14/01/23 19:12:08.87 B40y8R0tP
百二十三 訂正
・・・メッサー百六十三ビー(重量四、三トン)ノ馬力ハ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ビー二十九(重量五十四トン)ノ馬力ヲ ←コノ行ヲ
千二百馬力上回ッテイルコトニナル ←コノ行ヲ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⇒ビー二十九(重量五十四トン)ノエンジン 二、五基分
⇒ト言ウコトニナル
125:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/24 16:45:03.98 +2Mp+iNFP
分隊長トシテ初ノ出撃
昭和二十年二月十日 私ノ周囲ニハ三十二機ノ雷電ガ並ンデイタ
ソシテコノ日初メテ 一分隊長トシテソノ半分ノ十六機ヲ率イテ
離陸スル日デアッタ 午後一時横須賀ノ本部ハ電話デ雷電隊出動ヲ
命ジテキタ 三十二機ノ雷電ハ一斉ニエンジンヲ発動一番機デアル
二分隊長機ヨリ離陸地点ニ向カッタ 冬ノ霜ニ枯レテ、トコロドコロ
赤地ヲ露ワシタ飛行場ニモウモウト土煙ガ巻キ起コッタ。
コノ土煙ヲ後ニ雷電隊ハ一機一機ト離陸シテ行ク。
離陸シタラ直チニ高度ヲトル ビー二十九ハ 九千メートル
付近デ来襲シテクル。
コレヲ邀撃スルタメニハ一万メートルノ高度ガ必要デアッタ
私タチハ酸素ヲ吸イナガラ 次第ニ空気ノ圧力ノヘッテイク
上空ヘ上空ヘト上昇シテ行ク ヤガテ電話カラ
「東京上空一万メートルニテ待テ」ト聞コエタ
高度一万メートルデ雷電ガ三十二機ノ編隊ヲ保ッテ敵ノ
来襲ヲ待ッテイラレルト思ウノハ地上ノ考エデアル
一万メートルノ高度ヲ保ツタメニハ機首ヲイッパイニ上ゲ
エンジンヲ全開ニシテヤット高度ヲ保チウルニ過ギナイ
高度九千メートルマデ上昇シタ
コノ間ニ増槽ノ燃料ガナクナッテ メインタンクニ切リ換エタ ヤガテ
「房総半島上空ビー二十九 十数機北上中」ノ電話ガ入ッタ
「了解 了解、雷(カミナリ)一番」ト応答シテ房総半島上空ヲ見タガ
ビー二十九ハ見エナイノデアル。
コレハ、高々度デハ垂直視界ハ良イガ水平方向ノ視力ハ弱マルノデアル
私ハ仕方ガナイノデ東方ニ注意シツツビー二十九ニ平行ニナルヨウニ
北上シタ。
「ハッ」ト思ッタ時、九機アマリノビー二十九ガ突然視界ニ入ッテキタ
126:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/26 17:21:58.52 80pqbj61P
「ハッ」ト思ッタ時、九機アマリノビー二十九ガ突然視界ニ入ッテキタ
東カラ西(房総半島カラ東京方面)ニ向カッテイタ
高度ハ八千五百メートル位デアッタ 私ハビー二十九ノ
前方ニデルコトガデキタ
敵ハサカンニ射ッテキタ 私ハ千メートル近クビー二十九ノ前方ニ出テ
反転 機首ヲ突ッ込ンデ速力ヲツケテ前下方カラ九機編隊ノビー二十九
ノ一番機ヲ狙ッテ射チ上ゲテイッタ。
双方時速五百キロメートル近クノ速力デ走ッテイル。
「アッ」ト言ウマニビー二十九ガ近ヅイタ。
敵機ノ前部銃座ノ二挺ヅツノ十三ミリ機銃ハ私ノ雷電ニ向カッテ
火ヲ吹イタ。 私ハ二十ミリ四挺ヲ発射シナガラコレニ
向カッタ。自分ノ射ツ機銃ノ曳痕デ敵ノ十三ミリノ曳痕ハ
全然見エナカッタ ビー二十九ノ大キナ機体ガ雷電ニ負オイカブサル
ヨウニ感ジテ、私ハ「フットバー」ヲ一杯ケッタ。同時ニ
操縦桿ヲ右前方ニ突ッ込ンデ、敵機ノ下方ヘ避退シタ。
私ノ射ッタ曳痕ガビー二十九ノ大キナ機体ニ吸イコマレテイッテ、一ツノ
発動機ガ火ヲフイタ。「ヤッタ!」トソノトキ心ニ凱歌。
春川正次飛長モ私ニ続イテ同ジヨウナ攻撃ヲ加エタ。ソシテ機首ヲ
突ッ込ンデ避退シタ後、 機首ヲ下ゲテ ツケタ速力ヲ利用シテ
後下方ヨリ 春川飛長ト二機編隊デ射チ上ゲテイッタ。
編隊中ノビー二十九一機左外側エンジンニ火炎ヲ生ジ後落シハジメタ。
ソノウチ爆弾ヲ投下反転シテ九十九里ヨリ海上ヘ高度ヲ下ゲツツ
逃レテイク
127:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/27 15:43:14.36 HlvUbwLUP
編隊中ノビー二十九 一機左外側エンジンニ火炎ヲ生ジ後落シハジメタ。
ソノウチ爆弾ヲ投下反転シテ九十九里ヨリ海上ヘ高度ヲ下ゲツツ逃レテイク。
・・・
春川正次飛長ハ雷電ノ燃料ガナクナリ厚木ヘ帰投シタ
私ハ前方銃ノ全弾ヲ射チツクシテシマッテイタノデ斜メ銃デ攻撃スルコトニ
決心シタ 雷電ノ斜銃ハ座席ノ左後方ニ三十度ノアップヲトリ、飛行機ノ
軸線ヨリ左ヘ三十度ノ角度ヲ持タセテ取リツケテアッタ
私ハ後落シテ煙ヲ吐キツツ海上ニ逃ゲルビー二十九ノ右斜メ後方下ヨリ
チカヅキナガラ、残ッテイタ一挺ノ斜銃デ射撃シテイッタ。
体勢ノ変化ノ少ナイ同航ノ斜銃射撃デアルノデ、二十ミリノ曳痕ガ
ビー二十九ノ大キナ胴体ニ入ッテ行クノガヨクワカルガ、
敵ノ曳痕モナカナカヨイトコロヲ狙ッテ
私ノ飛行機ニ近ヅイテクル。ソシテ、
流レルヨウニ曳痕ガ近ヅイテキタト思ッタラ 左翼ニ「ガンッ」ト
一発アタッテシマッタ。銚子ノ上空マデ射撃シナガラ追ッタガ
トウトウ燃料ガナクナッテシマッタ。ビー二十九ハ 煙ヲ吹キツツ
高度ヲ下ゲテ海上ニ逃レテイッタ。アレダケヤラレテイレバ、
恐ラク マリアナ基地ニハ帰レマイト思ッタトキ 初メテ
快心ノ笑ミガ浮カンデキタ。
厚木マデ帰ル燃料ガナイノデ、神之池海軍航空隊ヘ不時着シタ。
神之池空ノ格納庫ノ前デ 「エンジン」ヲ止メテ見ルト、エンジンノ
直前カラ プロペラノ間ヲ通ッタ十三ミリガ冷却ファンヲ
メチャメチャニシテ、前列ノシリンダーノ突棒ヲ折リ、シリンダー
ノ冷却片ヲケズリ ラジエーターヲブチ抜イテイタ。
前下方カラ攻撃シタ時ニ直前カラ射タレタノニチガイナカッタ。
左翼ニ穴ガアイテイタノハ知ッテイタガ エンジンノ方ハ全然気ガ
ツカナカッタ。
翌日厚木カラ赤松中尉ガ迎エニ来テクレタ。私ノ飛行機ヲ見テ
「分隊長ズイブンヤラレマシタネ」ト言ッタ彼ノ顔ハ好意ニ満チテイタ
私ハ分隊長トシテ無事ニヤッテ行ケソウナ気ガシテ
明ルイ気持ニナッテ彼ノ後席ニ乗ッテ厚木ヘ帰ッタ
※ 海軍航空隊神之池基地(カイグンコウクウタイ ゴウノイケキチ)
神雷竜巻櫻花隊員 錬成ノ地
茨城県鹿嶋市 「櫻花公園」
128:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/28 15:12:59.54 lI50tFDqP
昭和二十年五月(二十九日) 横浜上空
「ビー二十九数目標父島ノ西方三十浬[カイリ]約五十六キロメートル
進路零度」 横須賀ノ防空指揮所カラノ電話ヲ受ケタ 要務士ガ
指揮所ニ届ケテキタ ソコヘ飛行長ガ来テ「一分隊長、今日ハ零戦隊ノ
飛行機ニモ雷電ノ搭乗員デ編成シテ上ガッテクレ」ト言ツタ
「オイ板橋、編成表ヲ作ッテクレ、オレハ雷電ノ一番機トナルヨ」ト
分隊士ノ板橋中尉ニ命ジタ。
「雷電隊警戒」ノ命令ガ本部カラ伝エラレタ、
雷電ノ一番ハ私デ零戦ノ一番機ハ傍示大尉デアル
「発進」ノ命令デ主滑走路ヨリ離陸 列機ガ後ニ続ク
六千メートル以上ニ薄イ雲ガアル。
東京カ横浜カ 雲ノ上ヲ来ルカ、雲ノ下ヲ来ルカ ソノ判断ノ
責任ハ重大デアル イライラシナガラ旋回シテイルト
来タ、来タ! 高度六千、綺麗ナ編隊ノビー二十九ガ厚木ノ上空ヨリ
真ッスグニ東進、横浜ニ向カッテイル。
第一波約十数機、今日ハ雲ノ下ヲ来タノデアル
直チニ機首ヲ廻ラシビー二十九ニ向カッタ 見レバ零戦隊ガスデニ
一番機ヨリ攻撃ヲ始メテイル
「危イ!」ビー二十九ノ上方ニ 雲ニスレスレニ約五十機ノ
ピー五十一ガコレヲ護衛シテイル コノピー五十一ガ
ビー二十九ニ襲イカカッタ零戦隊ニ向カツテ
雲ノ中カラ突如トシテ降ッテキタ コレヲ見タ私ハビー二十九ヨリ先ニ
コノピー五十一ヲヤッツケル外ハナカッタ
私タチハビー五十一、五十機アマリノ中ニ突入シテイッタ
私ニカカッテ来タ敵機ハ十機デ、四機四機二機ノ編隊デ向カッテキタ。
私ノ方ガ五百メートルホド高イ 直チニ反航体勢ヨリ敵ノ後ロヘ
マワリコンダ 旋回性能ノ悪イ雷電デハナカナカマワリコメナイ。
※雷電隊ノ主任務ハビー二十九邀撃(ヨウゲキ)デアリ雷電ソノモノガ
大型機邀撃用ニ設計サレテイタ 空戦性能ハ零戦ヨリモ劣ッテイル
「コチラ雷・カミナリ十一番、コチラ雷・カミナリ十一番、
ピー五十一 十機ト空戦ニハイル ピー五十一 十機ト空戦ニハイル」
電話ヲ送信ニ切リ換エタ
相手ノ後ロヘ後ロヘト廻リ込マントシナガラ段々ト品川アタリノ
上空ニ移動シテイッタ。
129:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/28 16:57:57.58 LcjzfWAg0
美シクモ晴レ晴レトシタ軍歌ハ「見ヨ落下傘空ヲ征ユク~♪」ヤナ
130:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/29 14:28:07.53 EAjUi/jLP
相手ノ後ロヘ後ロヘトオ互イニ廻リ込マントシナガラ段々ト品川アタリノ
上空ニ移動シテイッタ
ナカナカオ互イニマダドチラモ 一発モ弾ヲ射ッテイナイ
ナカナカオタガイニ射撃スル体勢ヲ占メ得ナイノデアル シカモ
敵ハ 一対十デアル 敵ノ十機ヲ全部自分ノ
前ニ置クヨウニツトメネバナラヌ シカシ敵ハ 二方ニ分カレタ。
先頭ニイタ四機ヲ残シテ六機ガ私ノ飛行機ノ後方ニマワリコンデキタ
私ノ前ノ四機ハ編隊ノママ、上昇 旋回ヲシテ後方ヘ
マワリコマントシテイル 私ハソノ四機ヲ夢中デ追ッタ段々、敵ノ
後方ヘ食イコンデユク。 モウ少シデ射撃デキル 前ノ四機ハ
綺麗ナ編隊ノママデ逃ゲテイク。フトソノ編隊ノ綺麗サニ心ヲ打タレタ
シメタ! 充分ニマワリコンデ四機ノ後ニツイテシマッタ。
