17/07/21 11:50:31.31
2017年7月15日
フィリピン人主体 浜名高定時制バスケ部
◆部活がある 学校楽しい
浜松市浜北区の浜名高校定時制バスケットボール部(男子)が、
六月の県高校定時制通信制春季大会で初優勝を果たし、全国大会出場を決めた。
快進撃の立役者はフィリピン人の生徒。登録部員九人のうち八人を占める。
部員たちは「部活があるから学校が楽しい」と口をそろえ、通学の動機にもなっている。
ボールをドリブルする音が響く夜の体育館に、聞き慣れない言葉が飛び交う。
試合形式の練習で部員たちがコミュニケーションを取るのは、タガログ語をはじめとしたフィリピンの言葉。
ボールを持つと、果敢にリングに向かって切り込み、シュートまで持ち込む個人技主体のスタイルだ。
同校定時制では近年、近隣に住むフィリピン人の増加に伴い、同国出身の生徒が多くなっている。
バスケットボールは、世代を問わず街中の路地で楽しまれるほど、母国では人気の高いスポーツ。
バスケ部に自然に生徒が集まった。
顧問の横原淳教諭は「授業に遅れても、練習にはみんな顔を出す。
授業で静かでも、部活になると元気になります」と笑顔で話す。
卒業生や部員の友人らも練習に参加しており、練習中はいつもにぎやかな雰囲気に。
「部活が生徒たちの目標になり、学校の活性化にもつながっている」と横原教諭は手応えを口にする。
「努力してきたことが報われた」と県大会を振り返るタプニオ・ケンリック主将(18)は
「バスケはライフワーク。自分が学校に通う意味です」と続けた。
三年生のウィルソン・ジョンさん(18)も「部活のために学校に通っている。
みんなでやるから楽しいし、みんなで勝つからうれしい」。
唯一の日本人部員で一年生の大橋拓人さん(15)は
「先輩たちは優しく、技術も高い。一緒にバスケするのが楽しい」と語る。
◆働きながら学ぶ環境希望
浜松市教委によると、市内には、千五百人余りの外国籍の児童・生徒が小中学校に通学している。
国籍別に分けると、フィリピンは約17%を占め、約49%でトップのブラジルに次いで多い。
フィリピン国籍の子どもは、二〇〇八年ごろから増加傾向にあり、今年五月時点で
二百六十五人が市内におり、浜北区は特に集中エリアになっている。
市内で学習支援や生活支援を行うNPO法人「フィリピノナガイサ」の副理事長松本義一さん(35)は
「母国の子どもを呼び寄せる世帯が増えていることや親戚を呼んでいる状況がある」と分析する。
働き先となる製造業が多いことや知り合いの多い住環境が良い評判を呼んでいるとみられる。
松本さんが高校進学の支援をしてきた中で、約半数の生徒が定時制高校への進学を希望した。
定時制に進む理由は、働きながら通学できる環境が大きいという。
「世帯収入が少なく、家族は子どもも稼ぎ手の一人とみており、
本人も家計を助けたいと考えているケースが多い」と話す。
「外国にルーツを持つ生徒の就職を応援する取り組みは広がっている」と松本さん。
一方で「依然として定時制高校を卒業しても就職につながらず、勉強する意味を見いだしづらい」と話す。
受け入れ先が少ないために、職業選択の幅を広げられず、不安定な雇用形態で働き続ける現状の問題点を指摘する。
URLリンク(www.chunichi.co.jp)
URLリンク(www.chunichi.co.jp)