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★ついに「中立」を宣言した文在寅
北朝鮮の「グアム威嚇」でソウルが陥落した
鈴置 高史 バックナンバー 2017年8月17日(木)
―第2次朝鮮戦争が始まるかと思いました。
鈴置:8月9日、北朝鮮が「グアムを攻撃する計画を練っている」と発表しました。
それに対しトランプ(Donald Trump)大統領が激しく反発。世界のメディアも「すわ、戦争か」と大騒ぎしました。
1週間後の8月15日、朝鮮中央通信が「米国の行動をもう少し見守る」との金正恩(キム・ジョンウン)
委員長の発言を報じました。軍事的な衝突はとりあえず避けられたと世界は胸をなでおろしました。
―北朝鮮はこの騒ぎで何を得たのでしょうか。
鈴置:米韓同盟の亀裂です。8月15日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日本からの解放記念日
「光復節」の式典で演説しました。ここではっきりと、米国の対北攻撃は許さないと宣言したのです。
青瓦台(韓国大統領府)の「第72周年光復節祝辞」の関連部分を翻訳します。
・朝鮮半島で再び戦争を繰り返してはなりません。朝鮮半島での軍事活動は大韓民国だけが決めることができ、
誰も大韓民国の同意なくして軍事活動はできません。
・政府は何があっても戦争だけは止めることでしょう。
「戦争は絶対に止める」と言っているのですから、もちろん「軍事活動」つまり米国の先制攻撃にも同意しないわけです。
米国は北朝鮮の核武装を阻止するためには、先制攻撃も選択肢の1つと公言しています。
韓国はそれを認めないと言い出したのです。
―もし、北朝鮮がグアム沖にミサイルを撃ち込んだら?
鈴置:当然、米国は北朝鮮に反撃します。文在寅大統領の宣言によれば、
在韓米軍基地を使っての反撃に対し韓国は「NO」と言うことになります。
「どうしても北朝鮮を攻撃したいなら、グアムや日本の基地を使え」と米国に言うのでしょう。
その際は「朝鮮半島の軍事活動は韓国が決める」と大統領が予め通告したではないか、と主張できるのです。
すると、北朝鮮も韓国への攻撃は控えるかもしれません。韓国と戦闘状態に入らなければ、
地上軍で攻められる心配がなくなります。かくして朝鮮半島は戦争に巻き込まれずに済む―と文在寅政権は
期待しているのでしょう。
―もし、北朝鮮が突然、韓国を侵攻したり、あるいはミサイルで攻撃してきたら?
鈴置:その際は、韓国は米国と一緒になって戦うしかありません。しかし現時点で、そんなケースはまずあり得ません。
北は米韓に圧倒的な戦力差を付けられています。米韓同盟が機能する限り、北朝鮮が自ら滅亡する道を選ぶことはないでしょう。
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―すると結局……。
鈴置:文在寅大統領のこの発言は現実の状況から言って、有事の際の「中立宣言」にほかなりません。
文在寅政権はこの方向に行くだろうと予想はしていましたが、米朝間の緊張に耐えかねて、
予想外に早く中立を宣言してしまった感じです。グアムを狙ったミサイルがソウルを直撃したのです。
―「中立宣言」への反響は?
鈴置:当然というべきか、左派系紙のハンギョレは社説で褒め称えました。
8月15日の「『戦争だけは防ぐ』 平和への意思を明らかにした文大統領」(韓国語版)は
「米国と北朝鮮との『言葉の爆弾』の戦いにはっきりと反対する立場を明らかにした」と書きました。
同日午後には左派団体が「戦争反対集会」を催したうえ、米国大使館と日本大使館の前をデモ行進しました。
韓国メディアによると6000人が参加。決議文には以下のくだりもありました。大統領の演説と軌を一にしています。
・最近、米国政府が予防戦争、朝鮮半島での武力使用をうんぬんするが、誰にも朝鮮半島で戦争を起こす権利はない。
・一触即発の軍事的危機を前に、敵対的な韓米合同軍事演習を中断せねばならない。
―なぜ、デモ隊は日本大使館にも向かったのでしょうか。
鈴置:「米国に従う戦争勢力」と認定されているからです。
―そもそもの質問です。韓国が「第2次朝鮮戦争」の勃発を食い止められるのでしょうか。
鈴置:難しいと思います。軍事専門家の多くは、米国が北朝鮮を先制攻撃する際、
韓国には事前通告しないか、したとしても攻撃寸前と見ています。
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