高度差ハ三百メートル位 後上方ヨリ攻撃ニカカル 敵ノ一番機ニ
機種ヲ向ケタ、トタン ガガン ト私ノ飛行機ニ敵ノ弾ガアタッテ
座席ノ前ノ燃料ノメンタンクト左翼ノ補助タンクガ 「ポッ ト」
燃エダシタ 瞬間私ノ右足ハ右ノフットバーヲ一杯蹴リ、右手ハ
操縦桿ヲ右側ニ突ッ込ンデイタ。「シマッタッ」ト思ウ間モナイウチニ
手ト足ハ、次ノ敵ノ弾ヲ避ケ、二度目ノ敵ノ攻撃ヲ逃レテイタ。
ヤハリ初メト同ジク後ロノ下方、私ノ飛行機ノ腹ノ下カラ
撃チ上ゲテ来タノダ。ヨッポド近クマデ接近シテイタニチガイナイ。
一発目カラ当タッタト見エテ一発ノ曳痕モ見ナカッタ。
機首ヲ突ッ込ムト雷電ハスグスピードガツク。
座席ノナカニ 「サッ」ト炎ガ入ッテキタ 無意識ノウチニ私ハ
左手デカオヲオオッテ炎ヲ避ケタ。ソシテ、右手ハ操縦桿ヲハナシテ
風帽ヲ 力(チカラ)一パイニヒライタ。
飛行機ハ燃エナガラ機首ヲ地面ニ向ケ、猛烈ナスピードデ
螺旋(ラセン)降下ニ移ッテイル。
座席ノ中デ立チ上ガリ、落下傘降下ニ移ロウト体ヲ風帽ノ外ニ出シタ
トタンニ、物凄イ風ニ上半身ハエビノ様ニ機体ニ
オシツケラレテシマッタ。腰カラ下ハ風帽ノ中ニ残ッテイル。ドウシテ
飛行機カラ体ガ離レナイノカワカラナイ。右手ハ夢中デ肩バンドヤ
腰バンドヲサグッテイル。「バンドハ ミンナハズシタハズ
デアルノニ。」
131:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/30 15:50:47.54 VpMUNyz5P
※厚木海軍航空隊基地 神奈川県 綾瀬市ト大和市 ニマタガッテイル。
厚木市トノ間ハ海老名市ヤ相模川ガアリ、コノ両方デ隔テラレテイル。
地理的ニハ
「厚木市」トノ関連性ハ全クナイ 「厚木」ノ名称ノ由来ハ不明
※綾瀬市 神奈川県中部人口約八万四千人(平成二十五年現在)
相模原台地上デ畑地ガ多ク サツマイモヲ産スル 海軍飛行場ガ
設ケラレ海軍航空隊ノ中心基地戦後連合軍総司令官ノマッカーサー元帥
ガ日本進駐ノ第一歩ヲ印シタノハココデアル 近年住宅団地化、
工業団地化ガ進ンデイル
※大和市 神奈川県中部ニ所在スル市小田急電鉄江ノ島線ニ沿ウ
一帯ノ地区デ戦後灌漑工事ガ施サレ作柄ノ安定ト増収ノモデル地区
ヲナシテイタ 京浜地区ノベッドタウン化
生産高デ自動車関連ガ大キナ割合ヲ占メテイル。
・・・・・・・
「バンドハ ミンナハズシタハズ デアルノニ。」
機首ヲ下ゲテ機速ガツキスギタノダト思ッテ飛行機ヲ引キ起コソウト
思ッタガ、右手ハモウ操縦桿マデトドカナイ。ビー二十九モ
ピー五十一モ念頭カラ去リ、タダ、アアモウ駄目カト思ッタ。
地面ニ飛行機ガブツカッタ時ノ状態ガ「フト」頭ニ浮カブ。
コナゴナニナルデアロウト思ッタ。
猛烈ナスピードデ落下シナガラ頭ニヒラメイタノハ コンナコトダ。
「フト」気ガツイテミルト飛行機ガ見エナイ 私ハ飛行機ヲ離レテ
タダ空中ノナカヲ身体ダケガ落下シテイタ。
落下シテイルト言ッテモ何千メートルノ上空デハ、地上デ考エル
感ジトハ異ナル。 目ノ回ルヨウナスピード感ハナク、タダ強イ
風ヲ受ケルダケデアル。
頭ノ上ニハ白イキレガアル。「アア、飛行機カラ離レタ。」ダガ
落下傘ハ開イテイナイ。頭ノ上ノ白イノハ補助落下傘ダト思ッタ。
スルト、落下傘ハ 私ハ落下シナガラ尻ニ手ヲヤリ落下傘ノ入ッテイル
クッション ヲ開イテ見タ。空(カラ)デアル。スルト落下傘ハ
飛行機カラ ホリ出サレタトキニ切ッテシマッタノダ。
イヨイヨ今度ハドウニモナラヌト思イ、ソノ時ハジメテ地面ヲ見タ。
地面ニ落チルマデノイノチ。
東京ノ上空ラシク遥カ下ノ方ニ小サナ家ガギッシリツマッテイル。
「イタイダロウナ」馬鹿ナコトヲ考エタモノデアル。
132:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/31 11:15:22.47 oRJ6N0JuO
イツキテモヨミニクイナァ
133:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/31 12:30:43.69 ftubAuehP
「イタイダロウナ」馬鹿ナコトヲ考エタモノデアル。
・・・
オソカレ早カレコノ戦争ノパイロットタルモノ 一度ハ死ナネバナラヌ命
デアル 今度ハ自分ノ番ニアタッタノダ 「痛イダロウナ」
モウ 一度ソウ思ッタトキ、何トナク足ヲ下ニシタクナッタ。
恐ラク地面ニ落チルトキハ、足ヲ下ニスルノガ人間ノ本能トデモ言ウノデ
アロウカ。ソレマデハ私ハ空中ヲ落下スルニマカセテ、
丸クナッテ地上ニ向カッテ グングン ト地上ノ引力ニ
引キ寄セラレテイタ。私ハ空中デ バタバタシナガラ足ヲ下ニ
シヨウトシタ ト 不思議ニモ落下傘ガ頭ノ上デ スート 開イタ。
グーン ト体ニ 重圧ガ来タ。
アッ! 助カッタカモシレナイ。
ウレシカッタ。落下傘ハ大キク 二・三カ所破ケテイタ。
頭ノ上ノ白イモノヲ補助落下傘ダト思ッタノハアヤマリデ、
コレハ開カナイママノ落下傘デアッタ。助カッタ!ト思ッタ トタン
空中デグッタリシテシマッタ。
下ヲ見ルト東京ノ市街ノ間ニ緑ノ森ト畠ガアッタ。
「ドコニ落チルダロウナ」 マルデ他人ゴトノヨウニ考エテイタ。
「両手ガ生温カイ血ガ流レテイルノダ」ト思ッタ。アマリニ地面ニ
ツクノガ遅イト出血多量デマイルカモシレナイ。トコロガ、服ノズボン
ソレカラ救命袗(キュウメイシン)モ落下傘バンドモ
ジリジリット クスブッテイルノデアッタ。
※救命袗(キュウメイシン)イワユル救命胴衣・ライフジャケット
航空服ノ上ニ重ネテ着用スル。
カポック・パンヤ ヲ浮力・保温材トシテ使用スル
両足ノ温カイノハ実ハ血デハナクテ火傷ダ
私ガ落チタノハ東京ノ目黒ダッタ。私ハ両腕ニ火傷シ、顔中
血ダラケニナッテ、真ッ赤ナ目ヲシ、クスブリ続ケル飛行服ヲ着テイタ。
寮ノヨウナ建物ノソバノ広場ニ落チタ。落チタ時人ノ姿ハナカッタ。
私ヲ敵ダト思ッテ隠レテイタガ、友軍トワカルト、四方カラ
ドットキテ私ヲ取リ囲ンダ。スグ近ク ノ病院デ火傷ノ
手当テヲシテ貰ッタ。
厚木カラ塚田ガ軍医中尉ト自動車デ迎エニキタ。
私ハ自動車ニ乗ッタ。
134:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/31 15:41:05.88 ftubAuehP
厚木カラ塚田ガ軍医中尉ト自動車デ迎エニキタ。
私ハ自動車ニ乗ッタ
京浜国道ヲ自動車ハ走ッタ 横浜ガ近クナルト物凄イ煙デアル。
私ハ正視ニ耐エナカッタ 横浜ノ町ノ煙ノナカニ異様ナニオイガシタ
市民ノ大キナ犠牲ガアッタニチガイナカッタ
昭和二十年八月十五日午前 厚木基地ニ グラマンノ空襲
135:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/01 14:33:41.89 eEtW2uo7P
昭和二十年八月十五日午前 厚木基地ニグラマンノ空襲
零戦隊一番機 森岡大尉 雲上スレスレニ飛ンデイルグラマンヲ
直チニ撃墜ソノ後ニ続イタ列機ガマタ一機撃墜シタ
コレガ降伏ノ大詔ノアッタ日ノ午前中ノコトデアル
訓練ノ度ニ事故ヲ起コシテイタ雷電デアッタガ毎日乗ッテイル間ニ
私タチニハソノ雷電ガ可愛イモノトナッテイッタ
ソシテムシロ人ノ嫌ガル雷電ノ搭乗員デアルコトヲ誇リニスル
気持チニナッタ
アノ ズングリシタ不恰好ナ姿モ私タチニハムシロスマートニ
思ワレタ
ソシテ雷電ノ日本一ヲ誇ル上昇力ヤ速力ヤ重武装ヲ自慢シタノデアッタ
※森岡寛大尉 手首一ツ ヲ国ニ捧ゲタ義手ノ零戦パイロット
森岡寛 氏
「政府ガ降伏シタノデアッテ、我々ハ負ケテマセンヨ」
136:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/06 07:03:07.28 8X5cNWQvP
帝国陸軍落下傘部隊 スマトラ島攻略作戦(空ノ神兵)
棟田博 岡山歩兵第十連隊 徐州会戦陸軍伍長 太平洋戦争中ハ
従軍作家トシテ インパール作戦ニ従軍
著書 革命児チャンドラ・ボース 拝啓カーチャン様 ポッポ班長三歳
拝啓天皇陛下様 今鳴ルラッパハ アア快マタ快 他多数
昭和十七年一月三十一日覆面ヲカブッタママノ陸軍落下傘部隊ハ
宮崎県高鍋カラマレー半島南部ノ クルハン・カハンノ両飛行場ヘ進出シタ
昭和十七年二月十四日 帝国陸軍落下傘部隊スマトラ島パレンバンヘ
両基地カラ出撃
パレンバン降下部隊編成
挺身第二連隊 ☆第一次降下部隊
胴体着陸 久米団長ホカ 五名 計 六名
<飛行場急襲部隊>
<飛行場東南急襲部隊> 連隊本部 十七名 通信班 三十名
第四中隊 九十七名 第二中隊第三小隊 三十六名
計 百八十名
<飛行場西南急襲部隊> 第二中隊 六十名
<製油所急襲部隊> 西製油所西 第一中隊 六十名
東精油所南 第一中隊 三十九名
☆第二次降下部隊
飛行場 第三中隊 九十名
137:sage
14/02/06 08:55:24.32 MXA+hKZB0
テスト
138:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/06 08:56:29.01 MXA+hKZB0
気
139:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/07 08:01:29.09 crWM2L99P
昭和十七年二月十四日久米落下傘部隊ニ対シ、パレンバン攻略ノ
命令ガ下達サレタ
久米精一部隊長訓示(陸軍落下傘部隊団長 陸軍大佐)
「ワガ落下傘部隊ガ指向スルノハ、パレンバンデアル ワレワレガ
パレンバンヲトルカ トラヌカハ、蘭印全作戦ノ重大ナ
カギニナルモノデアル。
諸士ハ、キョウノ日ノタメニ、二年ニオヨブ血涙ノ訓練ヲ
カサネテキタノデアル。モハヤオオクヲイウ必要ハナイ。全員
落下傘兵魂ニ燃エテ、勇猛敢闘セヨ」
