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★中国、原油輸入路を多様に ミャンマー結ぶ陸路を確保
2017/4/13 0:33
【上海=小高航、ヤンゴン=新田裕一】中国が中東産原油の輸入ルート
多様化を急いでいる。雲南省昆明とミャンマー西部の港を結ぶパイプラインが
このほど稼働し、米国の影響力が強い海域を回避する「陸路」を確保した。
原油調達のリスクを低減する「エネルギー安全保障戦略」は大きく前進した。
巨額の資金支援を通じて東南アジアへの影響力を高める思惑も透ける。
中国の習近平国家主席とミャンマーのティン・チョー大統領は10日、北京市で会談し、
パイプラインを使った原油の輸送開始に合意した。両国が合意した2国間の経済
協力強化策の目玉の一つだ。パイプラインはミャンマー西部のチャオピューから
中国国境までの約770キロメートルを結ぶ。
パイプラインは中国の2016年の原油輸入量の6%弱に相当する年2200万トンを
輸送する能力を持つ。主に雲南省昆明と重慶市の大規模製油所で精製し、
周辺都市での消費に回す。
パイプラインは中国の国有石油大手、中国石油天然気集団(CNPC)とミャンマー
企業の合弁会社が建設した。合弁会社にはCNPCが過半を出資する。
CNPCによると10日、チャオピュー港に着岸した最初のタンカーから
アゼルバイジャン産原油14万トンの陸揚げを開始した。
急速な経済発展を遂げた中国は、国内の原油消費を賄うため輸入への依存を高めている。
原油消費量に占める輸入の比率は16年に65%と1年間で5ポイント増加した。
輸入量の5割弱を占める中東産原油は、米国の影響力が強いマラッカ海峡と南シナ海を
経由して輸送。米トランプ政権が南シナ海問題などを巡り中国批判を強める中、
同海峡が封鎖される事態になれば、経済や社会生活への打撃は計り知れないとの
危機感を強めていた。
習近平指導部はすでにロシアや中央アジアからの原油や天然ガスのパイプラインを増強。
ミャンマー経由の「第3ルート」を得たことで中国のエネルギー安全保障戦略が前進する。
既存の調達先であるロシアなどとの交渉を優位に進める思惑もありそうだ。
約15億ドル(約1600億円)の工費をかけた今回のパイプラインは、10年に着工し、
15年に完成していた。ただ、11年のミャンマー民主化後に発足したテイン・セイン政権は
欧米との関係改善を進める一方、「脱・中国依存」を志向した。中国側が大半の権益を
持つダム開発が頓挫するなど、エネルギー政策でミャンマーを活用する中国の政策は棚上げとなっていた。
流れが変わったのが16年3月のミャンマー新政権発足だ。政権を率いるアウン・サン・スー・チー
国家顧問兼外相は昨年8月、東南アジア諸国連合(ASEAN)域外で最初の訪問地に
中国を選ぶなど、中国との距離を縮める姿勢を鮮明にしている。
ミャンマーにとって中国は最大の貿易相手国であり投資国。また中国国境付近の武装勢力との
和平進展でも中国側の支援を得たい構え。軍政時代の停滞で遅れているインフラ整備や
少数民族問題の打開に向け、中国の力を最大限利用したいという思惑が今回の歩み寄りにつながった。
中国にとってはエネルギー政策に加え経済外交でもミャンマーとの関係強化は重要な意味を持つ。
「一帯一路(海と陸のシルクロード)構想」と呼ぶ政策で、東南アジアや中央アジアとの経済連携を
強めている。インフラ投資などで新興国を支援する見返りに政治的な結びつきを強める経済外交の一環だ。
URLリンク(www.nikkei.com)