵察飛行ヲシタ。
※ブリストル ブレニム爆撃機 胴体上部ニ装備シタ銃塔ハ
 日本軍機ニトッテ 大変有効デアッタ。ソレマデノ
 ノモンハンノ ソ連軍爆撃機・中国空軍ノ主力爆撃機ノ ソ連製
 エス・ベー爆撃機ナドニハ装備サレテイナイモノデアッタ。
・・・・
 

154:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/02 16:00:51.55 OIbK1/waP
昭和十七年五月二十二日 ソノ朝、アキャブノ空ハ晴レテイタ。
 青空ノモトデ、爆弾ノ空箱ノ木枠ニ腰カケテ、ミンナハ雑談ニ
 花ヲ咲カセテイタ。 ソノ時、爆音ガ聞コエタ。
 ミンナハ耳ヲスマシタ。絶対ニ日本機ノ爆音デハナイ。
「マワセーッ!」 加藤サンガ真ッ先ニサケブト、ミンナハ一目サンニ
 自分ノ愛機ニムカッテ走ッタ。
 エンジンヲ始動スルノモ モドカシク、砂塵ヲ蹴立テテ、
 五機ガ離陸シタ。
 アキャブノ港湾ヲ攻撃シタ一機 ー ブレニム爆撃機ガ視界ニ
 入ッタノハ、加藤部隊長ガ離陸シタ直後デアッタ。
 ブレニムハ意外ナ伏兵ガ離陸シテキタノニ驚イテ、
 針路ヲ約三百度ニトルト、海上ニ出テ、フルスピードデ遁走シダシタ。
 加藤部隊長ガ、第一撃ノ後上方攻撃ヲカケタ、射線ノ延長上ニ
 水シブキガアガッタ。
 近藤曹長モ攻撃シタ。ソシテ大谷大尉ガ射ッタ。敵ハモウ水面上
 スレスレマデ サガッテイタ。
 ダカラ、射トウトスルト、水平同高度ノ後カラノ攻撃イガイニ
 方法ガナカッタ。

※黒江保彦 陸軍大尉 飛行第六十四戦隊 鹿児島県薩南 
伊集院町現鹿児島県日置市出身 大正七年ー昭和四十年
                   (千九百十八年-千九百六十五年)
※英ブリストル・ブレニム双発爆撃機 乗員三 空冷九気筒八百四十馬力×二  
 全幅十七、一七メートル全長十二、一二メートル重量五、六七トン
 最大速度時速四百十八キロメートル航続距離二千三百三十六キロメートル
 実用上昇限度 七千八百九十八メートル
 武装七、七ミリ機銃×二 爆弾四百五十四キログラム
※旧ソ連エス・ベー爆撃機(高速爆撃機ノ意)乗員三
 全幅二十、三メートル 全長十二、五七メートル
 重量四、七六八トン 最大全備重量七、八八トン
 最大速度時速四百五十キロメートル 実用上昇限度九千三百メートル
 武装七、六二ミリ機銃×四(機首ニ 二挺、後部ニ 一挺、下部ニ 一挺)
 爆弾百キログラム爆弾×六 又ハ五十キログラム爆弾×六 ト
 左右翼下爆弾架ニ二百五十キログラム爆弾各一 懸架       

155:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/03 18:05:26.68 UANYVHGGP
 大谷大尉ハ、ブレニムノ後方射手ノ射ッタ弾丸ガ
 エンジンニ命中シテ引キ返シタ。
 第四番目ニ安田曹長ガ射ッタ。トコロガ、突進中ニ、敵弾ガ
 安田ノ顔ノ前ニアル風防ガラスニ命中シタ。サイワイナコトニ、弾丸ガ
 安田ノ顔ヲソレタ。ガ、小サナガラスノ破片ガ無数ニ顔ニクイ込ンダ。
 キナクサイ硝煙ガウスレルト、見ル見ル血ガ、
 安田ノ顔全体ニ噴キダシタ。安田ハ痛ミヲコラエナガラ、片手デ
 顔ヲフイタ。シタタリ落チル血デ、手袋モ飛行服モ真ッ赤ニナッテイッタ。
 カレモ攻撃ヲ断念シテ帰路ニツイタ。
ソノ時加藤隊長ガ 二撃目ヲヲカケ、ソシテ、残ツタ近藤曹長モ二撃目
 ヲアビセタ。全部デ六回ノ攻撃ガクリカエサレタ。
 ブレニム ニモ命中弾ガアッタラシク、右ニ左ニ必死ノ逃走ヲハカリ
 水面スレスレニアガイテイタ。
 

156:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/04 15:12:00.48 KtmwuI9dP
ブレニム ニモ命中弾ガアッタラシク、右ニ左ニ必死ノ逃走ヲハカリ、
 水面スレスレニアガイテイタ。
 最後ノ攻撃ハ、部隊長ガカケタ。
 後上方カラ スピードヲツケテ敵ノ後方ニクッツクト、一連射ガ
 加藤機カラ、正確ニ ブレニムノ翼ト、エンジンニ集中シテアタルノガ
 見エ、ブレニムハ、傾キナガラ、エンジンカラ火ヲ噴キ出シタ。
 ソシテ、ツギニ突然、バシャーンッ ト水シブキノナカニ破片ヲ散ラセテ
 爆発スルヨウニ墜落シタ。
「トウトウヤッツケタカ」
 近藤曹長ハ、翼ヲヒルガエシナガラ、コレヲ見テ、ツギニ
 加藤部隊長機ヲ見タ。部隊長機ハ真ッスグニ上昇角度グライデ
 上昇シテイタ。ト、ソノウシロニ火ノ尾ガ出テイルデハナイカ。
 敵ヲ撃墜シタソノ瞬間ニ、マッタク不幸ナ敵弾ガ
 加藤部隊長機ヲ貫通シタノカ、ソレトモ、ソレヨリ前ニ
 敵弾ヲウケテイタノカ。ソシテイマ、発火シタノカ、
 スベテワカラナカッタ。
 シカシ、部隊長ハ、火ノツイタ隼戦闘機ヲ、イマ上昇サセテイル。
 ソレハ悲壮デアツタ。近藤曹長ガ見テイルコトヲ意識シテイタノデアロウ。
 加藤部隊長ハ静カニ翼ヲ振ッタ。右ニ左ニ、ユックリト大キク・・・・。
 「サラバ戦友タチヨ・・・・自分ガ死ナセタ部下タチヨ・・・・オレモ
 イマコソ、コウシテ最後ノトキヲムカエタ。オレモ オナジヨウニ
 死ンデイクゾ・・・・残ル者ヨ、アトヲ頼ンダゾ・・・・」
 翼ヲ大キクユックリト振ッテイタ加藤部隊長ノ心境ハ、ソウデアッタト
 信ズルコトガデキル。
 栄光ノ戦隊長加藤建夫中佐ハ、愛機ヲ左ニ横転サセ、ウラ返シノ姿勢カラ
 昇降舵(ショウコウダ)ヲヒイタ。
 高度三百メートル カラ、隼ハ真一文字ニ機首ヲベンガル湾ノ
 紺碧ノ海面ニムケル。

157:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/06 08:17:27.06 TfGDaX6l0
高度三百メートルカラ、隼ハ真一文字ニ機首ヲ
 ベンガル湾ノ紺碧ノ海面ニムケル。
 加藤機ハ石ガ落チコムヨウニ急降下シタ。
 炎ノ赤イ尾ヲ引キナガラ・・・・。ソシテ波紋ノ中ニ沈ンデイッタ。
 不思議ナコトニ、波ノウエデ加藤機ノ燃エツキナイ ガソリン ガ、
 シバラク燃エテイタ。
 近藤曹長ハ、ソノスベテヲ見テイタ。
 大空ニイマ、残ッテイル部下ハ近藤一人デアッタ。近藤ハ、
 加藤機最後ノ海面上ヲ旋回シ、イツマデモ去リガタク、イツマデモ
 確カメタクテ操縦桿モ砕ケヨト、ニギリシメテ、
 ベンガル湾ノ低空旋回ヲツヅケタ。
 ・・・
 ・・・
加藤部隊長ガ戦死ノ日、私ハヨウヤク デング熱ガ快方ニ向カイ、
 黄疸ヲヘイハツシテ眼球ハマダ真ッ黄色デアッタガ
 飛行場ニ出テ、カラダナラシノ空中戦訓練ニ飛ンダ。⇒⇒

※コノ、デング熱ニハ加藤隊長ガ一番最初ニカカリ ツヅイテ
 大谷大尉。丸尾大尉トカカッタ。ソノトキハ、黒江ト数人ノ
 パイロットダケガ元気デイタ。

⇒⇒訓練ノ後、地上ニ降リテ天幕ノ中ニイルト、ソコヘ爆音ガシタ。
 天幕カラデテ、低空ヲスギル隼ヲフリアオグト、黄色ノ矢印ヲ尾部
 ニエガイタ第三中隊ノ安田曹長機デアッタ。
 前線カラ単機デ帰ッテキタ。・・・・・。
 隼部隊ハ、イツモ編隊ヲ組ンデ出動シテイッタ。ダカラ、
 帰ッテクルトキモダイタイ編隊ヲ組ンデ帰ルハズダッタ。
・・・

158:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/06 14:14:28.23 TfGDaX6l0
ダカラ帰ッテクルトキモ、ダイタイ編隊ヲ組ンデカエルハズダッタ。
 ソレガ、トキタマ、バラバラニナッテ一機ズツワカレテ帰ッテクルトキハ、
 空中戦ガアッタ事ヲ証明シテイタ。
 激戦デアレバアルホド空中戦ノアトノ空中集合ハムズカシカッタ。
 安田機ガヒトリデ帰ッテキタコトニ、不吉ナ予感ガシタ私ハ、
 安田機ノ着陸ヲ見テイタ。⇒
※安田機ハ ブレニム爆撃機ニ突進中ブレニムノ尾部銃座カラノ
 機関銃弾ガ眼前ノ風防ガラスニ命中シタ。・・ガ、撃墜ハ免レタ。
⇒トコロガナンタルコトゾ。
 安田ハ接地シタアトノ地上滑走中ニ、フイニ コントロールヲ失イ、
 滑走路ノ左ニトビ出シテシマッタ。
 機ハ滑走路ニ平行ニ走ッテイル飛行場ノハシノ溝ノナカヘ
 片車輪ヲ落トシコンデ、ガーン ト座リコンデシマッタノダ。
 「ナンダ、アノ着陸ハ!ヘタナ着陸ヲシテ、ダイジナ飛行機ヲ
 コワストハ・・・・」私ハ、座席カラ降リテクル安田ヲ叱リトバシタ。
 ダガ、オドロイタコトニ、安田ノ顔カラハ、
 一面ニ血ガ噴キ出シテイル。
 安田ハツブヤクヨウニ言ッタ。
「加藤戦隊長ガ、戦死サレマシタ」
「ナニ!?」私ハ ビックリシテ思ワズ大キナ声デ叫ンダ。
「本当カ? ナゼダ・・・・?」
 モウ安田機ノ事故ドコロデハナイ。ミンナガ安田ノ説明ニ耳ヲカタムケ、
 部隊長ノ最後ノ模様ヲ聞イタ。コウナルト、部隊指揮ノ重責ハ、
 最先任中隊長デアル私ノ肩ニカカッテクル。
 巨人ノヨウニ偉大デ、山ノヨウニ強イ部隊ノ中心デアッタ
 加藤サンノ欠ケタ部隊ハ、マルデ方向ヲ失ッタ難破船ノヨウデアッタ。
 伝統ノ部隊ヲ、コレカラドノヨウニシテ引ッ張ッテイケバイイノカ、
 若イ中隊長ニトッテ、
 ソレハマサニ一世一代ノ試練デアッタ。

159:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/21 17:14:11.97 JuDigb/60
ビルマ(ミャンマー)一帯ノ雨季ハ、自然ニ敵味方ノ兵力ヲ東西ニワケテ、
 ハナバナシイ空中戦ハ次第ニ少ナクナッテイッタ。戦争ノ
 小康トデモイウノカ、両軍ガオタガイニ戦力回復ノ休ミニ入ッタ
 ヨウデアッタ。部隊ハ、雨ノ晴レ間ヲヌッテ、訓練ニハゲミ、
 少数機ハ、イツデモ飛ビ立テルヨウナ警戒態勢ニハイッテ、
 再建策ヲネッテイタ。
 加藤部隊長ノ後任ニハ、八木正巳(ヤギマサミ)中佐ガ発令サレタ。
 ナガク学校教育ノ場ニハタライテオラレタ八木中佐ハ、古イ戦闘機
 乗リデハアッタガ、ドチラカトイウト、加藤サンノヨウナ、
 第一線型ノ強者デハナク、腕前ハチョット、アヤシカッタ。酒豪デ、
 酔ッパラウト天下第一ノヨウナ強ガリヲ言ワレタガ、
 本当ノ心ノ中ハ邪心ノナイ子供ノヨウナ人デ、強ガリノワリニハ、
 アンガイノ淋シガリ屋デアッタカモシレナイ。
「オレハ飛行時間二千時間ダ。キミタチナンカニ負ケヤシナイヨ」
 ト言ワレ、イッショニ飛ビ立ッテ空中戦訓練ヲシテミタラ、ナント!
 学校ヲ出タバカリノ、パイロットヨリモマダ未熟ナ機動デ、モノノ、二・三
 回モ手合ワセシテミタダケデ、コノ人ノ腕前ハイッペンニ、
 ワカッテシマッタ。
「コンドノ部隊長ハ、ゼンゼン空中戦ハ、ワカットランゾ。気ヲツケテ
 クッツイテユカヌト、親方ナニヲシデカスカ、ワカランデスヨ」
 口ノ悪イ大谷大尉ハ、私ニコウ言ッテイタガ、マサニ、
 ソノトオリノ感ジナノデアル。
 シカシ、コレハ部隊長ヘノ反感デハナク、自分ノ腕ヲ信ズル
 コトダケガ生キ残コル秘訣デアルコトニ気付キ、自己流ノ戦闘法ニアワナイ
 相手ヲ、コッピドク、口デ攻撃シタクナル、言ウナレバ
 戦サズレシタ パイロット達ノ自負心ト言エル。
 昭和十七年八月十六日 トングーノ駐留ニナレテキタコロ、私ノ中隊ニ
 内地ニ飛行機受領ノタメノ出張命令ガ下ガッタ。
昭和十七年九月 ヨウヤク受ケ取ルハズノ「隼」全機デ、立川カラ三重県
 明野、宮崎県新田原ヘ飛ンダ。
昭和十七年九月十五日 台湾ノ嘉義ヘ飛ンダ。飛行時間五時間半
       

160:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/22 13:31:24.20 AsdMGrhR0
昭和十七年九月 ヨウヤク受ケ取ルハズノ「隼」全機デ、立川カラ三重県
 明野、宮崎県新田原ヘ飛ンダ。
昭和十七年九月十五日 台湾ノ嘉義ヘ飛ンダ。飛行時間五時間半
 イヨイヨ戦線ニチカヅイテイク我々ノ胸ニハ、ナニカシラ新シイ闘志ガ、
 心ノ中ニタギリ立ッテクルヨウデアッタ。
     九月十七日 嘉義カラ広東ヘ。香港ノアタリデ雨ノシブキヲ
 浴ビナガラ、若イ編隊長ハ雲下ニ突入シ、珠江モ、サカノボッテ、ブジニ
 天河(テンガ)飛行場ニ着陸シタ。
 隼ノ中隊十二機ヲ誘導シタノハ、九七重爆ノ清水千波大尉デアッタ。⇒
※陸軍一式二型戦闘機 通称 隼 乗員一 空冷複式星型 十四気筒
   千百五十馬力 全幅十一、四四〇メートル 全長八、九二〇メートル
   自重一、九一〇トン 全備重量二、五六三トン 
   最大速度時速五百七十六キロメートル航続距離千六百十キロメートル 
   実用上昇限度一万三千五百メートル 武装十三ミリ機関砲×二
   二百五十キロ爆弾×二
⇒ソシテ、翌十八日、私ハ、中隊ノ十二機ヲ率イテ、サイゴン ニ向カッテ
 出発シタ。南支那海ノ上デスコールニブツカッタノデ、マタマタ
 得意ノ低空飛行ニハイリ、仏印ノ岸辺チカクデ、雲間カラ急上昇シテ
 雲上飛行ヲツヅケテ航程六時間、私ノ航法ハ正確デアッタ。
 サイゴンノ赤土ノ滑走路ハ、開戦以来オナジミノ形デアル。着陸シタラ、
「シンガポールニ前進セヨ」トノ指令ガ入ッテイタ。
 最後ノコースハ四時間デ飛ンダ。着イタ飛行場ハ センバワンデアッタ。
 ココハ英軍ガ海軍ノ基地トシテ使ッテイタ草地ノ飛行場デ、周囲ニ
 ゴム林ヲメグラシ、小ジンマリシタ兵舎ガアッタ。
 遠イヨウデマッタク近イ内地ノコト、海ヲ越エ、山ヲ飛ビ、雲ヲ切リ、
 雨ヲ浴ビタ、ソノ航程五千キロノ間ニ、愛機「隼」ハ、ナンノ
 心配モナク エンジンヲ、トドロカセテ飛ンデクレタ。燃料ヲ注入シ、
 油ヲ点検スルダケデ、ホカニナンノ手入レモセズニ、故障一ツ
 起コサナカッタ「隼」ニタイシテ、私タチガ全幅ノ信頼感ヲ持ッタ
 ノハ当然ノコトデアッタ。

161:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/26 13:43:43.23 feVD6NHn0
内地トノ間、航程五千キロデ、故障一ツ起コサナカッタ「隼」ニ対シテ、
 私タチガ全幅ノ信頼感ヲ持ッタノハ当然ノコトデアッタ。
「ヨウ飛ンデクレルネ、隼ハ マッタク良イ飛行機ダヨ」
「ソレニシテモ、ビルマノ雨季明ケニハ、大キナ作戦ガアルラシイデス。
 シンガポールデノ訓練ハ、ソノ作戦準備トカ・・・」
「マタイッチョウ勇マシクヤルカ・・・」
 ミンナハニギヤカニ語リアッテ、スグニ一心同体ノ雰囲気ノ中ニ
 入ッテイクノデアッタ。
 私タチヨリ一足遅レテ内地ヲ出発シタ丸尾大尉ノ率イル第二中隊ハ
 昭和十七年九月二十一日広東カラサイゴンニ飛ブ途中デ、大キナ積乱雲ニ
 突ッ込ンダ。仏領印度支那(ベトナム)ノツーラン沖百キロホドノ
 南支那海ノ上空デアッタ。
 丸尾大尉ガ雲中ニ突ッ込ンダノハ、塔ノヨウナ雲デ、モノノ何秒カデ
 ツッ切ッテシマウ自信ガアッタカラデアル。
 ダガ、シカシ濃ク白イ雲ノ壁ハ、意外ニ厚ク、各機ノ視界ヲ奪ッテ、
 編隊ハ、相手ガオ互イニ、一瞬 見エナクナルホド暗イ水蒸気ノ塊リニ
 ツツマレタ。ソノウエ上昇気流ノ乱レガ、ハゲシク各機ヲ動揺サセタ。
 モノノ二十秒カ三十秒シテ、丸尾大尉ガ雲ノ向コウガワニヌケテ
 振リ返ッタトキ、左側ニイタハズノ第三編隊ノ三機ノウチ、浅川中尉ト
 近藤曹長ノ二機ガ忽然ト消エテイタ。オソラクハ雲ノ中ノ衝突デアッタロウ
 加藤部隊長ノ最後ヲ見テイタ近藤曹長ハコウシテ死ンデイッタ。
 ソシテ 浅黒イ顔ノ静カナ男浅川中尉モコウシテシンダ。
 シンガポールノ青イ空ノ下デ訓練ハ続イタ。   

162:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/26 14:53:57.27 feVD6NHn0
シンガポールノ青イ空ノ下デ訓練ハ続イタ。
 ジャワ(インドネシア)デ無傷ノママ分捕ッタ 
 ボーイング・ビー十七ニ対スル攻撃法モ、シンガポールノ
 空ニ飛バセテ訓練シタ。
 南方軍技術研究所ノ田中中佐ラノ、ベテランパイロット達ト一緒ニ、
 私モ目標機ニナッテイル ビー十七ニ乗リ込ンデ、部下達ノ
 攻撃ブリヲ観察シテ見タ。
 前方カラ突ッ込ンデクル隼ガ、衝突スルカ、ト、思ワレルヨウナ
 近サマデキテ、クルリ、ト身ヲカワシテ離レテユク迫力ハ
 相当ナモノデ、イクドカ胆ヲ冷ヤスコトガアッタ。
「アンナ無茶ナ危ナイ攻撃ヲサレテハ モウ、オ前達ノ攻撃ヲ批評スル
 タメニ乗ルコトハヤメニスル。衝突シテ殺サレテハ
 カナワンカラナ・・・」私ノ講評ニ、ミンナハ「ニヤリ」ト
 笑ウノデアッタガ、ソレホド攻撃意識ハ充実シテキタヨウデアッタ。
昭和十七年十月七日「ビルマヘ再転進シテ、作戦準備ヲセヨ」トノ
 命令ガキタ。
 前ノ戦隊長ヲ失ッテカラ、沈滞シガチデアッタ部隊ニモ、
 モハヤ、ソノ暗イ面影ハ消エタ。営々トシテ練磨シ、休ミナク
 励ンデキタ戦隊ノ訓練成果ヲ引ッ下ゲテ、新シイ意気込ミデ
 戦場ニ乗リ込ム日ガ近ヅイタノダ。
 シンガポールカラマレー半島ノ スンゲイパタニニ着陸シテ
 燃料ヲ補給シタ「隼」部隊ハ、タイ国ノ首都バンコックノ
 ドンムアン飛行場ニ着陸ショウト、四時間ノ飛行ヲ終エテ上空
 ニ到達シタ。スルト、ナント、ドンムアンノ広イ飛行場ハ、
 大洪水ニ呑ミコマレテ水没シテイルデハナイカ。建物ハ水中ニ孤立
 シテ浮イテイタ。  
「ヤ、コレハ大変ダ、コウナレバ、ビルママデイッキョニ行クホカニ
 手ハナイ・・・・」。

163:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/27 07:40:48.08 Ydsx4LSC0
「ヤ、コレハ大変ダ、コウナレバ、ビルママデイッキョニ行クホカニ
 手ハナイ・・・・」。
 私(黒江)ハ着陸ヲ止メ、スロットルレバーヲ押シテ
 エンジンノ回転数ヲアゲ隼十二機編隊デ機首ヲラングーンニ向ケタ。
 編隊ハ、タイト ビルマノ国境ノ山々ノ雲上ヲ越エタ。
 サイワイナコトニ、ビルマ平原ニ雲ノ切レ間ガアッタ。
「隼」デナケレバデキナイ長距離航法ダッタ。飛行六時間十五分、
 航程千八百キロメートル。ミンガラトン飛行場ニハ、
 雨季ノアイダジュウ、ズット残留シテイタ部隊勤務員タチガ
 ムカエテクレタ。 ナツカシイ、ビルマノ戦場デアッタ。
 ソノコロ、米空軍ハ、蒋介石ノ中国ニ対シテ、イワユル援蒋物資
 ヲ空中輸送スルタメ チンスキヤ(今ノバングラディシュ)一帯
 ニ、輸送機ノ中継基地ヲツクリ戦闘機ヲ配シテ活発ナ行動ヲ
 開始シテイタ。
昭和十七年十月十五日 第四飛行団長 中西少将ハ私ニコウ言ッタ。
「攻撃ニ先キ立ッテ、戦闘機部隊モ、アノ一帯ノ地形ト飛行場ノ配置
 ヲ見テオク必要ガアル。黒江大尉、君ヒトツ、百式司令部偵察機
 デ見テキテクレヌカ」ト。
 非武装ノ司偵デドウナルコトカ、ト不安デアッタガ、
 躊躇ハ許サレヌ、マタ断ル理由モナカッタ。
「行カセテイタダキマス」
翌十月十五日、双発ノ快速ヲホコル百式司令部偵察機ハ、
 鈴木大尉操縦ノモトニ トングーカラ、メイクテイラニ飛ビ、燃料
 ヲ入レテカラ一路北ヘ、目標ニ向カッテ高度ヲ上ゲテイッタ。 
 雲ハ真白ニ光ッテ高クソビエテイタ。ウントー アタリノ上空カラ
 ツイニ高度計ノ指示ハ八千メートルヲ指シハジメタ。  

164:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/27 13:47:36.34 Ydsx4LSC0
雲ハ真白ニ光ッテ高クソビエテイタ。ウントー アタリノ上空カラ
 ツイニ高度計ノ指示ハ八千メートルヲ指シハジメタ。⇒
※百式四型司令部偵察機 通称新司偵 乗員二 空冷複式星型十四気筒
   千五百馬力×二(燃料噴射ポンプ) 全幅十四、七メートル
   全長十一メートル自重四、〇一トン全備重量五、九トン
   最大速度時速六百三十キロメートル(終ワリニハ離昇浮揚
   三千馬力デ日本海横断 追イ風時速七百キロメートル)
   巡航速度時速四百六十キロメートル 実用上昇限度一万メートル
   航続距離二千七百キロメートル 武装 ナシ
⇒  寒クテ、ガタガタト フルエルホドダッタ。ハテシナク続ク
 白雲ノ上デ後方座席ニ下向キニ装置サレタ大型写真機ノスキマカラ
 吹キ込ム風ハ、モノスゴク冷タク、ソノウエ酸素吸入器ガ
 故障シテイルノカ呼吸ガ乱レテキタ。
 インドトノ国境ハ漠々トシタ雲ダッタ。北ヘ深ク、ヒマラヤノ山系ニ、
 近ヅイテイルハズダ、ト考エテイタ時鈴木大尉ガ
 伝声管デドナッテキタ。
「敵ノ真上ノハズデスガ、コノ雲ノ量デハ、トテモ何モ見エマセン。
偵察ヲ中止シテ帰還スルコトニシマス・・・・イイデスカ?」
 機ハシズカニ大キナ孤ヲ描キナガラ左旋回シタ。
 ソノトキ、私ハ息ヲ飲ムヨウナ光景ヲ見タ。  

165:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/29 09:08:17.52 WBuFUAdi0
ソノトキ、私ハ息ヲ飲ムヨウナ光景ヲ見タ。
 行ク手ハルカ北ノ方向、雲上ノ水平線ニ浮カブ無数ノ山々ガアリ、
 ソレガ一連ノ城壁ノヨウニツラナッテ、ギザギザ ノ山々ガ
 白銀ニ光ッテイタ。
 雪ヲイタダイタ。ヒマラヤ山系ノ一部デアル。
 白熱ノ太陽カラ降リソソグ熱帯ノ光ヲアビテ、神々シイバカリニ
 輝イタ神聖ナ雪ノ山ハ、気高ク美シイ。息ヲ飲ム思イデ、
 私ハシバラク見惚レテイタ。
 <ハルケクモ(日本カラ離レテ、コンナニ遥カニ遠クマデ・・
 ノ意味ナノカ、ナ)キタモノダ。コンナ遠イトコロマデ、戦争
 シニヤッテキテ、
 オレハ、ヒマラヤヲ見タ。・・・・、アノ白銀ノ峰々ヲ・・・・>
 ヤガテ若イ血潮ガ高鳴リ雄図ガ燃エ上ガッテキタ。
 百式司偵ハスベルヨウニ雲上ヲ直路トンガー ニ帰ッテキタガ、興奮
 ト酸素不足デ、身体ガ、ガタガタト震ルエルノヲ
 止メルコトガデキナカッタ。
昭和十七年十月二十四日北ヘ飛ンダ一機ノ百式司令部偵察機ハ 
 チンスキヤ飛行場ノ大型機二十機、小型機二十機ヲ
 写真捜索シテキタ。
昭和十七年十月二十五日十三時三十分 メイクテイラ西飛行場ヲ
 離陸シタ飛行第六十四戦隊ノ「隼」ハ シエウエボ
 上空高度二千メートルデ第四飛行団全力ノ百数十機ト空中集合シテ、
 堂々ノ航進ヲ開始シタ。
 高度五千五百メートルデ アラカン山脈ヲ越エ、メザスチンスキヤ
 飛行場ニ突入シタ。
 マズ軽爆隊ガ、オークランズ飛行場ヲ爆撃シタ。タチマチ敵ノ 
 数機ガ、黒煙ヲアゲテ燃エ出シタ。敵ノ高射砲弾ガ、中空ニ
 真ッ黒ナハナビラノヨウニ、点々ト炸裂シ出シタ中ヲ、在空
 敵機ナシト見タ私ハ、全速力デ急降下ニウツッタ。

166:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/01 14:55:18.56 eCLZINUK0
在空敵機ナシト見タ私ハ、全速力デ急降下ニウツッタ。
 オークランズ ノ北側カラ、ディブルガールニサシカカルトキ、フト見ルト
 敵ノ小型機ガ、マサニ滑走路上ヲ離陸シテイルノガ見エタ。
 翼ヲ振ッテ攻撃下令スルノモモドカシク、スロットルヲ閉ジタ私ハ、
 計器速度時速五百五十キロメートルヲ出シテ、マッサカサマニ
 突進シテイッタ。
 後ロニツヅク味方ナド、見テイルヨユウモナケレバ、ヨソデナニガ
 起キテイテモ、カマッテイラレナイ、タダ眼下ノ敵ヲヤッツケルダケノ
 一念ダッタ。
 シカシ、オーバースピードノ隼ハ、速度ヲ一度ヘラス必要ガアッタ。
 乱暴ニ 力ヲコメテ敵基地ノ上デ旋回シ、スピードヲヘラシナガラ、
 見テイルウチニ、離陸シタ敵機ハ五機ヲ数エテシマッタ。
 ヤット六機目ガ離陸滑走スルウシロカラ突進スルコトガデキタ私ハ、
 敵ノ滑走路上ヲ高度十メートルデ超低空飛行シナガラ、浮揚シタバカリノ
 カーチス・ピー四十・トマホーク メガケテ、ドドド・・・ト射弾ヲ
 浴ビセカケタ。スルト、浮イタ直後ニ背後カラ射タレタ敵機ハ、
 車輪ヲ引ッ込メルコトサエ忘レテ、逃ゲヨウトシタ。
 アキラカニ敵機ハビックリ仰天シタノダ。私ハスグニ、機ヲ引キ上ゲテ
 翼ヲ傾ケ、二撃目ヲカケヨウトシタ。トコロガ、コノトキ、
 大地ノ上ヲカケヌケル トマホーク ノ翼ト胴体ガ、ピカピカット
 光ルノヲ見タ。機関砲弾ガ命中シテ爆発シテイルノダ。
「誰カガ射ッテイル・・・」 ハットシテ、トマホークノ後ロヲ見ルト、
 二番機ノ安田曹長機ダッタ。ツヅイテ、三番機ノ細萱(ホソカヤ)曹長
 ガピタリト クイッツイテイル。曳光弾ノ射線ガマタ敵機ヲツツンダ。
 各人ガ二撃ヅツカケテ最後ニ突進シタ私ハ、敵機ノ速度ガ急ニ
 ニブクナッタノヲ知ッタ。エンジンガ止マッタノデアロウ。
 森ノ間ノセマイ原ッパニ、トマホークハ車輪ヲ出シタママ接地シタ。
 車輪ガ ハネ飛ンデ砂煙ガ舞イ上ガッタ。スコシ速度ヲ落シタママ、照準器
 ノ中デ敵機ノ接地ヲ見タ私ハ、思ワズ機銃ノ引キガネヲヒイタ。

167:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/03 08:16:10.10 GS8TcZcr0
スコシ速度ヲ落シタママ、照準器ノ中デ敵機ノ接地ヲ見タ私ハ、思ワズ
 機銃ノ引キガネヲヒイタ。ソシテイッタン上空ヲ通リスギテ、
 隼 ヲ引キ上ゲテオイテカラ、モウ一度突進シタ。
 スルト、擱座(カクザ・・機能ヲ失ッテ動ケナクナルコト)シタ
 トマホーク ノ座席カラ、黒イモノガ動イテ、左ヘ走ルノガ見エタ。
 敵ノパイロットハ生キテイタノダ。彼ハ畑ヲ横切ッテ森ノ中ヘ走リコンダ。
 高度二十メートル、直線距離百メートルデ 力(チカラ)イッパイ
 引キ上ゲノ舵(カジ)ヲ使ッタガ、意外ニモ機速ガアッタ 隼 ハ、
 グーン ト沈ムヨウニ下ガッテイッタ。
 機、全体ガ大地ニ引キ寄セラレルヨウニ・・・・。
<ヤッタアー・・・・地面ニブツカッタカ・・・・>息ヲトメテ
 観念シタトキ、左右ノ翼ノ上ニ樹ノ梢ガ、グーントセリアガッテ、私ハ
 敵ノ残骸ニ腹ヲコスリツケタ、カ、ト思ッタ。高度ハ二メートル以下、
 不用意ナ離脱操作デ危機一髪、隼 ハ地面ニ激突スルノヲマヌガレテ、
 フタタビ上空ヘ舞イ上ガッタ。マッタクノ幸運トイウホカハナイ。
 <ヒヤアー、危ナイ、アブナイ・・・・>ヒヤ汗ヲナガスヨウナスリル、
 ノ次ニハ、シカシスグサマ 冷静ナ判断ガハタライタ。
<サキホド、少ナクトモ五機ノ トマホークガ、ディブルガールカラ
 離陸スルノヲ見タ以上、上空ニ敵機ガイルコトハマチガイナイ、
 油断ハ禁物ダ>三機ハ上空ノ見張リヲツヅケナガラ、全力上昇ニウツッタ。
 遠ク、オークランズ飛行場デ、炎々ト燃エル敵機ノ黒イ煙ガ
 ヒロガッテイルノヲ見タ。
 第二編隊ノ武村太郎中尉、高橋中尉、横井門司曹長ハ、第三編隊ノ
 各機ト私ガ、急降下ニウツッタノヲ見テカラ、スカサズ、コレニツヅイタガ
 隊長機(黒江)ノ高度ノ下ゲ方ガアマリニモ早カッタタメ、途中デ
 追イツケナクナリ、ソノウエ敵機ノ距離ニ気ヲトラレテ私ノ編隊ヲ
 見失ッテシマッタノデアル。
 ダガ、ソノアトスグ、逃ゲタ敵機ヲ追ワズ、オークランズト 
 ディブルガールニ壮烈ナ銃撃ヲ敢行シタノデアッタ。

168:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/04 08:16:57.73 TKlvRHdS0
ダガ、ソノアトスグ、逃ゲタ敵機ヲ追ワズ、オークランズ ト
 ディブルガールニ壮烈ナ銃撃ヲ敢行シタノデアッタ。⇒
※カーチス・ピー四十 アメリカ陸軍戦闘機
 カーチス社ハ戦闘機ニハ、・・ホークノ名称ヲツケル。
 中国戦線ニ参加シタアメリカノ義勇兵航空隊ハコノカーチス・ピー四十
 戦闘機デ編成サレテイタ。
 コノ当時ノカーチス社ノ戦闘機製造ノ基本理念ハ「頑丈サ」デアッタ。
 アメリカデノ通称/略称 ウオーホーク(戦イノ鷹) 
 イギリス軍デノ通称/略称 トマホーク
 乗員一  アリソン・ブイ・千七百十エンジン・千百五十馬力 
 全幅十一、三七メートル 全長九、六八メートル
 自重ニ、四三九トン全備重量三、〇七五トン
 武装十二、七ミリ機銃×二 七、六ミリ機銃×二
 胴体下ニ五百ポンド(二百二十七キログラム)爆弾一 
 主翼ニ百ポンド(四十五キログラム)爆弾×二 
※一ポンドハ四百五十三、五九グラム 
 最大速度時速五百七十キロメートル 航続距離五百六十三キロメートル
 実用上昇限度一万二百七十メートル
⇒対空砲火ノ雨ノ中デ、彼ラハダグラス・ディー・シー三型ノ一機ヲ燃ヤシ
 ホカノ二機ヲ撃破シタ。両機トモ、ソレゾレ二発ノ地上砲火ニヨル
 被弾ガアリ、横井曹長モエンジンヲ射チ抜カレテ危ナカッタガ、調子ノ
 ワルカッタエンジンヲ ダマシダマシ シテ、味方ノ前線基地カマイン
 ニスベリコンデイタ。メイクテイラ ヘモドッテクル空デ、ミンナガ
 私ノモトニアツマッテキタ。横井曹長ノ一機ガタリナカッタ。
 基地ガ見エテキタトキ、私ハミンナニ合図シテ低空デ増速シ、大キク操縦桿
 ヲ引クト、基地ノ真上デ編隊宙返リシタ。大地ガ腹ノ下ニ沈ミ、
 大空ガ前方ニイッパイニヒロガッタ。首ヲ上ニ向ケルト、反対側ニ
 地平線ガアラワレタ。ミンナハピッタリト私ニクッツイテ、
 隊形モ一糸乱レズ、勝利ノ宙返リヲ舞ッテイタ。

169:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/05 13:39:38.48 HKnxBWtI0
隊形モ一糸乱レズ、勝利ノ中返リヲ舞ッテイタ。
昭和十七年十一月二十二日午前二時ラングーンハ、数機ノビー二十四
 ニヨル空襲ヲ受ケタ。
 大谷大尉ラノ第一中隊ガ当直シテイテ、スグニ舞イ上ガッタガ、
 月ガアマリニ明ルク、探照灯ハ、敵機ヲトラエルコトガ
 デキナイウチニ、飛行場ナラビニ軍事施設ガ、爆撃ヲウケテ、
 六機炎上、中小破九機、軍事施設炎上ト言ウ損害ヲ受ケテシマッタ。
 二十三日夜ニハ、マグウエガ空襲サレ、二十四日ニハ、メイクテイラ
 トングー ナドガ夜間爆撃ヲウケタ。ナントカシテ一矢ヲ
ムクイナケレバナラナイト、クル日モ クル日モ、私タチハ夜ノ
 警戒ヲ厳重ニシテイタ。ソシテ、
十一月二十五日深更(シンコウ・・夜フケ)前線ノ
 監視硝(カンシショウ・・見張リ所)カラ、サカンニ情報ガ
 入ッテキタ。
「爆音、西カラ東ヘ」「大型機数機、西南進」
 ソレハスベテ ラングーンノ方角ニ向カッテクルモノデアッタ。
 午前一時三十分「ラングーン西方三十キロ、敵機東進」ノ情報
 ガ入ッタ。私ハ緊急離陸シタ。高度ヲスコシヅツ上ゲナガラ、
 ビクトリア湖ノ上空三千メートルカラ三千五百メートルデ待機
 シテイルト、敵機ガ ミンガラトンニ侵入シテキタ。
 大空ヲ掃(ハ)クヨウニ探照灯ガ動キマワリ、夜空デ花火ノヨウニ
 高射砲弾ガハジケ出シタ。
 一機二機ト、光ガトラエタ敵機ハ、銀色ニ光ッテ、蛾(ガ・・
 チョウニ似タ昆虫・・サザンカ・椿ニツク蛾ハ強烈ナ毒蛾)ノヨウニ見エタ。トラエラレタ蛾ハ 
 ノタウチマワリ急旋回シテ、光ノ束カラ逃レヨウトシタ。
 暗イトコロニ逃ゲコンダカニ見エル蛾ガ、マタ光ノ束ニトラエラレ、
 右ニ左ニノタウチマワッテイル。 
 第三機目ノ巨大ナ敵機ニ向カッテ、私ハ、突進シタ。
 左ヘ、左ヘト旋回スル四発ノ怪物ハ、ボーイング・ビー十七ダッタ。
 ソノ旋回ノ内側カラ距離ヲ詰メテ行ク時、探照灯ガ消エタ。 

170:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/06 10:09:31.04 HTqjTg0X0
左ヘ左ヘト、旋回スル四発ノ怪物ハ、ボーイング・ビー十七ダッタ。
 ソノ旋回ノ内側カラ距離ヲ詰メテ行ク時、探照灯ガ消エタ。
 消エタトイウヨリ、高射砲ノ射程外ニ出タノデ、断念シテ目標ヲ
 変換シタノデアロウ。
 シカシ、下カラスカシテ見タ名月ノ薄明リノ空ニ、
 ボーイング・ビー十七ノ巨体ハ、私ノ目カラ消エルコトナク、黒々ト
 残ッテイタ。
<千載一遇ノチャンス!>私ノ胸ガオドッタ。
 私ハ、左後下方攻撃デ、一連射ヲアビセタ。機銃ガ火ヲ吐イタ。
 銃口ノ発射閃光ガ、私ノ網膜ニ、瞬間的ニ目ツブシヲ食ワセ、
 連続照準ヲツヅケルコトガデキナイ。操縦桿ヲ右ヘタオシテ
 右下方ニ離脱シ、スグニマタ立テナオシタ。遠クヘ
 離脱シテシマッテハ、敵機ヲ見失ッテシマウカラデアル。
 今度ハ、右後下方カラ、機首ヲ持チ上ゲテ射ッタ。短イ射撃
 ヲ区切リナガラ、発射閃光ノ合イ間ニ照準ヲツケナオシタ。
 「ドド・ドド・ドド !」一銃アタリ、数発カラ数十発グライノ
 点射トイウヤリカタデアル。方向舵ト操縦桿ヲ、強ク使ッテ左ヘ、
 マタ滑ルヨウニ離脱シ、三回目ヲ左下カラ射ッテ、右下方ニ出タ。
 暗ガリノ中カラ射タレタコトニ、敵ハ驚イタノデアロウ。
 爆弾ヲ全部捨テタ。
 ソレハ、ラングーン市ノハルカ西ノ、ナニモナイ平原ノ中ニ大キナ
 火柱ヲアゲテ炸裂シタ。
 イマヤ、敵モ死ニモノ狂イダッタ。西ヘ西ヘ、小刻(コキザミ)
 ニ上下左右ニ、ノタウチナガラ、遁走シテユク。
 月明カリノ中ノ大型ト小型ノ一騎打チダッタ。
 暗イ大空デ、トモスレバ見失イガチナ相手ヲ、シカシ、私ハ
 決シテハナサナカッタ。
 

171:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/06 14:02:04.65 HTqjTg0X0
暗イ大空デ、トモスレバ見失イガチナ相手ヲ、シカシ、私ハ
 決シテハナサナカッタ。
 ダニノヨウニ食イ下ガッタママ ボーイング・ビー十七カラ
 直線距離三百メートル以内ノ距離ヲタモッテイタ。⇒

※ボーイング・ビー十七爆撃機 
乗員十名 エンジン[ライト・サイクロン]・空冷星形九気筒
 千二百馬力×四 全幅 三十一、六メートル
 全長二十二、六メートル 総重量二十五~二十九トン
 航続距離 五千八百キロメートル 最大速度 時速四百六十二キロメートル
 巡航高度六千~八千メートル実用上昇限度一万メートル 
 爆弾二、七トン~四、九トン
 武装 十二、七ミリ エム弐機関銃十三挺
※ボーイング・ビー十七ノ艤装(装備・装置)ヲ換エタ
 ビー四十モ ビー十七爆撃機編隊ノナカニアッタ。コノ戦線デ
 使ワレタカドウカハ不明
 ビー四十ハ機銃二十四挺ヲモツ名称ハ爆撃機デアリナガラ
 長距離戦闘ヲ実際ノ任務トシテイタ。

⇒ソレヨリ遠クナルト、見失ッテシマウオソレガアッタカラダ。
 右ヘ左ヘ、自分ノ位置ヲ相手ニハサトラレヌヨウニ、私ハ追撃ヲ
 続ケタ。

172:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/08 11:51:29.24 1pxPumug0
右ヘ左ヘ、自分ノ位置ヲ相手ニハサトラレヌヨウニ、私ハ追撃ヲ
 続ケタ。
 射弾ガ命中シテイタカドウカ、私ニハ確認スル方法ガナカッタ。
 私ハ何回目カノ突進ヲ試ミタ。機種ヲビー十七ニ向ケテ
 ネライヲツケタトキ、急ニ照準線ノ上デ、
 「パパパ・・・・」ト、曳光弾ガ私ノ左前方カラ、黒イ影ノ敵ニ
 向カツテ飛ンデユクノガ見エタ。 イソイデ離脱シタ。
<ダレカベツニモウ一機味方ガ近クニキテル> スグニ頭ガハタライタ
 曳光弾ハ明ラカニ<隼>ノモノデアル、敵機カラ、コチラニ
 向カッテ飛ンデキタモノデナカッタ。
<ダレカガ同時ニビー十七ニムカッテ攻撃シテイル・・・下手ヲスルト
 味方同士デ同時攻撃シタラ空中衝突スルカモシレナイ。
 ドウスルカ?エエイ、ヤッテシマエ> 味方ガイルトイウコトハ、
 強イコトダッタ。私ハ再ビ突進シタ。ソシテ機銃弾ノ手持チ全部
 ヲ射チツクシタ。ビー十七ハ前方ノ薄イ層雲ノ中ヘヤット隠レ家ヲ
 見付ケタカノヨウニ、気息 エンエントシテ雲ノ中ニ
 ワケ入ッテシマッタ。私ハ<タシカニコチラノ弾丸ガアタッテ
 イタコトハマチガイナイナ>頭ヲカシゲナガラ、ラングーンニ
 帰ッテキタ。接地シテプロペラヲ止メテシマウ前ニ
 地上カラ翼ニ上ガッテキテ座席ヲノゾキコンダ山本曹長ニタズネタ。
「誰カマダ降リテコナイ者ガアルカ?」
「安田曹長ガ帰リマセン、ソノ一機ダケデス」私ハ自分ノ顔ガ
 青ザメテイクノガワカッタ。
 トコロガ、安田曹長ハソノ翌日 アチコチ火傷ヲウケ、トクニ顔ハ
 真ッ黒ニ火ニ焼カレテイタガ、ユウユウト帰ッテキタ。
 夜空デ赤イ火ノ玉ノアトニ、パラシュートノヨウナモノガ、
 白ク浮カンデイタガ、安田曹長デアッタ。
 昼過ギ私タチガ攻撃シタボーイング・ビー十七ハ
 雲ノ中ニワケ入ッタ地点カラ チョット先デ 力 尽キテ
 墜落シテイタ。
 
 

173:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/10 16:10:40.67 rTxF4uJR0
夜空デ赤イ火ノ玉ノアトニ、パラシュートノヨウナモノガ、
 白ク浮カンデイタガ、安田曹長デアッタ。・・・・
・・・雲ノ中ニワケ入ッタ地点カラ チョット先デ 力 尽キテ
 墜落シテイタ。

 [ボーイング・ビー四十]
 ボーイング・ビー十七ノ艤装(装備・装置)ヲ換エタ ビー四十モ 
 ビー十七爆撃機編隊ノナカニアッタ。
 コノ戦線デ使ワレタカドウカハ不明 、ダガ
 真ッ暗闇ノ大空デ安田曹長機ニ命中弾ヲ与エタコトカラ考エルト、
 搭載機銃二十四挺ノ、コノビー四十爆撃機ノヨウニ思エルノデアル。

火網ノ中ニ身ヲ晒ストキ
昭和十八年二月 <隼一型>カラ十三ミリ砲二門搭載、ト
 時速二十キロメートル以上スピードヲ向上サセタ強化型<隼二型>
 ニ機種ヲ改メタ部隊ハ、各中隊ゴトニ、立川カラ台湾、海南島
 ヲヘテビルマニ飛ンダ。
 一中隊ガ十二機、三中隊デ三十六機ノ部隊デアル。
 部隊ハ、海南島ノ三亜海軍飛行場ニ着クト、八木戦隊長ノヒキイル
 第二中隊ガ、第一陣トシテ飛ビ立チ、ツヅイテ私(黒江)ノ第三中隊
 最後ハ明楽(メイラク)少佐ノヒキイル第一中隊ノ順ニ、
 ビルマヘト飛ンダ。
 


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