カハン飛行場カラ発進シタノハ、甲村(ノリムラ)少佐ノ挺身第二連隊
ノ第一梯団ト、久米部隊長ラヲ乗セタ重爆一機デアッタ。総員百五十名
クルアン飛行場ヲ発進シタノハ、中尾中尉指揮スル同連隊ノ第二梯団
デアッタ。総員百五十名
※梯団 大人数ノ部隊ガ進撃スルタメニ便宜上数個部隊ニ分ケル
ソノ時ノ各部隊 第一梯団、第二梯団・・・・等
第一梯団ハ飛行場ヲ、第二梯団ハ精油所ヲ、ソレゾレ攻略スル
任務ヲアタエラレテイタ。
六十一機ノ輸送機・爆撃機カラナル第一挺身団ハマレー半島ノ
クルハン・カハン両基地カラ出撃コノ日パレンバン上空ハ
雲高二百メートル視界不良デ奇襲ニ成功主力ハ十一時二十六分飛行場
東南三キロメートルノ地点ニ降下ヲ完了シタ
敵中ヘ乗リ込ムコノ輸送機群ノ護衛ニアタッタノハ、第三飛行集団
ノ戦闘機・爆撃機 連合ノ百三十機デアッタ。
加藤建夫中佐指揮ノ第六十四・第五十四戦隊隼戦闘機隊
地上ノ敵陣制圧ニ第九十八戦隊ノ軽爆撃機ガ協力シタ。
空挺作戦ハ飛行場ヲ主 製油所攻撃ヲ従トシタ
140:!ninja
14/02/07 16:35:06.98 p6zZ9p/e0
テスト
141:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/08 16:20:06.38 nxLV2ChnP
コノ日。パレンバンノ オランダ軍防衛司令部ハ午前十一時
サイレンヲ発令シテ、「日本軍ノ大編隊スマトラヘチカヅキツツアリ
警戒態勢ニツケ」ノ警報ヲ繰リ返シタ。十数門ノ高射砲陣地ト数十門
ノ高射機関砲陣地ハ一斉ニ色メキ立チ、各所ノトーチカ陣地ハ騒然
トナッタ。サイレンハ不気味ニ鳴リツヅケテイル。
ソノコロ。ムシ河ノ河口ノ バンカ島上空ニ大編隊ハ姿ヲアラワシタ。
十一時十分第一梯団ハムシ河河口上空ニ進入シ、第二梯団ハ四分遅レテ
同ジク河口上空ニ進入シタ。ココデ、二ツノ梯団ハ、
ソレゾレノ目標ヘト向カッタ。
パレンバンノ町ハ、ムシ河ノ両岸ニ細長クノビテイル。
ソノ北方十二キロメートルノ密林ノ中ガ飛行場デアッタ。
パレンバン飛行場ニハ、在地飛行機ハ数少ナク、ズラリト滑走路付近ニ
ナランデイタノハ、アンペラ デ作ッタ ニセ飛行機デアッタ。
※アンペラ カヤツリグサ科ノ多年草。コレデ編ンダムシロ(莚)
シカシ、ホーカー・ハリケーンガ数機マイアガッテキタガ、隼 ニ
追ワレルト サッサト遁走シタ。
久米落下傘部隊団長他五名ノ搭乗シタ隊長機ノ重爆ハ飛行場南方ノ
密林ニ胴体着陸ヲ強行シタ。
第一梯団ノ編隊ハ飛行場周辺ノ三カ所ヲメザシテ、急降下ニウツリ
「降下!」ノブザー三声デ、降下ヲ開始シタ。
パッパット白イ花ガ紺青ノ空ヘヒラク。
142:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/11 02:22:22.08 N//H0j6mP
「降下!」ノブザー三声デ、降下ヲ開始シタ。
パッバット白イ花ガ紺青ノ空ヘ開ク。
・・・
オモイキッタ超低空カラ飛ビ出シタタメ、敵ノ砲火ハ
ネライガツケラレズ、イタズラニ上空ニ砲煙ヲバラマイタ。
機関銃ガ狂ッタヨウニホエツヅケタガ、連続的ニヒラリヒラリト着地
シテクルノヲ見ルト、ハヤクモ浮キ足ダッタ。アトデ、捕虜トナッタ
オランダ兵ハ、
「マサカ落下傘ガマイオリテクルトハ思ワナカッタ。指令部カラノ警報モ
重爆ノ大編隊 ダトイウコトダッタノデ、ミンナ壕ニモグッテ
爆弾ヲサケテイタ。
イツマデタッテモ爆弾ガオチテコナイノデ、ハテナ、ト壕カラ
デタトキニハモウ空ガ落下傘デウマッテイテ、スッカリ度肝ヲ抜カレタ」
ト、語ッテイル。
久米部隊長タチ本部員ノ搭乗機ハ予定ドウリニ、胴体着陸ヲシタ。ガ
ソコハ飛行場カラ数キロメートル ハナレタ、ヒドイ湿原デアッタ。
ズブズブ ト下半身ガマタ マデ沈ム。交互ニ片足ズツヒキヌカネバ
歩ケナイ。運ヨク付近ニハ敵ガイナイトミエテ、ウッテコナイノハ
モウケモノデアッタ。
イッポウ、飛行場占領班ノ主力、甲村(ノリムラ)少佐ラハ飛行場南側ニ
降下シタ。三谷隊ハ西側ヘオリタ。コノ辺ハゴム林ト竹藪デ、マルデ
見トオシガキカズ、視界ゼロノ状態デアッタ。
奥本隊ノ奥本実中尉ガ降下シタノハ パレンバント飛行場ノ中間地帯ノ
湿原ノタダナカダッタ。ヒザマデヌカルナカヲ、軍刀デ草ヲハライナガラ
ススンダ。ヨウヤク湿原ガツキテ、密林ヘブツカッタ スルト
忽然トシテ舗装道路ガ現レタ。奥本中尉ヲ先頭ニ北ヘ向カッテ
歩キダシテ間モナク、
「中尉ドノ。エンジンノ音デス。」川原軍曹ガ言ッタ。ナルホド
トラックノ音デアル。
143:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/11 12:19:44.11 N//H0j6mP
「中尉殿。エンジンノ音デス。」川原軍曹ガ言ッタ。ナルホド
トラックノ音デアル。
・・・
パレンバン方向カラコッチヘヤッテクル音ダ ヒョッコリ、コノトキ
菊池軍曹ガ道路ノ向コウ側ノ密林カラ姿ヲ現シタ。コレデ
奥本実中尉、川原軍曹、形野上等兵、対馬上等兵、菊池軍曹ノ
五人ニナッタ。
パレンバン方向ヲ見テイルト坂下カラトラックガ一台セリアガッテキタ。ト
マタ一台、ツヅイテマタ一台・・・・計五台ニ オランダ兵ガ六・七十名
ホド乗ッテイタ。
「ヨシ。オレガ先頭車ヲウツカラ、オマエタチハ後続車ニ手榴弾ヲ投ゲロ」
武器・弾薬ヲ吊リ下ゲテ降下シタ落下傘ガミツカラナカッタカラ、手榴弾
ト拳銃ト軍刀ダケデアル。
トラックハ グングンチカヅイテキタ。三十メートル、二十メートル
十メートル、五メートル・・・コノトキ、奥本中尉ハ道路ニカラダヲ乗リ
ダスナリ、先頭車ノ運転兵メガケテ拳銃ヲツヅケザマニハナッタ。
「ウワーッ!!」戦闘車ガ スリップシナガラ横ザマニナルトコロヘ、
ツギノトラックガ追突シ、ツギカラツギヘト玉突キ追突ニナッタ。
「投ゲロ!」 手榴弾ガ炸裂シタ。追突ヲマヌガレタ最後尾車ハ
射撃ヲハジメタガ、マサカ日本軍ガタッタノ五人トハオモエズ、
バックシテニゲ去ッタ。前車四台ハ、死傷者ヲ放リダシテ、車ヲ捨テテ
密林ヘ逃ゲコンデシマッタ。
コノ時奥本中尉ハ大腿部ニ貫通銃創ヲウケタガ、仮包帯ヲ
スルト、形野上等兵ノ肩ニスガリ、ミンナニイッタ。
「飛行場ヘ行コウ」 飛行場方面カラサカンニ銃砲声ガ聞コエダシテ
キタノハソノコロカラデアッタ。
砲声ハ、高射砲ノ水平射撃ノ音デアル。
甲村(ノリムラ)少佐ガ部下ヲ集結シテ、飛行場攻撃ヲ
開始シタニチガイナカッタ。
144:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/13 16:51:42.45 gNyvEmi8P
砲声ハ、高射砲ノ水平射撃ノ音デアル。
甲村(ノリムラ)少佐ガ部下ヲ集結シテ
飛行場攻撃ヲ開始シタニチガイナカッタ。
奥本中尉タチヨリ モット飛行場ニチカイ同ジ舗装路ヲ
飛行場ヘ向カッテイタノハ、三谷隊ノ大城中尉以下九名デアッタ。
「小隊長殿。敵ノ自動車ガ前方カラキマス」先頭ノ青木兵長ガ言ッタ。
ソコハ坂上ダッタ。見ルト坂下カラ兵隊ヲ
満載シタトラックガ八台ヤッテクル。
「ヨシ。ヒキツケテヤッツケヨウ」
大城中尉ニハ軽機ガ一丁アッタ。アトハ手榴弾ト拳銃デアル。坂上ノ
道端両側ニ陣取ッテカクレテイルト、ヤガテノボリ坂ニカカリ
トラックノスピードガオチタ。
「ウテ!」 オモワヌ伏兵ノ軽機ノ連射ト手榴弾ニ敵兵ハ応戦ノ
イトマモナク、ワレサキニト トラックカラトビオリタ。
ソコヲ狙イ撃チシタカラ、オモシロイホドタオレル。
ヨウヤク敵モ密林カラ応射シハジメタ。
青木兵長ガタオレ、大城中尉モ脇腹ヲヤラレ、密林間ニサガッタ。
コノママデハ全滅ノホカナイ。
シカモ、ソノトキ、敵ノ装甲車ガヤッテキタ。ソシテ激シイ
メクラ撃チノ機銃弾ガアタリノ樹ノ枝ヤ葉ヲ吹ッ飛バシテイタ。ソシテ
ツイニ マタモ大城中尉ハ今度ハ肩ヲ撃タレ倒レタ。
大城中尉ガ意識ヲモドシタノハ、ダレカガジブンヲカツイデ
ヨロメキナガラ歩イテイタカラデアル。
口野上等兵ダトワカッタ。
「他ノモノハ!」
「小隊長殿。モノヲ 言ワンホウガヨロシイデス」
出血ガ激シイノデアル。
口野モ左腕ヲヤラレテイルノダッタ。歩ハノロカッタ。
飛行場カラハ間断ナク銃砲声ガ聞コエテクル。ソノウチ、
口野上等兵ノ足ガトマッタ。大城中尉ヲ担イダママ、
沈ムヨウニ倒レコンダ。
イッポウ。ソノコロ飛行場ノ無線台ヲ攻略シタ
甲村(ノリムラ)部隊ハ・・
145:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/14 16:11:46.80 8gRO90woP
イッポウ。ソノコロ無線台ヲ攻略シタ甲村(ノリムラ)部隊ハ滑走路ヲ
横断シテ、飛行場西方ヘデタ。
「隊長殿。大城中尉殿ガソコニ・・・・」スデニ陽ハ
西ヘカタムキカケテイタ。道路ワキニ、大城中尉ト口野上等兵ガ全身
血マミレデ折カサナッテタオレテイタ。
「カワイソウナコトヲシタ」甲村少佐ハ「静カニネムレヨ、大城、口野」
ト合掌シテ、ソノママ前進シテイッタ。夜ニハイッテ、スコールガ
沛然(ハイゼン・雨ガ盛ンニ降ル様子)ト降ッタ。
大城中尉ハ、ツメタイ雨ニタタカレテヨミガエッタ。
(オレハ、生キテル!)シカシカラダハ動カナイ。スコールハトオリ去ッタ
フト、カタワラデ、ウーン、ウーント ウナル声ガシタ。
口野上等兵デアッタ。
「ク、チ、ノ・・・・」
「アア、小隊長ドノウ・・・」口野ハ ハイヨッテトリスガルト泣キダシタ
オドロクベキハ大城中尉ノ生命力トイッテヨイ。カレハ重態デアッタガ、
シカシ、死ナナカッタノデアル。
ココデ、時計ノ針ヲ、ソノ日ノ午前十一時四十分ニモドス。
パレンバン精油所攻略班ノ第二梯団ノ編隊ガ、目的地上空ヘ
低空デ突入シタ時間デアル。
パレンバンノ町ノ付近ノ湿地帯ハ、飛行場付近ヨリモ、モット
ヒドイ状態デアッタ。
