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★最高裁棄却! 虫が良すぎる「忘れられる権利」 検索エンジンへの犯罪記事削除要請
昨年、グーグルやヤフーなどの事業者に対し、検索結果の表示の差し止めや
損害賠償などを求めた申し立て事件は54件にのぼる。今年1月31日には、
児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑の逮捕歴の削除を求めた男性の請求を、
最高裁が棄却する画期的な決定を下した。過去には、自身の逮捕記事の削除を
求めて訴えた盗撮常習者が、公判中に再び犯行に及び、お縄になったケースも。
破廉恥な振る舞いが法に触れたにもかかわらず削除要請を行う厚顔な面々の
“不都合な過去”が、恣意的に消し去られてはたまらない。
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この時に注目を集めた「忘れられる権利」について、京都大学大学院法学研究科の
曽我部真裕教授は“今後は法改正をしない限り、「忘れられる権利」が法的に
認められることはないと思います”と語る。
ジャーナリストの津田大介氏も、
「今回の決定の趣旨は『検索サイトは、ネット上で国民の知る権利に対し、
重要な役割を担っている』と認めた上で『役割に応じた責任も負うべきだ』というものです」
そう指摘しながら、
「日本では『忘れられる権利』はありませんが、欧州の考え方を受けてヤフーなどは
自主的に削除基準を策定しました。グーグルも削除依頼用のフォームを設けたところ、
数万件の依頼が寄せられ、うち4割ほどの削除に応じています。
ですが、自分にとって都合の悪い情報をたやすく消せる、つまり忘れられるようになれば、
民主主義やジャーナリズムに重大な影響を与えるおそれも出てきます」
■「更生の機会」など…
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加えて、異なる視点から最高裁の判断を是とするのは、「全国犯罪被害者の会」
副代表幹事の高橋正人弁護士である。
「とりわけ性犯罪の場合、被害者にとっては“忘れられる”など、とんでもない話です。
更生の機会が失われるなどと言いますが、本人に改心したい気持ちがあるのなら、
ネットに名前が出ようが出まいができるはず。そうした弁解をしている時点で、
更生など無理ではないかと思いますね」
あらゆる“過去”に対して一律に削除不可というわけではなく、あくまで個々の事案を考えて
今回の判断は下されており、
「まったく身に覚えがなくても悪質なデマを書き込まれてしまうのが、現代のネット社会です。
まして罪を犯したのだから、その記述が残っていても、それは自業自得。それで就職が
できないなどと主張するのなら、自分で事業を始めればいいだけの話です」(同)
犯罪者の精神鑑定に携わってきた、一般社団法人「こころぎふ臨床心理センター」の
長谷川博一代表も、こう言うのだ。
「窃盗などと並んで再犯率が高いと言われる性犯罪は、偶然に選ばれただけの被害者側からすれば、
精神に深い傷を負うことになる。『魂の殺人』と言われる所以です。たとえ相手の同意があったとしても、
次第に同じ刺激では満足しなくなる常習性があるため、検挙されなければ別の性犯罪を引き起こす
可能性があります。また盗撮では、空想がエスカレートすれば下着の窃盗や強制わいせつ事件へと
進むケースもあるのです」
ちっとも“軽微な犯罪”ではないわけで、
「本人が再犯率を下げる努力を何もせず、権利だけを主張するのは虫が良すぎると思います。
犯歴の削除申請をするのなら、『自分はこれだけもがき苦しみ、生まれ変わりました』という
証明をする責任が、削除を求める側にあるはずです」(同)
週刊新潮2017年3月16日号 掲載
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