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★寝不足でいつも「酩酊」状態の自衛隊員たち
対策を進める米陸軍、自衛隊は組織文化から改革を
2016.12.28(水) 部谷 直亮
(中略)
実際、海上自衛隊の艦艇部隊の幹部の睡眠時間が平均2時間であることは珍しくない。
日米共同演習では、交代制と暖衣飽食の米海軍に海上自衛隊が徹夜と握り飯で対抗し、
初戦で圧倒するものの、最終的にはヘトヘトになって敗北することがままあるという。
また地方の基地では、キングカズでもない40代の佐官が夕方まで競技会に向けて
サッカーの練習を行い、5時に仕事を再開し、部下に先に帰るのを許さないといった話も聞かれる。
日米共同演習等で交代制をとらず、やはり途中から壊滅していた陸上自衛隊は、
近年、三交代制を導入した。しかし、平時や実働では導入されていないので、
皮肉なことに演習時がもっとも寝られるということになってしまっている。
■自衛隊が採るべき3つの対策
では、どうすれば良いのだろうか。ここでは筆者が考える3つの対策を提案したい。
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第1に、ジェフ・イェーガー少佐の論説にあるような「睡眠トラッカー」の導入である。
この種の装置は5000円程度で良い性能が手に入るので、事務官を含めて25万人弱の
防衛省・自衛隊に配布しても13億円以下で済む。来年度予算における10式戦車(8億円)
の調達を2台減らすなり、ほとんど役に立たない予備自衛官制度の予算80億円から一部を
転用するなりすれば、すぐできるはずである。
第2は、仕事を無限に増やすような非効率な組織文化の改革である。
自衛隊は仕事が無意味に丁寧すぎる部分がある。例えば、中央観閲式では、
戦車・装甲車・高機動車をいちいち隊員が手で再塗装している。しかも、ムラができれば、
塗装を剥がしてやり直す作業を繰り返し、最後には「つや消し」を施すというガンプラの
ようなことをやっている。観閲式のベンチやトイレなどの会場設営と撤収にも、約2カ月もかかっている。
こうした無意味な慣習は排すべきだし、自衛隊の広報イベントの実施や準備はできる限り
民間に委託するなり縮小が筋だ。実戦に向けた取捨選択による業務改革が必要である。
地元のお祭りの手伝いや面子のための演習のような優先順位の低い任務の縮小・廃止
による負担軽減も実施すべきだろう。
第3は人事制度の改革である。自衛隊では長い幕僚(指揮官を支える幹部)時代を経て
から指揮官になるため、指揮官になっても幕僚気質が抜けない人物がよく見受けられる。
要するに、いつまで経っても「優秀な部下」のままだということである。こうした上司はしばしば
自分にも部下にも厳しく、部隊の寝不足を加速する。指揮官を歴任するようなキャリア
プランを設け、指揮官気質の指揮官を増やしていくべきだろう。
以上はあくまでも試論だが、これを機に、自衛隊員や防衛省職員が、誰かのメンツや
自己満足のための無意味な仕事に追われることなく、良質な睡眠によって高いポテンシャルを
発揮できるようにするための議論が高まることを祈念してやまない。
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