一帯ニコノ町ハ低湿地帯ニアリ、ムシ河ノ支流ガコノアタリデ
イクツカノ小支流ニワカレテナガレ、アチコチニ
沼沢ト池ガ散在シテイルノダッタ。
輸送機ガ進入シテイクト、高射砲ガイッセイニ砲門ヲヒラキ、
白イ砲煙ガ、パッパット空ニワイタ。
中尾中尉指揮スル第二梯団ノウチ、長谷部正義少尉ノ小隊ハ、アメリカノ
スタンダード系エス・ピー・エム社ノ精油工場ノアル東部地区ヲ目標ニシ、
徳永悦太郎中尉ノ小隊ハ、支流ヲヘダテタソノ両側地区ノ
英・蘭資本ノビー・ビー・エム社ノ精油工場ヲ目標ニシテイタ。
輸送機ハ速度ヲ落シタ。降下セヨ! ノブザー三声デ、ドアガ開キ
機内ニ風ガ渦巻イタ。
146:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/16 11:08:18.28 GVRAF/FLP
輸送機ハ速度ヲ落シタ。降下セヨ!ノブザー三声デ、ドアガ開キ
機内ニ風ガ渦巻ーイタ。
徳永小隊ノ先頭ハ徳永悦太郎デアッタ。パット主傘ガヒライタ瞬間、
徳永中尉ノ見タモノハ、眼下ニヒロガル湖水デアッタ。航空写真ハ
頭ニハイリコンデイルガ、湖ハコノアタリニハナイハズデアッタ。
オカシイ?ソノ間ニモ湖ハ グングンセリアガッテクル。
ヨクミルト、一面、水タマリニナッテイル湿地帯ナノデアッタ。
「コリャマズイナ。着地デナク、着水ニナル」曳索ヲ操縦シテミルガ
水タマリハヒロイ。
ザブン、ザブン・・・・ト、徳永隊ハ着水シタ。
最後尾ニ降下シタ兵ダケガ水タマリノハシッコノ トーチカ陣地ノ
真上ニオリタ。オチツイタ男デアッタ。
手榴弾ノ安全栓(セン)ヲヒキヌキ、腹這イニナッテ銃眼ニ
ホウリコンダ。轟然ト炸裂。機関銃ハ沈黙シタ。
高射砲陣地ノ背後ノ鉄刀木ノコズエニヒッカカッタ兵ガアッタ。
※鉄刀木(タガヤサン・ノ別称マメ科ノ高木堅牢美麗建築器具材料)
拳銃デ陣地ヲウチ、手榴弾ヲ投下シテ高射砲陣地ヲ沈黙サセタ。
全員、ヌレ ネズミニナッタ徳永小隊ハ予定ノ集合場所ノ三叉路ヘ
向カッタ。機関銃ト擲弾筒ノ落下傘ハ、ウマイグアイニ草ムラヘ
落下シテイタ。
上空デハ、隼戦闘機ガ スピットファイアー機ト戦闘ヲカワシテイタ。
他ノ隼機ハ急降下シテ敵ノ高射砲陣地ニ銃撃ヲ反復シテイル。
147:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/18 13:34:50.54 MDSQe8Mg0
>隼戦闘機
加藤隼戦闘隊
148:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/19 16:35:07.82 AQfC9eYpP
他ノ隼機ハ急降下シテ敵ノ高射砲ト機関砲陣地ニ銃撃ヲ反復シテイル。
ハヤクモドコカラカ黒煙ガアガリ、銃砲声ガ諸方デトドロキ、
パレンバンハ 凄マジイ混乱ニオチイッタ。
「ミンナ、アツマッタカ。デハ、前進ダ」目標ハビー・ビー・エム
精油工場ノトピング(原油カラ石油ト揮発油ヲ分離スル装置)デアッタ。
三叉路カラ精油工場ヘイク途中ニ、社宅街ガアル。二列ニ
キチント並ンダ明ルイ小サナ社宅デ、庭ニハ芝生ガ美シク、
ソノ向コウ側ハ ゴム林デアッタ。
徳永中尉ヲ先頭ニ社宅ヘサシカカッタトキ、トツジョ機関銃弾ガ
飛ンデキタ。社宅街ノ土嚢陣地ニ拠(ヨ)ル敵ハ オランダ兵デ、
ゴム林ニハ豪州兵(オーストラリア兵)ガイテ、側射シテクル。
敵ノ兵力オヨソ一〇〇名ト見当ガツイタ。彼我ノ距離ハ
一〇〇メートルモナイ。前方カラト側面カラウタレテ、徳永小隊ハ
身動キデキナクナッタ。
徳永悦太郎ハ気ガ気デハナイ。グズグズシテイルト、敵ニ精油工場爆破
ノ時間ヲアタエルコトニナル。コノ作戦ノ唯一ノ目的ハ、石油資源ヲ
ウルコトナノデアル。
日本ハ、スグ操業シテ石油ヲエタイノダッタ。[日本ハ米・英ノ
石油禁輸政策デ如何(ドウ)仕様モ無イ状態デアッタ]
デキタラ無傷ノママ手ニイレタイガ、シカシ、多少ノ破壊ハマヌガレマイ。
ダガ、爆破サレテシマッテハ、ドウニモナラヌノダ。
「徳永!オクレテスマン」
古小路中尉ノ機関銃隊ガ、コノトキ、三叉路方向カラカケツケテキタ。
「オウ。マッテタゾ」 重機ガゴム林ノ豪州兵ヘ銃口ヲ向ケタ。
アラシニオオワレタヨウニ ゴムノ樹ガフットブ。
「小川軍曹!」ト、徳永中尉ハヨンダ。
「数名ヲツレテ、精油工場ヘ行ケィ! 工場ノ建物ト トピングニ
日ノ丸ノ旗ヲタテルンダ。ハヤク。イケィ!」
トピング・クラッキングハ、高サ五十メートルノ鉄塔デアル。
コレニノボッテブジニ頂上ニ達シタノハ小川軍曹ト
勝股兵長トデアッタ。アトノ、ニ、三人ハ狙撃サレテ落下シタ。
トピングニヒルガエル日ノ丸ノ旗ガ敵ニアタエタ動揺ハ大キカッタ。
精油工場ヲ日本軍ニ占領サレタ以上、抗戦ノ意味ヲ失ウカラデアッタ。
149: 忍法帖【Lv=5,xxxP】(1+0:8)
14/02/19 19:20:35.31 zl54sU6i0
テスト
150: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8)
14/02/20 12:59:00.14 kIn6DajOO
試驗
151:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/20 18:21:22.81 nnRd6C1MP
トピング ニヒルガエル日ノ丸ノ旗ガ敵ニアタエタ動揺ハ大キカッタ。
精油工場ヲ日本軍ニ占領サレタ以上、抗戦ノ意味ヲウシナウカラデアッタ。
・・・・
蘭・豪軍ハ シリゾキハジメタ。
徳永小隊ハビー・ビー・エム精油工場ヘマッシグラニハシッタ。
イッポウ。ムシ河ノ支流ヲハサンデ、ビービーエム社ト向キアウ
位置ニアル エス・ピー・エム精油工場ヘ向カッタ
長谷部小隊ハ、英・蘭軍ニ包囲サレテ苦戦ヲシナガラ、
工場ノ一角ニトリツイタ。
コノコロカラ、敵ノ迫撃砲弾ガ集中シハジメ、
長谷部少尉ハ戦死、部下ノ死傷続出トイウ状況ノトキ、油槽(タンク)ニ
迫撃砲弾ガ命中シ、大爆発ヲオコシタ。黒煙ト炎ガモウモウトシテ、
アタリ一帯、陽ガカゲッテ、タソガレノヨウデアッタ。
パレンバンノ戦闘ハ、ソノ夜半マデツヅキ、二・三時間ノ間ヲオイテ、
十五日早朝、敵ハ 野・山砲ト迫撃砲デモッテ反撃ニ転ジテキタ。
少数ノ落下傘部隊ハ悪戦苦闘シナガラ、占領工場ヲ確保シテイタ。
ソノコロ。第三十八師団ノ先遣歩兵大隊ガムシ河ヲ遡航(ソコウ・船デ
河川ヲサカノボッテイクコト)シテイタ。
歩兵大隊ハ十五日午後パレンバンニジョウリクシタ。
敵ハイッセイニシリゾイタ。
十八日、パレンバンニ上陸シタ第三十八師団ノ主力ハタダチニ
南部スマトラノ平定作戦ニハイッタ。
南部スマトラ攻略軍編成 陸軍
第十六軍ーー第三十八師団 佐野忠義中将(名古屋)
第三十八歩兵団司令部
歩兵第二百二十九連隊(岐阜)田中良三郎大佐
工兵第三十八連隊ノ一部
第三飛行集団 菅原道大中将
第三飛行団 遠藤三郎少将
第五十九戦隊
ダイ
パレンバン降下部隊ーー第一挺身団 久米精一大佐
挺身第二連隊 甲村武雄少佐
(ノリムラ)
152:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/21 09:17:17.76 nn512lXTP
第三飛行集団 菅原道大中将
第三飛行団 遠藤三郎少将
第五十九戦隊
第六十四戦隊
パレンバン降下部隊ーー第一挺身団 久米精一大佐
挺身第二連隊 甲村武雄少佐
(ノリムラ)⇒
・・・・
飛行第五十九戦隊 通称/略称 西部大五十一・天風第三万五千二
一式隼ヲ最初ニ装備シタ部隊
飛行第五十九戦隊第二中隊長
南郷茂雄大尉 東京都出身
昭和十九年一月二十三日ニューギニア島ウエワク上空デ戦死
飛行第六十四戦隊 通称/略称 加藤隼戦闘機隊
飛行第六十四戦隊 戦隊長
加藤建夫中佐(最終位階陸軍少将)北海道旭川市出身
昭和十七年五月二十二日英空軍双発爆撃機ブリストル・ブレニム撃墜後
機体ガ出火炎ノ赤イ尾ヲヒキナガラ加藤隊長ノ隼ハベンガル湾ノ海面ニ
急降下シ波紋ヲノコシテ沈ンデイッタ 僚機ノ
近藤曹長ハソノスベテヲ見テイタ
昭和十七年五月二十二日インド洋ベンガル湾上空デ戦死
工兵第三十八連隊 西村金三郎少将
(第三十八師団名古屋 通称/略称 沼)
・・・・
⇒昭和十七年二月十八日、パレンバンニ上陸シタ第三十八師団ノ主力ハ
タダチニ南部スマトラノ平定作戦ニハイッタ。
パレンバン精油所ノ損害ハ比較的軽微デアッタ。マレーニ待機シテイタ
技術関係者ガ空輸サレテキテ、スグサマ復興ニカカッタ。
パレンバンヲエタコトハ、コノ後ノ日本軍ノ作戦全体ニ大キナ
プラスニナルノデアロウ。
陸軍落下傘部隊ノパレンバン降下ハ、「空ノ神兵アマクダル」トシテ、
ハナヤカニ報道サレ、ヤガテ歌ガデキタ。
♪ 藍ヨリ青キ大空ニ大空ニ
タチマチ開ク百千ノ・・・
トイウ、アノ「空ノ神兵」デアル。
153:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/02 01:52:24.75 OIbK1/waP
アゝ隼戦闘隊 飛行第六十四戦隊
通称/略称 加藤隼戦闘隊 陸軍大尉 黒江保彦 著(陸軍撃墜王)
昭和十七年五月二十一日 加藤部隊長ハ隼五機デ、インドベンガル湾ニノゾム
アキャブニ進出シテイッタ。シタガウ者ハ、大谷大尉、清水准尉
近藤曹長、安田曹長ラノ四人デアッタ。
ソノコロ、アキャブハ友軍ガスデニ占領シテイタガ、英・豪ノ
連合空軍ハ、ハリケーン戦闘機ヤ ブレニム中型爆撃機ヲクリダシテ、
アキャブ一帯ノ日本軍地上部隊ヲ攻撃シテイタ。
前線カラノ要請ハ、コノ敵ノ空軍ノ動キヲ封ジテクレト言ウコトデアッタ。
加藤部隊長ハ、戦場上空ヲパトロールシタノチ、ズット北ヨリノ
敵ノ拠点、チッタゴン マデ近寄リ偵察飛行ヲシタ。
※ブリストル ブレニム爆撃機 胴体上部ニ装備シタ銃塔ハ
日本軍機ニトッテ 大変有効デアッタ。ソレマデノ
