日本軍ノ活躍ノ話ヲシマショウat SENJI
日本軍ノ活躍ノ話ヲシマショウ - 暇つぶし2ch100:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/12 17:25:38.64 0emeKqVqP
マキン島守備隊金光久三郎兵曹長(准尉・特務曹長)指揮ノ
 海軍陸戦隊ノ闘イ
 米軍ハ ソロモン方面日本軍ノ兵力増強ノ牽制 ト 
 情報資料ノ奪取ヲ目的ニシテ 日本軍占領下ノ マキン島
 奇襲ト 撤収作戦ヲ決行シタ 
 併セテ米国民ノ士気高揚モ狙イトシタ
昭和十七年八月十七日夜 米軍カールソン海兵隊中佐率イル
 海兵隊員二百二十人ガ マキン島ヲ奇襲攻撃シテキタ
 日本軍守備隊ハ 金光久三郎指揮ノ陸戦隊員ラ 七十三人
 デマキン島ヲ守備シテイタノデアッタ
 米海兵隊員二百二十人ハ潜水艦 ノーチラス ト 
 アルゴノートデ ハワイ基地カラ輸送サレテキタ 
 米海兵決死隊ハ コノ二隻ノ潜水艦カラ十九隻ノゴムボート
 デ 十七日午前二時海岸ニ上ガリマキン島奥地ヘト侵入ヲ図ッタ 
 日頃陽気ナ海兵隊員タチモ
 コノ決死行ニ出撃スル時ニハ表情ガ皆ナ硬カッタ
 上陸後 日本軍守備隊陣地ヲ目指シテ進撃中ソノ間デ隊員ガ
 日本軍ノ待チ伏セトミテ自動小銃ヲ発射シタ
 銃声ヲ聞キ付ケタ南洋興発貿易支店長ノ急報
 ヲ受ケタ日本軍守備隊ハ直チニ散開シテ応戦シタ
  ・・・・
※米国潜水艦 ノーチラス 水上二千七百三十トン 
 全長百六、四メートル 全幅十、四メートル
 

101:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/13 15:29:09.77 V9/W4hgvP
※米国潜水艦 ノーチラス 水上二千七百三十トン 乗員八十八名
 全長百六、四メートル 全幅十、四メートル
 水上十七ノット 時速三十一キロメートル
 水中八ノット  時速十五キロメートル 
 武装六インチ(十五、二四センチ)砲×二 二十ミリ機銃×四

       アルゴノート 水上二千百七十トン 乗員八十八名
 全長百十六メートル 全幅十、三メートル
 水上十五ノット 時速二十八キロメートル
 水中八ノット 時速十五キロメートル 
 武装 六インチ(約十五センチ)砲×二 二十ミリ機銃×五

 日本軍守備隊ハ散兵豪ヲ伝イ反撃戦ヲ繰リ返シタ⇒

 マキン島 島民ハ島内安全ナ場所ニ於イテコノ戦闘ノ様子
 ヲ見タリ聞イタリ シテイタ 島民ノ聞イタ米軍海兵決死隊
 ノ小銃ノ音ハ トゥルトゥルトゥルトゥル ・・ノヨウナ
 連続音デ 日本軍陸戦隊ノ小銃ノ音ハ連続的デハナイガ正確ニ
 断続シタ重低音ダトノコトデアッタ
 米海兵隊ノ使ッタ銃ハ外観ハ 消音装置ノ付イタ自動小銃
 日本軍陸戦隊ノ使ッタ銃ハ三八式歩兵銃デアッタ
 銃ノ性能ノ比較ハ ソノ銃ヲ使用スル兵隊ノ能力次第デ
 決メラレルト思ワレル
 コノ戦闘デハ 日本軍守備隊金光久三郎兵曹長指揮ノ陸戦隊員七十三名
 デ 自動小銃他各種ノ近代兵器デ武装シタ 
 カールソン海兵中佐ノ率イル
 米軍海兵決死隊 二百二十人ノ奇襲攻撃ニ
 曝サレテモマキン島ヲ守備シタノハ マキントウ守備隊兵士ノ戦闘能力
 ガ高カッタカラダト考エラレル
 
 ⇒夜明ケトトモニ浮上シタ 二隻ノ潜水艦ノ撃チ出ス合計四門ノ
 十五サンチ砲ノ猛烈ナ艦砲射撃ヲ受ケ日本軍陸戦隊ノ散兵隊兵士ハ 
 砲弾ヲ避ケナガラ島ノ奥地ニ後退シタ 
※三八式歩兵銃 口径六、五ミリ・・・・
 自動小銃 スプリングフィールド エムジュウロク 口径五、五六ミリ
 
 
 

102:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/15 13:35:00.26 rqMxlQJxP
※三八式歩兵銃 口径六、五ミリ 銃身長七十九、七センチメートル
 全長一、二七六メートル 重量三、七三キログラム
 射程二千四百メートル 有効射程四百六十メートル
 装弾数五発
※有効射程 敵ニ直撃ヲ与エラレル事ノデキル効力射程距離

※自動小銃スプリングフィールドエム十六 口径五、五六ミリ
 銃身長五十、八センチメートル 全長〇、九九九メートル
 重量三、五キログラム 有効射程五百メートル
 装弾数二十発/三十発 箱型弾倉
 昭和十七年八月十七日午前二時     
 日本軍守備隊カラノ無電連絡ヲ受ケタ日本軍ハ内南洋部隊及ビ
 第四艦隊(旗艦鹿島)第六根拠地隊隷下ノ各部隊ヘ 
 マキン島救援ノ命令ヲ下シタ
 島ノ奥地ニ後退シテイタ日本軍守備隊ハ偶然ゴムボートゴト
 流サレタ米海兵隊ノ一部ニ
 背後カラ攻撃サレ 弾薬輸送車ヲ喪失 ソノタメ弾薬ガ
 欠乏シテイシタ 
 
 午前中三回 日本軍爆撃機ガ潜水中ノ米軍二隻ノ潜水艦ヤ
 上陸シタ米海兵隊ヲ爆撃シタ
 十八日朝守備隊トノ連絡ガ海軍零式水上偵察機デトレタ
 昭和十七年八月十七日夜米海兵隊撤収作戦開始

103:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/16 09:29:48.37 0a1Uam78P
昭和十七年八月十七日
 米軍二隻ノ潜水艦ハ日本軍機ノ爆撃カラ逃レ 夕方マデ潜航
 シナガラ避退行動ヲトッテイタ
 日中ノ戦闘ハ日本軍陸戦隊ハ マキン島奥地ノ山間部ニ立テコモリ
 弾薬ノ使用ヲ制限シテ米軍海兵決死隊ト白兵戦ヲ展開シタ
 夕方ヨリ米軍海兵隊ノ撤収作戦ガ始マッタ
昭和十八年八月十八日
 撤収ハ夜明ケトトモニ開始サレタガ日本軍機ノ攻撃デ頓挫シ
 降伏文書ノ作成ヲ行ッタ 
 コノ間 撤収作戦モ進メテイタ
 八月十八日夜 浮上シタ二隻ノ潜水艦ヘノ乗艦ガ完了シタ
 八月十九日日本軍九七式大型飛行艇二機デ陸戦隊一個小隊三十一人
 ヲ武器弾薬トトモニ空輸シタ
 到着スルトスグニ 島内ノ掃討作戦ヲ実施シタ 
 米軍海兵決死隊ハ ソノ後ハワイニ帰投シタ
コノ戦闘結果
 日本軍陸戦隊戦死者 金光久三郎兵曹長以下 四十三人
           行方不明 二人 
 アメリカ軍海兵隊戦死者 二十一人 溺死者 七人
           捕虜 九人 負傷者 十四人

※ナオ アメリカ海兵隊員 潜水艦ニ乗リ込ム時
 日本軍ノ三八式歩兵銃ヲ持ッテ乗リ込ンデイタ

・・・・・・・・

104:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/20 00:00:40.19 /2vxsR040
ヤッパリ情報戦ニツイテイケテナイヨナ

105:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/20 16:55:15.25 SZHW2S8AP
徳川家康 勝ツ事バカリ知リテ、敗ルルコトヲ、知ラザレバ
     百害ソノ身ニ及ブ
孫武 書物「孫子」ノ著述者 紀元前五百年
     彼レヲ知リ、己ヲシレバ、百戦シテ危ウカラズ
     
紫電改強シ 戦後米軍ガ発表シタ試験飛行記録
 「紫電改ノマグネットヲ アメリカ製ノモノト換エ
 百オクタンノ燃料ヲ使用シテ試験飛行ヲ行ッタトコロ
 当時ノドノ アメリカノ海軍戦闘機ヨリモ優速デアッタ」

紫電改空戦記 堀 光雄 海軍飛行兵曹長(准尉) 
                岐阜県出身 戦後三上ニ改姓
昭和二十年四月六日米軍海兵隊 沖縄ノ北飛行場ヲ使イ出シタ
 コレニ対シテ日本海軍航空部隊モ第一回ノ攻撃ヲカケタ
 コレヨリ後同ジク四月上旬 三四三空通称 剣 部隊ハ
 紫電改八十機デ鹿屋基地ニ進出シタ
※鹿屋市 鹿児島県大隅半島ノ中心都市 鹿屋港ハ湾内交通ノ中心

 三四三空ハ三〇一飛行隊七〇一飛行隊四〇七飛行隊デ編制サレテイル
昭和二十年四月十日午前十時過ギ鹿屋(カノヤ)基地ヲ 
 四機編隊 ゴトニ離陸シタ
 七十機ノ紫電改ガ高度六千メートルデ奄美大島上空ニ差シ掛カッテ
 奄美大島名瀬上空ニ進入シタ時スグ
 「アラワシ、アラワシ。ワレ敵発見」トノ報セガ耳ニ入ッタ
※アラワシ ハ全飛行機ヘト言ウ略語
 「松村小隊、松村小隊。上空ニ残リ指揮ヲトレ」トイウ指令ガ
 間髪ヲ入レズレシーバーニ聞コエテキタ
※一小隊ハ四機・四機ノ八機編制
 グラマン八機編隊ガ四・五千メートルノ高度カラコチラニ向カッテ上昇
 シテクル
 ソノ後方ニハ ワンサ ト後続ノ エフ六エフガ詰メカケテイル
 敵味方ノ距離ハ急速ニ縮マル 敵機ハ百機グライイルヨウダ
 コノ エフ六エフ ハ、・・・
 

 

106:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/21 13:45:56.95 0C9SgEnbP
コノ エフ六エフ ハ 近クニ行動スル機動部隊カラ発艦シテ母艦ノ
 レーダーニヨツテ誘導サレテイルラシイ コノホカニ 
 沖縄飛行場カラ発進シタト見ラレル ピー五十一ガ数機
 グラマン隊ノ後方カラ突進シテキタ
 隊長機(菅野大尉)ハ 第一小隊八機ノ先頭ニタッテ 
 左下方四千メートル付近ノ五・六機ヲ狙ッテ矢ノヨウニ降下シテ行ク
 敵ノグラマン ハ右ニ旋回シツツ 降ッテクル日本軍機八機ヲ
 カワソウトシテイル
 七〇一飛行隊、四〇七飛行隊モソレゾレイマヤ空戦ニ入ラント
 スルトコロダ
 残ッタワレワレ第二小隊以下十六機ハ増速シテ 
 第一小隊ヲ上方カラ援護シツツ 敵ノ上空ヘ進ンダ
 敵編隊ノ後上方ニ迫ッタ菅野隊長機カラ早クモ
 赤イ火箭(カセン・火ヲツケテ射ル矢)ガ迸リ出タ
 敵ノ四番機カラ パット黒イ人影ガ躍リ出シ 続イテ白イ
 落下傘ガサーッ ト開イタ 操縦者ヲ失ッタ敵機ハ 機尾カラ
 黒煙ヲ曳キ機首ヲ垂直ニ下ゲルト ソノママ遥カ下ノ紺碧ノ
 海ヘ落チテ行ッタ
「隊長ヤッタナ」ト思ッテ見テイルト 引キ起コシタ隊長機カラ
「全機突入セヨ」ト命令ガ下ッタ 隊長機ノ前方 我々ノ前下方ニ
 二・三十機ノグラマン編隊ガイル

※一五試改局地戦闘機 紫電改 乗員一 空冷複式星型 十八気筒
 千九百九十馬力 全幅十二メートル 全長八、八八五メートル
 自重二、八九七トン 全備重量三、九トン
 最大速度 時速五百八十三、三八キロメートル
 実用上昇限度一万二千百メートル航続距離千三百七十四キロメートル
 武装二十ミリ機関砲×四 二百五十キロ爆弾×二
ーーーーーーーーーーーーー 







  

107:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/23 06:54:04.38 EE2FfIqoP
レスナンバー 九十二
海軍機ノ最大速度ハ ノット表示 従ッテ 
キロメートル毎時ニスル時ニハ 一、八五二倍スル
九六式陸上攻撃機ハ 最大速度時速三百七十三キロメートル
一式陸上攻撃機 ハ 最大速度時速四百四十五キロメートル
九七式艦上攻撃機ハ 最大速度時速三百七十七キロメートル
零式艦上戦闘機 ハ 最大速度時速五百六十キロメートル
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「隊長 ヤッタナ」ト思ッテ見テイルト 引キ起コシタ
 隊長機カラ「全機突入セヨ」ト命令ガ下ッタ
 隊長機ノ前方 我々ノ前下方ニ 二・三十機ノグラマン
 ノ編隊ガイル・・
 ・・トコロデ、 私ハコノ少シ前カラ、二・三千メートル右横ニ
 私達ノ編隊ト反航シテ上昇中ノグラマンノ編隊ガイルノニ
 気付イテイタ ソレデ
 逆ニ 私ハ前下方ニ突入セズ エフ六エフノ後方ニ廻リ込ム
 ヨウニ大キク右上昇旋回シテ敵八機編隊ノ死角ニ入ルヨウ
 列機ヲ誘導シタ
 二番機ハ 田中昿上飛曹 三番機桐山上飛曹 
 四番機仲睦愛一飛曹 コノ三人ハピタリト私ノ後方ニクッツイテクル
 田中、桐山両上飛曹ハ、トモニ甲種予科練ノ出身デアル スデニ
 下方、上方ニ敵味方 百数十機ガ入リ乱レテ空戦ガ始マッテイル
 目ヲ皿ニシテ全周ヲ見廻ワス・・ スルト
イタ!左方七・八百メートル低イ高度ニ編隊カラ離レテエフ六エフガ
  一機飛ンデイル 
 ヨシ、好イカモダ! ダガ四機デカカル要ハナイ
 私ハ三番機ノ田中上飛曹ヘ左手ヲ挙ゲテ人差シ指デグラマンヲ示シタ
 緊張シタ面持チデ 田中上飛曹ハ左手ヲ挙ゲテ了解ヲ表示スルト
 直チニ左ニ翼ヲ傾ケテ急反転シ降下シテイッタ
 ソレヲ見届ケテ 私ハ列機ト側上方ニ、上昇シ続ケル八機ノ
 グラマン編隊ニ向カッテ攻撃動作ニ専念シタ
 

108:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/25 11:57:14.25 4n2jjwhBP
私ハ列機トトモニ側上方ニ、上昇シ続ケル八機ノグラマン編隊ニ向カッテ
 攻撃動作ニ専念シタ
 敵ガ大キナ旋回ヲ続ケルノデソノ下方ヲ内側、内側ト進ンデ
 敵ニ接近シテイッタ
「ドウヤラ、ウマク敵ノ死角ニモグリコメソウダ」
 ヤガテ八機ノグラマンハ上昇ヲ止メ 水平飛行ニ移ッタ
 一方、田中機ハト、チラット下方ヲ眺メヤルト 
 彼ハ猛烈ナスピードデ 一機ノグラマンノ後上方ニ追イスガリ
 バラバラト一連射ヲ加エナガラ敵ニ迫ルトコロデアッタ
 田中機ノ二十ミリ機関砲弾ハ敵ノ機体中央部ニ炸裂シタ
 彼ガ紫電改ヲグット引キ起コシタトキ ハヤ ソノグラマンノ機首
 ハ ガクリト下ガッタ。ト、右ノ翼ガ、ユラリト持チ上ガッタト
 見ル間モナク、ユックリト下向キニ旋回ヲ始メタ
 錐リ揉ミデアル
 ソノグラマンハ 錐リ揉ミカラ機ヲ立テ直ス模様モナク
 旋回シナガラ墜チテイッタ
 私タチ三機ハ田中機ノ撃墜ブリニ勇気ヅケラレナガラ、狙ウ
 グラマン八機ノ後方カラ近接シテイッタ
 充分敵ノ腹ノ下ニモグリコンダトコロデ、急速ニ高度ヲ上ゲタ。
 敵機トノ直線距離ハ六百メートル。 
「モウスグ射撃ダ」、ソノ前ニ敵機ノ警戒デ上下左右ヲ一瞥シタ
 敵機ノ高度ヲ抜キ高度差百メートルデ攻撃スル決意ヲシタ
 敵機ハ四機ト四機ノ編隊後方ノ四機ハ前方編隊ノ
 左後方ニ位置シテイル 
 私ハ後方四機ノ左外側機四番機ヲ狙ッタ
 三百メートル 二百五十メートル 二百メートルー
 グット把柄ヲニギリシメタ。
 発射ノ軽イ反動ヲ感ジタ 
 敵機ノ映像ガ映像照準器(オーピーエル)カラハミ出シソウニナル、・
 機ヲヒネッテ急上昇スル 二十ミリ機関砲弾ヲ受ケタグラマンハ
 両翼ガホトンド同時ニ吹キ飛ビソノタメ尾翼 方向舵 風防モ
 バラバラニモギトラレタ 二十ミリ機関砲四挺ハ一瞬ノウチニ
 グラマンヲ空中分解サセテシマウ程ノ凄マジイ威力デアッタ

  

109:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/26 15:16:30.79 QRNJGXORP
紫電改ノ二ジュウミリ機関砲四挺ハ一瞬ノウチニグラマンヲ
空中分解サセテシマウ程ノ凄マジイ威力デアッタ⇒

グラマン エフ六エフ 艦上戦闘機 ヘルキャット 乗員一
 空冷複式星型十八気筒二千馬力 全幅十三メートル 全長十、二メートル
重量四、一トン 全備重量五、七トン
 最大速度時速六百四十キロメートル 
 実用上昇限度一万一千五百三十メートル
 航続距離二千八百八十キロメートル 武装十二、七ミリ機銃×六
 爆弾四百五十キログラム×二
ピー五十一 ノースアメリカン ムスタング 陸軍戦闘機
 乗員一 液冷ブイ型十二気筒千七百馬力 全幅十一、三メートル
 全長九、八メートル 重量三、四トン 全備重量四、五トン
 最大速度時速七百三キロメートル 航続距離二千六百五十五キロメートル
 実用上昇限度一万二千七百七十メートル
 武装十二、七ミリ機銃×六 爆弾四百五十キログラム×二

