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★ドイツが迷い込んだ「民主主義」の袋小路~破壊者と化す政治家たち
9月に総選挙があるけれど…
川口 マーン 惠美
■民主主義の主人公は誰なのか
国会議員ノベルト・ラマート氏は、議員のあいだでも国民のあいだでも、信望の厚い政治家だ。
2005年からずっと連邦議会の議長を務めている。その彼が、突然、議会における長老議長の
選出基準を変えようと言い出した。国民からしてみれば、寝耳に水だ。
そもそも国民にとっては、長老議長などという言葉自体が不慣れ。聞くところによればその役目は、
選挙後初の国会を仕切ることだそうだ。綱領に即した宣言をし、慣例に則り、無事に議長を
選出したところでお役御免。それなりに名誉ある役目で、国会議員の最年長者が引き受ける
ことになっている。
ところが、ラマート議長は突然、次期国会から、それを最年長者ではなく、一番長く国会議員を
やってきた人が務めるよう、規則を変えようと言い始めた。国民の希望で出てきた話でないことは確かだ。
ラマート氏はその理由として、最初の議会をリードするのは経験豊かな人の方が良いから、
とかなんとか言っているが、「なぜ、今、突然?」という疑問が残る。
真の理由は、実は、非常にわかりやすい。規則を変えなければ、次期国会の初日、
この役を務めるのがAfD(ドイツのための選択肢)の議員になりそうだからだ。
AfDは右派の新党で、前回の総選挙の時は出来たばかりだったため、国会にまだ議席はないが、
その後めきめきと支持者を増やした。ここ数年、州レベルの議会では、すでに軒並み議席を獲得している。
AfDについては、このコラムでしばしば書いているが、元はと言えば、EUの単一通貨である
ユーロの存在に異議を唱えた経済学者たちが始めた党だった。そのあと、次第にメルケル氏の
難民政策批判にチャンネルが切り替わり、国民の支持を得た。今では、他のあらゆる政党が
その台頭を非常に警戒している。
既成の権力者たちは、新興政党の勃興を好まない。できれば若芽のうちに潰してしまおうと
思うらしく、政治家とメディアが一致団結して、AfD攻撃に躍起になっている。ポピュリストだ、
反民主主義者だ、国家主義者だ、差別主義者だ、ナチだ……云々。
URLリンク(gendai.ismedia.jp)
ところがAfDの勢いは止まず、9月の総選挙ではかなりの国会議員を生むと見られている。
そのうえ、当選確実の議員に1935年生まれが二人もいる。紛れもなく、彼らが最年長議員となるはずだ。
しかし、いくらそれが気に入らないからといって、規則を変えるというのはあざとくないか?
しかも、それをリードしているのが、これまでずっと民主主義の化身のような顔をしてきたラマート氏だ。
その彼が、民主主義を“守る”ためには敵に対する故意のデッドボールも許されると思っているなら、
ちょっとショックだ。
これでは、民主主義の主人公が誰なのかもわからなくなってしまう。
■フェイクニュースに罰金5000万ユーロ!?
おかしなことは他にも起こっている。ハイコ・マース法相の動きだ。これについては1月にも書いたが、
彼は去年より、ソーシャルネットワークにおけるフェイクニュース(虚偽のニュース)の取り締まりに
のめり込んでいる(URLリンク(gendai.ismedia.jp))。
ツイッターやフェイスブック、ユーチューブといったソーシャルネットワークは、膨大な数の利用者を持つ。
もちろん中傷や虚偽、違法な書き込みやビデオも後を絶たず、各社とも通報のあったものには
それぞれに対応している。だが、マース法相の目には、その対応が甘すぎるらしい。
たとえば現在、フェイスブックは、通報のあった書き込みの4割弱、ツイッターに至ってはたったの
1%しか削除していないという。比較的迅速なのがユーチューブで、通報分の9割を削除。
そこでマース法相が次のようなことを考え出した。
200万人以上のドイツのIPアドレスの利用者を持つソーシャルネット各社は、苦情に対応する
部署をドイツ国内に作り、不適当な書き込みが通報されれば、24時間以内に違法か
否かを決定する。(以下リンク先で読んでください)
URLリンク(gendai.ismedia.jp)
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