ノモンハンノ ソ連軍爆撃機・中国空軍ノ主力爆撃機ノ ソ連製
エス・ベー爆撃機ナドニハ装備サレテイナイモノデアッタ。
・・・・
154:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/02 16:00:51.55 OIbK1/waP
昭和十七年五月二十二日 ソノ朝、アキャブノ空ハ晴レテイタ。
青空ノモトデ、爆弾ノ空箱ノ木枠ニ腰カケテ、ミンナハ雑談ニ
花ヲ咲カセテイタ。 ソノ時、爆音ガ聞コエタ。
ミンナハ耳ヲスマシタ。絶対ニ日本機ノ爆音デハナイ。
「マワセーッ!」 加藤サンガ真ッ先ニサケブト、ミンナハ一目サンニ
自分ノ愛機ニムカッテ走ッタ。
エンジンヲ始動スルノモ モドカシク、砂塵ヲ蹴立テテ、
五機ガ離陸シタ。
アキャブノ港湾ヲ攻撃シタ一機 ー ブレニム爆撃機ガ視界ニ
入ッタノハ、加藤部隊長ガ離陸シタ直後デアッタ。
ブレニムハ意外ナ伏兵ガ離陸シテキタノニ驚イテ、
針路ヲ約三百度ニトルト、海上ニ出テ、フルスピードデ遁走シダシタ。
加藤部隊長ガ、第一撃ノ後上方攻撃ヲカケタ、射線ノ延長上ニ
水シブキガアガッタ。
近藤曹長モ攻撃シタ。ソシテ大谷大尉ガ射ッタ。敵ハモウ水面上
スレスレマデ サガッテイタ。
ダカラ、射トウトスルト、水平同高度ノ後カラノ攻撃イガイニ
方法ガナカッタ。
※黒江保彦 陸軍大尉 飛行第六十四戦隊 鹿児島県薩南
伊集院町現鹿児島県日置市出身 大正七年ー昭和四十年
(千九百十八年-千九百六十五年)
※英ブリストル・ブレニム双発爆撃機 乗員三 空冷九気筒八百四十馬力×二
全幅十七、一七メートル全長十二、一二メートル重量五、六七トン
最大速度時速四百十八キロメートル航続距離二千三百三十六キロメートル
実用上昇限度 七千八百九十八メートル
武装七、七ミリ機銃×二 爆弾四百五十四キログラム
※旧ソ連エス・ベー爆撃機(高速爆撃機ノ意)乗員三
全幅二十、三メートル 全長十二、五七メートル
重量四、七六八トン 最大全備重量七、八八トン
最大速度時速四百五十キロメートル 実用上昇限度九千三百メートル
武装七、六二ミリ機銃×四(機首ニ 二挺、後部ニ 一挺、下部ニ 一挺)
爆弾百キログラム爆弾×六 又ハ五十キログラム爆弾×六 ト
左右翼下爆弾架ニ二百五十キログラム爆弾各一 懸架
155:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/03 18:05:26.68 UANYVHGGP
大谷大尉ハ、ブレニムノ後方射手ノ射ッタ弾丸ガ
エンジンニ命中シテ引キ返シタ。
第四番目ニ安田曹長ガ射ッタ。トコロガ、突進中ニ、敵弾ガ
安田ノ顔ノ前ニアル風防ガラスニ命中シタ。サイワイナコトニ、弾丸ガ
安田ノ顔ヲソレタ。ガ、小サナガラスノ破片ガ無数ニ顔ニクイ込ンダ。
キナクサイ硝煙ガウスレルト、見ル見ル血ガ、
安田ノ顔全体ニ噴キダシタ。安田ハ痛ミヲコラエナガラ、片手デ
顔ヲフイタ。シタタリ落チル血デ、手袋モ飛行服モ真ッ赤ニナッテイッタ。
カレモ攻撃ヲ断念シテ帰路ニツイタ。
ソノ時加藤隊長ガ 二撃目ヲヲカケ、ソシテ、残ツタ近藤曹長モ二撃目
ヲアビセタ。全部デ六回ノ攻撃ガクリカエサレタ。
ブレニム ニモ命中弾ガアッタラシク、右ニ左ニ必死ノ逃走ヲハカリ
水面スレスレニアガイテイタ。
156:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/04 15:12:00.48 KtmwuI9dP
ブレニム ニモ命中弾ガアッタラシク、右ニ左ニ必死ノ逃走ヲハカリ、
水面スレスレニアガイテイタ。
最後ノ攻撃ハ、部隊長ガカケタ。
後上方カラ スピードヲツケテ敵ノ後方ニクッツクト、一連射ガ
加藤機カラ、正確ニ ブレニムノ翼ト、エンジンニ集中シテアタルノガ
見エ、ブレニムハ、傾キナガラ、エンジンカラ火ヲ噴キ出シタ。
ソシテ、ツギニ突然、バシャーンッ ト水シブキノナカニ破片ヲ散ラセテ
爆発スルヨウニ墜落シタ。
「トウトウヤッツケタカ」
近藤曹長ハ、翼ヲヒルガエシナガラ、コレヲ見テ、ツギニ
加藤部隊長機ヲ見タ。部隊長機ハ真ッスグニ上昇角度グライデ
上昇シテイタ。ト、ソノウシロニ火ノ尾ガ出テイルデハナイカ。
敵ヲ撃墜シタソノ瞬間ニ、マッタク不幸ナ敵弾ガ
加藤部隊長機ヲ貫通シタノカ、ソレトモ、ソレヨリ前ニ
敵弾ヲウケテイタノカ。ソシテイマ、発火シタノカ、
スベテワカラナカッタ。
シカシ、部隊長ハ、火ノツイタ隼戦闘機ヲ、イマ上昇サセテイル。
ソレハ悲壮デアツタ。近藤曹長ガ見テイルコトヲ意識シテイタノデアロウ。
加藤部隊長ハ静カニ翼ヲ振ッタ。右ニ左ニ、ユックリト大キク・・・・。
「サラバ戦友タチヨ・・・・自分ガ死ナセタ部下タチヨ・・・・オレモ
イマコソ、コウシテ最後ノトキヲムカエタ。オレモ オナジヨウニ
死ンデイクゾ・・・・残ル者ヨ、アトヲ頼ンダゾ・・・・」
翼ヲ大キクユックリト振ッテイタ加藤部隊長ノ心境ハ、ソウデアッタト
信ズルコトガデキル。
栄光ノ戦隊長加藤建夫中佐ハ、愛機ヲ左ニ横転サセ、ウラ返シノ姿勢カラ
昇降舵(ショウコウダ)ヲヒイタ。
高度三百メートル カラ、隼ハ真一文字ニ機首ヲベンガル湾ノ
紺碧ノ海面ニムケル。
157:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/06 08:17:27.06 TfGDaX6l0
高度三百メートルカラ、隼ハ真一文字ニ機首ヲ
ベンガル湾ノ紺碧ノ海面ニムケル。
加藤機ハ石ガ落チコムヨウニ急降下シタ。
炎ノ赤イ尾ヲ引キナガラ・・・・。ソシテ波紋ノ中ニ沈ンデイッタ。
不思議ナコトニ、波ノウエデ加藤機ノ燃エツキナイ ガソリン ガ、
シバラク燃エテイタ。
近藤曹長ハ、ソノスベテヲ見テイタ。
大空ニイマ、残ッテイル部下ハ近藤一人デアッタ。近藤ハ、
加藤機最後ノ海面上ヲ旋回シ、イツマデモ去リガタク、イツマデモ
確カメタクテ操縦桿モ砕ケヨト、ニギリシメテ、
ベンガル湾ノ低空旋回ヲツヅケタ。
・・・
・・・
加藤部隊長ガ戦死ノ日、私ハヨウヤク デング熱ガ快方ニ向カイ、
黄疸ヲヘイハツシテ眼球ハマダ真ッ黄色デアッタガ
飛行場ニ出テ、カラダナラシノ空中戦訓練ニ飛ンダ。⇒⇒
※コノ、デング熱ニハ加藤隊長ガ一番最初ニカカリ ツヅイテ
大谷大尉。丸尾大尉トカカッタ。ソノトキハ、黒江ト数人ノ
パイロットダケガ元気デイタ。
⇒⇒訓練ノ後、地上ニ降リテ天幕ノ中ニイルト、ソコヘ爆音ガシタ。
天幕カラデテ、低空ヲスギル隼ヲフリアオグト、黄色ノ矢印ヲ尾部
ニエガイタ第三中隊ノ安田曹長機デアッタ。
前線カラ単機デ帰ッテキタ。・・・・・。
隼部隊ハ、イツモ編隊ヲ組ンデ出動シテイッタ。ダカラ、
帰ッテクルトキモダイタイ編隊ヲ組ンデ帰ルハズダッタ。
・・・
158:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/06 14:14:28.23 TfGDaX6l0
ダカラ帰ッテクルトキモ、ダイタイ編隊ヲ組ンデカエルハズダッタ。
ソレガ、トキタマ、バラバラニナッテ一機ズツワカレテ帰ッテクルトキハ、
空中戦ガアッタ事ヲ証明シテイタ。
激戦デアレバアルホド空中戦ノアトノ空中集合ハムズカシカッタ。
安田機ガヒトリデ帰ッテキタコトニ、不吉ナ予感ガシタ私ハ、
安田機ノ着陸ヲ見テイタ。⇒
※安田機ハ ブレニム爆撃機ニ突進中ブレニムノ尾部銃座カラノ
機関銃弾ガ眼前ノ風防ガラスニ命中シタ。・・ガ、撃墜ハ免レタ。
⇒トコロガナンタルコトゾ。
安田ハ接地シタアトノ地上滑走中ニ、フイニ コントロールヲ失イ、
滑走路ノ左ニトビ出シテシマッタ。
機ハ滑走路ニ平行ニ走ッテイル飛行場ノハシノ溝ノナカヘ
片車輪ヲ落トシコンデ、ガーン ト座リコンデシマッタノダ。
「ナンダ、アノ着陸ハ!ヘタナ着陸ヲシテ、ダイジナ飛行機ヲ
コワストハ・・・・」私ハ、座席カラ降リテクル安田ヲ叱リトバシタ。
ダガ、オドロイタコトニ、安田ノ顔カラハ、
一面ニ血ガ噴キ出シテイル。
安田ハツブヤクヨウニ言ッタ。
「加藤戦隊長ガ、戦死サレマシタ」
「ナニ!?」私ハ ビックリシテ思ワズ大キナ声デ叫ンダ。
「本当カ? ナゼダ・・・・?」
モウ安田機ノ事故ドコロデハナイ。ミンナガ安田ノ説明ニ耳ヲカタムケ、
部隊長ノ最後ノ模様ヲ聞イタ。コウナルト、部隊指揮ノ重責ハ、
最先任中隊長デアル私ノ肩ニカカッテクル。
巨人ノヨウニ偉大デ、山ノヨウニ強イ部隊ノ中心デアッタ
加藤サンノ欠ケタ部隊ハ、マルデ方向ヲ失ッタ難破船ノヨウデアッタ。
伝統ノ部隊ヲ、コレカラドノヨウニシテ引ッ張ッテイケバイイノカ、
若イ中隊長ニトッテ、
ソレハマサニ一世一代ノ試練デアッタ。
159:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/21 17:14:11.97 JuDigb/60
ビルマ(ミャンマー)一帯ノ雨季ハ、自然ニ敵味方ノ兵力ヲ東西ニワケテ、
ハナバナシイ空中戦ハ次第ニ少ナクナッテイッタ。戦争ノ
小康トデモイウノカ、両軍ガオタガイニ戦力回復ノ休ミニ入ッタ
ヨウデアッタ。部隊ハ、雨ノ晴レ間ヲヌッテ、訓練ニハゲミ、
少数機ハ、イツデモ飛ビ立テルヨウナ警戒態勢ニハイッテ、
再建策ヲネッテイタ。
加藤部隊長ノ後任ニハ、八木正巳(ヤギマサミ)中佐ガ発令サレタ。
ナガク学校教育ノ場ニハタライテオラレタ八木中佐ハ、古イ戦闘機
乗リデハアッタガ、ドチラカトイウト、加藤サンノヨウナ、
第一線型ノ強者デハナク、腕前ハチョット、アヤシカッタ。酒豪デ、
酔ッパラウト天下第一ノヨウナ強ガリヲ言ワレタガ、
本当ノ心ノ中ハ邪心ノナイ子供ノヨウナ人デ、強ガリノワリニハ、
アンガイノ淋シガリ屋デアッタカモシレナイ。
「オレハ飛行時間二千時間ダ。キミタチナンカニ負ケヤシナイヨ」
ト言ワレ、イッショニ飛ビ立ッテ空中戦訓練ヲシテミタラ、ナント!