⇒コレニ驚イタ敵ハ 二(フタ)ツニ分カレ前ノ四機ガ右ニ急旋回シ後ノ
 三機ハ左ヘ廻ッタ ソノタメニ前ノ四機ハ右方ニ向イタ私ノ機ノ両翼
 ノ下ニ入ッテシマイ見エナクナッタ
 直チニ左ヘ切リ替エシテ左ヘ避退スル
 三機編隊ニ再ビ機首ヲ向ケタ 敵三機編隊ハ編隊ノママ深イ
 旋回ヲシナガラ逃ゲヨウトスル ガ 私ノ方ガ早カッタ
 後上方ニ迫ッタ私シノ照準器ガ敵機ヲ捉エテイル
 左外側ニ位置スル二番機ノ映像ガ左ニ揺レ上ニ振ラレテ グングン
 大キクナッテ行ク
 機銃把柄ヲ引ク 私ノ両翼カラ出タ赤イ火ノ流レガ敵機ノ胴体ニ届イタ
 瞬間 、敵機ノ右翼ノ燃料タンクノ付近ヨリ バーット 火ガ
 噴キ出シタ 
 敵機ハ機首ヲ突ッ込ンデ ダイブニウツッタ 
 火ヲ消ソウトスルツモリダ ダガアノ火勢デハ 
 墜落イガイニ無イノダ  二機撃墜 (昭和二十年四月中旬)
・・・・
昭和二十年六月下旬
四百機ノ敵 頭上ノビー二十九 眼下ノグラマン

110:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/28 02:14:01.20 irYWDePPP
 敵機ハ機首ヲ突ッ込ンデ ダイブニウツッタ
 火ヲ消ソウトスルツモリダ 二機撃墜(昭和二十年四月中旬)
               
 -----------              ↓ 
 昭和二十年六月下旬  !ーーーーーーーーーーー  ↓ 
 四百機ノ敵 頭上ノビー二十九 眼科ノグラマン ! ↓
 -----------------------  ↓
 昭和二十年四月中旬 ソノ時隊長ノ        ←
「空戦止メ、集マレ」トイウ電話ガ入ッタ
 暫ラク飛ンデ薩摩半島開聞岳ガ前方ニ見エダシタコロ前方ニポツン ト
 浮カブ一機ガ見エタ ソレハ隊長機デアッタ ソコデグラマン一機
 ヲ撃墜シタ桐山上飛曹ト三機編隊ヲ組ミ鹿屋基地ニ向カッタ
 私タチガ着陸シタアト基地ニハ二機三機トバラバラニナッテ
 出撃機ガ帰ッテ来タ
 ダガ心配ナコトニ松村大尉ガ帰ッテコナイノデアル 
 総合結果ハ二十数機撃墜トイウコトデアッタ コノウチ隊長ノ
 菅野大尉ハ三機墜トシテオリ被弾ハ零デアッタ
 杉田上飛曹モ二機墜トシテイル
 
 間モナク松村大尉ノ消息ガ入電シタ 
 松村小隊長ハ敵一機ヲ撃墜シタガ自機モ被弾シ 
 徳之島基地ニ不時着シタトイウコトデ、ナニハサテオキ私ハホットシタ
 我々戦闘機乗リハ自分ノ直属隊長ノ編隊カラ離レルコトヲ
 固ク戒メラレテオリ同時ニ我々自身モソレヲ非常ニ恥ジトシテイル
 モシ松村小隊長ガ戦死デモシテイルト先任下士官トシテ搭乗員達ヲ
 指導ス立場ニアル私ハ顔ヲ上ゲテハ隊内ヲ歩ケナイノデアル
 コノ日ノ戦果ハ
 グラマン エフ六エフ二十数機撃墜
 三四三空 剣 部隊紫電改七十機ノウチ十二機ノ未帰還ヲ数エタ

 鹿屋デハ連日、来襲スル敵戦闘機群トノ間ニ激シイ
 空戦ガ続イタ 薩摩半島ト志布志湾口ノ電探ノ下ヲ掻イ潜ッテ
 電探見張リ所カラ鹿屋基地マデノ三十キロメートル ヲ
 時速六百四十キロノ速度デ
 グラマンニ 超低空デ飛ンデ来ラレルト
 ドウシテモ奇襲サレテシマウ



                                      ←↓

111:名乗リマセン勝ツマデハ
13/12/31 14:58:17.95 ekslWPVpP
昭和二十年四月十五日 杉田機撃墜サル
杉田庄一 海軍少尉二十一歳(山本五十六大将直掩機六機中一機ノ操縦士)
 喜界島(キカイジマ)<キカイガシマ>鹿児島市南方
 三百キロメートル奄美大島東約二十五キロメートル
四月十五日 喜界島邀撃戦カラ四日後ノ午後三時頃、種子島電探見張所ヨリ
 エフ六エフ十五・六機ガ北上中トイウ情報ガ入ッタ
 直チニ出動命令ガ出サレタガ搭乗員ガ愛機ニ乗リ込ンダ時ニハ
 ハヤ敵機ハ基地上空六千メートルニ来テイタ
 杉田上飛曹ト他ノ二・三機ハソレニ気付カズ離陸シテシマッタ
 気性ノ 荒々シイ 杉田ハ タトエ気付イタトシテモ
 攻撃ニ立チ向カウ男デアッタ
 ソウナルト上空ノ敵機ハ上カラ カブッテクルノハ必至デアッタ
  撃墜サレル公算ガ大キイノデアル
 果タシテ二機ノグラマン機ガ滑走路カラ フワリ ト浮イタバカリノ
 杉田機ヲ狙ッテ急降下シテ来タ
 皆ガ「アッ、」「アッ」トイウウチニ
 杉田機ハウシロ(後)カラ嘗メラレテ、一撃デ燃エ出シタ
 ソシテソノママ飛行場ヲ数キロ離レタ畠ノ中ニ墜落シテシマッタ
 防空壕ノ入口カラ
 皆ガ見テイル前ノ出来事ダッタ
 数機ノグラマンハ、ナヲモ超低空ニ下ガッテ傍若無人ニ
 地上ヲ機銃掃射シタ後ヨウヤク機種ヲ南ニ廻シテ去ッタ
 コノ日ノ邀撃(ヨウゲキ)ニ舞イ上ガッタ機ハ
 殆ンド墜(オ)トサレタ 
 モウ三十秒早ケレバ墜トサレズニ済ンダノデアッタ

 三四三空剣部隊 四百機ノ敵ニ挑ム

112:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/02 17:26:54.99 Z777x+lWP
三四三空 剣部隊 四百機ノ敵ニ挑ム 頭上ノビー二十九 眼下ノグラマン

昭和二十年六月下旬 六月末頃カラ三四三空剣部隊ハ
 ビー二十九、ビー二十四ナド大型機邀撃ニ専念スルコトニナッタ 
 大型機トイッテモ当時本土ニ来襲スルモノハ
 ビー二十九ダケデアッタ
七月初旬ノ午前 九州ノ都市ノ焼夷弾攻撃ニ来タ
 ビー二十九邀撃ニ出動シタ
 高度六千メートルデ十六機ノビー二十九デアル
 コレハ大分県上空デ捉エタ コチラノ高度ハ六千三百メートル
 三百メートルホド優位デアッタ管野隊長ハ最後尾ノ四機編隊
 四番機ヲ狙ッテ攻撃ヲ開始シタ 垂直 直上方攻撃デアル
 一列ニ伸ビタ菅野編隊紫電改四機ガ ビー二十九ノ直上方ニ達スルト
 一機ヅツクルリ ト身ヲ翻シテ垂直降下シ次々ニ敵ノ四番機ニ
 二十ミリ四挺ノ攻撃ヲ加エテ行ッタ
 中々ビー二十九ハ頑強ダ 後ニ続ク私ノ位置カラハ
 礫(ツブテ・小石ヲ投ゲルコト又ハソノ小石)ノゴトクビー二十九ニ
 落チカカッテ行ク味方機ニ向カッテビー二十九編隊ヨリ夕立チヲ
 逆サニシタヨウニ降リ注グ赤イ曳光弾ガ 実ニヨク見エルノデアル
 ビー二十九ハ十三ミリ機銃三連装砲塔ヲ前方後方ニ四ツモッテイル
 直上攻撃ノ場合、ビー二十九 八機カラハ
 計二十四挺ノ銃弾ガ集中スル 悠長ニ攻撃シテイルト、敵ニ
 致命傷ヲ与エル前ニ コチラガ墜トサレル 従ッテ
「アッ」ト言ウ間ニ一撃ヲカケ、敵弾ニ曝サレル時間ヲ
 最小ニスル事ガ必要ダ
 四番目ノ紫電改ガ集中スル敵弾ノ中ニ飛ビコンデ無事ニソノ後方ヲ
 躱ワ(カワス・ブツカラナイヨウニ身ヲ転ジテ避ケル) シタ

 五番目ハ私デアル 私ハ敵ノ上空ヘ突進シタ ソシテ
 ビー二十九編隊ノ直上カラ垂直降下、「サッ」ト
 一撃ヲカケテ引キ起コシタ 逐次高度ヲ取ッテイル時、敵ノ四番機
 ノ右翼ガ燃エ出シタ
 私ノ列機ハ攻撃目標ヲ敵三番機ニ変エテ突進シタ
・・・・・・  

113:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/03 17:31:04.59 LrhCCbUsP
「サッ」ト一撃ヲカケテ引キ起コシタ 逐次高度ヲ取ッテイル時
 敵ノ四番機ノ右翼ガ燃エ出シタ
 私ノ列機ハ攻撃目標ヲ敵三番機ニ変エテ突進シタ
 私ハモウスデニ ビー二十九ノ編隊カラ距離ガ開イテシマッタノデ
 私ハ再ビコノビー二十九ニカカルコトニ決メタ
 見ルト右外エンジンカラ火ヲ吐イテ飛ンデイル
 敵機ハ編隊ヨリダンダン遅レ高度ヲ下ゲテ行ッタ。私ハ落伍スル
 ビー二十九ノ上方ニ位置ヲ占メ僚機ノ後ヲ承ケテ一撃ヲ加エタ
 敵機ハモウ右翼全面カラ火ヲ曳イテイル 
 敵ノ下方ニ変ッタ私ガ機ヲ引キ起コシテ攻撃ノ効果ハドウカト
 ビー二十九ヲ見上ゲタ時
 敵機ハ 真ッ赤ナ火ノ玉トナッタ、カト思ウト
 大爆発シテ両翼・胴体・尾翼ガ四方八方ニ飛ンダ。
 大空ヲ ノタウツヨウニ落チテ行クソノ胴体カラ
 白イ落下傘ガ五・六個飛ビ出シ ユラユラト
 大空ニ落チテ行ッタ コノホカニモウ一機黒煙ヲ曳イテ飛ビ去ル
 ビー二十九ヲ見タケレドモ墜落ハ確認デキナカッタ

 コノ日ノ味方ニハ仲一飛曹ノ空中分解ノホカ未帰還
 戦死ハ出ナカッタ・・・仲一飛曹ハ空中分解スル機カラ脱出シタ
 
 ・・高度六千メートル空中分解スル紫電改カラ脱出 生還・・ 

114:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/05 11:29:09.32 Gvep/4WxP
高度六千メートル 空中分解スル紫電改カラ脱出
 気温零下二十度空気ノ濃サ地上ノ半分以下(現在ノ気圧単位デ言エバ
 地上一気圧=千十三、二五ヘクトパスカル
 高度六千メートル四百七十一、七ヘクトパスカル)

 私ノ四番機仲一飛曹ガ、ビー二十九編隊ノ三百メートル
 直上方カラ垂直降下シツツ
 二十ミリ機関砲ノ一撃ヲカケ ビー二十九ノ後方ヲ躱(カワ)シテ
 引キ起コシタトキダ 何カガ 「キラッ」ト光ッタ 
 尾翼ガ飛ンダノダ 空中分解ダ 仲機ハ 
 キラキラト陽光ヲ反射サセナガラ、クルリト回リ、錐揉ミ状態デ
 墜チテ行ッタ。
 ダガ、仲ハ機体カラ一向ニ
 飛ビ出サナイ 彼ハクルクル旋転シテ落下スル機体ノ中ニアッテ
 錐揉ミノ回復操作ニ懸命ニナッテイルダロウカ
 マタ操縦席ノ中デ振リ回サレル身ヲ支エ、必死ニナッテ風防ヲ
 開ケヨウトシテイルノカ
 仲機ハ大地ニ向カッテ ズンズン姿ヲ小サクシテ行ク。 トッ、
 高度千メートル位ニナッタ時、漸ク機体カラ
 黒イ人影ガ離レ、スルスルト白イ落下傘ノ帯ガ引キズリ出サレタ
 ソシテ、フンワリト、青イ畑ヲ背景ニシテ
 クラゲノヨウニ浮イタ
「ヨカッタ ! 」私ハ「フー 」ト大キナ息ヲ吐イテ純白ノクラゲ
 ノ行キ先ヲ眺メタ。
 大村(オウムラ)基地ニ帰投後 仲一飛曹ノ安否ヲ案ジテイルト
 暫クシテ大分空ニ収容無事ダトイウ電報ガ入ッタ
 ヤガテ、彼ハ飛行機ニヨッテオクラレテキタ
 紺色ノ袱紗ニ包マレタ 刀 ヲ左手ニ携エテ、ニコニコシナガラ
 機ヨリ下リタ ソシテ胸ノポケットカラ水晶発振器ヲ
 二個取リ出シテ見セタ 
 彼ノ話デハ、落下傘デ着地シタカレハ彼ヨリ先ニ墜チタ、近クデ
 勢イヨク燃エル愛機ノモトニ走リ寄リ、炎ヲカイ潜ッテ
 操縦席後部ニ手ヲ入レ送信機ヨリ水晶発振器ヲ
 トリダシタノダト 言ウ
 ※大村基地 長崎県大村市(オウムラシ)今津町 
   現自衛隊第二十二航空群 国立真珠研究所

115:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/07 13:40:51.97 Zdqc0DH8P
彼ノ話デハ、 落下傘デ着地シタ彼ハ 彼ヨリ先ニ墜チタ、近クデ
 勢イヨク燃エル愛機ノ元ニ走リヨリ、炎ヲカイ潜ッテ
 操縦席後部ニ手ヲ入レ送信機ヨリ水晶発振器ヲ
 取リ出シタノダト 言ウ
 今日ノ紫電改ノ邀撃戦ヲ地上デ見テイタ村人達ハ、ソノ感激ヲ
 彼一人ニブッツケ、「 兵隊サン、兵隊サン」ト呼ンデハ
 オ茶ヲ呑マセタリ桃ヲ持ッテキテ労(イタ)ワッタ。
 頑固ソウデハアルガ善良ナ人柄ニ見エル一老人ハ
 一振リノ 刀 ヲモッテ駆ケツケ、
 「コノ 刀 ハ祖父ガ 田原坂(タバルザカ) デ戦ッタ
 刀 ダ。次ハコレデ
 敵ヲヤッツケテクレ」ト言ッテ 固辞スル彼ニトウトウ
 押シ付ケタト言ウノデアッタ
 空中分解シテ落下スル飛行機ヨリ無事脱出シタ例ハ少ナイ
 無事ダッタノハ 一 ニ仲一飛曹ノ沈着ニヨルモノダ シカモ
 地上ニ降リ立ツト 多クノ人ハ気ヲ緩メテグッタリスルノニ、
 彼ハ貴重ナ水晶発振器ヲ取リ出シテイル
 水晶発振器ハ当時生産ガ追イツカズ 各部隊トモ入手ニ
 困難ヲ極メテイタ コレハ電気的振動数ガ一定シテイテ安定シタ
 周波数ヲ発信スルノデ コレ無クシテハ無線電話ノ交信ガ
 ヤリ憎イノデアッタ
 隊長ハ彼ノ為特別善行章ノ授与ヲ申請シタ
※ 田原坂(タバルザカ)ノ戦イ西南戦争 明治十年(千八百
 七十七年)
 三月十日 カラ 十五日現在ノ熊本県熊本市植木町田原坂ノ激戦
 官軍ト薩摩軍ガ廃刀令ナドノ考エ方ノ対立デ起コッタ西南戦争ノ
 一ツノ激戦 西郷隆盛ヲ盟主トスル薩摩軍(薩摩 熊本 宮崎
 大分)ト明治政府側官軍ノ 戦争 
 官軍ハ薩軍ノ抜刀白兵戦ニ手モ足モ出ナカッタ
 タメニ官軍ハ明治政府警視隊ノ中カラ剣術ニ秀デタ
 警察官ヲ選抜シテ抜刀隊ヲ編成シ敗勢ノ挽回ヲハカリ
 態勢ノ立テ直シニ成功シタ
※ コノ 老人ノ祖父ハ西郷隆盛率イル
 薩軍抜刀隊ノ兵士ト思ワレル
昭和二十年七月二十四日 敵機動部隊四・五百機ノ空襲
 二十四機ノ紫電改一斉離陸

116:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/08 17:35:40.86 9Okxzbj+P
昭和二十年七月ニ十四日 敵機動部隊四・五百機ノ空襲
 敵ノ一波ガ四国南端ニ出現シタトイウ報ニヨッテ直チニ
 出動ヲ命ゼラレタ
 鴛淵大尉ガ指揮官トナッタ⇒ワタシハ
※ 鴛淵孝(オシブチタカシ) 少佐 [鴛・・オシドリ ノ『オシ』]
  長崎県長崎市出身大正八年(千九百十九年)生
  千九百四十五年七月二十四日 豊後水道上空デ戦死 二十五歳
※ 菅野直(カンノナオシ) 中佐
  大日本帝国朝鮮竜口大正十年(千九百二十一年)生
  千九百四十五年八月一日大日本帝国屋久島近海上空デ戦死 二十三歳 
⇒私ハ菅野隊長 二番機トナッタ
 発信ノ令トトモニ二十四機ガ一斉ニ離陸シ飛行場上空デ編隊ヲ整エテ
 ソノママグングン上昇シタ
 高度六千メートル 暫ラク東進スルト 佐田岬上空ヲ飛ブ
 ケシ粒ノヨウナ敵編隊ヲ発見シタ。
 敵ノ高度ハ我々ヨリ低ク四千メートルデアル
 攻撃ハウマク行キソウダ
 今日ノグラマン編隊ハ、地上砲火ノ抵抗ハアッタモノノ、戦闘機ニヨル
 空中ノ反撃ハ全然受ケテナイハズダ 攻撃任務ヲ果タシテ
 帰途ニツイテイル現在ハ、気ヲ緩メテイルニ違イナイ
 十分ニ後方ニツイタ紫電改ノ編隊ハ降下ノスピードヲ加エテ敵方ヘ
 接近シタ 佐田岬ガグングン後ロニ遠ザカル
 目標ハ二十数機ノビー二十九編隊ヲ目高ノ位置デ護衛スル
 三十数機ノエフ六エフ編隊デアル
 菅野隊長ガ左右ノ後方ニツク列機ノ方ヲ チラチラト振リ返ッタ
 イヨイヨ敵ニ突ッ込ムノダ 私モ今一度後上方ヲ見廻ス
 隊長機ハ、グラマン最後尾ノ四機編隊ヲ狙ッテ グイ ト
 機首ヲ下ゲタ
 隊長ハ敵ノ一番機ニ向カッテ四条ノ火箭ヲ注イダ
 両翼ノ縁カラ赤イ細イ棒ガ ニューッ ト伸ビテ行ク感ジダ
 命中。
 瞬間グラマンノ左翼ガ バーント引キチギレタ。 ト、
 水平ノ姿勢カラ左ヘ ガタント傾イテ機首ヲ下ゲ、ソノ勢イノママ
 次ニ大キク螺旋状ニクルクルト旋転シ始メタ

117:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/10 15:31:22.47 KvsoYh8BP
 水平ノ姿勢カラ左ヘ ガタント傾イテ機首ヲ下ゲ、ソノ勢イノママ
 次ニ大キク螺旋状ニクルクルト旋転シ始メタ
 ・・・
 私ハ二番機ヲ照準器ニ入レタ 機銃把柄ヲグイト握リシメタ
 火ノ棒ガ敵機ニ届イタト思ウ間モナク水平尾翼ガ両方共吹キ飛ンダ
 忽チマチ垂直尾翼モ真横ニ大キクチギレ飛ブ
 コノ奇襲ニ驚イタ敵ハ スグ防禦態勢ヲトッタ 敵モサルモノデアル
 イヤ 技量ハコチラ以上ノモノガ多イノダ
 八機編隊ガ四機ゴトニ別レテ蛇行運動ヲ始メタ 
 ソシテソノ運動コースガ数メートルノ高度デ交叉スル
 ソウナルト ワレワレガ一編隊(四機)ヲ襲オウトスレバ
 他ノ四機編隊ニヨッテ側面カラ攻撃サレルノデ迂闊ニ近寄レナイ。ガ、
 幸イニコチラノ高度ハグラマンノ編隊ヨリ マダ高イ
 チャンスヲ窺ガッテイル
 前後左右敵味方ノ戦闘機ガ、旋回、上昇、降下ト鎬(シノギ)ヲ
 削ッテイル
 下ニ四国、九州ノ山々ガ連ナリ、ソノ間ヲ豊後水道ガ
 紺青ノ太イ帯トナッテ南ヘ開ケテ行ク グラマン四機ト四機ガ 
 交叉シタ後次第ニ距離ヲ開イテイッタ
 「モウスグ内側ニ旋回シ始メルゾ」ット 思ッタ時 隊長機ガ
 手近ノ九州寄リニ向カウ四機ノ後上方ニ急降下シタ
 私達列機ハ ピッタリコノ後(ウシ)ロニツイテ降下スル
 凄イスピードデ敵ニ迫ル隊長機ハ一番機ヲ照準シテイル
 案ノ定、左方ノ敵四機ガ掩護シヨウト直チニ垂直旋回ニカカッタ
 急イデ攻撃シナケレバ危ナイ
 私ニハ隊長ノ攻撃ブリヲ一瞥サエスルコトガ出来ナイ
 私ハ敵ノ四番機ヲ照準器ニ入レヨウト操縦桿、フットバーヲ細カク
 操作シタ。
 隊長機ガ敵一番機ヲ攻撃シテ引キ起コシニカカルノガ
 私ノ照準器ノ端ニ映ッタ
 一瞬 私ハ照準器ヨリ目ヲ離シテ チラト左ノ敵編隊ヲ見タ
 「イケナイ!」 敵ハモウ六百メートルホドニ近ヅイテイル
 残念ナガラモウ射撃スル暇ハナイ 操縦桿ヲ引キ起コシ、右足ヲ
 踏ンデ右ニ上昇旋回 レバー 一杯。別府湾ノ方ヘ全速避退シタ 
 ・・・ソノ時耳モトノ レシーバーガ叫ンダ

118:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/11 17:40:46.95 +lwCWgE3P
・・・ソノ時耳モトノ レシーバーガ叫ンダ
 「オーイ、俺ガ撃ッタノハ墜チタカッ!」隊長ノ特徴アル口調デアル
 「今ノハ墜チタ、ワレ本田一番」四〇七飛行隊ノホンダ飛曹長ガ
 撃墜ヲ確認シテイタノダ
 「了解 了解」」ト答エル隊長ノ声ハ軽ク弾ンデイタ
 コノ空戦デハ 十六機ノエフ六エフヲ墜トシタ 
 紫電改日本軍機ノ損害ハ五・六機デアッタ⇒

※ 三四三空ハ三飛行隊ヨリ成リ、私ノ三〇一飛行隊ハ松山基地ニイタガ
 鴛淵孝大尉ノ戦闘七〇一飛行隊ハ大分基地、林喜重大尉ノ
 戦闘四〇七飛行隊ハ鹿児島県出水基地ト、ソレゾレ別レテ
 訓練 編成ニアタッタ
※本田稔 海軍少尉 大正十二年(千九百二十三年)生 熊本県出身
 広島市ヘノ原爆投下ヲ空中デ目撃 衝撃波デ五百メートル落下スル
※林喜重(キジュウ・ヨシシゲ)海軍少佐 大正九年(千九百二十年)生
 神奈川県鎌倉町出身 昭和二十年四月二十日
 鹿児島県折口浜上空デ戦死
※武藤金義 海軍中尉 大正五年(千九百十六年)愛知県出身
 昭和二十年七月二十四日 豊後水道上空デ戦死
※出水基地(イズミ基地)
 鹿児島県出水市(イズミシ)鹿児島県北西端旧士族屋敷ガ特色
 鹿児島本線ガ通ジル出水(イズミ)トソノ外港
 米ノ津(コメノツ)ノ二ツヲ中心トスル

⇒昭和二十年八月一日沖縄基地カラ飛来スル敵機ニ対シテ鹿児島南方デ
 一撃ヲ加エルタメニ出撃ガ令サレタ
 指揮官ハ菅野大尉デアッタ 私ノ搭乗割ハ菅野区隊ニツク
 二区隊長デアッタ
 紫電改二十機編隊ハ九州西岸ニ沿ッテ高度ヲ取リツツ南下ヲ続ケタ
 薩摩、大隅ノ両半島ヲ遥カ下ニ見ナガラ過ギ屋久島ニ達シタ時
 高度五千メートルニビー二十四ガ二機 編隊ヲ組ンデ ユックリ旋回
 シテイルノヲ発見シタ
 隊長ハ旋回中ノ敵機ノ上空ヘ直進スル
 ビー二十四ハ三機ト二機ノ二個編隊ニ増エ旋回ヲ止メ
 緊密隊形ノママ南下シ始メタ
 敵機ノ各銃座カラ突キ出シタ機銃ハ ミナコチラニ指向サレテイル
 私ノ風防外ヲシューッ シューット赤イ炎ガ行キ交ッテイル
 

119:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/13 16:55:40.93 20P1p8ftP
 私ノ風防外ヲシューッ シューット赤イ炎ガ行キ交ッテイル
・・・・・
 一撃カケテ敵ノ後下方ノ射程外ニ突キヌケタ 急降下ノ途中、
 「ワレ機銃筒内爆発ス。ワレ カンノ一番」ト電話ガ入ッタ
 機ヲ引キ起コシナガラ隊長機ヲ探ス、ト前上方ニ引キ起コシテル筈ノ
 隊長機ガ見エナイノデアル。
 機ヲ水平ニ戻シテ、四周ヲ見廻シタガ見ツカラナイ
 翼ヲ傾ケテ右下方ヲ覗(ノゾク)クト ズット下ヲ水平ニ飛ンデイル。
 直チニ降下シテ追イカケタ 
 <攻撃第一>
 隊長機ノ左後ロニツイタトキ、
 隊長機ハ緩ヤカナ旋回ヲ始メタ 隊長機ガ敵機ト同航ニナッタ時
 ソノ左翼ニ孔ガアイテイルノヲ発見シタ。「ヤッパリカ!」ト思ッタ
 少シ高度ヲ高メテ近寄リ上カラ窺(キ・ウカガウ・ノゾク)キコム。
 翼ノ中央、日ノ丸ノマークノ少シ右ニ大キナ破孔ガアル
 翼ノ日ノ丸直径ノ、約三分ノ一 ホドノ大キサダ。
 日ノ丸直径ハ 一メートル近イ 
 発砲ノ瞬間二十ミリ弾頭ノ信管ガ作動シテ、銃身内デ炸裂シタノデアル
 爆発ニヨッテ翼ノ強度ガ減ジテイルダケデナク、速力モ落チテイルノデ
 モハヤ空戦ハ無理デアル イマ モシ敵ノ戦闘機ガ現レタナラバ、
 コノ隊長ヲムザムザ失ッテシマウノハ明ラカデアッタ
 ビー二十四攻撃モ大切デアルガ、私ハ隊長機ヲ護衛シヨウト決メタ
 シカシ隊長ハ指先デビー二十四ノ方向ヲ示シタ イウマデモナク
「俺ニカマワズ敵ヲ追エ。攻撃第一ダ」トイウ意味ダ
 私ハニ・三度軽ク頷イテ見セタガ 依然二番機ノ位置ヲ離レナカッタ
 
 闘志満々ノ管野大尉ノコトデアル。指揮官トシテビー二十四ヲ一機モ
 墜トサズ逃ガシテシマウノハ 私シ以上ニ口惜シイ思イヲシテイルノダ
 隊長ハ今度ハコブシヲ固メ拳固デナグル恰好ヲシタ
 完全ニ怒リ出シタ表情デアル
 ソレナラバ隊長ノ命ニ従ウヨリ仕方ガナイ
 私ハ バンクシナガラ目礼ヲ送ッタ。ト、隊長ノ顔ガ柔ライダ。
 隊長ハソノ場デ大キナ旋回ヲ始メタ。ココデ部下ヲ待ツツモリナノダ
 隊長機ノ翼ニ ポッカリアイタ破孔ヲ見ルト 翼ガ今ニモ
 折レソウニ思エテナラナカッタ。
 敵機ハ、ピッタリ編隊ヲ組ンダママ、私ノ七・八センメートル先ヲ
 南方ヘ避退スル ソノ上高度差ガ千メートルモアッタ

120:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/14 15:43:04.28 8eFgVLmkP
 敵機ハ、ピッタリ編隊ヲ組ンダママ、私ノ七・八センメートル先ヲ
 南方ヘ避退スル ソノ上高度差ガ千メートルモアッタ
 ビー二十四ニ対シテ攻撃位置ニツクマデ約二十分モカカッタロウカ、
 私ハ前上方カラ垂直直上攻撃ヲカケタ、 ガ的確ナ射撃ガデキナク
 殆ンド効果ハ無カッタ モウ一度ト思ッテ高度ヲトッテイルトキ
 隊長カラ
「空戦ヤメ アツマレ」ト電話デ指令シテキタ
 私ハ急旋回シテ屋久島ノ方向ニ機首ヲ向ケタ 私ニハ、隊長機ノ
 護衛ニツクコトガ コノ際最大ノ願イデアッタ トコロガ、屋久島ノ
 見当カラ隊長ノ待機地ガ見エナイノデアル 
「カンノ一番、カンノ一番」ト幾タビモ呼ビカケタガ何ノ応答モナイ
 左翼ヲ傾ケテ下方ノ視界ヲヨクシ、海岸ヲ ズート念入リニ
 見テイッタガ機体ラシイモノハ何一ツナカッタ
 コノヨウニ飛ビ廻ッテイルウチニ紫電改ガ六機集マッテキタ
 隊長ハ電話故障ノママ一足先ニ鹿児島ニ向カッタノカモシレナイ
 ト考エ、私ハ六機纏(マトメ)テ大村ニ針路ヲトッタ
 大村基地ニ着陸シテ、整備員ガ機ノ上ニ上ガッテキタトキ私ハ
 彼ニ大声デ聞イタ
「隊長ハ帰ラレタカ」 整備員「イイエ、マダデス」
 事情ヲ知ラナイ整備員ハアッサリ答エタ 次ニ 吹流シノ傍ラニ
 立ッテイル 飛行長ニ
 「飛行長! 隊長機ガ筒内爆発ヲ起コシマシタ!」
 飛行長「ナニッ!」・・・・。
 シカシコノ間ニモ編隊ガ崩レテバラバラニナッタ機ガ二・三機次々
 ト基地ノ彼方(カナタ)ノソラニ姿ヲアラワシタ
 シカシ待テドモ待テドモトウトウ隊長機ハ姿ヲ現ワサナカッタノデアル
 菅野隊長ノ後任ニハ分隊長ノ松村大尉ガ補セラレタ。
※ 松村正二大尉 昭和二十年四月十日 奄美大島名瀬(ナゼ)上空
  ニ於ケル邀激戦ニ小隊長デ出撃エフ六エフ一機撃墜スルモ
  自機モ被弾徳之島ニ不時着
    戦後米軍ガ発表シタ数行ノ記事
 「紫電改ノマグネットヲ アメリカ製ノモノト換エ、百オクタン
 ノ燃料ヲ使用シテ試験飛行ヲ行ッタトコロ、当時ノドノアメリカノ
 海軍戦闘機ヨリモ優速デアッタ」
・・・・・・
 地上一万メートル 雷電隊 ビー二十九、 
 グラマンエフ六エフ、 ピー五十一 邀撃戦 

121:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/17 17:20:36.32 WVsP/f8SP
昭和十九年・二十年日本上空一万メートル 成層圏ノ戦イ
 雷電隊空戦記 厚木三〇二部隊 海軍大尉 寺村純郎
  乙直小隊長 (二列ニ並ンダ前列ノ十二機ガ甲直・
         後ロ十二機ガ乙直)
昭和十九年十一月上旬カラ中旬 相模湾上空ノ哨戒
 一万メートルノ上空ノ温度ハ零下四十度カ、五十度 モット下カ
 ワカラナイガ、排気温度ガ七百度モアルエンジンノ直後ニツイテイル
 座席ノ中ハソレホド寒クハナカッタ。
 寒クハナイト言ッテモ零下四十度、五十度ト言ウ外界ノ温度ト
 比ベテノ話シデ、地上ノ寒サニ比較スレバ問題ニナラナイ。
 地上マデ一万メートル、垂直ノ視界ハ良イノデ 眼下ニ
 相模湾ノ波打チ際、江ノ島ヤ三浦半島ガ見エ、遠クニハ
 九十九里浜ノ海岸ソシテ関東平野ノ緑ソノ周辺ノ山々
 ソノ山々ノ間ニハヒトキワソビエ立ツ富士 サナガラ
 正確緻密ニ作ラレタ箱庭ヲ見ルヨウナモノデアッタ。猛烈ナ
 西風ガ吹イテイルノデ機首ヲ西ニ向ケテ飛ンデイル時ノ方ガ多イ。
 飛ンデイルノガ現実ダガ飛ンデイルト言ウ気持チハ少シモシナイ。
 計器ノ速力ハ時速三百キロメートル(百六十ノット)近ク出テイテモ
 付近ニハ何モナク地上ノ目標ハ一万メートルノ遠クニアル。
 江ノ島上空一万メートルモ小田原上空一万メートルモ地上ヲ見テル
 感ジハ大シテ違イナイ。空中ニタダ浮イテイル感ジデアル。
 特ニ旋回シテイル時ナドハ、空中ノ一点デ飛行機ノ翼ガ静カニ
 傾イテ、機首ガユックリ廻ッテユクヨウナ感ジシカナイ。
 実ニ静カデアル。
 ドウセ高度三千メートルヲ飛ンデモ、高度一万メートルヲ飛ンデモ
 聞コエルモノハ自分ノ飛行機ノプロペラノ音ダケノ話デアリ、
 ソノ静ケサニハ変ワリハナイ ハズデアルガ、
 ソレガ全ク違ッテイルノデアル。
※ 気温ハ百メートル毎ニ〇、五カラ〇、六度ヅツ低下スル
  気圧ハ高度一万メートルデハ約二百六十四ヘクトパスカル
  〇、二六気圧地上ノ約四分ノ一
※ 同盟国ドイツノロケット戦闘機
  メッサー百六十三ビー(パワードエッグ)
  一万五千メートルマデ上昇シ哨戒飛行モシタ
  ビー十七爆撃機ノ撃墜数ハ出撃機数ガ数十機クライノタメ
  記述デキルノハ少数機 

122:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/19 16:36:08.81 KJ3WnlVOP
ドウセ高度三千メートルヲ飛ンデモ高度一万メートルヲ飛ンデモ・・・
 ソノ静ケサニ変ワリハナイハズデアルガ、
 ソレガ全ク違ッテイルノデアル タトエ音ハ聞コエナクトモ人間ハ
 動キニヨッテ音ヲ感ズルノデハナイダロウカ。
 一万メートルノ上空デハ動キヲ感ジサセル何物モナカッタ
 列機ハ少シ離レテツイテ来テハイルガ、全ク孤独ヲ感ズルノデアル
 静寂ソノモノデアル。眼下ニ横タワッテイル関東平野ハ単ナル陸地
 地球ノ一部デアッテ人間ヲ想像サセナカッタ
 サミシイサミシイ世界デアル手モ足モ最小限度ノ動キシカシナイデ
 静カニ ジーットシテイル。
 動ケバ寒サガ身ニシミコムトデモ言ウヨウニ、ダンダン風帽ノ
 ガラスガ曇ッテクル。手デフイテモ駄目デアル コウシテ
 ビー二十九ヲ待ッテイル一万メートル上空ノ一時間ハ長イモノデアッタ
※ ドイツ コメット飛行中隊 中尉 マノー・ツィーグラー
 晴レワタッタ 晩夏 ノ日々ニロケット戦闘機メッサー 一六三ビーデ
 飛ブコトハ、トキニヨッテマッタク楽シク、夕方近クニハ
 トリワケ無上ノ楽シサダッタ
 一万五千メートルクライノ高空カラ見ル地上ノ眺メハ、筆ニモ
 言葉ニモツクシガタク、空ハ傾ク陽デモエテイルヨウニ見エタ
 (ロケット・ファイター マノー・ツィーグラー著 大門一男訳) 
※二一型局地戦闘機 雷電  乗員一 空冷複式星型
 十四気筒千六百馬力×一全幅十、七七五メートル
 全長九、七メートル自重二、一〇三トン全備重量三、四三五トン 
 最大速度時速五百九十六キロメートル(海軍機ハノット三百二十二ノット)
 実用上昇限度 九千三百二十メートル航続距離二千五百十八キロメートル
(千三百六十カイリ 海軍機ハカイリ・浬)
※ビー二十九 スーパーフォートレス爆撃機 アメリカ
 乗員十一 空冷複列式星型十八気筒二千二百馬力×四(合計八千八百馬力)
 全幅四十三、一〇メートル 全長三十、二〇メートル
 全備重量五十四、四トン 最大速度 時速五百五十キロメートル
 実用上昇限度一万二百五十メートル
 航続距離五千二百三十キロメートル(爆弾四、五四トン搭載ノ時)
 十二、七ミリ機関銃十二挺

123:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/23 18:17:14.36 B40y8R0tP
※同盟国ドイツ ロケット防空戦闘機メッサー百六十三ビーコメット
     (パワードエッグ)
  乗員一 ワルターエイチ・ダブリュ・ケー 一〇九・五〇九エイ型
 ロケットエンジン 推力一、七トン(千七百キログラム)
 全幅九、三メートル 全長五、九メートル全備重量四、三一三トン
 最大速度時速八百八十キロメートル 上昇限度一万五千メートル以上
 高度九千百五十メートル迄 二分三十六秒 航続距離八カラ十分
 約八十キロメートル
※馬力換算式 馬力=推力(キログラム)×速度(メートル毎秒)÷七十五
 コメットノ馬力ハ=千七百×二百四十四÷七十五=約五千五百三十馬力
 ビー二十九一基ノエンジンノ馬力ハ二千二百馬力ダカラ推力ハ
 一、〇八トン千八十キログラム エンジンガ四ッツツイテイルカラ
 合計推力ハ四千三百二十キログラムトナル
 メッサー百六十三ビー(重量四、三トン)ノ馬力ハビー二十九
(重量五十四トン)ノ馬力ヲ千二百馬力上回ッテイルコトニナル
※エフ十五ジェット戦闘機ハ推力ハ一万六百四十キログラム
 コレガ二基 デマッハ二、五約時速三千キロメートルナノデ
 馬力換算ダト 約二十三万六千馬力ニナル
 通常ハマッハ〇、九約時速千八十キロメートルナノデ
 五万二千馬力
  馬力換算式ハ ウイキペディア ヨリ

 第三〇二海軍航空隊略シテ三〇二空ハ三飛行隊ヨリ成リ一飛行隊ハ
 雷電二個分隊零戦一個分隊 二飛行隊ハ 月光二個分隊
 銀河一個分隊 三飛行隊ハ彗星二個分隊 コレニ各整備分隊ト
 兵器整備分隊トガ付属シテ編成サレテイタ。
 分隊長トシテ初ノ出撃
昭和二十年二月十日 私ノ周囲ニハ三十二機ノ雷電ガ並ンデイタ・・・

124:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/23 19:12:08.87 B40y8R0tP
百二十三 訂正
・・・メッサー百六十三ビー(重量四、三トン)ノ馬力ハ
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   ビー二十九(重量五十四トン)ノ馬力ヲ ←コノ行ヲ
   千二百馬力上回ッテイルコトニナル   ←コノ行ヲ 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ⇒ビー二十九(重量五十四トン)ノエンジン 二、五基分
 ⇒ト言ウコトニナル

125:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/24 16:45:03.98 +2Mp+iNFP
分隊長トシテ初ノ出撃
昭和二十年二月十日 私ノ周囲ニハ三十二機ノ雷電ガ並ンデイタ
 ソシテコノ日初メテ 一分隊長トシテソノ半分ノ十六機ヲ率イテ
 離陸スル日デアッタ 午後一時横須賀ノ本部ハ電話デ雷電隊出動ヲ
 命ジテキタ 三十二機ノ雷電ハ一斉ニエンジンヲ発動一番機デアル
 二分隊長機ヨリ離陸地点ニ向カッタ 冬ノ霜ニ枯レテ、トコロドコロ
 赤地ヲ露ワシタ飛行場ニモウモウト土煙ガ巻キ起コッタ。
 コノ土煙ヲ後ニ雷電隊ハ一機一機ト離陸シテ行ク。
 離陸シタラ直チニ高度ヲトル ビー二十九ハ 九千メートル
 付近デ来襲シテクル。
 コレヲ邀撃スルタメニハ一万メートルノ高度ガ必要デアッタ
 私タチハ酸素ヲ吸イナガラ 次第ニ空気ノ圧力ノヘッテイク
 上空ヘ上空ヘト上昇シテ行ク ヤガテ電話カラ
「東京上空一万メートルニテ待テ」ト聞コエタ
 高度一万メートルデ雷電ガ三十二機ノ編隊ヲ保ッテ敵ノ
 来襲ヲ待ッテイラレルト思ウノハ地上ノ考エデアル
 一万メートルノ高度ヲ保ツタメニハ機首ヲイッパイニ上ゲ
 エンジンヲ全開ニシテヤット高度ヲ保チウルニ過ギナイ 
 高度九千メートルマデ上昇シタ 
 コノ間ニ増槽ノ燃料ガナクナッテ メインタンクニ切リ換エタ ヤガテ
「房総半島上空ビー二十九 十数機北上中」ノ電話ガ入ッタ
「了解 了解、雷(カミナリ)一番」ト応答シテ房総半島上空ヲ見タガ
 ビー二十九ハ見エナイノデアル。
 コレハ、高々度デハ垂直視界ハ良イガ水平方向ノ視力ハ弱マルノデアル
 私ハ仕方ガナイノデ東方ニ注意シツツビー二十九ニ平行ニナルヨウニ
 北上シタ。
「ハッ」ト思ッタ時、九機アマリノビー二十九ガ突然視界ニ入ッテキタ  

126:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/26 17:21:58.52 80pqbj61P
「ハッ」ト思ッタ時、九機アマリノビー二十九ガ突然視界ニ入ッテキタ
 東カラ西(房総半島カラ東京方面)ニ向カッテイタ
 高度ハ八千五百メートル位デアッタ 私ハビー二十九ノ
 前方ニデルコトガデキタ
 敵ハサカンニ射ッテキタ 私ハ千メートル近クビー二十九ノ前方ニ出テ
 反転 機首ヲ突ッ込ンデ速力ヲツケテ前下方カラ九機編隊ノビー二十九
 ノ一番機ヲ狙ッテ射チ上ゲテイッタ。 
 双方時速五百キロメートル近クノ速力デ走ッテイル。 
「アッ」ト言ウマニビー二十九ガ近ヅイタ。
 敵機ノ前部銃座ノ二挺ヅツノ十三ミリ機銃ハ私ノ雷電ニ向カッテ
 火ヲ吹イタ。 私ハ二十ミリ四挺ヲ発射シナガラコレニ
 向カッタ。自分ノ射ツ機銃ノ曳痕デ敵ノ十三ミリノ曳痕ハ
 全然見エナカッタ ビー二十九ノ大キナ機体ガ雷電ニ負オイカブサル
 ヨウニ感ジテ、私ハ「フットバー」ヲ一杯ケッタ。同時ニ
 操縦桿ヲ右前方ニ突ッ込ンデ、敵機ノ下方ヘ避退シタ。
 私ノ射ッタ曳痕ガビー二十九ノ大キナ機体ニ吸イコマレテイッテ、一ツノ
 発動機ガ火ヲフイタ。「ヤッタ!」トソノトキ心ニ凱歌。
 春川正次飛長モ私ニ続イテ同ジヨウナ攻撃ヲ加エタ。ソシテ機首ヲ
 突ッ込ンデ避退シタ後、 機首ヲ下ゲテ ツケタ速力ヲ利用シテ
 後下方ヨリ 春川飛長ト二機編隊デ射チ上ゲテイッタ。
 編隊中ノビー二十九一機左外側エンジンニ火炎ヲ生ジ後落シハジメタ。
 ソノウチ爆弾ヲ投下反転シテ九十九里ヨリ海上ヘ高度ヲ下ゲツツ
 逃レテイク 

127:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/27 15:43:14.36 HlvUbwLUP
編隊中ノビー二十九 一機左外側エンジンニ火炎ヲ生ジ後落シハジメタ。
ソノウチ爆弾ヲ投下反転シテ九十九里ヨリ海上ヘ高度ヲ下ゲツツ逃レテイク。
・・・
 春川正次飛長ハ雷電ノ燃料ガナクナリ厚木ヘ帰投シタ
 私ハ前方銃ノ全弾ヲ射チツクシテシマッテイタノデ斜メ銃デ攻撃スルコトニ
 決心シタ 雷電ノ斜銃ハ座席ノ左後方ニ三十度ノアップヲトリ、飛行機ノ
 軸線ヨリ左ヘ三十度ノ角度ヲ持タセテ取リツケテアッタ
 私ハ後落シテ煙ヲ吐キツツ海上ニ逃ゲルビー二十九ノ右斜メ後方下ヨリ
 チカヅキナガラ、残ッテイタ一挺ノ斜銃デ射撃シテイッタ。
 体勢ノ変化ノ少ナイ同航ノ斜銃射撃デアルノデ、二十ミリノ曳痕ガ
 ビー二十九ノ大キナ胴体ニ入ッテ行クノガヨクワカルガ、
 敵ノ曳痕モナカナカヨイトコロヲ狙ッテ
 私ノ飛行機ニ近ヅイテクル。ソシテ、
 流レルヨウニ曳痕ガ近ヅイテキタト思ッタラ 左翼ニ「ガンッ」ト
 一発アタッテシマッタ。銚子ノ上空マデ射撃シナガラ追ッタガ
 トウトウ燃料ガナクナッテシマッタ。ビー二十九ハ 煙ヲ吹キツツ
 高度ヲ下ゲテ海上ニ逃レテイッタ。アレダケヤラレテイレバ、
 恐ラク マリアナ基地ニハ帰レマイト思ッタトキ 初メテ
 快心ノ笑ミガ浮カンデキタ。
厚木マデ帰ル燃料ガナイノデ、神之池海軍航空隊ヘ不時着シタ。
 神之池空ノ格納庫ノ前デ 「エンジン」ヲ止メテ見ルト、エンジンノ
 直前カラ プロペラノ間ヲ通ッタ十三ミリガ冷却ファンヲ
 メチャメチャニシテ、前列ノシリンダーノ突棒ヲ折リ、シリンダー
 ノ冷却片ヲケズリ ラジエーターヲブチ抜イテイタ。
 前下方カラ攻撃シタ時ニ直前カラ射タレタノニチガイナカッタ。
 左翼ニ穴ガアイテイタノハ知ッテイタガ エンジンノ方ハ全然気ガ
 ツカナカッタ。
 翌日厚木カラ赤松中尉ガ迎エニ来テクレタ。私ノ飛行機ヲ見テ
「分隊長ズイブンヤラレマシタネ」ト言ッタ彼ノ顔ハ好意ニ満チテイタ
 私ハ分隊長トシテ無事ニヤッテ行ケソウナ気ガシテ
 明ルイ気持ニナッテ彼ノ後席ニ乗ッテ厚木ヘ帰ッタ
※ 海軍航空隊神之池基地(カイグンコウクウタイ ゴウノイケキチ)
  神雷竜巻櫻花隊員 錬成ノ地 
  茨城県鹿嶋市 「櫻花公園」

 

128:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/28 15:12:59.54 lI50tFDqP
昭和二十年五月(二十九日) 横浜上空
「ビー二十九数目標父島ノ西方三十浬[カイリ]約五十六キロメートル
 進路零度」 横須賀ノ防空指揮所カラノ電話ヲ受ケタ 要務士ガ
 指揮所ニ届ケテキタ ソコヘ飛行長ガ来テ「一分隊長、今日ハ零戦隊ノ
 飛行機ニモ雷電ノ搭乗員デ編成シテ上ガッテクレ」ト言ツタ
「オイ板橋、編成表ヲ作ッテクレ、オレハ雷電ノ一番機トナルヨ」ト
 分隊士ノ板橋中尉ニ命ジタ。
「雷電隊警戒」ノ命令ガ本部カラ伝エラレタ、
 雷電ノ一番ハ私デ零戦ノ一番機ハ傍示大尉デアル
「発進」ノ命令デ主滑走路ヨリ離陸 列機ガ後ニ続ク
 六千メートル以上ニ薄イ雲ガアル。
 東京カ横浜カ 雲ノ上ヲ来ルカ、雲ノ下ヲ来ルカ ソノ判断ノ
 責任ハ重大デアル イライラシナガラ旋回シテイルト
 来タ、来タ! 高度六千、綺麗ナ編隊ノビー二十九ガ厚木ノ上空ヨリ
 真ッスグニ東進、横浜ニ向カッテイル。
 第一波約十数機、今日ハ雲ノ下ヲ来タノデアル
 直チニ機首ヲ廻ラシビー二十九ニ向カッタ 見レバ零戦隊ガスデニ
 一番機ヨリ攻撃ヲ始メテイル
「危イ!」ビー二十九ノ上方ニ 雲ニスレスレニ約五十機ノ
 ピー五十一ガコレヲ護衛シテイル コノピー五十一ガ
 ビー二十九ニ襲イカカッタ零戦隊ニ向カツテ
 雲ノ中カラ突如トシテ降ッテキタ コレヲ見タ私ハビー二十九ヨリ先ニ
 コノピー五十一ヲヤッツケル外ハナカッタ
 私タチハビー五十一、五十機アマリノ中ニ突入シテイッタ
 私ニカカッテ来タ敵機ハ十機デ、四機四機二機ノ編隊デ向カッテキタ。
 私ノ方ガ五百メートルホド高イ 直チニ反航体勢ヨリ敵ノ後ロヘ
 マワリコンダ 旋回性能ノ悪イ雷電デハナカナカマワリコメナイ。
※雷電隊ノ主任務ハビー二十九邀撃(ヨウゲキ)デアリ雷電ソノモノガ
 大型機邀撃用ニ設計サレテイタ 空戦性能ハ零戦ヨリモ劣ッテイル
「コチラ雷・カミナリ十一番、コチラ雷・カミナリ十一番、
 ピー五十一 十機ト空戦ニハイル ピー五十一 十機ト空戦ニハイル」
 電話ヲ送信ニ切リ換エタ
 相手ノ後ロヘ後ロヘト廻リ込マントシナガラ段々ト品川アタリノ
 上空ニ移動シテイッタ。
 
 

129:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/28 16:57:57.58 LcjzfWAg0
美シクモ晴レ晴レトシタ軍歌ハ「見ヨ落下傘空ヲ征ユク~♪」ヤナ

130:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/29 14:28:07.53 EAjUi/jLP
相手ノ後ロヘ後ロヘトオ互イニ廻リ込マントシナガラ段々ト品川アタリノ
 上空ニ移動シテイッタ
 ナカナカオ互イニマダドチラモ 一発モ弾ヲ射ッテイナイ 
 ナカナカオタガイニ射撃スル体勢ヲ占メ得ナイノデアル シカモ
 敵ハ 一対十デアル 敵ノ十機ヲ全部自分ノ
 前ニ置クヨウニツトメネバナラヌ シカシ敵ハ 二方ニ分カレタ。
 先頭ニイタ四機ヲ残シテ六機ガ私ノ飛行機ノ後方ニマワリコンデキタ
 私ノ前ノ四機ハ編隊ノママ、上昇 旋回ヲシテ後方ヘ
 マワリコマントシテイル 私ハソノ四機ヲ夢中デ追ッタ段々、敵ノ
 後方ヘ食イコンデユク。 モウ少シデ射撃デキル 前ノ四機ハ
 綺麗ナ編隊ノママデ逃ゲテイク。フトソノ編隊ノ綺麗サニ心ヲ打タレタ
 シメタ! 充分ニマワリコンデ四機ノ後ニツイテシマッタ。
 高度差ハ三百メートル位 後上方ヨリ攻撃ニカカル 敵ノ一番機ニ
 機種ヲ向ケタ、トタン ガガン ト私ノ飛行機ニ敵ノ弾ガアタッテ
 座席ノ前ノ燃料ノメンタンクト左翼ノ補助タンクガ 「ポッ ト」  
 燃エダシタ 瞬間私ノ右足ハ右ノフットバーヲ一杯蹴リ、右手ハ
 操縦桿ヲ右側ニ突ッ込ンデイタ。「シマッタッ」ト思ウ間モナイウチニ
 手ト足ハ、次ノ敵ノ弾ヲ避ケ、二度目ノ敵ノ攻撃ヲ逃レテイタ。
 ヤハリ初メト同ジク後ロノ下方、私ノ飛行機ノ腹ノ下カラ
 撃チ上ゲテ来タノダ。ヨッポド近クマデ接近シテイタニチガイナイ。
 一発目カラ当タッタト見エテ一発ノ曳痕モ見ナカッタ。
 機首ヲ突ッ込ムト雷電ハスグスピードガツク。
 座席ノナカニ 「サッ」ト炎ガ入ッテキタ 無意識ノウチニ私ハ
 左手デカオヲオオッテ炎ヲ避ケタ。ソシテ、右手ハ操縦桿ヲハナシテ
 風帽ヲ 力(チカラ)一パイニヒライタ。
 飛行機ハ燃エナガラ機首ヲ地面ニ向ケ、猛烈ナスピードデ
 螺旋(ラセン)降下ニ移ッテイル。
 座席ノ中デ立チ上ガリ、落下傘降下ニ移ロウト体ヲ風帽ノ外ニ出シタ
 トタンニ、物凄イ風ニ上半身ハエビノ様ニ機体ニ
 オシツケラレテシマッタ。腰カラ下ハ風帽ノ中ニ残ッテイル。ドウシテ
 飛行機カラ体ガ離レナイノカワカラナイ。右手ハ夢中デ肩バンドヤ
 腰バンドヲサグッテイル。「バンドハ ミンナハズシタハズ
 デアルノニ。」
 
   

131:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/30 15:50:47.54 VpMUNyz5P
※厚木海軍航空隊基地 神奈川県 綾瀬市ト大和市 ニマタガッテイル。

 厚木市トノ間ハ海老名市ヤ相模川ガアリ、コノ両方デ隔テラレテイル。
 地理的ニハ
「厚木市」トノ関連性ハ全クナイ 「厚木」ノ名称ノ由来ハ不明

※綾瀬市 神奈川県中部人口約八万四千人(平成二十五年現在)
 相模原台地上デ畑地ガ多ク サツマイモヲ産スル 海軍飛行場ガ
 設ケラレ海軍航空隊ノ中心基地戦後連合軍総司令官ノマッカーサー元帥
 ガ日本進駐ノ第一歩ヲ印シタノハココデアル 近年住宅団地化、
 工業団地化ガ進ンデイル
※大和市 神奈川県中部ニ所在スル市小田急電鉄江ノ島線ニ沿ウ
 一帯ノ地区デ戦後灌漑工事ガ施サレ作柄ノ安定ト増収ノモデル地区
 ヲナシテイタ 京浜地区ノベッドタウン化
 生産高デ自動車関連ガ大キナ割合ヲ占メテイル。
・・・・・・・
「バンドハ ミンナハズシタハズ デアルノニ。」
 機首ヲ下ゲテ機速ガツキスギタノダト思ッテ飛行機ヲ引キ起コソウト
 思ッタガ、右手ハモウ操縦桿マデトドカナイ。ビー二十九モ
  ピー五十一モ念頭カラ去リ、タダ、アアモウ駄目カト思ッタ。
 地面ニ飛行機ガブツカッタ時ノ状態ガ「フト」頭ニ浮カブ。
 コナゴナニナルデアロウト思ッタ。
 猛烈ナスピードデ落下シナガラ頭ニヒラメイタノハ コンナコトダ。
 「フト」気ガツイテミルト飛行機ガ見エナイ 私ハ飛行機ヲ離レテ
 タダ空中ノナカヲ身体ダケガ落下シテイタ。
 落下シテイルト言ッテモ何千メートルノ上空デハ、地上デ考エル
 感ジトハ異ナル。 目ノ回ルヨウナスピード感ハナク、タダ強イ
 風ヲ受ケルダケデアル。
 頭ノ上ニハ白イキレガアル。「アア、飛行機カラ離レタ。」ダガ
 落下傘ハ開イテイナイ。頭ノ上ノ白イノハ補助落下傘ダト思ッタ。
 スルト、落下傘ハ 私ハ落下シナガラ尻ニ手ヲヤリ落下傘ノ入ッテイル
 クッション ヲ開イテ見タ。空(カラ)デアル。スルト落下傘ハ
 飛行機カラ ホリ出サレタトキニ切ッテシマッタノダ。
 イヨイヨ今度ハドウニモナラヌト思イ、ソノ時ハジメテ地面ヲ見タ。
 地面ニ落チルマデノイノチ。
 東京ノ上空ラシク遥カ下ノ方ニ小サナ家ガギッシリツマッテイル。
 「イタイダロウナ」馬鹿ナコトヲ考エタモノデアル。
  

132:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/31 11:15:22.47 oRJ6N0JuO
イツキテモヨミニクイナァ

133:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/31 12:30:43.69 ftubAuehP
「イタイダロウナ」馬鹿ナコトヲ考エタモノデアル。
・・・
 オソカレ早カレコノ戦争ノパイロットタルモノ 一度ハ死ナネバナラヌ命
 デアル 今度ハ自分ノ番ニアタッタノダ 「痛イダロウナ」
 モウ 一度ソウ思ッタトキ、何トナク足ヲ下ニシタクナッタ。
 恐ラク地面ニ落チルトキハ、足ヲ下ニスルノガ人間ノ本能トデモ言ウノデ
 アロウカ。ソレマデハ私ハ空中ヲ落下スルニマカセテ、
 丸クナッテ地上ニ向カッテ グングン ト地上ノ引力ニ
 引キ寄セラレテイタ。私ハ空中デ バタバタシナガラ足ヲ下ニ
 シヨウトシタ ト 不思議ニモ落下傘ガ頭ノ上デ スート 開イタ。
 グーン ト体ニ 重圧ガ来タ。
 アッ! 助カッタカモシレナイ。
 ウレシカッタ。落下傘ハ大キク 二・三カ所破ケテイタ。
 頭ノ上ノ白イモノヲ補助落下傘ダト思ッタノハアヤマリデ、
 コレハ開カナイママノ落下傘デアッタ。助カッタ!ト思ッタ トタン
 空中デグッタリシテシマッタ。
 下ヲ見ルト東京ノ市街ノ間ニ緑ノ森ト畠ガアッタ。
「ドコニ落チルダロウナ」 マルデ他人ゴトノヨウニ考エテイタ。
「両手ガ生温カイ血ガ流レテイルノダ」ト思ッタ。アマリニ地面ニ
 ツクノガ遅イト出血多量デマイルカモシレナイ。トコロガ、服ノズボン
 ソレカラ救命袗(キュウメイシン)モ落下傘バンドモ
 ジリジリット クスブッテイルノデアッタ。
※救命袗(キュウメイシン)イワユル救命胴衣・ライフジャケット
 航空服ノ上ニ重ネテ着用スル。
 カポック・パンヤ ヲ浮力・保温材トシテ使用スル
 両足ノ温カイノハ実ハ血デハナクテ火傷ダ
 私ガ落チタノハ東京ノ目黒ダッタ。私ハ両腕ニ火傷シ、顔中
 血ダラケニナッテ、真ッ赤ナ目ヲシ、クスブリ続ケル飛行服ヲ着テイタ。
 寮ノヨウナ建物ノソバノ広場ニ落チタ。落チタ時人ノ姿ハナカッタ。
 私ヲ敵ダト思ッテ隠レテイタガ、友軍トワカルト、四方カラ
 ドットキテ私ヲ取リ囲ンダ。スグ近ク ノ病院デ火傷ノ
 手当テヲシテ貰ッタ。
 厚木カラ塚田ガ軍医中尉ト自動車デ迎エニキタ。
 私ハ自動車ニ乗ッタ。
  

134:名乗リマセン勝ツマデハ
14/01/31 15:41:05.88 ftubAuehP
厚木カラ塚田ガ軍医中尉ト自動車デ迎エニキタ。
 私ハ自動車ニ乗ッタ
 京浜国道ヲ自動車ハ走ッタ 横浜ガ近クナルト物凄イ煙デアル。
 私ハ正視ニ耐エナカッタ 横浜ノ町ノ煙ノナカニ異様ナニオイガシタ
 市民ノ大キナ犠牲ガアッタニチガイナカッタ
昭和二十年八月十五日午前 厚木基地ニ グラマンノ空襲

135:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/01 14:33:41.89 eEtW2uo7P
昭和二十年八月十五日午前 厚木基地ニグラマンノ空襲
 零戦隊一番機 森岡大尉 雲上スレスレニ飛ンデイルグラマンヲ
 直チニ撃墜ソノ後ニ続イタ列機ガマタ一機撃墜シタ
 コレガ降伏ノ大詔ノアッタ日ノ午前中ノコトデアル

 訓練ノ度ニ事故ヲ起コシテイタ雷電デアッタガ毎日乗ッテイル間ニ
 私タチニハソノ雷電ガ可愛イモノトナッテイッタ
 ソシテムシロ人ノ嫌ガル雷電ノ搭乗員デアルコトヲ誇リニスル
 気持チニナッタ
 アノ ズングリシタ不恰好ナ姿モ私タチニハムシロスマートニ
 思ワレタ
 ソシテ雷電ノ日本一ヲ誇ル上昇力ヤ速力ヤ重武装ヲ自慢シタノデアッタ
※森岡寛大尉 手首一ツ ヲ国ニ捧ゲタ義手ノ零戦パイロット
森岡寛 氏 
 「政府ガ降伏シタノデアッテ、我々ハ負ケテマセンヨ」 

136:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/06 07:03:07.28 8X5cNWQvP
帝国陸軍落下傘部隊 スマトラ島攻略作戦(空ノ神兵)
 棟田博 岡山歩兵第十連隊 徐州会戦陸軍伍長 太平洋戦争中ハ
    従軍作家トシテ インパール作戦ニ従軍 
 著書 革命児チャンドラ・ボース 拝啓カーチャン様 ポッポ班長三歳
    拝啓天皇陛下様 今鳴ルラッパハ  アア快マタ快 他多数
昭和十七年一月三十一日覆面ヲカブッタママノ陸軍落下傘部隊ハ
 宮崎県高鍋カラマレー半島南部ノ クルハン・カハンノ両飛行場ヘ進出シタ
昭和十七年二月十四日 帝国陸軍落下傘部隊スマトラ島パレンバンヘ
 両基地カラ出撃
パレンバン降下部隊編成
 挺身第二連隊 ☆第一次降下部隊
 胴体着陸 久米団長ホカ 五名 計 六名
 <飛行場急襲部隊> 
 <飛行場東南急襲部隊> 連隊本部 十七名 通信班 三十名
            第四中隊 九十七名 第二中隊第三小隊 三十六名
                            計 百八十名
 <飛行場西南急襲部隊> 第二中隊 六十名

 <製油所急襲部隊> 西製油所西 第一中隊 六十名 
           東精油所南 第一中隊 三十九名

        ☆第二次降下部隊
            飛行場 第三中隊 九十名
                   

137:sage
14/02/06 08:55:24.32 MXA+hKZB0
テスト

138:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/06 08:56:29.01 MXA+hKZB0


139:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/07 08:01:29.09 crWM2L99P
昭和十七年二月十四日久米落下傘部隊ニ対シ、パレンバン攻略ノ
 命令ガ下達サレタ
久米精一部隊長訓示(陸軍落下傘部隊団長 陸軍大佐)
「ワガ落下傘部隊ガ指向スルノハ、パレンバンデアル ワレワレガ
 パレンバンヲトルカ トラヌカハ、蘭印全作戦ノ重大ナ 
 カギニナルモノデアル。
 諸士ハ、キョウノ日ノタメニ、二年ニオヨブ血涙ノ訓練ヲ
 カサネテキタノデアル。モハヤオオクヲイウ必要ハナイ。全員
 落下傘兵魂ニ燃エテ、勇猛敢闘セヨ」
カハン飛行場カラ発進シタノハ、甲村(ノリムラ)少佐ノ挺身第二連隊
 ノ第一梯団ト、久米部隊長ラヲ乗セタ重爆一機デアッタ。総員百五十名
クルアン飛行場ヲ発進シタノハ、中尾中尉指揮スル同連隊ノ第二梯団
 デアッタ。総員百五十名

※梯団 大人数ノ部隊ガ進撃スルタメニ便宜上数個部隊ニ分ケル
    ソノ時ノ各部隊 第一梯団、第二梯団・・・・等
 第一梯団ハ飛行場ヲ、第二梯団ハ精油所ヲ、ソレゾレ攻略スル
 任務ヲアタエラレテイタ。
 六十一機ノ輸送機・爆撃機カラナル第一挺身団ハマレー半島ノ
 クルハン・カハン両基地カラ出撃コノ日パレンバン上空ハ
 雲高二百メートル視界不良デ奇襲ニ成功主力ハ十一時二十六分飛行場
 東南三キロメートルノ地点ニ降下ヲ完了シタ

 敵中ヘ乗リ込ムコノ輸送機群ノ護衛ニアタッタノハ、第三飛行集団
 ノ戦闘機・爆撃機 連合ノ百三十機デアッタ。
 加藤建夫中佐指揮ノ第六十四・第五十四戦隊隼戦闘機隊
 地上ノ敵陣制圧ニ第九十八戦隊ノ軽爆撃機ガ協力シタ。
 空挺作戦ハ飛行場ヲ主 製油所攻撃ヲ従トシタ 

140:!ninja
14/02/07 16:35:06.98 p6zZ9p/e0
テスト

141:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/08 16:20:06.38 nxLV2ChnP
 コノ日。パレンバンノ オランダ軍防衛司令部ハ午前十一時
 サイレンヲ発令シテ、「日本軍ノ大編隊スマトラヘチカヅキツツアリ
 警戒態勢ニツケ」ノ警報ヲ繰リ返シタ。十数門ノ高射砲陣地ト数十門
 ノ高射機関砲陣地ハ一斉ニ色メキ立チ、各所ノトーチカ陣地ハ騒然
 トナッタ。サイレンハ不気味ニ鳴リツヅケテイル。
 ソノコロ。ムシ河ノ河口ノ バンカ島上空ニ大編隊ハ姿ヲアラワシタ。
 十一時十分第一梯団ハムシ河河口上空ニ進入シ、第二梯団ハ四分遅レテ
 同ジク河口上空ニ進入シタ。ココデ、二ツノ梯団ハ、
 ソレゾレノ目標ヘト向カッタ。
 パレンバンノ町ハ、ムシ河ノ両岸ニ細長クノビテイル。
 ソノ北方十二キロメートルノ密林ノ中ガ飛行場デアッタ。
 パレンバン飛行場ニハ、在地飛行機ハ数少ナク、ズラリト滑走路付近ニ
 ナランデイタノハ、アンペラ デ作ッタ ニセ飛行機デアッタ。
※アンペラ カヤツリグサ科ノ多年草。コレデ編ンダムシロ(莚)
 シカシ、ホーカー・ハリケーンガ数機マイアガッテキタガ、隼 ニ
 追ワレルト サッサト遁走シタ。
 久米落下傘部隊団長他五名ノ搭乗シタ隊長機ノ重爆ハ飛行場南方ノ
 密林ニ胴体着陸ヲ強行シタ。
 第一梯団ノ編隊ハ飛行場周辺ノ三カ所ヲメザシテ、急降下ニウツリ
「降下!」ノブザー三声デ、降下ヲ開始シタ。
 パッパット白イ花ガ紺青ノ空ヘヒラク。 

142:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/11 02:22:22.08 N//H0j6mP
「降下!」ノブザー三声デ、降下ヲ開始シタ。
 パッバット白イ花ガ紺青ノ空ヘ開ク。
 ・・・
 オモイキッタ超低空カラ飛ビ出シタタメ、敵ノ砲火ハ
 ネライガツケラレズ、イタズラニ上空ニ砲煙ヲバラマイタ。
 機関銃ガ狂ッタヨウニホエツヅケタガ、連続的ニヒラリヒラリト着地
 シテクルノヲ見ルト、ハヤクモ浮キ足ダッタ。アトデ、捕虜トナッタ
 オランダ兵ハ、
 「マサカ落下傘ガマイオリテクルトハ思ワナカッタ。指令部カラノ警報モ
 重爆ノ大編隊 ダトイウコトダッタノデ、ミンナ壕ニモグッテ
 爆弾ヲサケテイタ。
 イツマデタッテモ爆弾ガオチテコナイノデ、ハテナ、ト壕カラ
 デタトキニハモウ空ガ落下傘デウマッテイテ、スッカリ度肝ヲ抜カレタ」
  ト、語ッテイル。
 久米部隊長タチ本部員ノ搭乗機ハ予定ドウリニ、胴体着陸ヲシタ。ガ
 ソコハ飛行場カラ数キロメートル ハナレタ、ヒドイ湿原デアッタ。
 ズブズブ ト下半身ガマタ マデ沈ム。交互ニ片足ズツヒキヌカネバ
 歩ケナイ。運ヨク付近ニハ敵ガイナイトミエテ、ウッテコナイノハ
 モウケモノデアッタ。
 イッポウ、飛行場占領班ノ主力、甲村(ノリムラ)少佐ラハ飛行場南側ニ
 降下シタ。三谷隊ハ西側ヘオリタ。コノ辺ハゴム林ト竹藪デ、マルデ
 見トオシガキカズ、視界ゼロノ状態デアッタ。
 奥本隊ノ奥本実中尉ガ降下シタノハ パレンバント飛行場ノ中間地帯ノ
 湿原ノタダナカダッタ。ヒザマデヌカルナカヲ、軍刀デ草ヲハライナガラ
 ススンダ。ヨウヤク湿原ガツキテ、密林ヘブツカッタ スルト
 忽然トシテ舗装道路ガ現レタ。奥本中尉ヲ先頭ニ北ヘ向カッテ
 歩キダシテ間モナク、
「中尉ドノ。エンジンノ音デス。」川原軍曹ガ言ッタ。ナルホド
 トラックノ音デアル。  

143:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/11 12:19:44.11 N//H0j6mP
「中尉殿。エンジンノ音デス。」川原軍曹ガ言ッタ。ナルホド
 トラックノ音デアル。
・・・
 パレンバン方向カラコッチヘヤッテクル音ダ ヒョッコリ、コノトキ
 菊池軍曹ガ道路ノ向コウ側ノ密林カラ姿ヲ現シタ。コレデ
 奥本実中尉、川原軍曹、形野上等兵、対馬上等兵、菊池軍曹ノ
 五人ニナッタ。
 パレンバン方向ヲ見テイルト坂下カラトラックガ一台セリアガッテキタ。ト
 マタ一台、ツヅイテマタ一台・・・・計五台ニ オランダ兵ガ六・七十名
 ホド乗ッテイタ。
「ヨシ。オレガ先頭車ヲウツカラ、オマエタチハ後続車ニ手榴弾ヲ投ゲロ」
 武器・弾薬ヲ吊リ下ゲテ降下シタ落下傘ガミツカラナカッタカラ、手榴弾
 ト拳銃ト軍刀ダケデアル。
 トラックハ グングンチカヅイテキタ。三十メートル、二十メートル
 十メートル、五メートル・・・コノトキ、奥本中尉ハ道路ニカラダヲ乗リ
 ダスナリ、先頭車ノ運転兵メガケテ拳銃ヲツヅケザマニハナッタ。
「ウワーッ!!」戦闘車ガ スリップシナガラ横ザマニナルトコロヘ、
 ツギノトラックガ追突シ、ツギカラツギヘト玉突キ追突ニナッタ。
 「投ゲロ!」 手榴弾ガ炸裂シタ。追突ヲマヌガレタ最後尾車ハ
 射撃ヲハジメタガ、マサカ日本軍ガタッタノ五人トハオモエズ、
 バックシテニゲ去ッタ。前車四台ハ、死傷者ヲ放リダシテ、車ヲ捨テテ
 密林ヘ逃ゲコンデシマッタ。
 コノ時奥本中尉ハ大腿部ニ貫通銃創ヲウケタガ、仮包帯ヲ
 スルト、形野上等兵ノ肩ニスガリ、ミンナニイッタ。
 「飛行場ヘ行コウ」 飛行場方面カラサカンニ銃砲声ガ聞コエダシテ
 キタノハソノコロカラデアッタ。
 砲声ハ、高射砲ノ水平射撃ノ音デアル。
 甲村(ノリムラ)少佐ガ部下ヲ集結シテ、飛行場攻撃ヲ
 開始シタニチガイナカッタ。
 

144:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/13 16:51:42.45 gNyvEmi8P
砲声ハ、高射砲ノ水平射撃ノ音デアル。
 甲村(ノリムラ)少佐ガ部下ヲ集結シテ
 飛行場攻撃ヲ開始シタニチガイナカッタ。
 奥本中尉タチヨリ モット飛行場ニチカイ同ジ舗装路ヲ
 飛行場ヘ向カッテイタノハ、三谷隊ノ大城中尉以下九名デアッタ。
「小隊長殿。敵ノ自動車ガ前方カラキマス」先頭ノ青木兵長ガ言ッタ。
 ソコハ坂上ダッタ。見ルト坂下カラ兵隊ヲ
 満載シタトラックガ八台ヤッテクル。
「ヨシ。ヒキツケテヤッツケヨウ」
 大城中尉ニハ軽機ガ一丁アッタ。アトハ手榴弾ト拳銃デアル。坂上ノ
 道端両側ニ陣取ッテカクレテイルト、ヤガテノボリ坂ニカカリ
 トラックノスピードガオチタ。
「ウテ!」   オモワヌ伏兵ノ軽機ノ連射ト手榴弾ニ敵兵ハ応戦ノ
 イトマモナク、ワレサキニト トラックカラトビオリタ。
 ソコヲ狙イ撃チシタカラ、オモシロイホドタオレル。
 ヨウヤク敵モ密林カラ応射シハジメタ。
 青木兵長ガタオレ、大城中尉モ脇腹ヲヤラレ、密林間ニサガッタ。
 コノママデハ全滅ノホカナイ。
 シカモ、ソノトキ、敵ノ装甲車ガヤッテキタ。ソシテ激シイ
 メクラ撃チノ機銃弾ガアタリノ樹ノ枝ヤ葉ヲ吹ッ飛バシテイタ。ソシテ
 ツイニ マタモ大城中尉ハ今度ハ肩ヲ撃タレ倒レタ。
 大城中尉ガ意識ヲモドシタノハ、ダレカガジブンヲカツイデ
 ヨロメキナガラ歩イテイタカラデアル。
 口野上等兵ダトワカッタ。
 「他ノモノハ!」
「小隊長殿。モノヲ 言ワンホウガヨロシイデス」
 出血ガ激シイノデアル。
 口野モ左腕ヲヤラレテイルノダッタ。歩ハノロカッタ。
 飛行場カラハ間断ナク銃砲声ガ聞コエテクル。ソノウチ、
 口野上等兵ノ足ガトマッタ。大城中尉ヲ担イダママ、
 沈ムヨウニ倒レコンダ。
 イッポウ。ソノコロ飛行場ノ無線台ヲ攻略シタ
 甲村(ノリムラ)部隊ハ・・
  

145:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/14 16:11:46.80 8gRO90woP
イッポウ。ソノコロ無線台ヲ攻略シタ甲村(ノリムラ)部隊ハ滑走路ヲ
 横断シテ、飛行場西方ヘデタ。
「隊長殿。大城中尉殿ガソコニ・・・・」スデニ陽ハ
 西ヘカタムキカケテイタ。道路ワキニ、大城中尉ト口野上等兵ガ全身
 血マミレデ折カサナッテタオレテイタ。
「カワイソウナコトヲシタ」甲村少佐ハ「静カニネムレヨ、大城、口野」
 ト合掌シテ、ソノママ前進シテイッタ。夜ニハイッテ、スコールガ
 沛然(ハイゼン・雨ガ盛ンニ降ル様子)ト降ッタ。
 大城中尉ハ、ツメタイ雨ニタタカレテヨミガエッタ。
(オレハ、生キテル!)シカシカラダハ動カナイ。スコールハトオリ去ッタ
 フト、カタワラデ、ウーン、ウーント ウナル声ガシタ。
 口野上等兵デアッタ。
「ク、チ、ノ・・・・」
「アア、小隊長ドノウ・・・」口野ハ ハイヨッテトリスガルト泣キダシタ
 オドロクベキハ大城中尉ノ生命力トイッテヨイ。カレハ重態デアッタガ、
 シカシ、死ナナカッタノデアル。

 ココデ、時計ノ針ヲ、ソノ日ノ午前十一時四十分ニモドス。
 パレンバン精油所攻略班ノ第二梯団ノ編隊ガ、目的地上空ヘ
 低空デ突入シタ時間デアル。
 パレンバンノ町ノ付近ノ湿地帯ハ、飛行場付近ヨリモ、モット
 ヒドイ状態デアッタ。
一帯ニコノ町ハ低湿地帯ニアリ、ムシ河ノ支流ガコノアタリデ
 イクツカノ小支流ニワカレテナガレ、アチコチニ
 沼沢ト池ガ散在シテイルノダッタ。
 輸送機ガ進入シテイクト、高射砲ガイッセイニ砲門ヲヒラキ、
 白イ砲煙ガ、パッパット空ニワイタ。
 中尾中尉指揮スル第二梯団ノウチ、長谷部正義少尉ノ小隊ハ、アメリカノ
 スタンダード系エス・ピー・エム社ノ精油工場ノアル東部地区ヲ目標ニシ、
 徳永悦太郎中尉ノ小隊ハ、支流ヲヘダテタソノ両側地区ノ
 英・蘭資本ノビー・ビー・エム社ノ精油工場ヲ目標ニシテイタ。
 輸送機ハ速度ヲ落シタ。降下セヨ! ノブザー三声デ、ドアガ開キ
 機内ニ風ガ渦巻イタ。

146:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/16 11:08:18.28 GVRAF/FLP
輸送機ハ速度ヲ落シタ。降下セヨ!ノブザー三声デ、ドアガ開キ
機内ニ風ガ渦巻ーイタ。
 徳永小隊ノ先頭ハ徳永悦太郎デアッタ。パット主傘ガヒライタ瞬間、
 徳永中尉ノ見タモノハ、眼下ニヒロガル湖水デアッタ。航空写真ハ
 頭ニハイリコンデイルガ、湖ハコノアタリニハナイハズデアッタ。
 オカシイ?ソノ間ニモ湖ハ グングンセリアガッテクル。
 ヨクミルト、一面、水タマリニナッテイル湿地帯ナノデアッタ。

「コリャマズイナ。着地デナク、着水ニナル」曳索ヲ操縦シテミルガ
 水タマリハヒロイ。
 ザブン、ザブン・・・・ト、徳永隊ハ着水シタ。
 最後尾ニ降下シタ兵ダケガ水タマリノハシッコノ トーチカ陣地ノ
 真上ニオリタ。オチツイタ男デアッタ。
 手榴弾ノ安全栓(セン)ヲヒキヌキ、腹這イニナッテ銃眼ニ
 ホウリコンダ。轟然ト炸裂。機関銃ハ沈黙シタ。
 高射砲陣地ノ背後ノ鉄刀木ノコズエニヒッカカッタ兵ガアッタ。
※鉄刀木(タガヤサン・ノ別称マメ科ノ高木堅牢美麗建築器具材料)
 
 拳銃デ陣地ヲウチ、手榴弾ヲ投下シテ高射砲陣地ヲ沈黙サセタ。
 全員、ヌレ ネズミニナッタ徳永小隊ハ予定ノ集合場所ノ三叉路ヘ
 向カッタ。機関銃ト擲弾筒ノ落下傘ハ、ウマイグアイニ草ムラヘ
 落下シテイタ。
 上空デハ、隼戦闘機ガ スピットファイアー機ト戦闘ヲカワシテイタ。
 他ノ隼機ハ急降下シテ敵ノ高射砲陣地ニ銃撃ヲ反復シテイル。

147:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/18 13:34:50.54 MDSQe8Mg0
>隼戦闘機

加藤隼戦闘隊

148:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/19 16:35:07.82 AQfC9eYpP
他ノ隼機ハ急降下シテ敵ノ高射砲ト機関砲陣地ニ銃撃ヲ反復シテイル。
 ハヤクモドコカラカ黒煙ガアガリ、銃砲声ガ諸方デトドロキ、
 パレンバンハ 凄マジイ混乱ニオチイッタ。
「ミンナ、アツマッタカ。デハ、前進ダ」目標ハビー・ビー・エム
 精油工場ノトピング(原油カラ石油ト揮発油ヲ分離スル装置)デアッタ。
 三叉路カラ精油工場ヘイク途中ニ、社宅街ガアル。二列ニ 
 キチント並ンダ明ルイ小サナ社宅デ、庭ニハ芝生ガ美シク、
 ソノ向コウ側ハ ゴム林デアッタ。
 徳永中尉ヲ先頭ニ社宅ヘサシカカッタトキ、トツジョ機関銃弾ガ
 飛ンデキタ。社宅街ノ土嚢陣地ニ拠(ヨ)ル敵ハ オランダ兵デ、
 ゴム林ニハ豪州兵(オーストラリア兵)ガイテ、側射シテクル。
 敵ノ兵力オヨソ一〇〇名ト見当ガツイタ。彼我ノ距離ハ
 一〇〇メートルモナイ。前方カラト側面カラウタレテ、徳永小隊ハ
 身動キデキナクナッタ。
 徳永悦太郎ハ気ガ気デハナイ。グズグズシテイルト、敵ニ精油工場爆破
 ノ時間ヲアタエルコトニナル。コノ作戦ノ唯一ノ目的ハ、石油資源ヲ
 ウルコトナノデアル。
 日本ハ、スグ操業シテ石油ヲエタイノダッタ。[日本ハ米・英ノ
 石油禁輸政策デ如何(ドウ)仕様モ無イ状態デアッタ]
 デキタラ無傷ノママ手ニイレタイガ、シカシ、多少ノ破壊ハマヌガレマイ。
 ダガ、爆破サレテシマッテハ、ドウニモナラヌノダ。
「徳永!オクレテスマン」
 古小路中尉ノ機関銃隊ガ、コノトキ、三叉路方向カラカケツケテキタ。
「オウ。マッテタゾ」 重機ガゴム林ノ豪州兵ヘ銃口ヲ向ケタ。
 アラシニオオワレタヨウニ ゴムノ樹ガフットブ。
「小川軍曹!」ト、徳永中尉ハヨンダ。
「数名ヲツレテ、精油工場ヘ行ケィ! 工場ノ建物ト トピングニ
 日ノ丸ノ旗ヲタテルンダ。ハヤク。イケィ!」 
 トピング・クラッキングハ、高サ五十メートルノ鉄塔デアル。
 コレニノボッテブジニ頂上ニ達シタノハ小川軍曹ト
 勝股兵長トデアッタ。アトノ、ニ、三人ハ狙撃サレテ落下シタ。
 トピングニヒルガエル日ノ丸ノ旗ガ敵ニアタエタ動揺ハ大キカッタ。
 精油工場ヲ日本軍ニ占領サレタ以上、抗戦ノ意味ヲ失ウカラデアッタ。

149: 忍法帖【Lv=5,xxxP】(1+0:8)
14/02/19 19:20:35.31 zl54sU6i0
テスト

150: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8)
14/02/20 12:59:00.14 kIn6DajOO
試驗

151:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/20 18:21:22.81 nnRd6C1MP
トピング ニヒルガエル日ノ丸ノ旗ガ敵ニアタエタ動揺ハ大キカッタ。
 精油工場ヲ日本軍ニ占領サレタ以上、抗戦ノ意味ヲウシナウカラデアッタ。
・・・・
 蘭・豪軍ハ シリゾキハジメタ。
 徳永小隊ハビー・ビー・エム精油工場ヘマッシグラニハシッタ。
 イッポウ。ムシ河ノ支流ヲハサンデ、ビービーエム社ト向キアウ
 位置ニアル エス・ピー・エム精油工場ヘ向カッタ
 長谷部小隊ハ、英・蘭軍ニ包囲サレテ苦戦ヲシナガラ、
 工場ノ一角ニトリツイタ。
 コノコロカラ、敵ノ迫撃砲弾ガ集中シハジメ、
 長谷部少尉ハ戦死、部下ノ死傷続出トイウ状況ノトキ、油槽(タンク)ニ
 迫撃砲弾ガ命中シ、大爆発ヲオコシタ。黒煙ト炎ガモウモウトシテ、
 アタリ一帯、陽ガカゲッテ、タソガレノヨウデアッタ。
 パレンバンノ戦闘ハ、ソノ夜半マデツヅキ、二・三時間ノ間ヲオイテ、
 十五日早朝、敵ハ 野・山砲ト迫撃砲デモッテ反撃ニ転ジテキタ。
 少数ノ落下傘部隊ハ悪戦苦闘シナガラ、占領工場ヲ確保シテイタ。
 ソノコロ。第三十八師団ノ先遣歩兵大隊ガムシ河ヲ遡航(ソコウ・船デ
 河川ヲサカノボッテイクコト)シテイタ。
 歩兵大隊ハ十五日午後パレンバンニジョウリクシタ。
 敵ハイッセイニシリゾイタ。
 十八日、パレンバンニ上陸シタ第三十八師団ノ主力ハタダチニ
    南部スマトラノ平定作戦ニハイッタ。
 南部スマトラ攻略軍編成 陸軍  
 第十六軍ーー第三十八師団 佐野忠義中将(名古屋)
       第三十八歩兵団司令部
       歩兵第二百二十九連隊(岐阜)田中良三郎大佐
       工兵第三十八連隊ノ一部

     第三飛行集団 菅原道大中将
     第三飛行団  遠藤三郎少将
            第五十九戦隊
            ダイ
     パレンバン降下部隊ーー第一挺身団  久米精一大佐
                挺身第二連隊 甲村武雄少佐 
                      (ノリムラ)

152:名乗リマセン勝ツマデハ
14/02/21 09:17:17.76 nn512lXTP
第三飛行集団 菅原道大中将
第三飛行団 遠藤三郎少将
     第五十九戦隊
     第六十四戦隊 
パレンバン降下部隊ーー第一挺身団 久米精一大佐
       挺身第二連隊 甲村武雄少佐
             (ノリムラ)⇒
・・・・
 飛行第五十九戦隊 通称/略称 西部大五十一・天風第三万五千二
          一式隼ヲ最初ニ装備シタ部隊
 飛行第五十九戦隊第二中隊長 
    南郷茂雄大尉          東京都出身 
  昭和十九年一月二十三日ニューギニア島ウエワク上空デ戦死

 飛行第六十四戦隊 通称/略称 加藤隼戦闘機隊
 飛行第六十四戦隊 戦隊長
    加藤建夫中佐(最終位階陸軍少将)北海道旭川市出身
  昭和十七年五月二十二日英空軍双発爆撃機ブリストル・ブレニム撃墜後
 機体ガ出火炎ノ赤イ尾ヲヒキナガラ加藤隊長ノ隼ハベンガル湾ノ海面ニ
 急降下シ波紋ヲノコシテ沈ンデイッタ 僚機ノ
 近藤曹長ハソノスベテヲ見テイタ
  昭和十七年五月二十二日インド洋ベンガル湾上空デ戦死

 工兵第三十八連隊 西村金三郎少将 
  (第三十八師団名古屋 通称/略称 沼)
・・・・
⇒昭和十七年二月十八日、パレンバンニ上陸シタ第三十八師団ノ主力ハ
 タダチニ南部スマトラノ平定作戦ニハイッタ。
 パレンバン精油所ノ損害ハ比較的軽微デアッタ。マレーニ待機シテイタ
 技術関係者ガ空輸サレテキテ、スグサマ復興ニカカッタ。
 パレンバンヲエタコトハ、コノ後ノ日本軍ノ作戦全体ニ大キナ
 プラスニナルノデアロウ。
 陸軍落下傘部隊ノパレンバン降下ハ、「空ノ神兵アマクダル」トシテ、
 ハナヤカニ報道サレ、ヤガテ歌ガデキタ。
  ♪ 藍ヨリ青キ大空ニ大空ニ
   タチマチ開ク百千ノ・・・
 トイウ、アノ「空ノ神兵」デアル。
            

153:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/02 01:52:24.75 OIbK1/waP
 アゝ隼戦闘隊  飛行第六十四戦隊 
 通称/略称 加藤隼戦闘隊 陸軍大尉 黒江保彦 著(陸軍撃墜王)
昭和十七年五月二十一日 加藤部隊長ハ隼五機デ、インドベンガル湾ニノゾム
 アキャブニ進出シテイッタ。シタガウ者ハ、大谷大尉、清水准尉
 近藤曹長、安田曹長ラノ四人デアッタ。
 ソノコロ、アキャブハ友軍ガスデニ占領シテイタガ、英・豪ノ
 連合空軍ハ、ハリケーン戦闘機ヤ ブレニム中型爆撃機ヲクリダシテ、
 アキャブ一帯ノ日本軍地上部隊ヲ攻撃シテイタ。
 前線カラノ要請ハ、コノ敵ノ空軍ノ動キヲ封ジテクレト言ウコトデアッタ。
 加藤部隊長ハ、戦場上空ヲパトロールシタノチ、ズット北ヨリノ
 敵ノ拠点、チッタゴン マデ近寄リ偵察飛行ヲシタ。
※ブリストル ブレニム爆撃機 胴体上部ニ装備シタ銃塔ハ
 日本軍機ニトッテ 大変有効デアッタ。ソレマデノ
 ノモンハンノ ソ連軍爆撃機・中国空軍ノ主力爆撃機ノ ソ連製
 エス・ベー爆撃機ナドニハ装備サレテイナイモノデアッタ。
・・・・
 

154:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/02 16:00:51.55 OIbK1/waP
昭和十七年五月二十二日 ソノ朝、アキャブノ空ハ晴レテイタ。
 青空ノモトデ、爆弾ノ空箱ノ木枠ニ腰カケテ、ミンナハ雑談ニ
 花ヲ咲カセテイタ。 ソノ時、爆音ガ聞コエタ。
 ミンナハ耳ヲスマシタ。絶対ニ日本機ノ爆音デハナイ。
「マワセーッ!」 加藤サンガ真ッ先ニサケブト、ミンナハ一目サンニ
 自分ノ愛機ニムカッテ走ッタ。
 エンジンヲ始動スルノモ モドカシク、砂塵ヲ蹴立テテ、
 五機ガ離陸シタ。
 アキャブノ港湾ヲ攻撃シタ一機 ー ブレニム爆撃機ガ視界ニ
 入ッタノハ、加藤部隊長ガ離陸シタ直後デアッタ。
 ブレニムハ意外ナ伏兵ガ離陸シテキタノニ驚イテ、
 針路ヲ約三百度ニトルト、海上ニ出テ、フルスピードデ遁走シダシタ。
 加藤部隊長ガ、第一撃ノ後上方攻撃ヲカケタ、射線ノ延長上ニ
 水シブキガアガッタ。
 近藤曹長モ攻撃シタ。ソシテ大谷大尉ガ射ッタ。敵ハモウ水面上
 スレスレマデ サガッテイタ。
 ダカラ、射トウトスルト、水平同高度ノ後カラノ攻撃イガイニ
 方法ガナカッタ。

※黒江保彦 陸軍大尉 飛行第六十四戦隊 鹿児島県薩南 
伊集院町現鹿児島県日置市出身 大正七年ー昭和四十年
                   (千九百十八年-千九百六十五年)
※英ブリストル・ブレニム双発爆撃機 乗員三 空冷九気筒八百四十馬力×二  
 全幅十七、一七メートル全長十二、一二メートル重量五、六七トン
 最大速度時速四百十八キロメートル航続距離二千三百三十六キロメートル
 実用上昇限度 七千八百九十八メートル
 武装七、七ミリ機銃×二 爆弾四百五十四キログラム
※旧ソ連エス・ベー爆撃機(高速爆撃機ノ意)乗員三
 全幅二十、三メートル 全長十二、五七メートル
 重量四、七六八トン 最大全備重量七、八八トン
 最大速度時速四百五十キロメートル 実用上昇限度九千三百メートル
 武装七、六二ミリ機銃×四(機首ニ 二挺、後部ニ 一挺、下部ニ 一挺)
 爆弾百キログラム爆弾×六 又ハ五十キログラム爆弾×六 ト
 左右翼下爆弾架ニ二百五十キログラム爆弾各一 懸架       

155:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/03 18:05:26.68 UANYVHGGP
 大谷大尉ハ、ブレニムノ後方射手ノ射ッタ弾丸ガ
 エンジンニ命中シテ引キ返シタ。
 第四番目ニ安田曹長ガ射ッタ。トコロガ、突進中ニ、敵弾ガ
 安田ノ顔ノ前ニアル風防ガラスニ命中シタ。サイワイナコトニ、弾丸ガ
 安田ノ顔ヲソレタ。ガ、小サナガラスノ破片ガ無数ニ顔ニクイ込ンダ。
 キナクサイ硝煙ガウスレルト、見ル見ル血ガ、
 安田ノ顔全体ニ噴キダシタ。安田ハ痛ミヲコラエナガラ、片手デ
 顔ヲフイタ。シタタリ落チル血デ、手袋モ飛行服モ真ッ赤ニナッテイッタ。
 カレモ攻撃ヲ断念シテ帰路ニツイタ。
ソノ時加藤隊長ガ 二撃目ヲヲカケ、ソシテ、残ツタ近藤曹長モ二撃目
 ヲアビセタ。全部デ六回ノ攻撃ガクリカエサレタ。
 ブレニム ニモ命中弾ガアッタラシク、右ニ左ニ必死ノ逃走ヲハカリ
 水面スレスレニアガイテイタ。
 

156:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/04 15:12:00.48 KtmwuI9dP
ブレニム ニモ命中弾ガアッタラシク、右ニ左ニ必死ノ逃走ヲハカリ、
 水面スレスレニアガイテイタ。
 最後ノ攻撃ハ、部隊長ガカケタ。
 後上方カラ スピードヲツケテ敵ノ後方ニクッツクト、一連射ガ
 加藤機カラ、正確ニ ブレニムノ翼ト、エンジンニ集中シテアタルノガ
 見エ、ブレニムハ、傾キナガラ、エンジンカラ火ヲ噴キ出シタ。
 ソシテ、ツギニ突然、バシャーンッ ト水シブキノナカニ破片ヲ散ラセテ
 爆発スルヨウニ墜落シタ。
「トウトウヤッツケタカ」
 近藤曹長ハ、翼ヲヒルガエシナガラ、コレヲ見テ、ツギニ
 加藤部隊長機ヲ見タ。部隊長機ハ真ッスグニ上昇角度グライデ
 上昇シテイタ。ト、ソノウシロニ火ノ尾ガ出テイルデハナイカ。
 敵ヲ撃墜シタソノ瞬間ニ、マッタク不幸ナ敵弾ガ
 加藤部隊長機ヲ貫通シタノカ、ソレトモ、ソレヨリ前ニ
 敵弾ヲウケテイタノカ。ソシテイマ、発火シタノカ、
 スベテワカラナカッタ。
 シカシ、部隊長ハ、火ノツイタ隼戦闘機ヲ、イマ上昇サセテイル。
 ソレハ悲壮デアツタ。近藤曹長ガ見テイルコトヲ意識シテイタノデアロウ。
 加藤部隊長ハ静カニ翼ヲ振ッタ。右ニ左ニ、ユックリト大キク・・・・。
 「サラバ戦友タチヨ・・・・自分ガ死ナセタ部下タチヨ・・・・オレモ
 イマコソ、コウシテ最後ノトキヲムカエタ。オレモ オナジヨウニ
 死ンデイクゾ・・・・残ル者ヨ、アトヲ頼ンダゾ・・・・」
 翼ヲ大キクユックリト振ッテイタ加藤部隊長ノ心境ハ、ソウデアッタト
 信ズルコトガデキル。
 栄光ノ戦隊長加藤建夫中佐ハ、愛機ヲ左ニ横転サセ、ウラ返シノ姿勢カラ
 昇降舵(ショウコウダ)ヲヒイタ。
 高度三百メートル カラ、隼ハ真一文字ニ機首ヲベンガル湾ノ
 紺碧ノ海面ニムケル。

157:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/06 08:17:27.06 TfGDaX6l0
高度三百メートルカラ、隼ハ真一文字ニ機首ヲ
 ベンガル湾ノ紺碧ノ海面ニムケル。
 加藤機ハ石ガ落チコムヨウニ急降下シタ。
 炎ノ赤イ尾ヲ引キナガラ・・・・。ソシテ波紋ノ中ニ沈ンデイッタ。
 不思議ナコトニ、波ノウエデ加藤機ノ燃エツキナイ ガソリン ガ、
 シバラク燃エテイタ。
 近藤曹長ハ、ソノスベテヲ見テイタ。
 大空ニイマ、残ッテイル部下ハ近藤一人デアッタ。近藤ハ、
 加藤機最後ノ海面上ヲ旋回シ、イツマデモ去リガタク、イツマデモ
 確カメタクテ操縦桿モ砕ケヨト、ニギリシメテ、
 ベンガル湾ノ低空旋回ヲツヅケタ。
 ・・・
 ・・・
加藤部隊長ガ戦死ノ日、私ハヨウヤク デング熱ガ快方ニ向カイ、
 黄疸ヲヘイハツシテ眼球ハマダ真ッ黄色デアッタガ
 飛行場ニ出テ、カラダナラシノ空中戦訓練ニ飛ンダ。⇒⇒

※コノ、デング熱ニハ加藤隊長ガ一番最初ニカカリ ツヅイテ
 大谷大尉。丸尾大尉トカカッタ。ソノトキハ、黒江ト数人ノ
 パイロットダケガ元気デイタ。

⇒⇒訓練ノ後、地上ニ降リテ天幕ノ中ニイルト、ソコヘ爆音ガシタ。
 天幕カラデテ、低空ヲスギル隼ヲフリアオグト、黄色ノ矢印ヲ尾部
 ニエガイタ第三中隊ノ安田曹長機デアッタ。
 前線カラ単機デ帰ッテキタ。・・・・・。
 隼部隊ハ、イツモ編隊ヲ組ンデ出動シテイッタ。ダカラ、
 帰ッテクルトキモダイタイ編隊ヲ組ンデ帰ルハズダッタ。
・・・

158:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/06 14:14:28.23 TfGDaX6l0
ダカラ帰ッテクルトキモ、ダイタイ編隊ヲ組ンデカエルハズダッタ。
 ソレガ、トキタマ、バラバラニナッテ一機ズツワカレテ帰ッテクルトキハ、
 空中戦ガアッタ事ヲ証明シテイタ。
 激戦デアレバアルホド空中戦ノアトノ空中集合ハムズカシカッタ。
 安田機ガヒトリデ帰ッテキタコトニ、不吉ナ予感ガシタ私ハ、
 安田機ノ着陸ヲ見テイタ。⇒
※安田機ハ ブレニム爆撃機ニ突進中ブレニムノ尾部銃座カラノ
 機関銃弾ガ眼前ノ風防ガラスニ命中シタ。・・ガ、撃墜ハ免レタ。
⇒トコロガナンタルコトゾ。
 安田ハ接地シタアトノ地上滑走中ニ、フイニ コントロールヲ失イ、
 滑走路ノ左ニトビ出シテシマッタ。
 機ハ滑走路ニ平行ニ走ッテイル飛行場ノハシノ溝ノナカヘ
 片車輪ヲ落トシコンデ、ガーン ト座リコンデシマッタノダ。
 「ナンダ、アノ着陸ハ!ヘタナ着陸ヲシテ、ダイジナ飛行機ヲ
 コワストハ・・・・」私ハ、座席カラ降リテクル安田ヲ叱リトバシタ。
 ダガ、オドロイタコトニ、安田ノ顔カラハ、
 一面ニ血ガ噴キ出シテイル。
 安田ハツブヤクヨウニ言ッタ。
「加藤戦隊長ガ、戦死サレマシタ」
「ナニ!?」私ハ ビックリシテ思ワズ大キナ声デ叫ンダ。
「本当カ? ナゼダ・・・・?」
 モウ安田機ノ事故ドコロデハナイ。ミンナガ安田ノ説明ニ耳ヲカタムケ、
 部隊長ノ最後ノ模様ヲ聞イタ。コウナルト、部隊指揮ノ重責ハ、
 最先任中隊長デアル私ノ肩ニカカッテクル。
 巨人ノヨウニ偉大デ、山ノヨウニ強イ部隊ノ中心デアッタ
 加藤サンノ欠ケタ部隊ハ、マルデ方向ヲ失ッタ難破船ノヨウデアッタ。
 伝統ノ部隊ヲ、コレカラドノヨウニシテ引ッ張ッテイケバイイノカ、
 若イ中隊長ニトッテ、
 ソレハマサニ一世一代ノ試練デアッタ。

159:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/21 17:14:11.97 JuDigb/60
ビルマ(ミャンマー)一帯ノ雨季ハ、自然ニ敵味方ノ兵力ヲ東西ニワケテ、
 ハナバナシイ空中戦ハ次第ニ少ナクナッテイッタ。戦争ノ
 小康トデモイウノカ、両軍ガオタガイニ戦力回復ノ休ミニ入ッタ
 ヨウデアッタ。部隊ハ、雨ノ晴レ間ヲヌッテ、訓練ニハゲミ、
 少数機ハ、イツデモ飛ビ立テルヨウナ警戒態勢ニハイッテ、
 再建策ヲネッテイタ。
 加藤部隊長ノ後任ニハ、八木正巳(ヤギマサミ)中佐ガ発令サレタ。
 ナガク学校教育ノ場ニハタライテオラレタ八木中佐ハ、古イ戦闘機
 乗リデハアッタガ、ドチラカトイウト、加藤サンノヨウナ、
 第一線型ノ強者デハナク、腕前ハチョット、アヤシカッタ。酒豪デ、
 酔ッパラウト天下第一ノヨウナ強ガリヲ言ワレタガ、
 本当ノ心ノ中ハ邪心ノナイ子供ノヨウナ人デ、強ガリノワリニハ、
 アンガイノ淋シガリ屋デアッタカモシレナイ。
「オレハ飛行時間二千時間ダ。キミタチナンカニ負ケヤシナイヨ」
 ト言ワレ、イッショニ飛ビ立ッテ空中戦訓練ヲシテミタラ、ナント!
 学校ヲ出タバカリノ、パイロットヨリモマダ未熟ナ機動デ、モノノ、二・三
 回モ手合ワセシテミタダケデ、コノ人ノ腕前ハイッペンニ、
 ワカッテシマッタ。
「コンドノ部隊長ハ、ゼンゼン空中戦ハ、ワカットランゾ。気ヲツケテ
 クッツイテユカヌト、親方ナニヲシデカスカ、ワカランデスヨ」
 口ノ悪イ大谷大尉ハ、私ニコウ言ッテイタガ、マサニ、
 ソノトオリノ感ジナノデアル。
 シカシ、コレハ部隊長ヘノ反感デハナク、自分ノ腕ヲ信ズル
 コトダケガ生キ残コル秘訣デアルコトニ気付キ、自己流ノ戦闘法ニアワナイ
 相手ヲ、コッピドク、口デ攻撃シタクナル、言ウナレバ
 戦サズレシタ パイロット達ノ自負心ト言エル。
 昭和十七年八月十六日 トングーノ駐留ニナレテキタコロ、私ノ中隊ニ
 内地ニ飛行機受領ノタメノ出張命令ガ下ガッタ。
昭和十七年九月 ヨウヤク受ケ取ルハズノ「隼」全機デ、立川カラ三重県
 明野、宮崎県新田原ヘ飛ンダ。
昭和十七年九月十五日 台湾ノ嘉義ヘ飛ンダ。飛行時間五時間半
       

160:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/22 13:31:24.20 AsdMGrhR0
昭和十七年九月 ヨウヤク受ケ取ルハズノ「隼」全機デ、立川カラ三重県
 明野、宮崎県新田原ヘ飛ンダ。
昭和十七年九月十五日 台湾ノ嘉義ヘ飛ンダ。飛行時間五時間半
 イヨイヨ戦線ニチカヅイテイク我々ノ胸ニハ、ナニカシラ新シイ闘志ガ、
 心ノ中ニタギリ立ッテクルヨウデアッタ。
     九月十七日 嘉義カラ広東ヘ。香港ノアタリデ雨ノシブキヲ
 浴ビナガラ、若イ編隊長ハ雲下ニ突入シ、珠江モ、サカノボッテ、ブジニ
 天河(テンガ)飛行場ニ着陸シタ。
 隼ノ中隊十二機ヲ誘導シタノハ、九七重爆ノ清水千波大尉デアッタ。⇒
※陸軍一式二型戦闘機 通称 隼 乗員一 空冷複式星型 十四気筒
   千百五十馬力 全幅十一、四四〇メートル 全長八、九二〇メートル
   自重一、九一〇トン 全備重量二、五六三トン 
   最大速度時速五百七十六キロメートル航続距離千六百十キロメートル 
   実用上昇限度一万三千五百メートル 武装十三ミリ機関砲×二
   二百五十キロ爆弾×二
⇒ソシテ、翌十八日、私ハ、中隊ノ十二機ヲ率イテ、サイゴン ニ向カッテ
 出発シタ。南支那海ノ上デスコールニブツカッタノデ、マタマタ
 得意ノ低空飛行ニハイリ、仏印ノ岸辺チカクデ、雲間カラ急上昇シテ
 雲上飛行ヲツヅケテ航程六時間、私ノ航法ハ正確デアッタ。
 サイゴンノ赤土ノ滑走路ハ、開戦以来オナジミノ形デアル。着陸シタラ、
「シンガポールニ前進セヨ」トノ指令ガ入ッテイタ。
 最後ノコースハ四時間デ飛ンダ。着イタ飛行場ハ センバワンデアッタ。
 ココハ英軍ガ海軍ノ基地トシテ使ッテイタ草地ノ飛行場デ、周囲ニ
 ゴム林ヲメグラシ、小ジンマリシタ兵舎ガアッタ。
 遠イヨウデマッタク近イ内地ノコト、海ヲ越エ、山ヲ飛ビ、雲ヲ切リ、
 雨ヲ浴ビタ、ソノ航程五千キロノ間ニ、愛機「隼」ハ、ナンノ
 心配モナク エンジンヲ、トドロカセテ飛ンデクレタ。燃料ヲ注入シ、
 油ヲ点検スルダケデ、ホカニナンノ手入レモセズニ、故障一ツ
 起コサナカッタ「隼」ニタイシテ、私タチガ全幅ノ信頼感ヲ持ッタ
 ノハ当然ノコトデアッタ。

161:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/26 13:43:43.23 feVD6NHn0
内地トノ間、航程五千キロデ、故障一ツ起コサナカッタ「隼」ニ対シテ、
 私タチガ全幅ノ信頼感ヲ持ッタノハ当然ノコトデアッタ。
「ヨウ飛ンデクレルネ、隼ハ マッタク良イ飛行機ダヨ」
「ソレニシテモ、ビルマノ雨季明ケニハ、大キナ作戦ガアルラシイデス。
 シンガポールデノ訓練ハ、ソノ作戦準備トカ・・・」
「マタイッチョウ勇マシクヤルカ・・・」
 ミンナハニギヤカニ語リアッテ、スグニ一心同体ノ雰囲気ノ中ニ
 入ッテイクノデアッタ。
 私タチヨリ一足遅レテ内地ヲ出発シタ丸尾大尉ノ率イル第二中隊ハ
 昭和十七年九月二十一日広東カラサイゴンニ飛ブ途中デ、大キナ積乱雲ニ
 突ッ込ンダ。仏領印度支那(ベトナム)ノツーラン沖百キロホドノ
 南支那海ノ上空デアッタ。
 丸尾大尉ガ雲中ニ突ッ込ンダノハ、塔ノヨウナ雲デ、モノノ何秒カデ
 ツッ切ッテシマウ自信ガアッタカラデアル。
 ダガ、シカシ濃ク白イ雲ノ壁ハ、意外ニ厚ク、各機ノ視界ヲ奪ッテ、
 編隊ハ、相手ガオ互イニ、一瞬 見エナクナルホド暗イ水蒸気ノ塊リニ
 ツツマレタ。ソノウエ上昇気流ノ乱レガ、ハゲシク各機ヲ動揺サセタ。
 モノノ二十秒カ三十秒シテ、丸尾大尉ガ雲ノ向コウガワニヌケテ
 振リ返ッタトキ、左側ニイタハズノ第三編隊ノ三機ノウチ、浅川中尉ト
 近藤曹長ノ二機ガ忽然ト消エテイタ。オソラクハ雲ノ中ノ衝突デアッタロウ
 加藤部隊長ノ最後ヲ見テイタ近藤曹長ハコウシテ死ンデイッタ。
 ソシテ 浅黒イ顔ノ静カナ男浅川中尉モコウシテシンダ。
 シンガポールノ青イ空ノ下デ訓練ハ続イタ。   

162:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/26 14:53:57.27 feVD6NHn0
シンガポールノ青イ空ノ下デ訓練ハ続イタ。
 ジャワ(インドネシア)デ無傷ノママ分捕ッタ 
 ボーイング・ビー十七ニ対スル攻撃法モ、シンガポールノ
 空ニ飛バセテ訓練シタ。
 南方軍技術研究所ノ田中中佐ラノ、ベテランパイロット達ト一緒ニ、
 私モ目標機ニナッテイル ビー十七ニ乗リ込ンデ、部下達ノ
 攻撃ブリヲ観察シテ見タ。
 前方カラ突ッ込ンデクル隼ガ、衝突スルカ、ト、思ワレルヨウナ
 近サマデキテ、クルリ、ト身ヲカワシテ離レテユク迫力ハ
 相当ナモノデ、イクドカ胆ヲ冷ヤスコトガアッタ。
「アンナ無茶ナ危ナイ攻撃ヲサレテハ モウ、オ前達ノ攻撃ヲ批評スル
 タメニ乗ルコトハヤメニスル。衝突シテ殺サレテハ
 カナワンカラナ・・・」私ノ講評ニ、ミンナハ「ニヤリ」ト
 笑ウノデアッタガ、ソレホド攻撃意識ハ充実シテキタヨウデアッタ。
昭和十七年十月七日「ビルマヘ再転進シテ、作戦準備ヲセヨ」トノ
 命令ガキタ。
 前ノ戦隊長ヲ失ッテカラ、沈滞シガチデアッタ部隊ニモ、
 モハヤ、ソノ暗イ面影ハ消エタ。営々トシテ練磨シ、休ミナク
 励ンデキタ戦隊ノ訓練成果ヲ引ッ下ゲテ、新シイ意気込ミデ
 戦場ニ乗リ込ム日ガ近ヅイタノダ。
 シンガポールカラマレー半島ノ スンゲイパタニニ着陸シテ
 燃料ヲ補給シタ「隼」部隊ハ、タイ国ノ首都バンコックノ
 ドンムアン飛行場ニ着陸ショウト、四時間ノ飛行ヲ終エテ上空
 ニ到達シタ。スルト、ナント、ドンムアンノ広イ飛行場ハ、
 大洪水ニ呑ミコマレテ水没シテイルデハナイカ。建物ハ水中ニ孤立
 シテ浮イテイタ。  
「ヤ、コレハ大変ダ、コウナレバ、ビルママデイッキョニ行クホカニ
 手ハナイ・・・・」。

163:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/27 07:40:48.08 Ydsx4LSC0
「ヤ、コレハ大変ダ、コウナレバ、ビルママデイッキョニ行クホカニ
 手ハナイ・・・・」。
 私(黒江)ハ着陸ヲ止メ、スロットルレバーヲ押シテ
 エンジンノ回転数ヲアゲ隼十二機編隊デ機首ヲラングーンニ向ケタ。
 編隊ハ、タイト ビルマノ国境ノ山々ノ雲上ヲ越エタ。
 サイワイナコトニ、ビルマ平原ニ雲ノ切レ間ガアッタ。
「隼」デナケレバデキナイ長距離航法ダッタ。飛行六時間十五分、
 航程千八百キロメートル。ミンガラトン飛行場ニハ、
 雨季ノアイダジュウ、ズット残留シテイタ部隊勤務員タチガ
 ムカエテクレタ。 ナツカシイ、ビルマノ戦場デアッタ。
 ソノコロ、米空軍ハ、蒋介石ノ中国ニ対シテ、イワユル援蒋物資
 ヲ空中輸送スルタメ チンスキヤ(今ノバングラディシュ)一帯
 ニ、輸送機ノ中継基地ヲツクリ戦闘機ヲ配シテ活発ナ行動ヲ
 開始シテイタ。
昭和十七年十月十五日 第四飛行団長 中西少将ハ私ニコウ言ッタ。
「攻撃ニ先キ立ッテ、戦闘機部隊モ、アノ一帯ノ地形ト飛行場ノ配置
 ヲ見テオク必要ガアル。黒江大尉、君ヒトツ、百式司令部偵察機
 デ見テキテクレヌカ」ト。
 非武装ノ司偵デドウナルコトカ、ト不安デアッタガ、
 躊躇ハ許サレヌ、マタ断ル理由モナカッタ。
「行カセテイタダキマス」
翌十月十五日、双発ノ快速ヲホコル百式司令部偵察機ハ、
 鈴木大尉操縦ノモトニ トングーカラ、メイクテイラニ飛ビ、燃料
 ヲ入レテカラ一路北ヘ、目標ニ向カッテ高度ヲ上ゲテイッタ。 
 雲ハ真白ニ光ッテ高クソビエテイタ。ウントー アタリノ上空カラ
 ツイニ高度計ノ指示ハ八千メートルヲ指シハジメタ。  

164:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/27 13:47:36.34 Ydsx4LSC0
雲ハ真白ニ光ッテ高クソビエテイタ。ウントー アタリノ上空カラ
 ツイニ高度計ノ指示ハ八千メートルヲ指シハジメタ。⇒
※百式四型司令部偵察機 通称新司偵 乗員二 空冷複式星型十四気筒
   千五百馬力×二(燃料噴射ポンプ) 全幅十四、七メートル
   全長十一メートル自重四、〇一トン全備重量五、九トン
   最大速度時速六百三十キロメートル(終ワリニハ離昇浮揚
   三千馬力デ日本海横断 追イ風時速七百キロメートル)
   巡航速度時速四百六十キロメートル 実用上昇限度一万メートル
   航続距離二千七百キロメートル 武装 ナシ
⇒  寒クテ、ガタガタト フルエルホドダッタ。ハテシナク続ク
 白雲ノ上デ後方座席ニ下向キニ装置サレタ大型写真機ノスキマカラ
 吹キ込ム風ハ、モノスゴク冷タク、ソノウエ酸素吸入器ガ
 故障シテイルノカ呼吸ガ乱レテキタ。
 インドトノ国境ハ漠々トシタ雲ダッタ。北ヘ深ク、ヒマラヤノ山系ニ、
 近ヅイテイルハズダ、ト考エテイタ時鈴木大尉ガ
 伝声管デドナッテキタ。
「敵ノ真上ノハズデスガ、コノ雲ノ量デハ、トテモ何モ見エマセン。
偵察ヲ中止シテ帰還スルコトニシマス・・・・イイデスカ?」
 機ハシズカニ大キナ孤ヲ描キナガラ左旋回シタ。
 ソノトキ、私ハ息ヲ飲ムヨウナ光景ヲ見タ。  

165:名乗リマセン勝ツマデハ
14/03/29 09:08:17.52 WBuFUAdi0
ソノトキ、私ハ息ヲ飲ムヨウナ光景ヲ見タ。
 行ク手ハルカ北ノ方向、雲上ノ水平線ニ浮カブ無数ノ山々ガアリ、
 ソレガ一連ノ城壁ノヨウニツラナッテ、ギザギザ ノ山々ガ
 白銀ニ光ッテイタ。
 雪ヲイタダイタ。ヒマラヤ山系ノ一部デアル。
 白熱ノ太陽カラ降リソソグ熱帯ノ光ヲアビテ、神々シイバカリニ
 輝イタ神聖ナ雪ノ山ハ、気高ク美シイ。息ヲ飲ム思イデ、
 私ハシバラク見惚レテイタ。
 <ハルケクモ(日本カラ離レテ、コンナニ遥カニ遠クマデ・・
 ノ意味ナノカ、ナ)キタモノダ。コンナ遠イトコロマデ、戦争
 シニヤッテキテ、
 オレハ、ヒマラヤヲ見タ。・・・・、アノ白銀ノ峰々ヲ・・・・>
 ヤガテ若イ血潮ガ高鳴リ雄図ガ燃エ上ガッテキタ。
 百式司偵ハスベルヨウニ雲上ヲ直路トンガー ニ帰ッテキタガ、興奮
 ト酸素不足デ、身体ガ、ガタガタト震ルエルノヲ
 止メルコトガデキナカッタ。
昭和十七年十月二十四日北ヘ飛ンダ一機ノ百式司令部偵察機ハ 
 チンスキヤ飛行場ノ大型機二十機、小型機二十機ヲ
 写真捜索シテキタ。
昭和十七年十月二十五日十三時三十分 メイクテイラ西飛行場ヲ
 離陸シタ飛行第六十四戦隊ノ「隼」ハ シエウエボ
 上空高度二千メートルデ第四飛行団全力ノ百数十機ト空中集合シテ、
 堂々ノ航進ヲ開始シタ。
 高度五千五百メートルデ アラカン山脈ヲ越エ、メザスチンスキヤ
 飛行場ニ突入シタ。
 マズ軽爆隊ガ、オークランズ飛行場ヲ爆撃シタ。タチマチ敵ノ 
 数機ガ、黒煙ヲアゲテ燃エ出シタ。敵ノ高射砲弾ガ、中空ニ
 真ッ黒ナハナビラノヨウニ、点々ト炸裂シ出シタ中ヲ、在空
 敵機ナシト見タ私ハ、全速力デ急降下ニウツッタ。

166:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/01 14:55:18.56 eCLZINUK0
在空敵機ナシト見タ私ハ、全速力デ急降下ニウツッタ。
 オークランズ ノ北側カラ、ディブルガールニサシカカルトキ、フト見ルト
 敵ノ小型機ガ、マサニ滑走路上ヲ離陸シテイルノガ見エタ。
 翼ヲ振ッテ攻撃下令スルノモモドカシク、スロットルヲ閉ジタ私ハ、
 計器速度時速五百五十キロメートルヲ出シテ、マッサカサマニ
 突進シテイッタ。
 後ロニツヅク味方ナド、見テイルヨユウモナケレバ、ヨソデナニガ
 起キテイテモ、カマッテイラレナイ、タダ眼下ノ敵ヲヤッツケルダケノ
 一念ダッタ。
 シカシ、オーバースピードノ隼ハ、速度ヲ一度ヘラス必要ガアッタ。
 乱暴ニ 力ヲコメテ敵基地ノ上デ旋回シ、スピードヲヘラシナガラ、
 見テイルウチニ、離陸シタ敵機ハ五機ヲ数エテシマッタ。
 ヤット六機目ガ離陸滑走スルウシロカラ突進スルコトガデキタ私ハ、
 敵ノ滑走路上ヲ高度十メートルデ超低空飛行シナガラ、浮揚シタバカリノ
 カーチス・ピー四十・トマホーク メガケテ、ドドド・・・ト射弾ヲ
 浴ビセカケタ。スルト、浮イタ直後ニ背後カラ射タレタ敵機ハ、
 車輪ヲ引ッ込メルコトサエ忘レテ、逃ゲヨウトシタ。
 アキラカニ敵機ハビックリ仰天シタノダ。私ハスグニ、機ヲ引キ上ゲテ
 翼ヲ傾ケ、二撃目ヲカケヨウトシタ。トコロガ、コノトキ、
 大地ノ上ヲカケヌケル トマホーク ノ翼ト胴体ガ、ピカピカット
 光ルノヲ見タ。機関砲弾ガ命中シテ爆発シテイルノダ。
「誰カガ射ッテイル・・・」 ハットシテ、トマホークノ後ロヲ見ルト、
 二番機ノ安田曹長機ダッタ。ツヅイテ、三番機ノ細萱(ホソカヤ)曹長
 ガピタリト クイッツイテイル。曳光弾ノ射線ガマタ敵機ヲツツンダ。
 各人ガ二撃ヅツカケテ最後ニ突進シタ私ハ、敵機ノ速度ガ急ニ
 ニブクナッタノヲ知ッタ。エンジンガ止マッタノデアロウ。
 森ノ間ノセマイ原ッパニ、トマホークハ車輪ヲ出シタママ接地シタ。
 車輪ガ ハネ飛ンデ砂煙ガ舞イ上ガッタ。スコシ速度ヲ落シタママ、照準器
 ノ中デ敵機ノ接地ヲ見タ私ハ、思ワズ機銃ノ引キガネヲヒイタ。

167:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/03 08:16:10.10 GS8TcZcr0
スコシ速度ヲ落シタママ、照準器ノ中デ敵機ノ接地ヲ見タ私ハ、思ワズ
 機銃ノ引キガネヲヒイタ。ソシテイッタン上空ヲ通リスギテ、
 隼 ヲ引キ上ゲテオイテカラ、モウ一度突進シタ。
 スルト、擱座(カクザ・・機能ヲ失ッテ動ケナクナルコト)シタ
 トマホーク ノ座席カラ、黒イモノガ動イテ、左ヘ走ルノガ見エタ。
 敵ノパイロットハ生キテイタノダ。彼ハ畑ヲ横切ッテ森ノ中ヘ走リコンダ。
 高度二十メートル、直線距離百メートルデ 力(チカラ)イッパイ
 引キ上ゲノ舵(カジ)ヲ使ッタガ、意外ニモ機速ガアッタ 隼 ハ、
 グーン ト沈ムヨウニ下ガッテイッタ。
 機、全体ガ大地ニ引キ寄セラレルヨウニ・・・・。
<ヤッタアー・・・・地面ニブツカッタカ・・・・>息ヲトメテ
 観念シタトキ、左右ノ翼ノ上ニ樹ノ梢ガ、グーントセリアガッテ、私ハ
 敵ノ残骸ニ腹ヲコスリツケタ、カ、ト思ッタ。高度ハ二メートル以下、
 不用意ナ離脱操作デ危機一髪、隼 ハ地面ニ激突スルノヲマヌガレテ、
 フタタビ上空ヘ舞イ上ガッタ。マッタクノ幸運トイウホカハナイ。
 <ヒヤアー、危ナイ、アブナイ・・・・>ヒヤ汗ヲナガスヨウナスリル、
 ノ次ニハ、シカシスグサマ 冷静ナ判断ガハタライタ。
<サキホド、少ナクトモ五機ノ トマホークガ、ディブルガールカラ
 離陸スルノヲ見タ以上、上空ニ敵機ガイルコトハマチガイナイ、
 油断ハ禁物ダ>三機ハ上空ノ見張リヲツヅケナガラ、全力上昇ニウツッタ。
 遠ク、オークランズ飛行場デ、炎々ト燃エル敵機ノ黒イ煙ガ
 ヒロガッテイルノヲ見タ。
 第二編隊ノ武村太郎中尉、高橋中尉、横井門司曹長ハ、第三編隊ノ
 各機ト私ガ、急降下ニウツッタノヲ見テカラ、スカサズ、コレニツヅイタガ
 隊長機(黒江)ノ高度ノ下ゲ方ガアマリニモ早カッタタメ、途中デ
 追イツケナクナリ、ソノウエ敵機ノ距離ニ気ヲトラレテ私ノ編隊ヲ
 見失ッテシマッタノデアル。
 ダガ、ソノアトスグ、逃ゲタ敵機ヲ追ワズ、オークランズト 
 ディブルガールニ壮烈ナ銃撃ヲ敢行シタノデアッタ。

168:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/04 08:16:57.73 TKlvRHdS0
ダガ、ソノアトスグ、逃ゲタ敵機ヲ追ワズ、オークランズ ト
 ディブルガールニ壮烈ナ銃撃ヲ敢行シタノデアッタ。⇒
※カーチス・ピー四十 アメリカ陸軍戦闘機
 カーチス社ハ戦闘機ニハ、・・ホークノ名称ヲツケル。
 中国戦線ニ参加シタアメリカノ義勇兵航空隊ハコノカーチス・ピー四十
 戦闘機デ編成サレテイタ。
 コノ当時ノカーチス社ノ戦闘機製造ノ基本理念ハ「頑丈サ」デアッタ。
 アメリカデノ通称/略称 ウオーホーク(戦イノ鷹) 
 イギリス軍デノ通称/略称 トマホーク
 乗員一  アリソン・ブイ・千七百十エンジン・千百五十馬力 
 全幅十一、三七メートル 全長九、六八メートル
 自重ニ、四三九トン全備重量三、〇七五トン
 武装十二、七ミリ機銃×二 七、六ミリ機銃×二
 胴体下ニ五百ポンド(二百二十七キログラム)爆弾一 
 主翼ニ百ポンド(四十五キログラム)爆弾×二 
※一ポンドハ四百五十三、五九グラム 
 最大速度時速五百七十キロメートル 航続距離五百六十三キロメートル
 実用上昇限度一万二百七十メートル
⇒対空砲火ノ雨ノ中デ、彼ラハダグラス・ディー・シー三型ノ一機ヲ燃ヤシ
 ホカノ二機ヲ撃破シタ。両機トモ、ソレゾレ二発ノ地上砲火ニヨル
 被弾ガアリ、横井曹長モエンジンヲ射チ抜カレテ危ナカッタガ、調子ノ
 ワルカッタエンジンヲ ダマシダマシ シテ、味方ノ前線基地カマイン
 ニスベリコンデイタ。メイクテイラ ヘモドッテクル空デ、ミンナガ
 私ノモトニアツマッテキタ。横井曹長ノ一機ガタリナカッタ。
 基地ガ見エテキタトキ、私ハミンナニ合図シテ低空デ増速シ、大キク操縦桿
 ヲ引クト、基地ノ真上デ編隊宙返リシタ。大地ガ腹ノ下ニ沈ミ、
 大空ガ前方ニイッパイニヒロガッタ。首ヲ上ニ向ケルト、反対側ニ
 地平線ガアラワレタ。ミンナハピッタリト私ニクッツイテ、
 隊形モ一糸乱レズ、勝利ノ宙返リヲ舞ッテイタ。

169:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/05 13:39:38.48 HKnxBWtI0
隊形モ一糸乱レズ、勝利ノ中返リヲ舞ッテイタ。
昭和十七年十一月二十二日午前二時ラングーンハ、数機ノビー二十四
 ニヨル空襲ヲ受ケタ。
 大谷大尉ラノ第一中隊ガ当直シテイテ、スグニ舞イ上ガッタガ、
 月ガアマリニ明ルク、探照灯ハ、敵機ヲトラエルコトガ
 デキナイウチニ、飛行場ナラビニ軍事施設ガ、爆撃ヲウケテ、
 六機炎上、中小破九機、軍事施設炎上ト言ウ損害ヲ受ケテシマッタ。
 二十三日夜ニハ、マグウエガ空襲サレ、二十四日ニハ、メイクテイラ
 トングー ナドガ夜間爆撃ヲウケタ。ナントカシテ一矢ヲ
ムクイナケレバナラナイト、クル日モ クル日モ、私タチハ夜ノ
 警戒ヲ厳重ニシテイタ。ソシテ、
十一月二十五日深更(シンコウ・・夜フケ)前線ノ
 監視硝(カンシショウ・・見張リ所)カラ、サカンニ情報ガ
 入ッテキタ。
「爆音、西カラ東ヘ」「大型機数機、西南進」
 ソレハスベテ ラングーンノ方角ニ向カッテクルモノデアッタ。
 午前一時三十分「ラングーン西方三十キロ、敵機東進」ノ情報
 ガ入ッタ。私ハ緊急離陸シタ。高度ヲスコシヅツ上ゲナガラ、
 ビクトリア湖ノ上空三千メートルカラ三千五百メートルデ待機
 シテイルト、敵機ガ ミンガラトンニ侵入シテキタ。
 大空ヲ掃(ハ)クヨウニ探照灯ガ動キマワリ、夜空デ花火ノヨウニ
 高射砲弾ガハジケ出シタ。
 一機二機ト、光ガトラエタ敵機ハ、銀色ニ光ッテ、蛾(ガ・・
 チョウニ似タ昆虫・・サザンカ・椿ニツク蛾ハ強烈ナ毒蛾)ノヨウニ見エタ。トラエラレタ蛾ハ 
 ノタウチマワリ急旋回シテ、光ノ束カラ逃レヨウトシタ。
 暗イトコロニ逃ゲコンダカニ見エル蛾ガ、マタ光ノ束ニトラエラレ、
 右ニ左ニノタウチマワッテイル。 
 第三機目ノ巨大ナ敵機ニ向カッテ、私ハ、突進シタ。
 左ヘ、左ヘト旋回スル四発ノ怪物ハ、ボーイング・ビー十七ダッタ。
 ソノ旋回ノ内側カラ距離ヲ詰メテ行ク時、探照灯ガ消エタ。 

170:名乗リマセン勝ツマデハ
14/04/06 10:09:31.04 HTqjTg0X0
左ヘ左ヘト、旋回スル四発ノ怪物ハ、ボーイング・ビー十七ダッタ。
 ソノ旋回ノ内側カラ距離ヲ詰メテ行ク時、探照灯ガ消エタ。
 消エタトイウヨリ、高射砲ノ射程外ニ出タノデ、断念シテ目標ヲ
 変換シタノデアロウ。
 シカシ、下カラスカシテ見タ名月ノ薄明リノ空ニ、
 ボーイング・ビー十七ノ巨体ハ、私ノ目カラ消エルコトナク、黒々ト
 残ッテイタ。
<千載一遇ノチャンス!>私ノ胸ガオドッタ。
 私ハ、左後下方攻撃デ、一連射ヲアビセタ。機銃ガ火ヲ吐イタ。
 銃口ノ発射閃光ガ、私ノ網膜ニ、瞬間的ニ目ツブシヲ食ワセ、
 連続照準ヲツヅケルコトガデキナイ。操縦桿ヲ右ヘタオシテ
 右下方ニ離脱シ、スグニマタ立テナオシタ。遠クヘ
 離脱シテシマッテハ、敵機ヲ見失ッテシマウカラデアル。
 今度ハ、右後下方カラ、機首ヲ持チ上ゲテ射ッタ。短イ射撃
 ヲ区切リナガラ、発射閃光ノ合イ間ニ照準ヲツケナオシタ。
 「ドド・ドド・ドド !」一銃アタリ、数発カラ数十発グライノ
 点射トイウヤリカタデアル。方向舵ト操縦桿ヲ、強ク使ッテ左ヘ、
 マタ滑ルヨウニ離脱シ、三回目ヲ左下カラ射ッテ、右下方ニ出タ。
 暗ガリノ中カラ射タレタコトニ、敵ハ驚イタノデアロウ。
 爆弾ヲ全部捨テタ。
 ソレハ、ラングーン市ノハルカ西ノ、ナニモナイ平原ノ中ニ大キナ
 火柱ヲアゲテ炸裂シタ。
 イマヤ、敵モ死ニモノ狂イダッタ。西ヘ西ヘ、小刻(コキザミ)
 ニ上下左右ニ、ノタウチナガラ、遁走シテユク。
 月明カリノ中ノ大型ト小型ノ一騎打チダッタ。
 暗イ大空デ、トモスレバ見失イガチナ相手ヲ、シカシ、私ハ
 決シテハナサナカッタ。
 


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