学校ヲ出タバカリノ、パイロットヨリモマダ未熟ナ機動デ、モノノ、二・三
回モ手合ワセシテミタダケデ、コノ人ノ腕前ハイッペンニ、
ワカッテシマッタ。
「コンドノ部隊長ハ、ゼンゼン空中戦ハ、ワカットランゾ。気ヲツケテ
クッツイテユカヌト、親方ナニヲシデカスカ、ワカランデスヨ」
口ノ悪イ大谷大尉ハ、私ニコウ言ッテイタガ、マサニ、
ソノトオリノ感ジナノデアル。
シカシ、コレハ部隊長ヘノ反感デハナク、自分ノ腕ヲ信ズル
コトダケガ生キ残コル秘訣デアルコトニ気付キ、自己流ノ戦闘法ニアワナイ
相手ヲ、コッピドク、口デ攻撃シタクナル、言ウナレバ
戦サズレシタ パイロット達ノ自負心ト言エル。
昭和十七年八月十六日 トングーノ駐留ニナレテキタコロ、私ノ中隊ニ
内地ニ飛行機受領ノタメノ出張命令ガ下ガッタ。
昭和十七年九月 ヨウヤク受ケ取ルハズノ「隼」全機デ、立川カラ三重県
明野、宮崎県新田原ヘ飛ンダ。
昭和十七年九月十五日 台湾ノ嘉義ヘ飛ンダ。飛行時間五時間半
160:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/22 13:31:24.20 AsdMGrhR0
昭和十七年九月 ヨウヤク受ケ取ルハズノ「隼」全機デ、立川カラ三重県
明野、宮崎県新田原ヘ飛ンダ。
昭和十七年九月十五日 台湾ノ嘉義ヘ飛ンダ。飛行時間五時間半
イヨイヨ戦線ニチカヅイテイク我々ノ胸ニハ、ナニカシラ新シイ闘志ガ、
心ノ中ニタギリ立ッテクルヨウデアッタ。
九月十七日 嘉義カラ広東ヘ。香港ノアタリデ雨ノシブキヲ
浴ビナガラ、若イ編隊長ハ雲下ニ突入シ、珠江モ、サカノボッテ、ブジニ
天河(テンガ)飛行場ニ着陸シタ。
隼ノ中隊十二機ヲ誘導シタノハ、九七重爆ノ清水千波大尉デアッタ。⇒
※陸軍一式二型戦闘機 通称 隼 乗員一 空冷複式星型 十四気筒
千百五十馬力 全幅十一、四四〇メートル 全長八、九二〇メートル
自重一、九一〇トン 全備重量二、五六三トン
最大速度時速五百七十六キロメートル航続距離千六百十キロメートル
実用上昇限度一万三千五百メートル 武装十三ミリ機関砲×二
二百五十キロ爆弾×二
⇒ソシテ、翌十八日、私ハ、中隊ノ十二機ヲ率イテ、サイゴン ニ向カッテ
出発シタ。南支那海ノ上デスコールニブツカッタノデ、マタマタ
得意ノ低空飛行ニハイリ、仏印ノ岸辺チカクデ、雲間カラ急上昇シテ
雲上飛行ヲツヅケテ航程六時間、私ノ航法ハ正確デアッタ。
サイゴンノ赤土ノ滑走路ハ、開戦以来オナジミノ形デアル。着陸シタラ、
「シンガポールニ前進セヨ」トノ指令ガ入ッテイタ。
最後ノコースハ四時間デ飛ンダ。着イタ飛行場ハ センバワンデアッタ。
ココハ英軍ガ海軍ノ基地トシテ使ッテイタ草地ノ飛行場デ、周囲ニ
ゴム林ヲメグラシ、小ジンマリシタ兵舎ガアッタ。
遠イヨウデマッタク近イ内地ノコト、海ヲ越エ、山ヲ飛ビ、雲ヲ切リ、
雨ヲ浴ビタ、ソノ航程五千キロノ間ニ、愛機「隼」ハ、ナンノ
心配モナク エンジンヲ、トドロカセテ飛ンデクレタ。燃料ヲ注入シ、
油ヲ点検スルダケデ、ホカニナンノ手入レモセズニ、故障一ツ
起コサナカッタ「隼」ニタイシテ、私タチガ全幅ノ信頼感ヲ持ッタ
ノハ当然ノコトデアッタ。
161:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/26 13:43:43.23 feVD6NHn0
内地トノ間、航程五千キロデ、故障一ツ起コサナカッタ「隼」ニ対シテ、
私タチガ全幅ノ信頼感ヲ持ッタノハ当然ノコトデアッタ。
「ヨウ飛ンデクレルネ、隼ハ マッタク良イ飛行機ダヨ」
「ソレニシテモ、ビルマノ雨季明ケニハ、大キナ作戦ガアルラシイデス。
シンガポールデノ訓練ハ、ソノ作戦準備トカ・・・」
「マタイッチョウ勇マシクヤルカ・・・」
ミンナハニギヤカニ語リアッテ、スグニ一心同体ノ雰囲気ノ中ニ
入ッテイクノデアッタ。
私タチヨリ一足遅レテ内地ヲ出発シタ丸尾大尉ノ率イル第二中隊ハ
昭和十七年九月二十一日広東カラサイゴンニ飛ブ途中デ、大キナ積乱雲ニ
突ッ込ンダ。仏領印度支那(ベトナム)ノツーラン沖百キロホドノ
南支那海ノ上空デアッタ。
丸尾大尉ガ雲中ニ突ッ込ンダノハ、塔ノヨウナ雲デ、モノノ何秒カデ
ツッ切ッテシマウ自信ガアッタカラデアル。
ダガ、シカシ濃ク白イ雲ノ壁ハ、意外ニ厚ク、各機ノ視界ヲ奪ッテ、
編隊ハ、相手ガオ互イニ、一瞬 見エナクナルホド暗イ水蒸気ノ塊リニ
ツツマレタ。ソノウエ上昇気流ノ乱レガ、ハゲシク各機ヲ動揺サセタ。
モノノ二十秒カ三十秒シテ、丸尾大尉ガ雲ノ向コウガワニヌケテ
振リ返ッタトキ、左側ニイタハズノ第三編隊ノ三機ノウチ、浅川中尉ト
近藤曹長ノ二機ガ忽然ト消エテイタ。オソラクハ雲ノ中ノ衝突デアッタロウ
加藤部隊長ノ最後ヲ見テイタ近藤曹長ハコウシテ死ンデイッタ。
ソシテ 浅黒イ顔ノ静カナ男浅川中尉モコウシテシンダ。
シンガポールノ青イ空ノ下デ訓練ハ続イタ。
162:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/26 14:53:57.27 feVD6NHn0
シンガポールノ青イ空ノ下デ訓練ハ続イタ。
ジャワ(インドネシア)デ無傷ノママ分捕ッタ
ボーイング・ビー十七ニ対スル攻撃法モ、シンガポールノ
空ニ飛バセテ訓練シタ。
南方軍技術研究所ノ田中中佐ラノ、ベテランパイロット達ト一緒ニ、
私モ目標機ニナッテイル ビー十七ニ乗リ込ンデ、部下達ノ
攻撃ブリヲ観察シテ見タ。
前方カラ突ッ込ンデクル隼ガ、衝突スルカ、ト、思ワレルヨウナ
近サマデキテ、クルリ、ト身ヲカワシテ離レテユク迫力ハ
相当ナモノデ、イクドカ胆ヲ冷ヤスコトガアッタ。
「アンナ無茶ナ危ナイ攻撃ヲサレテハ モウ、オ前達ノ攻撃ヲ批評スル
タメニ乗ルコトハヤメニスル。衝突シテ殺サレテハ
カナワンカラナ・・・」私ノ講評ニ、ミンナハ「ニヤリ」ト
笑ウノデアッタガ、ソレホド攻撃意識ハ充実シテキタヨウデアッタ。
昭和十七年十月七日「ビルマヘ再転進シテ、作戦準備ヲセヨ」トノ
命令ガキタ。
前ノ戦隊長ヲ失ッテカラ、沈滞シガチデアッタ部隊ニモ、
モハヤ、ソノ暗イ面影ハ消エタ。営々トシテ練磨シ、休ミナク
励ンデキタ戦隊ノ訓練成果ヲ引ッ下ゲテ、新シイ意気込ミデ
戦場ニ乗リ込ム日ガ近ヅイタノダ。
シンガポールカラマレー半島ノ スンゲイパタニニ着陸シテ
燃料ヲ補給シタ「隼」部隊ハ、タイ国ノ首都バンコックノ
ドンムアン飛行場ニ着陸ショウト、四時間ノ飛行ヲ終エテ上空
ニ到達シタ。スルト、ナント、ドンムアンノ広イ飛行場ハ、
大洪水ニ呑ミコマレテ水没シテイルデハナイカ。建物ハ水中ニ孤立
シテ浮イテイタ。
「ヤ、コレハ大変ダ、コウナレバ、ビルママデイッキョニ行クホカニ
手ハナイ・・・・」。
163:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/27 07:40:48.08 Ydsx4LSC0
「ヤ、コレハ大変ダ、コウナレバ、ビルママデイッキョニ行クホカニ
手ハナイ・・・・」。
私(黒江)ハ着陸ヲ止メ、スロットルレバーヲ押シテ
エンジンノ回転数ヲアゲ隼十二機編隊デ機首ヲラングーンニ向ケタ。
編隊ハ、タイト ビルマノ国境ノ山々ノ雲上ヲ越エタ。
サイワイナコトニ、ビルマ平原ニ雲ノ切レ間ガアッタ。
「隼」デナケレバデキナイ長距離航法ダッタ。飛行六時間十五分、
航程千八百キロメートル。ミンガラトン飛行場ニハ、
雨季ノアイダジュウ、ズット残留シテイタ部隊勤務員タチガ
ムカエテクレタ。 ナツカシイ、ビルマノ戦場デアッタ。
ソノコロ、米空軍ハ、蒋介石ノ中国ニ対シテ、イワユル援蒋物資
ヲ空中輸送スルタメ チンスキヤ(今ノバングラディシュ)一帯
ニ、輸送機ノ中継基地ヲツクリ戦闘機ヲ配シテ活発ナ行動ヲ
開始シテイタ。
昭和十七年十月十五日 第四飛行団長 中西少将ハ私ニコウ言ッタ。
「攻撃ニ先キ立ッテ、戦闘機部隊モ、アノ一帯ノ地形ト飛行場ノ配置
ヲ見テオク必要ガアル。黒江大尉、君ヒトツ、百式司令部偵察機
デ見テキテクレヌカ」ト。
非武装ノ司偵デドウナルコトカ、ト不安デアッタガ、
躊躇ハ許サレヌ、マタ断ル理由モナカッタ。
「行カセテイタダキマス」
翌十月十五日、双発ノ快速ヲホコル百式司令部偵察機ハ、
鈴木大尉操縦ノモトニ トングーカラ、メイクテイラニ飛ビ、燃料
ヲ入レテカラ一路北ヘ、目標ニ向カッテ高度ヲ上ゲテイッタ。
雲ハ真白ニ光ッテ高クソビエテイタ。ウントー アタリノ上空カラ
ツイニ高度計ノ指示ハ八千メートルヲ指シハジメタ。
164:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/27 13:47:36.34 Ydsx4LSC0
雲ハ真白ニ光ッテ高クソビエテイタ。ウントー アタリノ上空カラ
ツイニ高度計ノ指示ハ八千メートルヲ指シハジメタ。⇒
※百式四型司令部偵察機 通称新司偵 乗員二 空冷複式星型十四気筒
千五百馬力×二(燃料噴射ポンプ) 全幅十四、七メートル
全長十一メートル自重四、〇一トン全備重量五、九トン
最大速度時速六百三十キロメートル(終ワリニハ離昇浮揚
三千馬力デ日本海横断 追イ風時速七百キロメートル)
巡航速度時速四百六十キロメートル 実用上昇限度一万メートル
航続距離二千七百キロメートル 武装 ナシ
⇒ 寒クテ、ガタガタト フルエルホドダッタ。ハテシナク続ク
白雲ノ上デ後方座席ニ下向キニ装置サレタ大型写真機ノスキマカラ
吹キ込ム風ハ、モノスゴク冷タク、ソノウエ酸素吸入器ガ
故障シテイルノカ呼吸ガ乱レテキタ。
インドトノ国境ハ漠々トシタ雲ダッタ。北ヘ深ク、ヒマラヤノ山系ニ、
近ヅイテイルハズダ、ト考エテイタ時鈴木大尉ガ
伝声管デドナッテキタ。
「敵ノ真上ノハズデスガ、コノ雲ノ量デハ、トテモ何モ見エマセン。
偵察ヲ中止シテ帰還スルコトニシマス・・・・イイデスカ?」
機ハシズカニ大キナ孤ヲ描キナガラ左旋回シタ。
ソノトキ、私ハ息ヲ飲ムヨウナ光景ヲ見タ。
165:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/29 09:08:17.52 WBuFUAdi0
ソノトキ、私ハ息ヲ飲ムヨウナ光景ヲ見タ。
行ク手ハルカ北ノ方向、雲上ノ水平線ニ浮カブ無数ノ山々ガアリ、
ソレガ一連ノ城壁ノヨウニツラナッテ、ギザギザ ノ山々ガ
白銀ニ光ッテイタ。
雪ヲイタダイタ。ヒマラヤ山系ノ一部デアル。
白熱ノ太陽カラ降リソソグ熱帯ノ光ヲアビテ、神々シイバカリニ
輝イタ神聖ナ雪ノ山ハ、気高ク美シイ。息ヲ飲ム思イデ、
私ハシバラク見惚レテイタ。
<ハルケクモ(日本カラ離レテ、コンナニ遥カニ遠クマデ・・
ノ意味ナノカ、ナ)キタモノダ。コンナ遠イトコロマデ、戦争
シニヤッテキテ、
オレハ、ヒマラヤヲ見タ。・・・・、アノ白銀ノ峰々ヲ・・・・>
ヤガテ若イ血潮ガ高鳴リ雄図ガ燃エ上ガッテキタ。
百式司偵ハスベルヨウニ雲上ヲ直路トンガー ニ帰ッテキタガ、興奮
ト酸素不足デ、身体ガ、ガタガタト震ルエルノヲ
止メルコトガデキナカッタ。
昭和十七年十月二十四日北ヘ飛ンダ一機ノ百式司令部偵察機ハ
チンスキヤ飛行場ノ大型機二十機、小型機二十機ヲ
写真捜索シテキタ。
昭和十七年十月二十五日十三時三十分 メイクテイラ西飛行場ヲ
離陸シタ飛行第六十四戦隊ノ「隼」ハ シエウエボ
上空高度二千メートルデ第四飛行団全力ノ百数十機ト空中集合シテ、
堂々ノ航進ヲ開始シタ。
高度五千五百メートルデ アラカン山脈ヲ越エ、メザスチンスキヤ
飛行場ニ突入シタ。
マズ軽爆隊ガ、オークランズ飛行場ヲ爆撃シタ。タチマチ敵ノ
数機ガ、黒煙ヲアゲテ燃エ出シタ。敵ノ高射砲弾ガ、中空ニ
真ッ黒ナハナビラノヨウニ、点々ト炸裂シ出シタ中ヲ、在空
敵機ナシト見タ私ハ、全速力デ急降下ニウツッタ。
166:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/01 14:55:18.56 eCLZINUK0
在空敵機ナシト見タ私ハ、全速力デ急降下ニウツッタ。
オークランズ ノ北側カラ、ディブルガールニサシカカルトキ、フト見ルト
敵ノ小型機ガ、マサニ滑走路上ヲ離陸シテイルノガ見エタ。
翼ヲ振ッテ攻撃下令スルノモモドカシク、スロットルヲ閉ジタ私ハ、
計器速度時速五百五十キロメートルヲ出シテ、マッサカサマニ
突進シテイッタ。
後ロニツヅク味方ナド、見テイルヨユウモナケレバ、ヨソデナニガ
起キテイテモ、カマッテイラレナイ、タダ眼下ノ敵ヲヤッツケルダケノ
一念ダッタ。
シカシ、オーバースピードノ隼ハ、速度ヲ一度ヘラス必要ガアッタ。
乱暴ニ 力ヲコメテ敵基地ノ上デ旋回シ、スピードヲヘラシナガラ、
見テイルウチニ、離陸シタ敵機ハ五機ヲ数エテシマッタ。
ヤット六機目ガ離陸滑走スルウシロカラ突進スルコトガデキタ私ハ、
敵ノ滑走路上ヲ高度十メートルデ超低空飛行シナガラ、浮揚シタバカリノ
カーチス・ピー四十・トマホーク メガケテ、ドドド・・・ト射弾ヲ
浴ビセカケタ。スルト、浮イタ直後ニ背後カラ射タレタ敵機ハ、
車輪ヲ引ッ込メルコトサエ忘レテ、逃ゲヨウトシタ。
アキラカニ敵機ハビックリ仰天シタノダ。私ハスグニ、機ヲ引キ上ゲテ
翼ヲ傾ケ、二撃目ヲカケヨウトシタ。トコロガ、コノトキ、
大地ノ上ヲカケヌケル トマホーク ノ翼ト胴体ガ、ピカピカット
光ルノヲ見タ。機関砲弾ガ命中シテ爆発シテイルノダ。
「誰カガ射ッテイル・・・」 ハットシテ、トマホークノ後ロヲ見ルト、
二番機ノ安田曹長機ダッタ。ツヅイテ、三番機ノ細萱(ホソカヤ)曹長
ガピタリト クイッツイテイル。曳光弾ノ射線ガマタ敵機ヲツツンダ。
各人ガ二撃ヅツカケテ最後ニ突進シタ私ハ、敵機ノ速度ガ急ニ
ニブクナッタノヲ知ッタ。エンジンガ止マッタノデアロウ。
森ノ間ノセマイ原ッパニ、トマホークハ車輪ヲ出シタママ接地シタ。
車輪ガ ハネ飛ンデ砂煙ガ舞イ上ガッタ。スコシ速度ヲ落シタママ、照準器
ノ中デ敵機ノ接地ヲ見タ私ハ、思ワズ機銃ノ引キガネヲヒイタ。
167:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/03 08:16:10.10 GS8TcZcr0
スコシ速度ヲ落シタママ、照準器ノ中デ敵機ノ接地ヲ見タ私ハ、思ワズ
機銃ノ引キガネヲヒイタ。ソシテイッタン上空ヲ通リスギテ、
隼 ヲ引キ上ゲテオイテカラ、モウ一度突進シタ。
スルト、擱座(カクザ・・機能ヲ失ッテ動ケナクナルコト)シタ
トマホーク ノ座席カラ、黒イモノガ動イテ、左ヘ走ルノガ見エタ。
敵ノパイロットハ生キテイタノダ。彼ハ畑ヲ横切ッテ森ノ中ヘ走リコンダ。
高度二十メートル、直線距離百メートルデ 力(チカラ)イッパイ
引キ上ゲノ舵(カジ)ヲ使ッタガ、意外ニモ機速ガアッタ 隼 ハ、
グーン ト沈ムヨウニ下ガッテイッタ。
機、全体ガ大地ニ引キ寄セラレルヨウニ・・・・。
<ヤッタアー・・・・地面ニブツカッタカ・・・・>息ヲトメテ
観念シタトキ、左右ノ翼ノ上ニ樹ノ梢ガ、グーントセリアガッテ、私ハ
敵ノ残骸ニ腹ヲコスリツケタ、カ、ト思ッタ。高度ハ二メートル以下、
不用意ナ離脱操作デ危機一髪、隼 ハ地面ニ激突スルノヲマヌガレテ、
フタタビ上空ヘ舞イ上ガッタ。マッタクノ幸運トイウホカハナイ。
<ヒヤアー、危ナイ、アブナイ・・・・>ヒヤ汗ヲナガスヨウナスリル、
ノ次ニハ、シカシスグサマ 冷静ナ判断ガハタライタ。
<サキホド、少ナクトモ五機ノ トマホークガ、ディブルガールカラ
離陸スルノヲ見タ以上、上空ニ敵機ガイルコトハマチガイナイ、
油断ハ禁物ダ>三機ハ上空ノ見張リヲツヅケナガラ、全力上昇ニウツッタ。
遠ク、オークランズ飛行場デ、炎々ト燃エル敵機ノ黒イ煙ガ
ヒロガッテイルノヲ見タ。
第二編隊ノ武村太郎中尉、高橋中尉、横井門司曹長ハ、第三編隊ノ
各機ト私ガ、急降下ニウツッタノヲ見テカラ、スカサズ、コレニツヅイタガ
隊長機(黒江)ノ高度ノ下ゲ方ガアマリニモ早カッタタメ、途中デ
追イツケナクナリ、ソノウエ敵機ノ距離ニ気ヲトラレテ私ノ編隊ヲ
見失ッテシマッタノデアル。
ダガ、ソノアトスグ、逃ゲタ敵機ヲ追ワズ、オークランズト
ディブルガールニ壮烈ナ銃撃ヲ敢行シタノデアッタ。
168:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/04 08:16:57.73 TKlvRHdS0
ダガ、ソノアトスグ、逃ゲタ敵機ヲ追ワズ、オークランズ ト
ディブルガールニ壮烈ナ銃撃ヲ敢行シタノデアッタ。⇒
※カーチス・ピー四十 アメリカ陸軍戦闘機
カーチス社ハ戦闘機ニハ、・・ホークノ名称ヲツケル。
中国戦線ニ参加シタアメリカノ義勇兵航空隊ハコノカーチス・ピー四十
戦闘機デ編成サレテイタ。
コノ当時ノカーチス社ノ戦闘機製造ノ基本理念ハ「頑丈サ」デアッタ。
アメリカデノ通称/略称 ウオーホーク(戦イノ鷹)
イギリス軍デノ通称/略称 トマホーク
乗員一 アリソン・ブイ・千七百十エンジン・千百五十馬力
全幅十一、三七メートル 全長九、六八メートル
自重ニ、四三九トン全備重量三、〇七五トン
武装十二、七ミリ機銃×二 七、六ミリ機銃×二
胴体下ニ五百ポンド(二百二十七キログラム)爆弾一
主翼ニ百ポンド(四十五キログラム)爆弾×二
※一ポンドハ四百五十三、五九グラム
最大速度時速五百七十キロメートル 航続距離五百六十三キロメートル
実用上昇限度一万二百七十メートル
⇒対空砲火ノ雨ノ中デ、彼ラハダグラス・ディー・シー三型ノ一機ヲ燃ヤシ
ホカノ二機ヲ撃破シタ。両機トモ、ソレゾレ二発ノ地上砲火ニヨル
被弾ガアリ、横井曹長モエンジンヲ射チ抜カレテ危ナカッタガ、調子ノ
ワルカッタエンジンヲ ダマシダマシ シテ、味方ノ前線基地カマイン
ニスベリコンデイタ。メイクテイラ ヘモドッテクル空デ、ミンナガ
私ノモトニアツマッテキタ。横井曹長ノ一機ガタリナカッタ。
基地ガ見エテキタトキ、私ハミンナニ合図シテ低空デ増速シ、大キク操縦桿
ヲ引クト、基地ノ真上デ編隊宙返リシタ。大地ガ腹ノ下ニ沈ミ、
大空ガ前方ニイッパイニヒロガッタ。首ヲ上ニ向ケルト、反対側ニ
地平線ガアラワレタ。ミンナハピッタリト私ニクッツイテ、
隊形モ一糸乱レズ、勝利ノ宙返リヲ舞ッテイタ。
169:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/05 13:39:38.48 HKnxBWtI0
隊形モ一糸乱レズ、勝利ノ中返リヲ舞ッテイタ。
昭和十七年十一月二十二日午前二時ラングーンハ、数機ノビー二十四
ニヨル空襲ヲ受ケタ。
大谷大尉ラノ第一中隊ガ当直シテイテ、スグニ舞イ上ガッタガ、
月ガアマリニ明ルク、探照灯ハ、敵機ヲトラエルコトガ
デキナイウチニ、飛行場ナラビニ軍事施設ガ、爆撃ヲウケテ、
六機炎上、中小破九機、軍事施設炎上ト言ウ損害ヲ受ケテシマッタ。
二十三日夜ニハ、マグウエガ空襲サレ、二十四日ニハ、メイクテイラ
トングー ナドガ夜間爆撃ヲウケタ。ナントカシテ一矢ヲ
ムクイナケレバナラナイト、クル日モ クル日モ、私タチハ夜ノ
警戒ヲ厳重ニシテイタ。ソシテ、
十一月二十五日深更(シンコウ・・夜フケ)前線ノ
監視硝(カンシショウ・・見張リ所)カラ、サカンニ情報ガ
入ッテキタ。
「爆音、西カラ東ヘ」「大型機数機、西南進」
ソレハスベテ ラングーンノ方角ニ向カッテクルモノデアッタ。
午前一時三十分「ラングーン西方三十キロ、敵機東進」ノ情報
ガ入ッタ。私ハ緊急離陸シタ。高度ヲスコシヅツ上ゲナガラ、
ビクトリア湖ノ上空三千メートルカラ三千五百メートルデ待機
シテイルト、敵機ガ ミンガラトンニ侵入シテキタ。
大空ヲ掃(ハ)クヨウニ探照灯ガ動キマワリ、夜空デ花火ノヨウニ
高射砲弾ガハジケ出シタ。
一機二機ト、光ガトラエタ敵機ハ、銀色ニ光ッテ、蛾(ガ・・
チョウニ似タ昆虫・・サザンカ・椿ニツク蛾ハ強烈ナ毒蛾)ノヨウニ見エタ。トラエラレタ蛾ハ
ノタウチマワリ急旋回シテ、光ノ束カラ逃レヨウトシタ。
暗イトコロニ逃ゲコンダカニ見エル蛾ガ、マタ光ノ束ニトラエラレ、
右ニ左ニノタウチマワッテイル。
第三機目ノ巨大ナ敵機ニ向カッテ、私ハ、突進シタ。
左ヘ、左ヘト旋回スル四発ノ怪物ハ、ボーイング・ビー十七ダッタ。
ソノ旋回ノ内側カラ距離ヲ詰メテ行ク時、探照灯ガ消エタ。
170:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/06 10:09:31.04 HTqjTg0X0
左ヘ左ヘト、旋回スル四発ノ怪物ハ、ボーイング・ビー十七ダッタ。
ソノ旋回ノ内側カラ距離ヲ詰メテ行ク時、探照灯ガ消エタ。
消エタトイウヨリ、高射砲ノ射程外ニ出タノデ、断念シテ目標ヲ
変換シタノデアロウ。
シカシ、下カラスカシテ見タ名月ノ薄明リノ空ニ、
ボーイング・ビー十七ノ巨体ハ、私ノ目カラ消エルコトナク、黒々ト
残ッテイタ。
<千載一遇ノチャンス!>私ノ胸ガオドッタ。
私ハ、左後下方攻撃デ、一連射ヲアビセタ。機銃ガ火ヲ吐イタ。
銃口ノ発射閃光ガ、私ノ網膜ニ、瞬間的ニ目ツブシヲ食ワセ、
連続照準ヲツヅケルコトガデキナイ。操縦桿ヲ右ヘタオシテ
右下方ニ離脱シ、スグニマタ立テナオシタ。遠クヘ
離脱シテシマッテハ、敵機ヲ見失ッテシマウカラデアル。
今度ハ、右後下方カラ、機首ヲ持チ上ゲテ射ッタ。短イ射撃
ヲ区切リナガラ、発射閃光ノ合イ間ニ照準ヲツケナオシタ。
「ドド・ドド・ドド !」一銃アタリ、数発カラ数十発グライノ
点射トイウヤリカタデアル。方向舵ト操縦桿ヲ、強ク使ッテ左ヘ、
マタ滑ルヨウニ離脱シ、三回目ヲ左下カラ射ッテ、右下方ニ出タ。
暗ガリノ中カラ射タレタコトニ、敵ハ驚イタノデアロウ。
爆弾ヲ全部捨テタ。
ソレハ、ラングーン市ノハルカ西ノ、ナニモナイ平原ノ中ニ大キナ
火柱ヲアゲテ炸裂シタ。
イマヤ、敵モ死ニモノ狂イダッタ。西ヘ西ヘ、小刻(コキザミ)
ニ上下左右ニ、ノタウチナガラ、遁走シテユク。
月明カリノ中ノ大型ト小型ノ一騎打チダッタ。
暗イ大空デ、トモスレバ見失イガチナ相手ヲ、シカシ、私ハ
決シテハナサナカッタ。
171:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/06 14:02:04.65 HTqjTg0X0
暗イ大空デ、トモスレバ見失イガチナ相手ヲ、シカシ、私ハ
決シテハナサナカッタ。
ダニノヨウニ食イ下ガッタママ ボーイング・ビー十七カラ
直線距離三百メートル以内ノ距離ヲタモッテイタ。⇒
※ボーイング・ビー十七爆撃機
乗員十名 エンジン[ライト・サイクロン]・空冷星形九気筒
千二百馬力×四 全幅 三十一、六メートル
全長二十二、六メートル 総重量二十五~二十九トン
航続距離 五千八百キロメートル 最大速度 時速四百六十二キロメートル
巡航高度六千~八千メートル実用上昇限度一万メートル
爆弾二、七トン~四、九トン
武装 十二、七ミリ エム弐機関銃十三挺
※ボーイング・ビー十七ノ艤装(装備・装置)ヲ換エタ
ビー四十モ ビー十七爆撃機編隊ノナカニアッタ。コノ戦線デ
使ワレタカドウカハ不明
ビー四十ハ機銃二十四挺ヲモツ名称ハ爆撃機デアリナガラ
長距離戦闘ヲ実際ノ任務トシテイタ。
⇒ソレヨリ遠クナルト、見失ッテシマウオソレガアッタカラダ。
右ヘ左ヘ、自分ノ位置ヲ相手ニハサトラレヌヨウニ、私ハ追撃ヲ
続ケタ。
172:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/08 11:51:29.24 1pxPumug0
右ヘ左ヘ、自分ノ位置ヲ相手ニハサトラレヌヨウニ、私ハ追撃ヲ
続ケタ。
射弾ガ命中シテイタカドウカ、私ニハ確認スル方法ガナカッタ。
私ハ何回目カノ突進ヲ試ミタ。機種ヲビー十七ニ向ケテ
ネライヲツケタトキ、急ニ照準線ノ上デ、
「パパパ・・・・」ト、曳光弾ガ私ノ左前方カラ、黒イ影ノ敵ニ
向カツテ飛ンデユクノガ見エタ。 イソイデ離脱シタ。
<ダレカベツニモウ一機味方ガ近クニキテル> スグニ頭ガハタライタ
曳光弾ハ明ラカニ<隼>ノモノデアル、敵機カラ、コチラニ
向カッテ飛ンデキタモノデナカッタ。
<ダレカガ同時ニビー十七ニムカッテ攻撃シテイル・・・下手ヲスルト
味方同士デ同時攻撃シタラ空中衝突スルカモシレナイ。
ドウスルカ?エエイ、ヤッテシマエ> 味方ガイルトイウコトハ、
強イコトダッタ。私ハ再ビ突進シタ。ソシテ機銃弾ノ手持チ全部
ヲ射チツクシタ。ビー十七ハ前方ノ薄イ層雲ノ中ヘヤット隠レ家ヲ
見付ケタカノヨウニ、気息 エンエントシテ雲ノ中ニ
ワケ入ッテシマッタ。私ハ<タシカニコチラノ弾丸ガアタッテ
イタコトハマチガイナイナ>頭ヲカシゲナガラ、ラングーンニ
帰ッテキタ。接地シテプロペラヲ止メテシマウ前ニ
地上カラ翼ニ上ガッテキテ座席ヲノゾキコンダ山本曹長ニタズネタ。
「誰カマダ降リテコナイ者ガアルカ?」
「安田曹長ガ帰リマセン、ソノ一機ダケデス」私ハ自分ノ顔ガ
青ザメテイクノガワカッタ。
トコロガ、安田曹長ハソノ翌日 アチコチ火傷ヲウケ、トクニ顔ハ
真ッ黒ニ火ニ焼カレテイタガ、ユウユウト帰ッテキタ。
夜空デ赤イ火ノ玉ノアトニ、パラシュートノヨウナモノガ、
白ク浮カンデイタガ、安田曹長デアッタ。
昼過ギ私タチガ攻撃シタボーイング・ビー十七ハ
雲ノ中ニワケ入ッタ地点カラ チョット先デ 力 尽キテ
墜落シテイタ。
173:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/10 16:10:40.67 rTxF4uJR0
夜空デ赤イ火ノ玉ノアトニ、パラシュートノヨウナモノガ、
白ク浮カンデイタガ、安田曹長デアッタ。・・・・
・・・雲ノ中ニワケ入ッタ地点カラ チョット先デ 力 尽キテ
墜落シテイタ。
[ボーイング・ビー四十]
ボーイング・ビー十七ノ艤装(装備・装置)ヲ換エタ ビー四十モ
ビー十七爆撃機編隊ノナカニアッタ。
コノ戦線デ使ワレタカドウカハ不明 、ダガ
真ッ暗闇ノ大空デ安田曹長機ニ命中弾ヲ与エタコトカラ考エルト、
搭載機銃二十四挺ノ、コノビー四十爆撃機ノヨウニ思エルノデアル。
火網ノ中ニ身ヲ晒ストキ
昭和十八年二月 <隼一型>カラ十三ミリ砲二門搭載、ト
時速二十キロメートル以上スピードヲ向上サセタ強化型<隼二型>
ニ機種ヲ改メタ部隊ハ、各中隊ゴトニ、立川カラ台湾、海南島
ヲヘテビルマニ飛ンダ。
一中隊ガ十二機、三中隊デ三十六機ノ部隊デアル。
部隊ハ、海南島ノ三亜海軍飛行場ニ着クト、八木戦隊長ノヒキイル
第二中隊ガ、第一陣トシテ飛ビ立チ、ツヅイテ私(黒江)ノ第三中隊
最後ハ明楽(メイラク)少佐ノヒキイル第一中隊ノ順ニ、
ビルマヘト飛ンダ。